発売中 直販価格:46,800円 最近、注目が集まっているのが、9~10型前後の液晶を搭載し、実売4~7万円程度で販売されているネットブックと呼ばれる製品だ。 最初のネットブックが登場してから1年程度しか経っていないが、海外メーカーだけでなく、東芝やNECなどの国内メーカーもこの市場に参入しており、すでに台数ベースではノートPC市場の約1/4を占めるほどになっている。エプソンダイレクトのノートPCは、コストパフォーマンスと使い勝手に優れていることで定評があるが、今回紹介する「Endeavor Na01 mini」は、エプソンダイレクトが満を持して投入するネットブックであり、コストパフォーマンスに優れた魅力的な製品に仕上がっている。なお、今回試用したのは試作機であり、細部やパフォーマンスが製品版とは異なる可能性もあるので注意してほしい。 ●天板がマット仕上げで指紋が気にならない ネットブックは、IntelとMicrosoftがそれぞれ仕様(スペックの上限)を定めているため、スペックが横並びになりがちで、ボディのデザインやキーボード、バッテリ駆動時間などで差別化を図るのが一般的だ。Endeavor Na01 miniのボディは、直線を基調としているが、液晶ヒンジ部分が斜めに切り落とされており、平行四辺形のような形状になっているなど、デザインにもこだわりが感じられる。 また、天板がマット仕上げになっていることも、個人的には非常に気に入った。ネットブックでは、高級感を演出するためか、天板が光沢仕上げになっているものが多い。光沢仕上げは、磨き上げられた状態では美しいが、すぐに指紋でべたべたになってしまう。こまめにクリーニングクロスなどで拭けばいいのだろうが、不精者の筆者には難しい。ネットブックは、持ち歩いて使うことが多いので、やはり指紋が付きやすい光沢仕上げの天板よりも、Endeavor Na01 miniのようなマット仕上げのほうが、より実用的であろう。 ボディサイズは266×184.7×39mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約1.28kgである。やや厚みはあるが、フットプリントはほぼB5サイズで、重量も軽いので気軽に持ち歩ける。
●160GBの大容量HDDを搭載 CPUとして、IntelのAtom N270(1.6GHz)を、チップセットとしては、Intel 945GSE Expressを搭載し、メモリは標準で1GB実装している。PCとしての基本スペックは、ネットブックとしては標準的といえる。ストレージとしては、2.5インチ160GB HDDを搭載する。ネットブックは、搭載しているストレージによって、SSDモデルとHDDモデルに大別されるが、最近は、容量が大きなHDDモデルが主流となっている。HDDモデルでも、1.8インチHDDを採用した製品もあるが、容量やパフォーマンスに関しては、2.5インチHDDのほうが有利だ。160GBという容量は、ネットブックとしては最大クラスであり、さまざまなデータを持ち運びたいという人には嬉しいだろう。 また、底面のカバーを外すだけで、HDDやSO-DIMMスロットへのアクセスが可能な設計になっていることも評価できる。もちろん、HDDの換装はメーカー保証外の行為だが、本体を分解せずに可能なことは嬉しい。メモリもメーカーの保証外だが、2GBまでの増設が可能だ。ただし、プリインストールされているOSがWindows XP Home Edition SP3なので、標準の1GBでも、メモリ不足という印象は受けない。
●FnキーとCtrlキーの入れ替えも可能な使いやすいキーボード 液晶パネルとして、10.2型ワイド液晶が搭載されている。解像度は1,024×600ドットで、こちらもネットブックとしては標準的なスペックである。ノングレアタイプの液晶なので、外光の映り込みが気にならず、長時間使っていても目への疲れが少ない。 ネットブックは、ボディサイズに制限があるため、キーボードの配列が変則的だったり、キーピッチが狭いものも多いが、Endeavor Na01 miniのキーボードは、ピッチが約17mmで、配列も標準的でタイピングしやすい。タッチもしっかりしており、強く打鍵しても、中央部がたわむようなことはない。 また、デフォルトではキーボードの左下の隅が「Ctrl」キー、その右が「Fn」キーになっているが、BIOS設定画面で、その役割を入れ替えられるようになっていることも嬉しい。キートップにも、両方の文字が印刷されている。通常のノートPCでも、キーボードの左下が「Ctrlキー」になっている製品と、「Fn」キーになっている製品があり、ユーザーによって好みが異なるが、Endeavor Na01 miniならどちらにも対応可能だ。「右Altキー」を「アプリケーションキー」として使うこともできる。 ポインティングデバイスとして、タッチパッドを採用。パッドのサイズも大きく、操作性は良好だ。左右のクリックボタンもパッドの手前に配置されているので、使いやすい。
●必要十分なインターフェイスと駆動時間 インターフェイスとしては、USB 2.0×3とミニD-Sub15ピン(ディスプレイ出力)、LAN、マイク入力、ヘッドホン出力を装備。必要にして十分であり、USB 2.0ポートが左右に配置されているのも使いやすい。また、SDカード/SDHC/MMC/メモリースティック/メモリースティックPROに対応した、3in1メモリカードスロットも搭載しており、デジカメで撮影したデータなどの転送に便利だ。 バッテリは、7.4V/4,400mAhの4セル仕様で、公称約3.2時間の連続駆動が可能である。「BBench」を利用して、バッテリベンチマークを行なったところ、2時間29分の駆動が可能であった。無線LAN経由で1分間ごとにWebサイトへのアクセスを行ない、10秒ごとにキー入力のエミュレートを行なう設定でテストを実施したので、無線LANを使わない設定にすれば、3時間以上使えそうだ。もちろん、Let'snoteシリーズやVAIO type T、dynabook SS RX2などの長時間駆動をウリとするモバイルノートPCに比べれば駆動時間は短いが、ネットブックとそれらの製品では、価格帯が大きく異なる。4セル仕様のバッテリを搭載したネットブックとしては十分合格といえるだろう。また、ACアダプタがコンパクトで軽く、気軽に携帯できることも評価したい。
●Atom搭載ネットブックとしては標準的な性能だが、コストパフォーマンスはトップクラス 参考のために、ベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark05」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の3種類だ。比較対照用に、NEC「LaVie Light」とGIGABYTE「M912X」、ASUSTeK「Eee PC 4G-X」、ソニー「VAIO type G」の結果もあわせて掲載している。
PCMark05や3DMark03、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアは、よく似た構成のネットブックであるLaVie LightやM912Xと同程度であり、第1世代のネットブックであるEee PC 4G-Xに比べるとかなり高い。Core Solo U1300を搭載したVAIO type Gと比べても、遜色のない性能であり、Windows XPを利用するには十分なパフォーマンスだといえる。2.5インチ160GB HDDを搭載しているため、HDDパフォーマンスが高いことにも注目だ。 Endeavor Na01 miniは、キーボードやタッチパッドなどの使い勝手がよいだけでなく、価格的にも魅力がある。直販価格で46,800円という価格、都内への送料込で49,425円は、160GB HDDと10.2型ワイド液晶を搭載した他のネットブックに比べて、1万円程度安い。20万円くらいの製品なら実売価格が1万円違ってもそれほど大きな差ではないが、5~6万円クラスの製品で、1万円の差は大きな差であろう。ただし、59,800円程度で販売されているネットブックでは、BluetoothやWebカメラを搭載していることが多いが、Endeavor Na01 miniは、BluetoothとWebカメラを搭載していない。しかし、日本では、BluetoothやWebカメラの利用率は低く(特に後者はほとんど使われていないと思われる)、付いていても無駄という人も多い。Endeavor Na01 miniは、そうした日本のユーザーの実情にあわせ、BluetoothやWebカメラを削ることで、46,800円という魅力的な低価格を実現したのだ。 Endeavor Na01 miniは、使い勝手やシステムとしてのバランスが優れているだけでなく、コストパフォーマンスも高い製品であり、ネットブックの購入を考えている人に、自信を持ってお勧めしたい。 □エプソンダイレクトのホームページ (2008年12月5日) [Reported by 石井英男]
【PC Watchホームページ】
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