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■多和田新也のニューアイテム診断室■
CPU以外のハードウェアを活用した動画トランスコードテスト 【ATI Stream編】
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AMDは12月11日、Radeon HD 4000シリーズの最新ドライバ「Catalyst 8.12」の公開に合わせ、同社のGPU汎用利用技術「ATI Stream」を活用した動画トランスコードソフトウェア「Avivo Video Converter」をリリースした。無償ながら、さまざまな動画形式に対応しているのが魅力だ。このトランスコーダのパフォーマンスなどをチェックしてみたい。
●現状はSD出力のみ、テストはHD対応のベータ版も使用
AMDのAvivo Video Conveter(以下、AVC)は、同社のRadeon HD 4000シリーズで利用可能な動画トランスコーダである。12月11日に一般公開され、すでにユーザーが利用できる状態にある。
この「Avivo Video Converter」という名前に聞き覚えがある読者もおられると思うが、Radeon X1000シリーズが発売されていたころ、旧ATIが同名のトランスコードソフトウェアを公開していた。このソフトウェアは、とくにATI製品を使用していない環境でも使えたうえ、かなり高速であったことから使用したことがある人も多いのではないかと思う。
今回公開されたAVCは、AMDが提供しているGPUの汎用利用向けAPIである「ATI Stream」上で動作するのが大きな特徴で、Radeon HD 4000シリーズが搭載するStreaming Processing unitを利用してトランスコードが行なわれる。したがって、利用できるGPUはRadeon HD 4800シリーズおよびRadeon HD 4600シリーズに限られている。
利用にあたっては、ディスプレイドライバ、Catalyst Control Center、Avivo Softwareの3つを組み込む必要がある。同社のダウンロードページでは一括インストールパッケージが用意されるが、こちらは英語版のみ。日本語で利用したい場合にはこれらを個別にダウンロードし、順に組み込む必要がある。
そして、Catalyst Control Centerの「基本」メニューを呼び出すことで、AVCを利用することができる。注意したいのは、「詳細」メニューの方からはAVCを呼び出せない点である。
使い方はいたって簡単だ。ウィザード形式になっており、入力ソースを指定→出力形式とビットレートを指定というステップを踏めばトランスコードが開始されるので、完了を待つだけである(画面1~4)。
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【画面1】Avivo Video Converterは、Catalyst Control Centerの「基本」メニューから起動できる |
【画面2】ソースファイルの指定。MPEG-1/2、WMVのファイルを入力できる |
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【画面3】出力する動画形式とビットレートを指定。プルダウンメニューとスライダを使った簡易なものだ。[次へ]をクリックするとトランスコードが開始される |
【画面4】トランスコード中は経過時間と、トータルの所要時間を予測した値が表示されリアルタイムに更新される |
12月11日に公開されたAVCで出力可能な形式は表1の通り。なお、WMVとDivXについては、ソースによって指定可能なビットレートが変化する。調べた限りでは、ソースのアスペクト比によって変化があるようで、4:3のソースと、16:9のソースを使用する場合に指定可能なビットレートを示している。
【表1】12月11日公開版AVCで利用可能な動画形式
プリセット名
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動画形式
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指定可能ビットレート
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iPod
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H.264
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0.13~0.77Mbps
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ビデオCD
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MPEG-1
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1.00~1.15Mbps
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Portable Media Center
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WMV9
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0.10~0.74Mbps
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Windows Media Video
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WMV9
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1.84~4.60Mbps(4:3ソース時) 1.41~3.53Mbps(16:9ソース時)
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MPEG-4(DivX互換)
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DivX4
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1.84~4.60Mbps(4:3ソース時) 1.41~3.53Mbps(16:9ソース時)
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MPEG-1
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MPEG-1
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4.21~8.42Mbps
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Sony ポータブル ゲーム デバイス
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MPEG-4
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0.13~0.77Mbps
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MPEG-2
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MPEG-2
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4.14~8.28Mbps
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DVD
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MPEG-2
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4.00~8Mbps
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スーパービデオCD
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MPEG-2
