本城網彦のネットブック生活研究所

第9回 Eee PCでWindows 7を試してみた




Windows 7のデスクトップ


 1月13日、Windows 7の日本語版ベータが公開された。Windows 7はWindows Vistaの後継バージョンとなるOSだ。一部の報道ではネットブックでも快適に動くとされており、実際どうなのか試してみたくなり早速インストールした。Windows Vistaとの違いにも興味津々だ。

●インストール

 今回使ったネットブックはEee PC 1000H-X。選んだ理由は、HDDを搭載し、1GBから2GBへのメモリ交換も簡単だからだ。また、リカバリも工場出荷状態をそのまま付属のCD-ROMからHDDへロードできるので、Windows 7を試した後に直ぐ元へ戻せる。ベータ版はDVD-ROMのISOイメージなのでUSB接続式のDVDドライブを用意し、そこから新規インストールした。メモリは既に2GBへ変更済みだ。Windows 7ベータ版の最小要件は、「1GHzの32bitまたは64bitプロセッサ」、「1GBのシステムメモリ」、「16GBの空きHDD容量」、「128MB以上のメモリを搭載したDirectX 9をサポートするグラフィックス(Aero使用時)」。割と控えめな要求なので、今時のネットブックでも大丈夫だ。

 DVD-ROMから起動しインストールをはじめたところ、驚くことにインストールが速い! 15分程度だろうか。「小一時間はかかるだろう……」と、インストールを開始して他の仕事をしていたところあっと言う間にユーザー名とコンピュータ名を設定するパネルになった。この間、再起動は1回。これまでいろいろなWindowsをインストールしてきたが、未だかつてこれほどに早く終わったWindowsは見たことがない。しかもハイエンドPCではなく、ネットブックでだ。これは驚きに値する。AeroもはじめからONだ。

 ログイン後、全てのデバイスを認識しているかデバイスマネージャで確認すると、残念ながら「ACPI」、「有線LAN」、「無線LAN」この3つのドライバがインストールされていない。Windows 7のベースはVistaなので、Vista用のドライバがあればまず問題無く使える。リカバリCD-ROMから各ドライバの入っているフォルダを探し、それぞれSETUP.EXEを動かしたろころ無事組み込まれた。この時、SETUP.EXE以外のセットアップ用と思われるEXEを実行しても「サポートしていないOS」のようなメッセージが表示されインストールできないので要注意。いくつかのファンクションキーは効かないものの、ほぼ全機能がWindows 7上で動いている。

Windows 7のデバイスマネージャ。不明なデバイスは「ACPIドライバ」に相当する。無線LANも有線LANも結構一般的なデバイスだけにドライバが無いのは意外だった ファンクションキーが効かないアラート。Fn+F5は液晶パネルの輝度調整(暗く)なのだが、Fn+F6(明るく)と共になぜか正常に動いている。使えないのはFn+F8/液晶と外部モニタへの切り替え、Fn+F11/F12のボリューム調整 ACPIドライバのインストール。リカバリCDのドライバフォルダ、ACPI、LAN、WLANからSETUP.EXEを実行する

●ファーストインプレッション

 まず起動直後のディスクとメモリ使用量をチェック。ディスク使用量は約4.7GB(ページファイル/休止状態無しの時)、メモリは約700MBを使用している。デフォルトではウィンドウを開くとき/閉じるときのアニメーションなどがONのままなので、少しもたつくように感じるが、「システムの詳細設定」→「パフォーマンス」で片っ端からアニメーション系の動きを切ったところ、けっこうサクサク表示するようになった(筆者はメインマシンでもこの設定にしている)。XPほどではないにしろ、これなら十分及第点だ。

 Windowsエクスペリエンス インデックスは2.2/4.5/2.3/3.0/5.4。「あれ!? Vistaより遅くなっている……」と一瞬ガッカリしたのだが、よく見ると最高値がVistaの5.9から「7.9」へ変わっている。従って直接比較しても意味がなく、これからいろいろなサイトで出てくるであろう、Windows 7のWindowsエクスペリエンス インデックスを参考にしたい。

 この状態で数日間、XPの替わりに使っていたがわりと違和感なく扱え、特に動かなかったアプリケーションも無い。新しいタスクバーもVistaよりはずっと使いやすい。またサイドバーが無くなり、ガジェットはデスクトップ上の好きな位置に配置できるようになった。スリープへの移行、復帰も早くなかなか快適だ。驚いたのは、メールソフトが無くなったこと、ペイントとワードパッドのメニューがOffice 2007同様、リボンUIになったことだろうか。電卓もいろいろなモードが追加された。特にメールソフト(Windowsメール)はユーザーが多いと思われるので少なからず影響が出るのではないだろうか。

 試した範囲で唯一問題が発生したのはアプリケーションではなくWebサイトだった。Yahoo! 動画とGyaOが正常に表示できないのだ。前者はバージョンチェックが不正でNG、後者は一瞬映るだけ(高速で早送りした感じ)で終わってしまう。また、UIの一部に未翻訳部分が多く残っており、ベータ版という雰囲気が味わえる。しかし、既にWindows Updateに更新モジュールがあがっているのは気合の入っている証拠だろう。

 それより気になったのは、このWindows 7から例えば「コンピュータ」が「コンピューター」と『外来語カタカナ用語末尾の長音表記が変更』となっていることだ。新聞や放送業界では、この外来語表記(国語審議会の報告を基にした内閣告示ルール)に準拠しており、時代の流れからすれば仕方ない部分であるが、個人的にはパネルやメニューが英語版と比較して無駄に間延びするのであまり好きではない。

タスクマネージャのパフォーマンスタグ。起動直後、約700MB使用している。メモリ1GBではGMA950とビデオメモリを共有している分、ギリギリかも知れない Windowsエクスペリエンス インデックス。ご覧のように尺度が1.0〜7.9になっている。Vistaの5.9に合わせて計算しても正比例していないので値が合わない。何か要素が加わっていると思われる
ベータ版にも関わらず、Windows Updateに更新プログラムがあがっている。これから期限の切れる8月までどんどんUpdateが登録されるのだろうか リボンになった「ワードパッド」と「ペイント」。Office 2007同様、今風になったが、好き嫌いが分かれそうだ

●メモリを1GBへ落としてみる

 メモリ2GBで予想以上にWindows 7が動いたので、メモリを標準の1GBへ戻し、その動きをチェックしてみた。タスクバーなど一通り触ってみたが変化なし。ならばと、Internet Explorer 8、ペイント、ワードパッド、Windows Media Player、Adobe Reader……、次から次へとアプリケーションを起動したのだが、これらが普通に使え、タスクマネージャのパフォーマンスを見る限りメモリ使用量も800MBをなかなか超えない。PDFの重いデータを読み込んだところでやっと800MBを超えた。800MBを超えるとGMA950のビデオメモリが128MB占有している関係から残りは96MB。システム的には限界。メモリが不足している分、HDDへスワップアウトしているのだろうが、我慢できないほどスローダウンするわけでもなく、サクサクとは行かないまでも、それなりに動いている。とても遅くなると思っていただけに、予想外の展開だ。

 また、タスクマネージャ上のアプリケーション・アイコンにマウスオーバーして表示するサムネイルや、「Aero Peek」と呼ばれる選択しているアプリケーション以外のウィンドはガラスのように透明になり見えなくなる新機能などもこの状態にも関わらず、実に気持ちよく切り替わる。パフォーマンスが悪いと言われているGMA950であるが、これだけAeroがスムーズなら、もはやAeroを使わない理由は無いだろう。

 Atom N270プロセッサ、そしてメモリ1GBのネットブックでWindows 7がこれだけ動くのを見てしまうと、Windows Vista開発当初からやって欲しかったと言うのが正直な感想だ。

メモリ1GBでのタスクマネージャ/パフォーマンス。起動直後、500MB前後を行ったり来たりしている 新機能「Aero Peek」。背景の透明な枠(ウィンドウ)が、重なっている他のアプリケーションを示している。メモリ1GBのWindows Vistaでこれだけ動かすともう大変なことになる

