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■ケーブルモデム向けローカルルータガイド(5)


●ベンチマーク

左からFlex Router、LAMB-RT-01、CR-20、右奥がBEFSR41
・スループットテスト

 これまで紹介してきたローカルルータ4機種のベンチマークテストを行なった。スループットテストは、機材を以下のように接続し100MBのデータを10回送信。最大と最小を除いた8回分の平均値とした。ルータの設定は、出荷時のデフォルトのままになっている。転送は、winsoc.ocxを使ったVB6アプリケーションで、アプリケーションレベルでの応答は一切行なわず、一方的にデータを送りつける仕様になっている。2台のPCをHUBに接続し100Mbps環境でテストしたところ、15.04秒(55.8Mbps)でデータにもばらつきがなかったので、とりあえず10Mbpsの処理はつつがなくこなすと思う。

 本来は2台のPCのスペックを揃えるべきだが、機材の関係でアンバランスな構成になっており、HUB直結で計測すると、送信方向をPC1→PC2とした方が明らかにパフォーマンスが高いことが確認できた。これでは、何を測っているのかわからなくなってしまうので、WAN→LAN、LAN→WANのどちらも、送信方向が「PC1→PC2」となる様に、その都度PCを入れ替えている。

 WAN側に置いたHUB2の接続ポートは、ケーブルモデムと似た条件になるように、HUB側で強制的に10Mbps/半二重の設定している。LAN側は、ルータの10Base-Tの仕様に任せ、HUB-PC間は100Mbps/全二重である。HUBは、どちらもスイッチングHUBで、全二重接続時には802.3x準拠(PAUSEパケット)のフローコントロールを、半二重接続時にはバックプレッシャー(強制的にコリジョンを発生させる)によるフロー制御を行なう仕様になっている。インタフェースの対応次第で、フロー制御がパフォーマンスに影響しているかもしれない。

 当初、1対1のほかにアクセスが競合した場合のパフォーマンスも計測しようと思い、双方にHUBを入れた形でテストを行なったが、結果として、1対1以外の計測が実現できなかったため、HUBの遅延分が入った計測値になってしまった。

<接続>
PC -- HUB1 -- [LAN]-Router-[WAN] -- HUB2 --+-- PC
                      |
                      +-- DHCP サーバー

<機材>
・HUB1
 Corega Fast SW-5P(5port 10/100Mbps スイッチングHUB)

・HUB2
メルコ LSW 10/100-8H(8port 10/100Mbps スイッチングHUB)

・PC1(送信側)
CPU:Pentium III 450MHz
NIC:Intel EtherExpress PRO/100+
OS:Windows 98 SE

・PC2(受信側)
CPU:Celeron 500MHz
NIC:Intel EtherExpress PRO/100
OS:Windows NT 4.0 SP6(Workstation)

<データ>
LAN -->WANLAN <-- WAN
時間転送速度時間転送速度
直結96.25秒8.72Mbps96.59秒8.69Mbps
センチェリー・システムズ
CR-20
164.65秒5.09Mbps143.82秒5.83Mbps
ワイルドラボ
LAMB-RT-01
167.87秒5.00Mbps168.29秒4.98Mbps
リンクシス・ジャパン
BEFSR41
199.31秒4.21Mbps143.95秒5.83Mbps
〃 BEFSR41(内蔵HUB)209.33秒4.01Mbps143.25秒5.86Mbps
クールグリーンコンピュータ
FlexRouter
160.16秒5.24Mbps165.77秒5.06Mbps

 「直結」は、2台のHUB間を直結したもので、ルータのテストと同じように、HUB2のポートを「10Mbps/半二重」に強制している。BEFSR41は、PCを内蔵HUBに接続したデータ「BEFSR41(内)」も測ってみたが、「LAN --> WAN」はかえって遅くなってしまった。原因はわからないが、個々のデータを比較してみると、BEFSR41の「LAN-->WAN」方向だけが、外部HUB、内蔵HUBともに、データのばらつきが突出して大きく(少々むらっ気のある性格の様だ)、全体に遅い方にシフトしていた。

 「直結」との差が、ルータのオーバーヘッドとなるわけだが、ケーブルモデム用としては、どれも十分なパフォーマンスといえるだろう。

・消費電力

 もうひとつのベンチマークとして、消費電力の実測値を挙げておく。測定は、起動完了後の安定状態で、ACライン側の電流(0.01Aステップ)と電圧(0.1Vステップ)を測り、単純に掛け合わせたものを消費電力とした。コストは、24時間×365日を東京電力第3段階の料金(24.65kW/h)で算出。50W消費する場合のコストは、10,797円になる。参考までに、コレガの5ポートHUB「Fast SW-5P」のデータも紹介しておく。

機種名消費電力年間コスト
センチェリー・システムズ
CR-20
2.03W438円
ワイルドラボ
LAMB-RT-01
3.05W658円
リンクシス・ジャパン
BEFSR41
6.09W1,315円
クールグリーンコンピュータ
Flex Router
14.21W3,068円
コレガ Fast SW-5P
(参考)
9.14W1,973円

(2000年6月12日)

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp