CeBIT 2001 Hannoverレポート Intel、AMD編

mPGA478、Intel 815 B-Step、Athlon 1.33GHz搭載マシンなどがデビュー

会期:3月22~28日
会場:Hannover Messe


 ITおよび通信関連としては世界最大の展示会であるCeBITが、ドイツのハノーバーにおいて3月22日~28日にわたり開催されている。CeBITはIT系であるPCやソフトウェアなどの話題と共に、携帯電話やネットワークなど、携帯電話やネットワークなどの通信系の展示も多く、非常に多岐にわたったイベントとなっている。会場も非常に広大で、多くの製品が展示されている。今回はIntel製チップセット搭載マザーボードの話題とAMDブースのレポートをお届けする。



●期待のBrookdaleは登場しなかったがmPGA478のソケットは“限定”デビュー

 CeBITには多くの台湾マザーボードベンダーが出展している。既に、Platform ConferenceなどでVIA、ALiの最新チップセットを搭載したマザーボードが登場しているので、次に登場が期待されている製品といえば、なんといってもIntelのPentium 4用チップセットであるBrookdale(ブルックデール)だろう。

 IntelのPentium 4用チップセットといえば、現時点ではIntel 850が用意されるだけだ。しかし、Intel 850は2チャネルのDirect RDRAMをサポートしているため、現在では6層基板となっており、Direct RDRAMの価格と同時にマザーボードにかかるコストも問題になっている。このようにプラットフォーム面でのコスト高を解消しなければ、Pentium 4がメインストリーム市場に普及していくのは難しいと考えられている。これに対して、Brookdaleでは、価格が安価なSDRAM/DDR SDRAMをサポートし、基板も4層基板で作ることができるようになっている。OEMメーカー筋の情報によればIntelはSDRAMバージョンのBrookdaleを9月に出荷し、2002年の1月にはDDR SDRAM対応のBrookdale-DDRをリリースすると説明しているという。

 昨年のCeBITでは発表前のIntel 815搭載マザーボードがいきなり展示されたりしていたため、今回もBrookdaleのフライングデビューがあるのかと期待されたが、残念ながら展示しているブースは1つもなかった。今年はIntelが規制を厳しくしたからか? と考える向きもあるようだが、実は、未だにBrookdaleのエンジニアリングサンプルがマザーボードメーカーに対して配布されていないようだ。

 OEMメーカー筋によれば、IntelはBrookdaleのエンジニアリングサンプルの配布を4月であると説明しており、それはSDRAMもDDR SDRAMもどちらにも利用できるサンプルであるという(もともとSDRAM用のBrookdaleとDDR SDRAM用のBrookdale-DDRは同じシリコンになっている)。各社とも、Intelから配布されたイエローブックやデザインガイドなどを利用してデザインだけは終わっているようで、マザーボードメーカーの中にはバックルーム(通常の展示会場ではなく、顧客などとのミーティングに利用する部屋)で限られた顧客などにはBrookdaleのチップセットが搭載されていない状態のBrookdaleマザーボードを公開していたところもあった。

 そうしたマザーボードの一枚にmPGA478Bのソケットを搭載したものを確認できた。Brookdaleでは第3四半期から導入される新しいPentium 4のパッケージであるFC-PGA2に対応したmPGA478(マイクロピージーエー478)と呼ばれる新しいCPUソケットに変更される。既に2月に開催されたIntel Developer Forum Conference Spring 2001(以下IDF)において、FC-PGA2のパッケージは公開されていた( http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010301/idf07.htm )ものの、mPGA478Bの形状が明らかになったのは今回が初めてだ。

Brookdaleは搭載されていないが、Brookdaleのためにデザインされたボード上に搭載されていたmPGA478ソケット。ソケットにはmPGA478Bと表記されていた 横から見たところ。ATXの電源コネクタと比べると、いかに小さいかがよくわかる。ちなみに、サイズは縦45mm(最大)×横37mm(最大)となっている

 なお、IDFではBrookdaleの形状もメカニカルサンプルながら、明らかになっており、これでCPU、CPUソケット、チップセットの形は明らかになった。これで、あとは実際の製品が登場するのを待つだけだ。


●Tualatin対応のIntel 815 Bステップがデビュー

 これに対して、CeBITではTualatin-256K(製造プロセスルールが0.13μmのPentium III)に対応したIntel 815マザーボードがいくつか登場した。ABIT Computer、FIC、GIGABYTE Technologyなど多くのマザーボードベンダで展示されていた。

 既に後藤氏のコラム( http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010213/kaigai01.htm )でもふれられているように、Tualatinではシステムバスの電気信号が若干仕様変更される。従来のCoppermineベースのPentium IIIでは電気信号にAGTL+(1.5V)が採用されていたのだが、Tualatin-256KではAGTL(1.2V)へと変更されることになる。そこで、チップセット側で、AGTL(1.2V)をサポートする必要がでてくるのだが、現状のIntel 815/E/EPではAGTL+(1.5V)のみをサポートしており、AGTL(1.2V)はサポートしていない。そこで、Intelは第2四半期にリリースを予定しているIntel 815のBステップと呼ばれる改良版Intel 815/E/EPでAGTL(1.2V)をサポートする。もちろん、BステップのIntel 815はAGTL+(1.5V)にも対応しており、BステップのIntel 815を搭載したマザーボードではTualatinとCoppermineの両方を利用することができるようになる(このため、マザーボードメーカーは、BステップのIntel 815を搭載したマザーボードをユニバーサルデザインと呼んでいる)。表にすると以下のようになる。

CoppermineTualatin
Intel 815(現行)×
Intel 815(Bステップ)



 ただ、このBステップのIntel 815だが、外見は同じIntel 815にしか見えないため、それがBステップなのか、現行のAステップなのかを判別することはできない。実際にリリースされればパーツナンバーなどから把握することができるようになるかと思うが、その点は注意する必要があるだろう。

 既に述べたように、各マザーボードメーカーはいつでも生産できる体制にあるようで、現在は「Intel待ち」(マザーボードメーカー関係者)という状況であるようだ。既に述べたように、Intelは第2四半期中にこのBステップのIntel 815をリリースする予定であるという。もし、Tualatin-256Kがでたときに、Coppermineから乗り換えたいと考えているユーザーは、このBステップのIntel 815搭載マザーボードを待って、乗り換えるというのが新しいトレンドになるかもしれない。

Intel 815のBステップ。見た目は従来のIntel 815と何らかわらない FICのFS35T。Intel 815 Bステップを採用したマザーボード
ABIT ComputerのST6-RAID。やはりIntel 815 Bステップを採用 GIGABYTE TechnologyのGA-6OXET。Intel 815 Bステップを採用

□関連記事
【3月21日】Intel、i815のステッピング変更で次世代Socket 370用CPUをサポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010321/intel.htm


●AcorpがIntel 815の実動デュアルマザーボードを展示

 台湾のマザーボードベンダーであるAcorpは、Intel 815を利用したデュアルマザーボードの実動デモを行なった。Intel 815を搭載したデュアルマザーボードは、昨年秋に日本で行なわれたWorld PC EXPOでEPoX Computerがマザーボードは展示していたものの、実際に実動デモを行なったわけではなく、その後実際に製品化された話を聞かないところを見ると、どうも結局動かなかったのではという説が濃厚になっていた。しかし、今回Acorpはマザーボードだけでなく、実際にそのマザーボードを利用したデモを行なった。Windows 2000のタスクマネージャを開くと、実際にCPUが2つ認識されており、デバイスマネージャを開けば確かにIntel 815を利用したシステムであることが確認できた。なお、どのようにして実現したかは「企業秘密」ということで明らかにされていない。なお、現在はいくつかのバグ取りを行なっている段階であり、今月末から来月頭にかけてサンプルを、来月末には製品を出荷できるとのことだった。

 このほか、IwillはこれまでFosterのコードネームで呼ばれてきたPentium 4のマルチプロセッサバージョンであるXeonプロセッサ用デュアルマザーボードを展示していた。チップセットはIntelのIntel860(コードネーム:Colusa)が採用されており、2つのPGA602(620ピン)ソケットが搭載されていた。

ACorpの6A815ED。チップセットには本来未サポートのIntel 815を搭載していながら、デュアルプロセッサに対応している 6A815EDが実際に動作している様子 6A815EDが動作しているマシンのチップセットの項目にはIntel 815の表示をしながら、2CPUとして動作しているのがわかる


●AMDはNEC、富士通シーメンスのAthlon 1.33GHz搭載マシンをデモ

 AMDはホール13にブースを構えており、発表したばかりのAthlon 1.33GHzを搭載したマシンのデモなどが行なわれた。展示されていたのは富士通シーメンス(富士通とシーメンスの合弁PCメーカー)のXpertで、AMD-760チップセットを採用し、メインメモリにはPC2100(266MHzのDDR SDRAM)を256MB搭載しているという。さらにビデオカードはGeForce3で、ビデオメモリは64MBと豪華仕様になっている。NECが展示したのはPowerMate Workstationで、やはりAMD-760チップセット、メインメモリにはPC2100を512MB搭載し、ビデオカードはGeForce2(UltraかGTSかは不明)を採用しているという。

 これまで大手OEMメーカーからAMD-760を採用したDDR SDRAMベースのシステムが発売された例はなく、今回のこの2製品はそうした製品の最初の例と言える。

 なお、明日にはAMDの担当者とのプレスミーティングも予定されているので、AMDのロードマップのアップデートなどに関しては詳しくは明日以降にお伝えしていきたい。

AMDのAthlon 1.33GHzを搭載した富士通シーメンスのXpert。AMD-760、PC2100、GeForce3というスペックとなる NECのPowerMate Workstation。Athlon 1.33GHzで、AMD-760、PC2100、GeForce2というスペックとなる


(2001年3月23日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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