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元麻布春男の週刊PCホットライン

MTH対策でCC820を交換


●ターガスの応対の気持ちよさ

 8月上旬、筆者は2件の交換を体験した。1つはターガス(Targus)のバッグ、もう1つは言わずと知れた? MTHの不具合に伴うマザーボードの交換である。

 筆者は旅行の際、極力荷物を少なくする主義ではあるのだが、必ずしも小型のバッグで済むとは限らない。WinHECやIDFなどのイベントでは、バインダーに綴じられた分厚い資料を持ちかえる必要がある。資料はCD-ROMでも配布されるのだが、紙とCD-ROMがいつも同じとは限らない。そして、いつも最新の情報が含まれているのは紙の方であるため、重い思いをしてもバインダーという「おみやげ」を持ちかえらなければならないのである。なお、今年春のIDFではついにバインダーを止めたのだが、参加者からは不満の声が多く聞かれた。また、今年のWinHECではバインダーをやめ、開催日ごとに資料が製本された形で渡されるようになった。大きな改善ではあるが、重い荷物がなくなったというわけではない。

 こうした重いおみやげが予想されるイベントに参加する際、筆者が利用しているのがターガスのシェルパというバッグだ。PC用のキャリングケースで知られるメーカーだけに、ノートPCを運ぶことを意識した作りになっていること、サイズがキャリーイン(機内持ちこみ)が許される最大の大きさであること、の2点から、このバッグをたびたび利用している。

 だが、この春のWinHECで旅行した際、バッグ上部のハンドルが外れてしまった。オーバーヘッドビン(飛行機の座席上の荷物入れ)に入れる際、ピーンという音ともにハンドルを固定していたピンが折れてしまったのである。ハンドルがとれても、カバンとしての基本的な機能に致命的な障害が生じたわけではないため、無事に旅行を続けられたのだが、やっぱり使い勝手が悪い。帰ったら修理に出そうと思いつつ、すっかり放置していた。

 しかし、8月22日からのIDFを控え、そろそろ修理に出さないとまずいと思った筆者は、7月末のある日、ターガス・ジャパンに修理をお願いしたいむねの電話をかけた。電話の対応に出られた女性は、非常に感じの良い方で、送り返してもらえれば、修理あるいは新品交換のどちらかで対応する、という返事をいただいた。筆者が感動したのは、修理に出そうとしているシェルパが、いつどこで買ったものかとか、日本の代理店経由のものかなど、余計なことを一切聞かれなかったことだ。つまり、世界中のどこで買ったものであろうと、それがターガスの製品である以上、サポートに区別はない、ということである。これでこそWorld Wide Life Time Warrantyというものだ。

 実は、筆者がシェルパを購入したのは、San FranciscoダウンタウンのCompu TownというPCショップだったのだが、今はもう存在していない(4年ほど前だったろうか)。日ごろ、やれ販売店印のない保証書は無効だの、日本の総代理店経由の商品以外は面倒みないだの、という事態にならされてしまった身には、ターガス・ジャパンの対応は非常に好ましく感じられた。ちなみに筆者は月曜日に修理品のシェルパを宅急便で送ったのだが、水曜日には交換品(新品)が到着した。このスピードもちょっとした感動であった。

●Intel CC820も交換

 残るMTHの不具合に伴うマザーボードの交換も、極めてスムーズだった。筆者の手持ちのマザーボードのうち、交換の対象となったのは、Intel純正のCC820の1枚だけ(Boxed版)。Web等の情報によると、まず購入した販売店に持ちこむことになっているのだが、残念ながらどこで買ったのか忘れてしまった。個人輸入や、米国に行った際に買い求めたのではなく、間違いなく秋葉原のどこかのショップで購入したのだが、本当に忘れてしまったのである。そこで、直接インテルにかけあうことにした。

