ALiもDDR SDRAMに関するプレスカンファレンスを開催

会期:2月7日(現地時間)

会場:Grand Hyatt Taipei

 台湾のチップセットベンダAcer Laboratories Inc.(ALi)は7日(現地時間)、台北市内のホテルでDDR SDRAMに関するプレスカンファレンスを開催した。このカンファレンスにはメモリチップベンダ、メモリモジュールメーカーなどDDR SDRAM関連の業界関係者を招待されており、パネルディスカッションなどが行なわれたほか、各マザーボードベンダなどによるALiチップセットのDDR SDRAM対応マザーボードの展示などが行なわれた。


●参加しているメンバーはみなどこかで見たような顔ぶれ……

ALi社長のシン・ウー博士
 最初に挨拶に立ったのは、ALiの社長であるシン・ウー博士で、ALiの今後の取り組みなどについて語った。「DDR SDRAMはオープンスタンダードで、メモリチップメーカー、チップセットメーカー、マザーボードメーカーなどが協力して機運を盛り上げていくことが必要だ」と述べた。また、「ALiはDVDデコーダチップにも注力している。今後はマルチメディア分野はより重要になっていくので、力を入れていきたい」と語った。

 さらに、ウー博士の後に登場したのは、昨日のVIAのDDR Summitにも登場した、AMI2社長のデジ・ローデン氏。ローデン氏は「現在PCのインフラの60%を生産しているのは台湾であり、こうした台湾のベンダと協力していくことはIT業界にとって重要なことである」と台湾メーカーを持ち上げ、「DDR SDRAMを生産しているメモリチップベンダーの多くは台湾の外にあるが、これらのメモリメーカーが台湾ベンダと協力することがDDR SDRAMの普及には欠かせない」とDDR SDRAMの普及のおける台湾ベンダの重要性を強調した。さらに、DDR SDRAMのアドバンテージの1つとして、統合型チップセットの描画性能を向上させることを指摘し、「ALiが発表したDDR SDRAMをサポートしたCyber AladdinやCyber MAGiKはDDR SDRAMの普及に必要な製品」と述べた。

 その後、メモリチップベンダ、メモリモジュールメーカー関係者を壇上に呼び、DDR SDRAMに関するパネルディスカッションが行なわれた。面白かったのはこのパネルディスカッションの参加者で、参加したのはMicron Technology、Hyundai、Elpida Memory、Infineon Technology、AMD……と昨日のVIAのDDR Summitにも参加したのと同じメンバーとなっており、昨日のDDR Summitのパネルディスカッションをそのまま持ってきたような内容だった。

 つまり有り体に言えば、昨日VIAのイベントに参加していた関係者が、VIAの関係者を除きごっそりALiのイベントに移動してきたといったところだ。VIAとALiはライバル同士なので、さもありなんという話なのだが、ネタが双方とも同じDDR SDRAMなのだから、一緒にやればよいのにという感想が参加者からでていたのを付け加えておこう。

昨日のDDR Summitに引き続いての登場となったAMI2のデジ・ローデン氏。DDR SDRAMが注目するされる今、キーマンの彼は引っ張りだこだ パネルディスカッションの模様。ほとんどの参加者は昨日行なわれたものと同じで、チップセットベンダー間の激しい競争をかいま見せた


●ALiがCyber MAGiKを初めてデモンストレーション

 ALiは先月行なわれたPlatform Conferenceの直前にモバイル向けのDDR SDRAMサポート統合型チップセットであるCyber AladdinとCyber MAGiKの2製品を発表した。Cyber Aladdin/Cyber MAGiKの特徴はモバイル向けだけでなく、デスクトップPCを含めても初めてのDDR SDRAMサポートの統合型チップセットで、Trident MicrosystemsのCyberBlade XPというグラフィックスコアを統合したものになっている。

 今回のプレスカンファレンスでは、モバイルDuron 700MHz(先月発表された製品)を利用したデモが行なわれた。構成はモバイルDuron 700MHz、Cyber MAGiK、128MBのDDR SDRAMのSO-DIMMが2枚という構成で、実際に3DMark2000が動作していた。これまでDDR SDRAM対応統合型チップセットが実際にデモされた例はなく、世界初のデモと言える。

 ローデン氏が述べているように、ノートパソコン用統合型チップセットでDDR SDRAMを利用することは、いくつかのメリットがある。1つには統合型を利用することにより、チップ数を減らすことを実現しつつ、描画性能の低下を押さえることができることだ。統合型チップセットでは、内蔵グラフィックスコアがメインメモリの一部をビデオメモリとして利用する(つまり、メインメモリをCPUと分け合う形になる)。このため、CPUと内蔵グラフィックスコアでバンド幅を分け合う形になっており、特にCPUからメモリへのアクセスが多発している時には、内蔵のグラフィックスコアが利用できる帯域は限られてしまい、描画速度の低下につながってしまう。このため、通常のSDRAMよりもバンド幅が広いDDR SDRAMを利用すれば、グラフィックスに割ける帯域が増加し、結果として描画性能の向上につながるのだ。また、DDR SDRAMは駆動電圧が2.5Vと、SDRAMの3.3Vに比べて低くなっており消費電力量もSDRAMに比べて少ない。この低消費電力という点も、モバイルではメリットと言える。

 ALiではこのチップセットにかなり注力しているようで、今後はALiの主力製品に育てていきたいということだ。現状ではCyber MAGiKの方が若干先に進んでいるようで、今四半期中と言われるモバイルAthlonとの組み合わせで面白い製品がでてくることを期待したい。

Cyber MAGiKを利用したデモ。DDR SDRAM対応統合型チップセットの実働デモが行なわれたのは初めて ALiのモバイルAthlon Duron向け統合型チップセットCyber MAGiK デモにはMicron TechnologyのPC-2100(DDR266)のSO-DIMM(200ピン)が利用されていた


●マザーボード各社のALiチップセット搭載DDR SDRAM対応マザーボードを展示

 VIAのDDR Summitほどの規模ではないものの、ALiのプレスカンファレンスでもALiチップセットを搭載したDDR SDRAM対応マザーボードの展示が行なわれた。やはりDDR SDRAM、SDRAMの両対応のマザーボードが多数展示されており、実際に登場する際にはこれらの製品が主流になりそうだ。

展示されていたマザーボードを利用したデモ。実際にAladdin5やMAGiK1を利用したデモが行なわれていた ALiのもう1つの製品であるDVDデコーダチップを利用した製品のデモ。OEMメーカーはいずれも台湾のメーカーだが、価格競争力はありそうだ


★Aladdin5搭載(Pentium III/Celeron用)

ASUSTeK COMPUTERのCUA-266、2DDR+2SDR MaxtiumのSMART1651、3DDR

SOYOのSY7ARA-R、3DDR Jetwayの65IAS、3DDR


★MAGiK1搭載(Athlon Duron用)

ASUSTeK COMPUTERのA7A266、2DDR+3SDR GIGA-BYTE TechnologyのGA-7AM、2DDRでmicroATX MSI COMPUTERのMS6375、3DDR+2SDR

PC ChipsのM816、2DDR+2SDR Lucky-Starの6AAP5、3DDR Jetwayの849BS、2DDRでDDR SDRAM対応マザーボードでは珍しいBabyAT

TranscendのTS-ALR4、3DDR SOYOのK7ADA-R、3DDR

□ALiのホームページ(英文)
http://www.ali.com.tw/

(2001年2月8日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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