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NEW PRODUCTS TESTREPORT


コンパックコンピュータ
iPAQ Internet Device
レガシーライト

インターネットに特化した低価格PC

TEXT:清水理史 Masashi Shimizu



PS/2やシリアル、パラレルポートを備えているため、既存のPCの周辺機器などを利用することも可能だ
 すでに米国で発売され、高い評価を受けているコンパックコンピュータのiPAQシリーズが、ついに日本市場にも投入された。「Internet Device」と命名されていることからも分かるとおり、主にインターネットの利用にターゲットを絞った製品となるが、この9月に日本で発売されたモデルは企業向けで、レガシーサポートの有無とOSが異なる3機種だ。今回はこの中から、「iPAQ Internet Device レガシーライト」を紹介しよう。

 iPAQシリーズ最大の特徴は、あらゆる点において「シンプル」であることだ。企業でのPCの利用形態がネットワーク、それもとりわけイントラネット、インターネット中心になりつつあることを考えると、PCにはネットワークに接続するためのイーサーネットコントローラさえ装備されていれば、ほかの多くの拡張機器は不要とも言える。そこで、構成するパーツの点数を可能な限り少なくすることで73,800円の低価格を実現、さらには本体の構造をなるべくシンプルにすることで高いメンテナンス性を確保している。


本体背面のボタンを押すことでデバイスの取り外しが可能なマルチベイ。標準装備は24倍速CD-ROMドライブ
 事実、すべてのモデルにFDDやISA、PCIスロットは用意されていない。さらに、「iPAQレガシーフリー」にいたっては、シリアルやパラレル、PS/2などのポートまでも排され、レガシーフリー化を実現している。FDDや拡張スロットがないPCでは使い物にならないと考えるユーザーもいるかもしれないが、企業クライアントとして考えれば、これは理にかなっている。通常、企業でクライアントを配布する場合は、ユーザーによけいな操作をさせないように、FDDやCD-ROMドライブを利用不可能にしたり、アプリケーションや周辺機器を追加されないように制限を設けていたりする場合が多い。このような作業に手間とコストをかけるのであれば、初めから物理的に利用できないほうがクライアントとしては好ましいわけだ。

 同様にメンテナンス性が高い点も評価できる。iPAQは本体の構造が非常にシンプルで、本体側面のパネルを外すだけでHDDやメモリなどに容易にアクセスできる。企業クライアントでは、障害時の復旧を一早く行なう必要があるが、これなら万が一の故障時にも素早く対応することができる。しかも、本体左側のマルチベイに装着されているCD-ROMドライブにいたっては、ホットスワップまで可能となっている。OSを起動した状態でマルチベイに装着した機器の脱着が可能となっており、CD-ROMドライブ以外に、オプションで用意されているLS-120ドライブ、DVD-ROMドライブ、6GB HDDドライブなどと交換することもできるが、HDDのホットスワップには対応していない。iPAQは、メンテナンス性が高いことに加えて、使いやすさも兼ね備えているわけだ。


HDDとメモリへのアクセスはたやすいが、保守性を考慮してか基本的にマザーボードに触れることはできない
 また、従来のコンパック製品同様、PCの診断機能、インベントリ機能も充実している。ユーティリティを利用して、PCの構成、シリアル番号などを簡単に調べられることはもちろん、CPUやHDDを監視して障害を未然に防ぐことも可能だ。さらには、マイクロソフトのSMSや同社のインサイトマネージャを利用してネットワーク経由でPCの状態検査、インベントリの実行、独自のユーティリティを利用してリモートからBIOSをアップデートすることまでも可能となっている。

 企業向けとして販売されているPCは多いが、ここまで企業での使いやすさ、管理のしやすさを追求したPCはめずらしい。性能面を見ても、Cel eron 500MHzとi810Eという組み合わせはIE5やOffice 2000、ロータスノーツなどを使用するには十分なものだ。特徴的なデザインは好みの分かれるところだろうが、クライアントPCの導入を考えている企業に、検討してほしい1台である。


  • 製品名:iPAQ Internet Device レガシーライト
  • 標準価格:73,800円
  • メーカー:コンパックコンピュータ株式会社
  • 問い合わせ先:0120-101589
  • URL:http://www.compaq.co.jp/
  • CPU:Celeron 500MHz
  • チップセット:Intel 810E
  • メモリ(最大):64MB(512MB)
  • HDD:4.3GB(Ultra ATA/66)
  • CD-ROMドライブ:最大24倍速
  • ビデオチップ:Intel 810内蔵
  • ビデオメモリ:SMA方式によりメインメモリの一部を共有(最大12MB)
  • 最大解像度:1,600×1,200ドット/256色
  • サウンドチップ:Analog Devices AD1881(AC '97 CODEC)
  • キーボード:109キー(PS/2接続)
  • 拡張スロット(空き):0(0)
  • インターフェース:USB×2、キーボード(PS/2)×1、マウス(PS/2)×1、シリアル(Dsub 9ピン)×1、パラレル(Dsub 25ピン)×1、CRT(Dsub 15ピン)×1、LINE IN×1、LINE OUT×1、ヘッドホン×1、マイク×1、10BASE-T/100BASE-TX(RJ-45)×1
  • 本体サイズ(W×D×H):163×267×371mm
  • 重量:約5.4kg

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □コンパックコンピュータのホームページ
    http://www.compaq.co.jp/
    □製品情報
    http://www.compaq.co.jp/products/ipaq/internetdevices/index.html
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    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp