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NVIDIAの勢いを止められるか!? Voodoo5 5500登場



 ゲーマーを中心に、現在でもまだまだ絶大な人気を誇る3dfxから、待望の新製品が登場した。昨年秋のCOMDEX/Fall '99で発表された3dfxの最新ビデオチップ「VSA-100」を搭載するVoodoo5シリーズの中でもメインストリームに位置する「Voodoo5 5500 AGP」がそれだ。現在のビデオカード市場はGeForceシリーズを輩出するNVIDIA製ビデオチップを搭載する製品が話題を独占しているといった雰囲気だが、その中でこのVoodoo5が一矢報いることができるのか。早速その実力を検証してみよう。


■レンダリング能力の強化によって3D描画パフォーマンスの向上を実現

 今回登場したVoodoo5 5500 AGPは、3dfxの最新ビデオチップ「VSA-100」を2個搭載するVoodoo5シリーズの中核をなすモデルである。このVSA-100は、読者のみなさんも既にご存じのように、ハードウェアジオメトリ演算機能(いわゆるハードウェアT&L)は搭載しておらず、レンダリング能力の強化を最重要項目として開発されている。つまり、NVIDIAのGeForceシリーズとは異なるアプローチで3D描画パフォーマンスの向上を目指しているというわけだ。

 VSA-100のレンダリング機能の中で中心をなす特徴といえるものが、「フルシーンアンチエイリアシング(FSAA)」、「T-Buffer」、そして「テクスチャ圧縮のサポート」の3つだ。

 FSAAは、画面内の3Dオブジェクトと背景との境界線部分に見られるジャギー(斜めの線などが直線的ではなくギザギザ状に表示されること)を解消するための技術である。ほかのビデオチップでもアンチエイリアシングをサポートしているものはいくつかあるが、VSA-100ではハードウェアによって処理されるため、非常に高い効果を期待できる。しかも、対応するソフトだけでなく、既在のソフトでもその効果を享受できるため、そのメリットは計り知れないといっていいだろう。

 T-Bufferは3dfx独自のレンダリング技術で、「Motion Blur」(アニメーションの動作にぶれを加える)、「Depth of Field Blur」(3Dフィールド内の奥行きを考慮して画面の一部をぼやけさせる)、「Soft Shadows」(影の境界線をぼやけさせる)、「Soft Reflections」(光沢面での物体の映り込みを表現する)という4つの機能をサポートしている。これらT-Bufferの技術を利用することで、映画の3D映像に匹敵するような画像描画を可能としている。

 テクスチャ圧縮は、3dfx独自の「FXT1」とDirectXの「DirectX Texture Compression」をサポートしている。テクスチャ圧縮は既にほかのビデオチップでもサポートされているが、VSA-100の機能もほぼ同じものと考えていい。テクスチャを圧縮することで、よりサイズの大きなテクスチャデータを扱えるようになり、表示画質の向上につながる。ちなみに、VSA-100では最大1,024×1,024ピクセルという巨大なテクスチャデータを扱うことができる。

 こういった機能を駆使することで、高い描画パフォーマンスと描画品質を実現しているのである。


■VSA-100チップを2個搭載し、1枚でSLI動作が可能

 Voodoo5 5500 AGPでは、このVSA-100を2チップ搭載しSLI動作するようになっている。SLIはVoodoo2で実現された技術で、1つの画面の偶数ラインと奇数ラインを別々のチップで処理することで描画パフォーマンスを2倍に向上させるというものだ。これによって、描画品質を落とすことなくパフォーマンスの向上を実現できる。ちなみに、ビデオメモリの搭載量は64MBだが、2つ搭載されているVSA-100チップに対し32MBずつ割り当てられており、ビデオメモリをまとめて利用できるわけではない。これもVoodoo2の時と同様だ。

 付属のビデオドライバには、FSAAに関する設定項目があるが、そこではFSAAの効き具合の設定だけでなく、SLI動作に関する設定もできるようになっている。DirectXとGlide/OpenGLについてそれぞれ設定できるようになっているため、Voodoo2の時とは違い、DirectXやOpenGLベースのソフトでもSLI動作によるパフォーマンスアップが実現されているようだ。

ビデオドライバに用意されているFSAAの設定画面。効き目の違いで「2 Sample Anti-Aliasing」と「4 Sample Anti-Aliasing」の2種類が用意されている。ちなみに、「Fastest Performance」はSLI動作でFSAAは無効、「Single Chip Only」はVSA-100をFSAAは無効で1チップで動作する 「Advanced Features」では、DirectXまたはOpenGL/GLIDEのモード別に細かな設定が可能だ

 ところで、カード上には2つのVSA-100チップが搭載されているとはいえ、そのサイズはかなり巨大だ。そして、VSA-100の消費電力が高いためか、カード上には外部電源ユニットからの電源ケーブルを接続するコネクタが用意されており、そちらからも電力を供給するようになっている。このあたりも特徴といっていいだろう。ただ、カードの奥行きがかなり長い(実測値で約247mm)ため、ケースの内部が狭い場合には物理的に取り付けられないといった問題が発生する可能性もある。また、IDEコネクタがAGPスロットの延長線上にあるようなマザーボードでは、IDEケーブルがじゃまをしてカードを取り付けられないといったこともあるようだ。購入時には、あらかじめ取り付けスペースが十分にあるかどうか確認しておいたほうがいいだろう。

パッケージの中身。カードの上には注意書きが書かれたシールが貼ってある。シールには電源ケーブルを使用しないと、カードは機能しないと書かれている


■FSAAの威力は絶大

 ここで、Voodoo5 5500 AGPの最大の特徴でもあるFSAAの効果についてチェックしてみることにしよう。

 FSAAは、先ほど紹介したように、3Dオブジェクトと背景の境界線に発生するジャギーを解消する機能だが、ソフト側のサポートは全く関係なく、既存のソフトでも有効に働く機能である。そこで、いくつかのソフトを利用してその効果を検証した。ちなみに、FSAAの設定は「4 Sample Anti-Aliasing」にしてある。

 まず、Lucas Artsの「Star Wars: Episode 1 Racer」(DEMO版)の画面を見てもらいたい。双方とも640×480ドットの解像度で表示させたものだが、FSAAを有効にした場合には、明らかに3Dオブジェクトの境界線のジャギーが少なくなっていることがわかる。また、ゲーム中でもモザイク状の背景のギラギラ感がほとんどなくなるなど、さまざまな面で効果を発揮しているということが確認できた。これなら、VGA程度の解像度でもより高解像度の画面モードを利用しているかのような感覚でプレイできるといっていいだろう。

 それに対し、アンバランスの「電車でGO!2 高速編」(体験版)ではFSAAを有効にしても大きな効果を確認できなかった。どうやら、ソフトによって効果に差があるようだ。

 3dfx自体も、FSAAが全てのソフトで効果が発揮されるとは言っておらず、やはり多少の制限などは存在するようだ。とはいっても、特別な対応など必要なく美しい画面を実現できるという点は大きな魅力であり、ほかのビデオカードに対するアドバンテージをいえるだろう。

Star Wars: Episode 1 Racer

FSAA OFF

FSAA ON

FSAAをOFFにした場合のプレー画面。エンジンを支えるアーム部分にジャギーが見られる FSAAをONにした場合のプレー画面。エンジンを支えるアーム部分のジャギーがほとんど感じられないだけでなく、観客席の模様もはっきりと表示されている
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電車でGO!2 高速編

FSAA OFF

FSAA ON

FSAAをOFFにした場合のプレー画面。通過電車の模様などにジャギーが見られる こちらはFSAAをONにした場合のプレー画面だが、FSAAがOFFの場合と比べてほとんど変化が感じられない
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(C)TAITO Corp. 1997,1999


■パフォーマンスはDDR SDRAM搭載GeForce256搭載カードを凌駕

 では、これまでビデオカードの時と同様の条件で行なったベンチマークテストの結果を見ていくことにしよう。テスト環境は以下の通りである。

【テスト環境】
CPU:Pentium III 700MHz
マザーボード:ABIT BE6
メモリ:128MB SDRAM(PC100 CL=2)
ハードディスク:Western Digital Caviar AC14300
OS:Windows 98 Second Edition+DirectX 7.0a

●2D描画パフォーマンス

 2D描画パフォーマンスの測定は、従来通りZiff-Davis,Incの「WinBench 99 Version 1.1」に含まれる「Business Graphics WinMark99」と「High-End Graphics WinMark99」を利用する。1,024×768ドット、16bitカラーモードと32bitカラーモードで測定した。

