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■ケーブルモデム向けローカルルータガイド(1)


●CR-20

販売元:センチュリー・システムズ株式会社
参考価格:54,800円(ぷらっとほーむ)

 名刺大のコンパクトなボディにルータとしての基本機能を詰込んだのが、センチュリー・システムズのCR-20である。HUBポートを用意するスペースは無いが、HUB機能を捨てて小型化に徹したと考えれば、これはこれで納得できる仕様といえよう。ただし、ダイヤルアップルータが、HUB付き3万円台選り取り見どり、5万も出すと無線LAN対応になることを思うと、価格的にはちょっと納得できないものがある。

 CR-20の大きな特徴は、様々な接続形態に適応できる点だろう。ほかの製品は、基本的に1つのIPアドレスを共有する、いわゆる端末型接続を前提としているが、本機の場合には、複数アドレスの変換や変換を行なわない純粋なIPルータとしても使用できる。例えばLAN型接続の場合(DHCPサーバから複数のアドレスを取得する機能はないので、固定アドレスに限る)や、OCN等の専用線サービスをCATVに置き換えるような場合などにも、本機で対応することができる(機能的には、変換後のアドレスを1つにするか複数にするかの選択だけで、空いているアドレスを逐次ダイナミックに割り当てることはできない)。また、このNATの変換方向をはじめ、DHCPサーバやDHCPクライアントの機能は、2つのEthernetポートのどちらにでも自由に設定できるようになっており(DHCPクライアントは両ポート同時使用可)、フィルタも双方のインタフェースに対してin/outの指定が可能。と、機能的にはたいへん満足できるものになっており、筆者の場合は、LANがらみの各種テスト用に是非置いておきたいと思った1台である。

メニュー
 多彩な用途への対応は、一歩間違えると設定の煩雑さを招きかねないのだが、CR-20の場合には、「基本的なルータ」、「簡易ファイアウォール」、「CATV接続」、「臨時LAN」といった4種類の用途を想定。それぞれに合わせた基本パラメータを一括して設定できるように工夫されている。設定は、Webブラウザもしくはtelnetで行なうようになっており、ブラウザの場合には、図の「簡単設定ページ」というのがそのためのページになっている。変ったところでは、設定コマンドをメールで受け取る機能もある(CR-20がSMTPサーバとして直接受け取る)。なお出荷時(リセット時のデフォルト)には、端末型のCATV接続を想定したセットアップになっているので、DHCPサーバからパラメータを取得し、LAN側にDHCPサーバとしてサービスする一般的な使い方であれば、ケーブルモデム-HUBの間に接続するだけでそのまま利用できるだろう。

CATV設定
カスタム設定

 価格を除けば完成度の高いCR-20だが、あえて不満を挙げるなら、Webサーバの動作が遅い点とログ情報(Syslogサーバへの出力とメール送信が可能)が少ない点を指摘しておきたい。特に後者に関しては、フィルタリング関係のログ(常に全出力というのも頭が痛いので、フィルタごとにログ出力のON/OFFができたらベスト)が全く採れないので、是非ともこの点は改善願いたい。また、今のところ東京周辺の限られたショップでしか入手できない点も気になるところ。販路の拡大にも期待したい。

 なお筆者の環境では、局のDHCPサーバとの間でうまく情報交換ができていないのか、8~9秒という非常に短いタイミングでアドレスの更新を行なってしまう。局のDHCPサーバと同じリース期間を設定したDHCPサーバを用意し、ローカル環境でテストしてみたのだが、特におかしなところはなく正常動作することを確認。これ以上のことは、実際にやり取りされるパケットをキャプチャしてみないとわからないので、後日、時間ができたらチェックしてみようと思う。

□センチュリー・システムズ
http://www.centurysys.co.jp/
□CR-20製品情報
http://www.centurysys.co.jp/product/cr20/cr20index.html
□問い合わせ先
http://www.centurysys.co.jp/company/comp_main.html

(2000年6月6日)

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp