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P&A Paint Shop Pro 7J さらなる機能の充実と インターフェースの改良を図った デジタルイメージ編集ソフト TEXT：薮田織也　Oliya Yabuta

PSP7の外観。従来のPSPとよく似ているが、カラーパレットの機能とツールバーが増えていることと、画像全体のサムネイルを表示するオーバービューパレットが追加されている

　シェアウェアとして登場し、パッケージ販売されるようになってからもコストパフォーマンスのよさで人気を博しているPaint Shop Proが、6度目のメジャーバージョンアップを果たし、Paint Shop Pro 7J（以下PSP7）となった。国内での販売元が、P&A 1社に絞られ、パッケージ販売のみになってから初めてのバージョンアップとなる。

　新バージョンで追加された機能の中には、Webデザインをする上で望まれていた機能も多い。その中で特筆すべきは、ベクトルデータによるシェイプツールだ。ベクトル描画ツールのオプションパレットを開くと、あらかじめ登録されたWeb用ボタンや、矢印、吹き出し、道路標識などのシェイプから好きなものを選べる。選んだシェイプは、描画ウィンドウで範囲をドラッグして指定するだけで描画もできる。ベクトルデータなので、当然、拡大縮小も自由だし、自由に編集することもできる。オリジナルのボタンなどを作成し、シェイプとして登録することも可能だ。ほかのWebページ作成向けツールとしては、作成した画像をJPEGとGIF形式としてエクスポートできる機能が従来バージョンから備わっているが、PSP7ではこれにPNG形式が追加された。

追加・変更された各種パレットと、ツールバー。ツールバーの多くは、従来からある機能をカテゴライズしたもの。特筆すべきは、カラーパレットにブラシのスタイルとテクスチャが追加されたことだ

　ユーザーインターフェースも改良されている。従来の標準ツールバーに加え、写真編集用、フィルタ関連、Web関連など、従来からある機能がカテゴライズされてツールバーとなった。また、従来のカラーパレットは、描画色と背景色の属性に対して色情報しか選べなかったが、グラデーションやパターン情報も選択できるようになっている。パターンとは別に、グレースケールのテクスチャを使って色を描画する機能も、カラーパレットに追加されている。従来製品でこうした描画ができなかったわけではないが、カラーパレットに追加したことで、分かりやすく、また使いやすくなった。

　カラーバランスやコントラスト、鮮やかさなどの調整や、赤目補正などが自動で行なわれるなど、自動調整機能が盛り込まれ、フォトレタッチに不慣れな初心者でも手軽に修正を行なうことができるようになっている点も見逃せないだろう。

ベクトル描画ツールに、ボタンや吹き出しなどのシェイプが数多く追加された。ベクトルデータなので、画質を保持しながらの拡大縮小が可能で、描画後、自由に編集ができる

　新機能ではないが、なにかと取り上げられるAdobe PhotoshopのPSD形式ファイルの扱いについて触れておこう。最近のバージョンのPSPシリーズでは、積極的にPSDファイルを扱えるようにしており、PSDファイルの調整レイヤーを含むマルチレイヤー情報を、ほぼそのまま読み込むことができるほか、編集した画像をPSD形式で出力することもできる。ただし、Photoshopの「効果」を適用したレイヤーは、効果情報のみ破棄される。また、テキストレイヤーはラスタレイヤーとして読み込まれる。それでも、Photoshopと比べると、CMYK関連の機能を除いて、表面的には大差ないほどの豊富な機能が用意されていると言ってもよいだろう。初心者ユーザーであれば、高価なPhotoshopを買わなくても、安価なPSPで十分と言えるほどだ。

登録されたシームレスパターンによるペイントが、カラーパレットに登録されたことで、より使いやすくなった。シームレスパターンも、オリジナルを作成して登録できる

　今回は、Web用機能追加とユーザーインターフェースの改良が充実したバージョンアップだが、そのほかの点では改善してほしい部分もいくつかある。たとえば、レイヤーにはやはりサムネイルが欲しいところだし、ベクトル描画ツールではきわめて単純なベジェ曲線しか描けない点はややもの足りない。画像ファイルのブラウザは重宝するが、オプションで画像以外のファイルを表示する機能も欲しかった。とはいえ、この1万円台半ばの価格帯で、多機能、かつプログラムの軽さを信条としているPSP7には、大変好感が持てることも確かだ。価格もこれまで同様に比較的手に入れやすいものなので、画像加工やWebページ作成に挑戦したいという方にぜひオススメしたい。