●Eee PC 901-X(改)でもテスト

 Windows 7のディスク使用量が約4.7GBと言うこともあり、容量が少ないEee PC 901-Xでも試すことにした。たださすがにオリジナルのCドライブ4GBではどうにもならない。第5回でCドライブへSHD-DI9M32Gを付けたEee PC 901-X(改)であるが、実はDドライブに、同じくバッファローのSLCタイプ 16GB SSD、SHD-EP9S16Gも仕込んであったのだ。これならWindows 7をインストールしてもまだ余裕がある。またDドライブは、メモリやHDDと同様、裏のパネルさえ開ければ交換可能。非常に簡単にパワーアップ可能だ。しかもBIOSの設定で起動HDDを選択できるので、この機能を使ってSHD-DI9M32G=Windows XP、SHD-EP9S16G=Windows 7の切り替えができる環境となる。

 Windows 7をインストールする手順は先の1000H-Xと同じなのだが、1つだけ注意する点がある。BIOSを1101以前へ戻さないとGMA950のドライバが動き出した途端に画面表示がブラックアウトしてしまうのだ。当初このことがわからず、一通りファイルのコピーが終わり、リブート、ユーザー名とコンピュータ名を入力する画面で何も表示しなくなり悩んでいたが、ネットで調べて判明した。現在最新は1808と、既に6つもバージョンが上がっているので他の部分で不都合がでるかも知れないものの、SSDの901-XでもWindows 7を試したい一心でBIOSをダウングレードした。将来製品版でも同じ症状になることは考え難いので、ベータ版固有の現象だろう。

□ASUSTeKのサポートページ
http://support.asus.com/download/download.aspx?SLanguage=ja-jp

 Eee PCシリーズだけあって、ドライバが無かったデバイスも1000H-Xと同じくACPI、有線LAN、無線LANの3つ。リカバリCDの該当するフォルダからSETUP.EXEを実行。1000H-Xと全く変わらない状態で901-XでもWindows 7が動いている。Windowsエクスペリエンス インデックスは2.2/4.5/2.3/3.0/2.0。HDD以外のスコアは同じ。SLCの割りにHDDのスコアが伸びないが結構快適だ。このEee PC 901-Xは普段XPで動かしている。もう半年ほど毎日使っているのだが、Windows 7にして数日間、先の問題点以外これと言って困った状況にはなっていない。多くのライターが「このまま常用にしてもいいほどの完成度」と言っている意味が良くわかる。

装着済みのSHD-EP9S16G。Dドライブであれば本体の分解も必要なく簡単に取り付けられる BIOSでブート用HDDを指定する。SHD-EP9S16Gになっているが、SM-SHD-DI9を選択するとWindows XPが起動する Windowsエクスペリエンス インデックス。HDDだけが2.0で他はEee PC1000H-Xと同じスコアだ

 確かにWindows 7はVistaと比較してかなり軽く、また使いやすくなっている。改良された部分によって、XPよりも少しリソースが必要となるものの、これなら納得できる範囲だ。1GB以上メモリを搭載しているネットブックなら十分動作対象になるだろう。ただ同じAtomプロセッサでもZ型番の1GBにメモリが固定されているモデルは動かなくはないものの少し辛いかも知れない。

 いずれにしてもベータ版のWindows 7がこれだけネットブックで動くとなると、ULCPCとして特別扱いでWindows XPがプリインストールされている状態も今年いっぱいの可能性が高くなってきた。更にベータ版とは言え、完成度も高く、意外とリリースは早いのではないか、と妙な期待を抱いてしまう。久々に出荷が待ち遠しいWindowsの新バージョンだ。

□関連記事
【1月16日】【山田】かつてない完成度のWindows 7ベータ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0116/config243.htm
【1月14日】【本田】Windows 7ベータ版をVAIO type Pで試す
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0114/mobile439.htm

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(2009年1月20日)

[Reported by 本城網彦]


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