 2D描画パフォーマンスは、ライバルであるGeForceシリーズとほとんど変わらない。2D描画パフォーマンスは既に飽和状態にあるが、VSA-100もその領域に到達しており、全く不満を感じることはない。

1,024x768 16bpp1,024x768 32bpp
Business Graphics WinMark 99High-End Graphics WinMark 99Business Graphics WinMark 99High-End Graphics WinMark 99
Voodoo5 5500294814273791
GeForce2 GTS298841299833
3DBlaster GeForce Pro295838293830
3DBlaster GeForce294835285827
Millennium G400296848287831
Viper II262580235659
RAGE FURY MAXX292829276812

●Direct3D描画パフォーマンス

 次に、Direct3Dベースでの3D描画パフォーマンスだ。MadOnion.comの「3DMark2000」と、Ziff-Davis,Incの「3D WinBench 2000」を使用し、1,024×768ドットと1,280×1,024ドットの16bitおよび32bitカラーモードにおけるパフォーマンスを測定した。

 これら2つのベンチマークソフトは、ハードウェアT&Lを積極的に利用するようになっているため、ハードウェアT&Lに対応しないVoodoo5 5500 AGPではやや不利なテストといえる。結果もそれを反映しており、GeForce2 GTS搭載カードよりも悪い結果となっている。

【3DMark2000/3DMark】
1,024x768 16bpp1,024x768 32bpp1,280x1,024 16bpp1,280x1,024 32bpp
Voodoo5 55003,8543,3453,3552,271
WinFast GeForce2 (HW T&Lオン)5,4854,3984,6783,009
WinFast GeForce2 (HW T&Lオフ)4,5344,2824,4003,138
3DBlaster GeForce Pro4,5393,4813,2472,188
3DBlaster GeForce3,9182,6512,7231,619
Millennium G4002,7182,2871,8641,369
Viper II2,2101,8861,4271,136
RAGE FURY MAXX3,5113,1312,5992,190

【3D WinBench 2000/3D WinMark 2000】
1,024x768 16bpp1,024x768 32bpp1,280x1,024 16bpp1,280x1,024 32bpp
Voodoo5 550091.568.866.345.1
WinFast GeForce2 GTS126.085.989.256.7
3DBlaster GeForce Pro92.370.763.142.5
3DBlaster GeForce78.952.352.531.0
Millennium G40046.433.231.120.0
Viper II61.350.141.430.8
RAGE FURY MAXX60.351.142.234.2

●DirectX 6.1対応3Dゲームにおける3D描画パフォーマンス

 次は、DirectX 6.1対応ゲームである「Turok 2:Seeds of Evil」を利用した、3Dゲームにおける描画性能を計測した。

 この結果を見ると、DirectXモードで1,280×1,024 32bitカラーモード以外では、GeForce2 GTS搭載カードとほぼ同等か、若干凌駕するという結果となった。特にGLIDEモードでは常にフレームレート測定の上限値である200fpsを振り切っており、非常に強烈な描画性能が確認された。先ほどのDirect3DベースのベンチマークテストではGeForce2 GTSにやや劣る結果であったが、実アプリケーションレベルではGeForce2 GTSと十分張り合えるパフォーマンスを持っていると言えるだろう。

【Turok 2:Seeds of Evil】
1,024x768 16bpp1,024x768 32bpp1,280x1,024 16bpp1,280x1,024 32bpp
Voodoo5 550082.283.283.467.7
Voodoo5 5500(Glide)98.4n/a98.6n/a
WinFast GeForce2 GTS83.477.980.571.1
3DBlaster GeForce Pro80.378.977.560.1
3DBlaster GeForce79.170.073.341.9
Millennium G40072.768.658.943.9
Viper II正常動作せず正常動作せず正常動作せず正常動作せず
RAGE FURY MAXX80.080.074.362.5

●OpenGL対応3Dゲームにおける3D描画パフォーマンス

 OpenGL対応3DゲームソフトであるQuake III Arenaのデモ版「Quake III Arena Demo 1.09」を利用して、OpenGL環境での3D描画パフォーマンスを測定した。こちらは先ほどのTUROK2ほどではないものの、かなりよい結果となっている。GeForce2 GTSには若干およばないものの、DDR SDRAMを搭載するGeForce256搭載カードを抜き去っている。ハードウェアT&Lの効果が発揮されるQUAKE IIIのテストでこれだけの好結果が得られたということからも、実アプリケーションレベルではGeForceシリーズに十分太刀打ちできるパフォーマンスを持っているといっていいだろう。

