マウスコンピューター「LB-G1000」
~10.2型液晶のスタンダードネットブック




マウスコンピューター
「LB-G1000」

発売中

価格:オープンプライス



 マウスコンピューターのネットブックは、「LuvBook U100」があったが、第二弾として「LB-G1000」が追加された。OEM元は公開されていないが、仕様などから台湾ECSの製品と推定される。

 スペックは、CPUにAtom N270(1.60GHz)、メモリ1GB、Intel 945GSE Expressチップセット(ビデオ機能内蔵)、160GB HDD、1,024×600ドット(WSVGA)表示対応10.2型ワイド液晶、OSにWindows XP Home Edition(SP3)といわゆるネットブックな構成だ。インターフェイスにはSDカード/MMC/メモリースティック(PRO)対応スロット、USB 2.0×3、D-Sub15ピン、Ethernet、無線LAN、130万画素Webカメラがある。

 ASUS「Eee PC S101」の登場で激戦区入りした10.2型ワイド液晶搭載モデルは、いずれも8.9型ワイド液晶搭載モデルよりも重量が重いが、作業性に優れている。「LB-G1000」は作業性を維持しつつ、6セルバッテリを採用し、約4.5時間というバッテリ駆動時間の長さでモバイルを強く意識した仕上がりだ。

●見た目の良いボディ

 ますはボディから見てみよう。天板は流行りの光沢仕様に加えて、天板上部を中心とした放射状の装飾が入っている。マウスコンピューターのロゴも控えめで、ロゴが大きいと拒否反応を示してしまうユーザーも大丈夫だろう。気になる指紋や汚れだが、ベースカラーが白色ということもあり、ほとんど目立たない。筆者の場合だとときどき拭いているくらいである。また先端は細く見せるために傾斜がつけられており、見た目はなかなか良い。

撮影用の照明を当ててみた。くっきりとライトがわかるくらいの光沢だ 遠目ではわかりにくいが、近くだと天板の模様がよくわかる
外観はシンプルにまとめられている 液晶の傾斜角は180°まで行かない

 インターフェイスは本体前面に電源スイッチ、本体左側面に電源ケーブル、ミニD-sub15ピン、USB 2.0、メモリカードスロットを搭載。本体右側面にはEthernet、USB 2.0×2、マイク・ヘッドフォン端子と、とくに使い勝手に不便を覚えない作りだ。ただし、メモリカードスロットは、排気スロットの真下にあり、どこにあるのかと探してしまった。

本体前面に電源スイッチがある 本体左側面には、電源、ミニD-Sub15ピン、USB 2.0、メモリカードスロットがある。排気スロットはやや小さめ 本体右側面にはEthernet、USB 2.0×2、マイク・ヘッドフォン端子

 液晶は10.2型ワイド液晶、解像度1,024×600ドット(WSVGA)。表面処理はノングレアで映り込みが少なく、多少の光源があっても視認性を損なわれることはない。ただ輝度はやや低めで、初期設定では50%の設定になっている。室内ならば問題を感じなかったが、屋外や光源の多い明るい場所では輝度をMAXまであげなくてはならなかった。輝度MAXでもそれほどまぶしくないので電源が近くにある環境ならば、輝度最大で常用してもよさそうだ。色味もバランスよく、特に偏った感じはない。

直上に蛍光灯(6灯)を設置してみたが、激しい映り込みはしなかった 直上に蛍光灯(6灯)がある状態で輝度を50%にしてみた。やや暗いがこれでも視認性はまずまずだった

●気になるキーボード配列

 10型液晶搭載のネットブックは、キーボード配列に余裕のある製品が多く、LuvBook U100も素直な配列だった。しかし、LB-G1000の日本語キーボードは、U100とは異なっており、かなり変わった配列となっている。ざっと書いてみると、右Shiftがなく、あるべき位置に「ろ」キー、エンターは一段取りで、その上に「「」キーと「へ」キーがあり、左Shiftの隣に「む」キーがある。人によっては使用頻度の高い「\」はFn+「ほ」キーでも入力可能。とくに「む」キーの位置がやっかいで「Z」キーと思って押してしまったり、Shiftを押しているつもりが「む」キーだったりする。

 ネットブックは液晶が小さく、キーボードも幅が狭いため、デル「Inspiron mini 9」やEverex「CloudBook CE1220J」のように、変わった配列になることが多い。しかし、本機は液晶も大きく、キーボード脇にもまだ余裕があるので、次回は配列の改善を期待したい。

日本語配列82キー。よく見ると配列が特殊だ。Fnはオレンジ色で目に付きやすい 不思議な位置に思えてしまう「ろ」キー。またInsertやDelキーの位置もやや特殊。変換・無変換キーもない
「む」キーの場所がネック。また端へいくほどキーが小さくなっていくので、shiftなどの操作は慣れが必要 傾斜をつけてもキープリントは見やすい

 A~Zなどおもに打鍵するキーのピッチは約16.2mm。ネットブックでは標準的なピッチなのだが、なぜか縦幅が約13.5mmと短いため、慣れていないと打ち間違いが多発しやすい。サイズの小さいキーのピッチは約12.3mmで、いずれのキーストロークも約2mmとなっている。打鍵感自体は問題ないのだが、やはり横長のキーに慣れないと思う人が多いと思う。個人的な感覚では慣れで打開できるレベル。長文を打つとなると厳しく感じたが、軽くブラウジングをしたり、出先でメールの確認程度ならばそれほど打鍵しないので不便には思わなかった。

A~Zキーのピッチは約16.2mm キーの縦幅が短い 使用頻度の低いキーのピッチは約12.3mm

 タッチパッドは67×37mm(横×縦)と面積が大きく、置いた状態でも片手持ちの状態でも扱いやすい。反応もよく不便を感じない。クリックボタンは左右一体型で、しかもインジケータの表示エリアまで兼ねている。中央部分はクリックできないが、横幅72mmと長いので押しやすく、左右独立しているタイプと同じ感覚で扱うことができた。