 同社のホットラインに電話したところ、やはり販売店をたずねられたのだが、どこで購入したか覚えていないと告げると、直接対応してもらえることになった。CC820の場合、交換のオプションは返金(一律16,100円だったと思う)あるいは、VC820への交換のどちらかで、交換対象のCC820がBoxed製品かバルク品か、オンボードオーディオ機能の有無などは、無関係のようであった。交換してくれるVC820には128MBのRIMMが付属するのだが、電話の説明ではPC700ということであったため、ちょっと悩んでしまった。筆者の手元にはすでにVC820とPC800 RIMM(128MB)があり、PC700 RIMMでは混ぜて使いにくい(使えなくはないがPC700になってしまう)からだ。

 しかし、たとえPC700でも現時点での市場価値は16,000円をはるかに上回る。結局、返金ではなく、VC820への交換を希望した。交換には1週間程度の余裕が欲しいということであったため、電話のちょうど1週間後の午後を指定した。実際の交換作業だが、筆者の場合はマザーボードをすでに箱詰めしていたため、宅急便による引き換え、という形になったが、電話の応対の感じでは、CC820を用いたPCの場合、VC820への交換作業も行なってくれそうなそぶり。もしそうであれば、1週間前後の余裕が欲しいというのは理解できる。

 さて、送られてきたVC820は、オンボードオーディオを備えたBoxedマザーボード。筆者がすでに持つものと、チップセットのS-Specが異なることを除けば全く同じものである。違っていたのは、箱の中に黄色い紙に印刷された手紙が同封されていたことだ。その手紙には、CC820交換プログラムに参加したことに対する謝辞、VC820の概要、オンボードオーディオを無効にする方法、VC820が完全に動作検証されているOSはWindows 98 SEとWindows 2000だけであることなどが記されていた。そして、注意書きに、同梱されているメモリが、最低PC700であることが書かれていた。早速調べてみると、筆者に送られてきたマザーボードに入っていたのは、Samsung製のPC800 RIMM(Non ECC)であることが分かった。1枚で、あるいは手持ちのRIMMと合わせて、VC820でテストしてみたが、RIMMはPC800として認識され、問題なくPC800で動作した。

 残念ながら、筆者が交換したのは1枚のCC820に過ぎないため、CC820交換プログラムで配布されるVC820の何割にPC800が同梱されているのかは分からない。また、パッケージの感じからいって、RIMMの箱詰め作業等は米国で行なわれているようで、日本ではRIMMが同梱されたVC820をただ出荷しているだけのように見受けられる。要するにPC700がくるか、PC800がくるかは運次第、ということのようだ。

 最近、IntelはPentium 4プロセッサに対して、PC133 SDRAMに対応したチップセットを提供する予定であることを明らかにしており、RIMMの将来は決して明るいとは言い難い。現時点では、VC820への交換は、返金より高い価値を持つとはいえ、将来RIMMが単なる板切れにならない保証はない。それでも筆者が交換を選んだのは、PC700ならPC700で、手持ちのPC800 RIMMと合わせ、メモリの速度の違いによるテスト等が可能になる、と考えたからであった(そのようなテストの必要性があるかどうかはわからないが)。だが、PC800 RIMMが当った? ことで、とりあえず年内に出るであろう最初のPentium 4対応チップセット(Tehama)のテストに必要な2枚のRIMMが揃うこととなった。メモリの速度の違いはテストできなくなったが、これはこれで良し、というのが率直なところだ。

 というわけで、筆者にとって2件の交換は、極めて満足のいくものだった。雪印やキリンビバレッジなど、連日のように報道されているわが国の食品会社の対応を考えると、より一層対応の良さが際立つ(そもそもターガスの場合、会社側に過失はないのである)。ただ、インテルにしてもターガスにしても、外資系であることを考えると、複雑な気分ではある。

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【5月29日】インテルも、MTH搭載820マザーボードを無償交換
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000529/intel.htm

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(2000年8月9日)

[Text by 元麻布春男]


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