【Quake III Arena】
1,024x768 16bpp1,024x768 32bpp1,280x1,024 16bpp1,280x1,024 32bpp
Voodoo5 550084.867.164.639.6
WinFast GeForce2 GTS102.275.476.741.5
3DBlaster GeForce Pro82.960.752.532.6
3DBlaster GeForce70.140.938.723.0
Millennium G40039.732.924.918.8
Viper II56.448.535.928.6
RAGE FURY MAXX59.852.340.433.2

●FSAA利用時のパフォーマンスチェック

 最後に、VSA-100の特徴でもあるFSAAを有効にした場合のパフォーマンスチェックを行なった。Voodoo5 5500 AGPのビデオドライバには、FSAAの効き具合を2段階に設定できるので、そのそれぞれについてテストを行なった。また、同時にVSA-100を1チップで動作させた場合のテストも行なった。利用したベンチマークソフトはMadOnion.comの3DMark2000である。

 結果を見ると、シングルチップ動作時やFSAAを有効にした場合には、明らかにパフォーマンスが悪くなっている。いくらFSAAをハードウェアで処理できるといっても、やはりその負荷はかなりかかるようで、大幅なパフォーマンスダウンとなってしまうようだ。

 ただ、先ほども紹介したように、FSAAの効果は十分有効なものであるし、実際にFSAAを利用するような状況は、表示解像度をVGA以上に設定できないような、比較的低解像度でプレーしなければならないようなソフトが中心になると考えられるため、高解像度表示時に大きくパフォーマンスが下がるとはいっても、それほど大きな問題にはならないだろう。

1,024x768 16bpp1,024x768 32bpp1,280x1,024 16bpp1,280x1,024 32bpp
Single Chip Only2,9861,8731,968 949
2 Sample Anti-Aliasing2,9831,8722,0111,015
4 Sample Anti-Aliasing1,618759 876 948


■Voodoo5 5500 AGPはGeForce2 GTS搭載カードと十分張り合える

 ベンチマークテストの結果は、GeForce2 GTS搭載カードに若干劣っていたものの、実際のソフトを利用した場合のパフォーマンスは十分満足できるものであった。また、VSA-100はハードウェアT&Lを搭載していないということは、CPUパワーによって3D描画パフォーマンスが変化するということでもあり、今回テストで利用したPentium III 700MHzよりも強力なパワーを持つCPUを利用した場合には、GeForce2 GTS搭載カードに匹敵するパフォーマンスも視野に入ってくるはずだ。逆に言えば、Voodoo5 5500 AGPを使いこなすためには強力なCPUパワーが必要になるということでもあるが、その条件さえ整うのであれば、Voodoo5 5500 AGPは十分お薦めできるビデオカードといえるだろう。

 3dfxは、VSA-100の発表時に「現時点ではハードウェアによるジオメトリ演算よりレンダリング性能の向上のほうがユーザーにもたらす影響が大きい」とコメントしていた。GeForce256搭載カードが登場してはや半年以上経つが、現状ではハードウェアT&Lを必須とするようなソフトは全く存在しておらず、3dfxの主張もあながち間違ってはいないと思える。

 ただ、こういった状況がいつまで続くのかは全くわからない。もし、QUAKEシリーズなどのキラータイトルがハードウェアT&Lを積極的に利用した続編を投入してくるようになれば、おそらくハードウェアT&Lに対応しないビデオカードは不要である、という時代がやってくるはずだ。3dfxとしてはそうなる前に次の手段を考えなければならないはず。もちろん既にハードウェアT&Lに対応した次世代チップの開発は進んでいることと思うが、これまでのように投入のタイミングを逸することなく開発を進めてもらいたいところだ。

□Akiba PC Hotline!関連記事
【5月20日】FSAAサポートのVoodoo5 5500 AGP日本語版が発売に
リテールパッケージで価格は3万円後半
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20000610/voodoo5.html
□関連記事
【'99年11月16日】3dfx、Voodoo4/Voodoo5などNapalm搭載ビデオカード発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991116/comdex03.htm

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(2000年6月16日)

[Text by 平澤寿康@ユービック・コンピューティング]


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