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1.80~2.38Mbps
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【画面5】β版ではMPEG-2およびH.264の720p/1080p出力にも対応している。こちらの早期公開にも期待したい |
出力時に指定できるのは、ビットレートのみで、スライダーで変更する。数値の直接指定や、細かいパラメータや出力動画の解像度なども指定できない。トランスコーダの機能としては、非常にシンプルなものといえる。とはいえ、NVIDIAのGeForceで動作する「Badaboom Media Conveter」がH.264しか出力できないことを考えれば、多数の動画形式を出力できるという点では大きな魅力を持ったツールだ。
ただし、原稿執筆時点で公開されているバージョンでは、対象デバイスに合わせる形でSD解像度以下の出力に限られている。入力はHD解像度のファイルも利用できるが、出力時はダウンコンバートされる。
AMDが報道関係者向けに提供しているベータドライバには、720p/1080pのMPEG-2/H.264出力に対応したパッケージが存在しており、表2の出力に追加対応している(画面5)。現在英語版のみだが、こうしたベータ版が存在しているのは事実であり、将来の一般公開に期待したい。
【表2】β版AVCで追加利用できる動画形式
プリセット名
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動画形式
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指定可能ビットレート
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MPEG-2 HD 720p
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MPEG-2
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5.00~15.00Mbps
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H.264 HD 720p
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H.264
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3.00~15.00Mbps
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MPEG-2 HD 1080p
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MPEG-2
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8.00~25.00Mbps
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H.264 HD 1080p
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H.264
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5.00~25.00Mbps
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●性能、CPU使用率、画質をCore 2使用時と比較
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【写真1】Radeon HD 4870 X2を搭載する、Sapphire Technology「SAPPHIRE HD 4870 X2 2GB GDDR5 PCIE」 |
それでは、実際にAVCのパフォーマンスなどをチェックしてみることにしたい。テスト環境は表3に示した通りで、基本的には以前に行なったテストと同じである。ここでは、ビデオカードにRadeon HD 4870 X2を搭載する、Sapphire Technologyの「SAPPHIRE HD 4870 X2 2GB GDDR5 PCIE」を使用している(写真1)。
【表3】テスト環境
CPU
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Intel Core 2 Extreme QX9770 Intel Core 2 Quad Q9450相当
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マザーボード
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ASUSTeK P5Q Pro(Intel P45+ICH10R)
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メモリ
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DDR2-800 1GB×2(5-5-5-18)
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ビデオカード
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SAPPHIRE HD 4870 X2 2GB GDDR5 PCIE
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グラフィックドライバ
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Catalyst 8.12(8.561-081201a1-072275C-ATI) Driver Packaging Version:8.56.2-081112a-072111E-ATI
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HDD
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Seagete Barracuda 7200.11(ST3500320AS)
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OS
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Windows Vista Ultimate Service Pack 1
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なお、AVCはDV-AVIやAVCHDのファイルを読み込めないため、ここでは次の2つのファイルをソースに利用する。MPEG-2 SDファイルは、以前のテストと同じもの。MPEG-2 HDは、以前のテストで使用したAVCHDファイルをTMPGEnc 4.0 XPressを用いてトランスコードしたものである。
・MPEG-2 SD(720×480ドット/7,200kbps VBR/LPCMオーディオ)
・MPEG-2 HD(1,440×1,080ドット/32,000kbps VBR/LPCMオーディオ)
また、出力するファイル形式に関してはAVCで指定可能なプリセットとビットレートを次のように指定。CPUによるトランスコードはTMPGEnc 4.0 XPressを使用し、できるだけ近いと思われる設定を指定し、最終結果のファイルサイズが極力近いようにしている。完全に一致した設定とはいえないが、トランスコードの性能差を見るうえで参考にできるはずだ。
なお、前述の通り、公開されているAVCではSD解像度の出力しか行なえない。テストにおいては、出力にiPodビデオまたはWindows Media Videoを指定している場合は、公開されているバージョンを、720p/1080p出力にはβ版AVCを使用している。
【Radeon HD 4870 X2/AVC使用】
・MPEG-2 SD→iPodビデオ(0.45Mbps)
・MPEG-2 SD→Windows Media Video(3.22Mbps)
・MPEG-2 HD→iPodビデオ(0.45Mbps)
・MPEG-2 HD→Windows Media Video(3.22Mbps)
・MPEG-2 SD→MPEG-2 HD 720p(12Mbps)
・MPEG-2 SD→MPEG-2 HD 1080p(12Mbps)
・MPEG-2 SD→H.264 HD 720p(8Mbps)
・MPEG-2 SD→H.264 HD 1080p(10Mbps)
・MPEG-2 HD→MPEG-2 HD 720p(12Mbps)
・MPEG-2 HD→MPEG-2 HD 1080p(12Mbps)
・MPEG-2 HD→H.264 HD 720p(8Mbps)
・MPEG-2 HD→H.264 HD 1080p(10Mbps)
【CPU/TMPGEnc 4.0 XPress使用】
・MPEG-2 SD→H.264 QVGA(448kbps CBR、320×240ドット/AACオーディオ)
・MPEG-2 SD→WMV SD(3,220kbps CBR、640×480ドット、WMAオーディオ)
・MPEG-2 HD→H.264 QVGA(448kbps CBR、320×192ドット/AACオーディオ)
・MPEG-2 HD→WMV SD(3,220kbps CBR、640×368ドット、WMAオーディオ)
・MPEG-2 SD→MPEG-2 HD 720p(12,000kbps VBR/1,280×720ドット、MPEG-1 Layer-IIオーディオ)
・MPEG-2 SD→MPEG-2 HD 1080p(15,000kbps VBR/1,920×1,080ドット、MPEG-1 Layer-IIオーディオ)
・MPEG-2 SD→H.264 HD 720p(8,000Mbps VBR/1,280×720ドット/AACオーディオ)
・MPEG-2 SD→H.264 HD 1080p(10,000Mbps VBR/1,920×1,080ドット/AACオーディオ)
・MPEG-2 HD→MPEG-2 HD 720p(12,000kbps VBR/1,280×720ドット、MPEG-1 Layer-IIオーディオ)
・MPEG-2 HD→MPEG-2 HD 1080p(15,000kbps VBR/1,920×1,080ドット、MPEG-1 Layer-IIオーディオ)
・MPEG-2 HD→H.264 HD 720p(8,000Mbps VBR/1,280×720ドット/AACオーディオ)
・MPEG-2 HD→H.264 HD 1080p(10,000Mbps VBR/1,920×1,080ドット/AACオーディオ)
結果はCore 2 Extreme QX9770環境で測定したものを表4、Core 2 Quad Q9450環境で測定したものを表5に示している。また、TMPGEnc 4.0 XPressを用いて、動画に埋め込まれた比率補正を施した状態のキャプチャ画像を、画面6~29に示した。なお、AVCのトランスコード速度は全体に誤差が大きかったため、3回測定して、もっとも良かった値を示している。後述のテストも同様である。
まず、速度面については素晴らしい結果となっている。MPEG-2 SDからWMVへのトランスコードで、Core 2 Quad Q9450に対して10倍を超える結果が見られるほどである。この条件では、Core 2 Extreme QX9770に対しても7倍を超えており、高い効果を示している。
もう少し細かく切り分けると、SD解像度以下への出力では、CPUに対して3~10倍までの範囲で幅広く散らばっているものの、効果がかなり高い部類に入る。またHD解像度からHD解像度への出力はCPUに対して3~4倍程度と、これもまずまずだ。もっとも遅い傾向にあるのがSD解像度からHD解像度への出力であるが、こちらもCPUに対して2~3倍程度の速度を見せており、“遅い傾向”と言うのがはばかられるほど高速である。
なお、ここでは以前に行なったCUDAのテストに合わせ、Radeonシリーズで一番高価なビデオカードとしてRadeon HD 4870 X2を使った場合のテスト結果を示している。しかしながら、シングルGPUビデオカードの方がパフォーマンスが良いケースも多発した。このあたりの詳しいことは後述するので、パフォーマンスに関しては、そちらと併せて参考にしてほしい。
ただ、性能以外の面で気になるところも多い。1つはCPU使用率の高さである。GPUにトランスコード処理を委ねていれば、その分CPU使用率は低くなるはずなのだが、場合によってはTMPGEnc 4.0 XPress使用時よりも使用率が高いシーンがあるほどだ。
動画のトランスコードと一口にいっても、元ファイルの情報解析や復号、出力形式に合わせた符号化やファイル化。また場合によってはリサイズ処理など、さまざまな処理が組み合わせられる。AVCがどの部分でGPUを活用しているかは分からないが、GPUに多くを委ねていないことは確かだろう。
ただ、AVCを使用した場合に、Core 2 Quad 9450環境がCore 2 Extreme QX9770環境の結果を上回るシーンも見られる。AVCは確かに誤差は大きいのだが、CPUへ依存する処理が多いならば、いくらなんでもこうした結果は出ないはずだ。その意味では、CPUの使用率は高いが、CPUがボトルネックにならないよう、GPUとCPUにうまく処理を振り分けている印象を受ける結果だ。
画質もあまり良いものとはいえない。ビットレートの関係もあるのだろうが、ほぼ同じファイルサイズで出力されたTMPGEnc 4.0 XPressによる出力結果が非常にシャープであるのに対して、粗さが目立つ画質だ。
また、根本的に納得しづらい仕様もある。例えば、MPEG-2 HDはソースの画面アスペクト比が16:9である。AVCのiPodビデオ出力は、長辺320ドットを基準に作られるようなのだが、16:9のソースを使用した場合は320×192ドットという16:9ではない比率のファイルが出来上がる。その動画には、画面アスペクト比16:9の情報が受け継がれているため、縦解像度の192ドットを基準に、横方向をアスペクト比に沿うように伸ばして再生されるのだ。結果的にはおよそ16:9の比率にはなっているのだが、動画作成時には頭を悩ます仕様である。
もう1つ、HD解像度への出力時に、ソースファイルのアスペクト比が無視されてしまっている。また、1080pを指定した作成されたファイルも、アスペクト比率がおかしくなっている。もっとも、このHD解像度への出力は、あくまでβ版であることを踏まえる必要があり、正式公開までには改善される可能性はある。
【表4】トランスコード処理速度比較(Core 2 Extreme QX9770環境)
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使用ハードウェア (使用ソフトウェア)
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1秒あたりの 処理フレーム数
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CPU使用率
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MPEG-2 SD → H.264 QVGA
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
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529.13
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
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136.98
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MPEG-2 SD → WMV SD
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
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210.82
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
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28.67
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MPEG-2 HD → H.264 QVGA
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
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176.96
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
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52.04
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MPEG-2 HD → WMV SD
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
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186.28
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
28.85
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MPEG-2 SD → MPEG-2 720p
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
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62.17
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
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40.58
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MPEG-2 SD → MPEG-2 1080p
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
42.09
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
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19.85
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MPEG-2 SD → H.264 720p
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
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54.96
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
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24.73
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MPEG-2 SD → H.264 1080p
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
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34.77
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
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13.83
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MPEG-2 HD → MPEG-2 720p
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
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70.31
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
20.81
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MPEG-2 HD → MPEG-2 1080p
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
62.09
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
15.36
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MPEG-2 HD → H.264 720p
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
58.02
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
19.34
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MPEG-2 HD → H.264 1080p
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
38.33
|
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Core 2 Extreme QX9770 (TMPGEnc 4.0 XPress)
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12.07
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【表5】トランスコード処理速度比較(Core 2 Quad Q9450環境)
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使用ハードウェア (使用ソフトウェア)
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1秒あたりの 処理フレーム数
|
CPU使用率
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MPEG-2 SD → H.264 QVGA
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
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550.73
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Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
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121.01
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MPEG-2 SD → WMV SD
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
249.87
|
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Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
24.09
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MPEG-2 HD → H.264 QVGA
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
183.06
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Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
45.37
|
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MPEG-2 HD → WMV SD
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
165.90
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Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
23.96
|
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MPEG-2 SD → MPEG-2 720p
|
Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
78.44
|
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Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
35.69
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MPEG-2 SD → MPEG-2 1080p
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Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
35.13
|
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Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
17.50
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MPEG-2 SD → H.264 720p
|
Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
64.25
|
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Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
21.11
|
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MPEG-2 SD → H.264 1080p
|
Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
28.31
|
|
Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
11.81
|
|
MPEG-2 HD → MPEG-2 720p
|
Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
79.23
|
|
Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
18.40
|
|
MPEG-2 HD → MPEG-2 1080p
|
Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
55.59
|
|
Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
13.50
|
|
MPEG-2 HD → H.264 720p
|
Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
65.95
|
|
Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
|
16.66
|
|
MPEG-2 HD → H.264 1080p
|
Radeon HD 4870 X2 (Avivo Video Conveter)
|
36.48
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Core 2 Quad Q9450 (TMPGEnc 4.0 XPress)
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10.24
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【画面6】MPEG-2 SD→H.264 QVGA、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面7】MPEG-2 SD→H.264 QVGA、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
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【画面8】MPEG-2 SD→WMV SD、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面9】MPEG-2 SD→WMV SD、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
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【画面10】MPEG-2 HD→H.264 QVGA、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面11】MPEG-2 HD→H.264 QVGA、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
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【画面12】MPEG-2 HD→WMV SD、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面13】MPEG-2 HD→WMV SD、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
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【画面14】MPEG-2 SD→MPEG-2 720p、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面15】MPEG-2 SD→MPEG-2 720p、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
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【画面16】MPEG-2 SD→MPEG-2 1080p、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面17】MPEG-2 SD→MPEG-2 1080p、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
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【画面18】MPEG-2 SD→H.264 720p、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面19】MPEG-2 SD→H.264 720p、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
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【画面20】MPEG-2 SD→H.264 1080p、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面21】MPEG-2 SD→H.264 1080p、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
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【画面22】MPEG-2 HD→MPEG-2 720p、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面23】MPEG-2 HD→MPEG-2 720p、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
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【画面24】MPEG-2 HD→MPEG-2 1080p、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面25】MPEG-2 HD→MPEG-2 1080p、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
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【画面26】MPEG-2 HD→H.264 720p、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面27】MPEG-2 HD→H.264 720p、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
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【画面28】MPEG-2 HD→H.264 1080p、Radeon HD 4870 X2/AVC使用 |
【画面29】MPEG-2 HD→H.264 1080p、Core 2 Extreme QX9770/TMPGEnc 4.0 XPress使用 |
●パフォーマンスに関してもう少しチェック
さて、AVCの大きな魅力はパフォーマンスにあることが分かったところで、この点について、もう少しチェックしてみたい。まずは、GPUの違いでパフォーマンスに差が出るかどうかの検証である。
ここでは、Radeon HD 4870 X2搭載製品に加え、Radeon HD 4870、Radeon HD 4850、Radeon HD 4670を搭載した各ビデオカードを用意(写真2~4)。Core 2 Extreme QX9770環境において、先と同じ条件でトランスコードを行った結果をグラフ1に示した。
なお、Core 2 Quad Q9450はCPU環境が異なることになるが、先述の通り、AVCによるトランスコードはCPU環境の違いによる明確な傾向の違いがなかったので、各GPUとの比較ができるようグラフに含めている。
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【写真2】Radeon HD 4870を搭載する、玄人志向の「RH4870-E512HW」 |
【写真3】Radeon HD 4850を搭載する、Sapphire Technologyの「Radeon HD 4850 512MB GDDR3 PCIE」 |
【写真4】Radeon HD 4670のリファレンスカード |
結果は、全般にRadeon HD 4870が良好な結果を示す傾向にある。そして、シングルGPUビデオカードならば、おおむね製品の価格帯順に並ぶ格好だが、一部ではRadeon HD 4850やRadeon HD 4670が最速という結果もある。先にも触れた通り、誤差が大きいアプリケーションなので、明確な差でない部分は“同等”という判断で良いだろう。
ただ、正式ドライバを用いたiPod向け動画やSD解像度のWMV動画の出力はわりとはっきりとした差を示す傾向があり、このあたりは、ビデオカードのパフォーマンスによる性能差が表れていると見て良さそうだ。
Radeon HD 4870 X2の性能はシングルGPUに劣るシーンが見られるが、これはAVCが現時点でマルチGPUに対応していないものと想像される。というのは、結果がご覧の通りであるのが1つの根拠。もう1つの根拠は、ATI Stream用の開発環境であるATI Stream SDKの仕様である。現在のところバージョン1.3が最新版であるが、これはマルチGPUビデオカードであるRadeon HD 4870 X2がサポートビデオカードに含まれていない。そして、来年登場予定のバージョン1.4においてマルチGPUサポートが目玉の1つに挙げられているのである。そのため、Radeon HD 4870 X2は性能を発揮しきれていない可能性が極めて高い。
1つはっきりしているのは、すべてのビデオカードにおいてCPUとのトランスコード速度の差は歴然としており、ミッドレンジのビデオカードにおいても処理速度改善にはつながることだ。
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【グラフ1】Radeon HD 4800/4600シリーズとCPUのトランスコード速度比較 |
ここで、同じようにGPUを使用するトランスコーダである、NVIDIAのGeForceシリーズに対応したBadaboom Media Converterを使った場合との速度比較も行なってみたい。テストはCore 2 Extreme QX9770環境を、ドライバはGeForce Release 180.48を使用した。
なお、Badaboom Media ConverterはH.264の出力しか行なえないほか、出力解像度も720pまでとなる。出力に用いた設定は以下の通りである。ちなみにBadaboom Media Converterは出力デバイスに合わせたプリセットを持っているが、初期状態では500kbps未満のビットレートを指定することができない。ここでは、設定ファイルを編集して、より低いビットレートが指定できるプリセットを作成して対応している。ただし、スライダによる指定であるため、AVCに近い数値に設定する格好となっている。
・MPEG-2 SD→H.264 QVGA(440kbps VBR/320×240ドット/AACオーディオ)
・MPEG-2 HD→H.264 QVGA(440kbps VBR/320×180ドット/AACオーディオ)
・MPEG-2 SD→H.264 HD 720p(8,130Mbps VBR/960×720ドット/AACオーディオ)
・MPEG-2 HD→H.264 HD 720p(8,130Mbps VBR/1,280×720ドット/AACオーディオ)
結果はグラフ2に示した通りだ。全般にRadeon+AVCの組み合わせが良好な結果を示す。GeForce両製品に対して、ミッドレンジのRadeon HD 4670がSD動画をソースにした場合にiPod出力で劣るのと、SD解像度をソースにした場合の720p出力であと一歩といったところ。SDからHD解像度へのアップコンバートに課題を感じる結果であるが、そのほかはいたって良好な結果だ。
ちなみに、720p出力に関しては、何度も触れている通りβ版によるもの。性能改善がより強く期待できるという点で希望が持てる結果ではあるだろう。
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【グラフ2】Radeon HDシリーズとGeForceシリーズのトランスコード速度比較 |
●速度は極めて優秀、細かい機能改善に期待
以上の通り、ATI Streamを用いたAvivo Video Converterをチェックしてきた。トランスコード速度に関しては文句の付けようがないほど優秀だ。CPU相手だけでなく、GeForceよりも高速な傾向が出ることは気に留めておきたい。今後、GPUによる動画トランスコードが普及することは大いに考えられ、こうしたトランスコード速度の差がビデオカード選びの1つの指標になる可能性もある。
また、機能面では、対応動画形式が多い点が好ましい。H.264を利用可能なデバイスが増えているのは確かだが、以前からWMVやDivXを継続してメインの動画形式に据えている人もいるだろう。多くの動画形式に対応するということは、それだけ多くのユーザーがメリットを享受できるということである。
ただ、気になる点も多い。1つは速度の誤差が大きい点だ。まれに数分単位で遅い予測値が示され、実際にその程度の時間がかかることがある。この場合は、途中でキャンセルして一度再起動すると改善されるのだが、こうした時間のロスは、ちょっともったいない。このあたりの安定性改善は急務だろう。
また、出力される動画のクオリティも改善の余地があると思う。これは、速度を取るか、画質を取るか、というニーズの問題もあるのだが、どちらを優先するかを、ある程度の範囲で任意に指定できると好ましいように思う。
マルチGPUへの対応やHD出力への対応など、まだまだやれること(やるべきこと)が多そうなだけに、これらと併せて、細かな機能改善に期待したい。また、ATI Streamに関してはいくつかのソフトウェアベンダーが対応アプリケーションの投入を表明している。これらの登場も楽しみだ。
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(2008年12月24日)
[Text by 多和田新也]
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