タッチパッドは67×37mm(横×縦)と大きく、操作しやすい。100円玉とサイズを比べてみたのでわかりやすいと思う クリックバーの横幅は約72mmと大きい。インジケーターと一体型になっている

●約4.5時間のバッテリ駆動はやはり魅力的

 「LB-G1000」の6セルリチウムイオンバッテリを採用しており、バッテリ駆動時間はカタログスペックで約4.5時間とEee PCシリーズに並ぶ駆動時間となっている。6セルリチウムイオンバッテリの重量は実測274gとやや重め。また電源アダプタは実測279gでそれほど重くはない。個人的に気に入っている部分はコンセント部に施された発火防止処理。筆者はよくアダプタはコンセントに挿しっぱなしにするのでこういった配慮はうれしく思ってしまう。

6セルリチウムイオンバッテリ。11.1V 3,600mAh バッテリの重量は実測で274g
電源アダプタの重量は実測で279g コンセントプラグにはホコリなどによる発火防止処理が施されている 本体重量は実測で1,380g。電源アダプタと合わせるとギリギリ持ち歩いても気にならないレベル

 実際に使用しているとカタログスペック通りとは行かないまでも、原稿作成と気分転換のインターネット程度であれば、輝度最大の状態で約3時間50分の駆動を確認した。またビットレート1,011kbps、解像度640×480ドットのWMVを無線LAN経由でストリーミング再生では約3時間10分だった。

 長時間駆動時、もしくは高負荷時のパームレストなどの温度はキーボード側よりも底面に熱が行きやすく、腿の上だと少し熱く感じた。冬場ならば気にならないが、春先付近は腿と「LB-G1000」の間にカバンなどを置いたほうがよさそうだ。パームレスト部分は一部が熱くなることはなく、全体に暖まるので、不快に感じることはなかった。一方騒音は、静かな場所ではやはりファンの音が気になるが、それも高負荷時のみ。車中やオフィスの場合はまず気になることはなかった。

 

●ベンチマーク

 ベンチマークはFuturemarkの「3DMark05(Build 1.3.0)」「PCMark05 (Build 1.2.0)」と、HDBENCH.NETの「HDBENCH Ver3.40beta6」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」で行なった。またASUS「Eee PC 1000H-X」、オンキヨー「C1」シリーズのベンチマーク結果も掲載したので参考にしてほしい。なお、「PCMark05 (Build 1.2.0)」の測定は解像度を1,024×768ドットにしても測定できなかったため、外部ディスプレイに出力した結果だ。

【表】ベンチマーク結果

マウスコンピューター「LB-G1000」 オンキヨー「C1」シリーズ ASUS「Eee PC 1000H-X」
CPU Intel Atom N270 1.6GHz Intel Atom N270 1.6GHz Intel Atom N270 1.6GHz
ビデオチップ GMA950 GMA950 GMA950
メモリ 1GB 1GB 1GB
OS Windows XP HomeEdtion Windows XP HomeEdtion Windows XP HomeEdtion
PCMark05 Build 1.2.0
PCMarks 1525 1366 1386
CPU Score 1486 1461 1478
Memory Score 2379 2309 2401
Graphics Score 554 557 555
HDD Score 4299 4065 4185
HDBENCH Ver3.40beta6
All 37977 34948 37723
CPU:Integer 92769 93721 93275
CPU:Float 64351 64466 64025
MEMORY:Read 47679 47959 47373
MEMORY:Write 47762 48293 48038
MEMORY:Read&Write 84386 84830 84932
VIDEO:Recitangle 14600 15950 16974
VIDEO:Text 8986 8124 7166
VIDEO:Ellipse 4257 3940 4293
VIDEO:BitBlt 236 117 246
VIDEO:DirectDraw 29 29 29
DRIVE:Read 60663 50000 56449
DRIVE:Write 44579 48530 47123
DRIVE:RandomRead 14214 9442 21553
DRIVE:Read 21913 20868 26418
3DMark05 Build 1.3.0
3Dmark Score 239 249 250
CPU Score 1537 1618 1593
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
Low 1458 1422 1418

 ネットブックの基本文法に沿った構成なので、ベンチマークのスコアも比較に用意した機種と大差はなく、ほぼ横並びだ。HDDはWestern Digital製WD1600BEVTで他の機種よりもReadが速く、体感で多少速くと感じた。ベンチマーク比較の面白味はないが、標準的なスコアが出ているので安心できる結果だ。

 メモリの増設はカンタンだ。バッテリ接続部分付近にあるネジを外せば、メモリにアクセスできる。体感速度アップを狙うならばメモリを増設してみるといいだろう。またHDDへのアクセスもできるので、2.5インチのSATA接続のHDDがあれば自己責任で換装もできるだろう。

バッテリのコネクタと同じライン上にあるネジ2つを外す カバーが外れてHDDとメモリにアクセスできる。とてもカンタンだ

●キーボードをじっくり触ってから購入を考えたい

 全体的に仕上がりがよく、持っていて気分のいい作りである。マニュアルもカラーでわかりやすく、各機能の解説がなされているので初めての人でも苦戦しにくいだろう。ただ上記した通り、キーボードにクセがありすぎるため、店頭で実際に触ってみてから購入を検討してほしい。

 それを除けば、サブノートとしても十分に活躍してくれるパワーを秘めているので、選択肢の上位に置いても問題ない。作業性やバッテリ駆動時間など、全体的に見ればオススメ度の高いネットブックだ。

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(2008年11月27日)

[Reported by 林 佑樹]


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