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CeBIT 2009レポート【Intelプレスカンファレンス編】
32nmプロセスのClarkdaleとArrandaleをデモ

5月に退任を控えた、Intel クレイグ・バレット会長

会期:3月3日~3月8日(現地時間)

会場:ドイツ共和国 ハノーバー市 ハノーバーメッセ



 CeBITは3日(現時時間)、独ハノーバーメッセにおいて開幕した。前日にはあいにくの雨模様だった天気も、初日にはうってかわって快晴になり、例年よりは若干少ない気がするが、来場者が次々と会場を訪れている。

 例年通りCeBITでも欧州市場向けのPC新製品などを発表する場となっているが、その中でトップを切ってIntelが記者会見を開催し、今年の後半に量産出荷を開始する予定の32nmプロセスルールのプロセッサをデモして注目を集めた。

 また、記者会見の冒頭には今年の5月に退任する予定のクレイグ・バレット会長も登場し、不況の時の今こそテクノロジーに対して新しい投資を行なう時だと訴えた。

●不況でもテクノロジーの進化は止まらない、とバレット会長

アイルランドにあった施設に加えて、ミュンヘンに新しいラボを開設する

 記者会見の冒頭に登場したバレット会長は、「現在我々の置かれている経済状況が厳しいことに疑いの余地はない。しかし、それでもテクノロジーの進化は止まらない。従って、さらに教育や研究開発などに投資していくことこそ正しい方向性だ」と述べた。研究開発などへの投資を減らすことは、得策ではないという、最近Intelが訴えているメッセージを再び強調したものだ。

 バレット氏はIntel自身の投資活動にふれ、同社が欧州にある研究開発拠点をさらに拡張することを明らかにした。Intelはミュンヘンに“Intel Open Lab”と呼ばれる研究開発拠点を開設し、情報通信技術に関わる問題を研究し、新しいアイディアを生み出すための拠点として利用するという。このOpen Labは、欧州での研究開発の組織であるIntel Lab Europeの一部として運用されることになる。

 なお、バレット会長は、昨日行なわれたCeBITのオープニングイベントにも参加しており、3日午後に行なわれるCeBIT Global Conferencesの基調講演に登場する予定となっている。


●ClarkdaleとArrandaleの実働デモを公開、今年の後半に量産出荷へ

 バレット氏が退席した後は、EMEA地域の責任者であるIntel副社長兼EMEA地域ジェネラルマネージャのクリスチャン・モラレス氏が登場し、今後登場する同社の製品を解説した。

 モラレ氏が最初に紹介したのは、今年の後半に実際の製品として量産が開始される32nmプロセスルールに基づいて製造されるプロセッサについてだった。

 今後デスクトップPC向けのClarkdale(クラークデール)、ノートPC向けのArrandale(アランデール)という2製品が今年の末までにOEMメーカーへの出荷が開始される予定になっている。発表時期に関しては未公表のままだ。

 モラレス氏は32nmプロセスルールの特徴として、同じリーク電力であれば14~22%の性能向上、同じ性能であればリーク電流を5倍削減が可能であると説明し、より強力なマイクロプロセッサが製造可能になると述べた。歩留まりに関してはすでに65nmや45nmプロセスルールと同等の向上を見せており、今年の末までに量産出荷が可能であるということをアピールした。

 その後、Clarkdaleを利用したデスクトップPC、Arrandaleを利用したノートPCを実際に公開し、すでにWindowsが動作していることをアピールした。

Intel 副社長兼EMEA地域ジェネラルマネージャのクリスチャン・モラレス氏 Intelのプロセスロードマップ 45nmプロセスルールと32nmプロセスルールのパフォーマンスの違い
32nmプロセスルールの歩留まりの向上予想。45nmや65nmなどと同様の立ち上がりが予想されている Clarkdaleを利用したデスクトップ、Windows XPが動作していた Arrandaleを搭載したノートPC、Windows Vistaが動作していた

●Xeon向けのNehalem EPや組込向けのMenlow XLをデモ

モラレス氏が手に持つのがNehalem EPのダイ。基本的にはBloomfiledとほぼ同等のダイだと考えてよい

 また、モラレス氏はエンタープライズ向けのXeonプロセッサと組込向けの低電力プロセッサのMenlow XL(開発コードネーム)についての説明を行なった。

 公開されたのは開発コードネームNehalem EPで知られるデュアルソケットないしはシングルソケット向けの次世代Xeonプロセッサで、Nehalemをベースにしてサーバーやワークステーション向けにした製品となっている。

 内蔵しているコア数は4コアで、Hyper Threading Technologyを利用して8スレッド処理が可能になっている。メモリコントローラはDDR3のトリプルチャネル、CPUバスとしてはQPIをサポートしており、基本的にはハイエンドデスクトップPC向けのCore i7(開発コードネーム Bloomfiled)のサーバー/ワークステーション版だと考えて良いだろう。

 なお、4ソケットや8ソケットなどのより大規模なシステム向けにはNehalem EXという6コア/12スレッドの別バージョンが用意されている。

 モラレス氏は「Nehalem EPの登場によりエンタープライズ向けプロセッサの処理能力はさらに向上する。プロセッサの処理能力が向上することは、ITの効率が向上することを意味する」と述べた。

 さらに、モラレス氏はMenlow XLという開発コードネームで知られるAtom Zシリーズの組込版を紹介し、PC向けに比べて稼働保証温度などが拡大され、より広い用途に利用することができるようになるとアピールした。実際、船舶向けの厳しい温度環境でも動作するデモが行なわれ、組込用途にもIAが広がっていくとアピールした。

組込向けIAの例として、クラリオンのMiNDが紹介される 組込向けのAtomとなるMenlow XL。Atom Zシリーズとして投入される。PC向けに比べてパッケージがやや大きく、ヒートスプレッダが搭載されているなどの違いがある デモに利用されたMenlow XLを搭載したシステム。氷点下などの厳しい環境でも動作するように、PC向けとは異なる仕様で作られている

□CeBITのホームページ(英文)
http://www.cebit.de/
□Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
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【2月12日】Intel、32nmへの大型投資と順調な立ち上がりを強調
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0212/intel.htm
【2月10日】【海外】クアッドコアに力を入れる2010年までのIntelモバイルCPUロードマップ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0210/kaigai489.htm

(2009年3月4日)

[Reported by 笠原一輝]

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