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PFU「Happy Hacking Keyboard」日本語版を試す

Happy Hacking Keyboard Professional JP

発売中

価格:直販価格:24,990円



 株式会社PFUのコンパクトキーボード「Happy Hacking Keyboard」(以下HHK)の日本語配列版「Happy Hacking Keyboard Professional JP」が11月に発売された。直販価格は24,990円。製品名からわかるとおり、ハッカーが快適に入力できるキーボードを目指していて価格が普通のキーボードよりずっと高い。そのキーボードはハッカーにあらざる普通の人にも有効なのか試した。

 HHKは上位向けの「Professional」と廉価な「Lite」の2シリーズで主に展開し、Mac向けを謳ったモデルなどもラインナップしている。Professionalは静電容量無接点方式を採用し、Liteはメンブレン式になっていることが大きな違いだ。今回発売されたのはProfessionalの日本語配列だ。

 日本語配列といっても、キー数はたったの69個。端的に言うとメインキー以外がばっさりと切り落とされていて、その小さなフットプリントがHHKの最大の特徴になっている。ファンクションキーやDelete、Page UP/Downなど多数のキーが省かれているが、それらをFnキーと組み合わせたショートカットで代用するのがHHKのスタイルだ。これには手の位置をあまり動かさなくても入力できるというメリットがある。ちなみに英字配列の「Happy Hacking Keyboard Professional 2」は60キーだ。

 本体色は白と黒の2色が用意されている。黒は配置が普通からかけ離れているのに加え、キーの刻印の見分けがつきにくい。格好いいのだが使い勝手を求めるユーザーには白をおすすめしたい。

パッケージは本体とUSBケーブルの2つでシンプル。紙のマニュアルが付属する 黒モデルは刻印が見にくい

●価格相応にしっかりしたハードウェア

 ひとまずハードウェアの作りをみてみよう。

 本体サイズは294×110×39.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は520gと、非常に小型軽量である。おかでげキーボードをわしづかみにして移動させたり片付けたりできるため、取り回しが楽だ。

 ほとんどリファレンス扱いとなっている東プレのRealForceだが、そのテンキー無しバージョン「Realforce91 NE0100」と比較してみると、幅と奥行きがともに3分の2程度に収まる驚異的な小ささだ。このあたりは前モデルと特に変わるところではない。ちなみに、USBケーブルは着脱可能で、これも取り回しやすさに一役買っている。サイドから眺めると、標準状態でもスタンドを立てたようにけっこうな傾斜がついている。さらに2段仕込みのスタンドで、スタンド無し/小/大の3段階に角度を調節できる。スタンド無しでESCキーのトップまでの高さがおよそ39mm、スタンド小で43mm、スタンド大で48mmくらいになる。

Realforce91 NE0100(上)とHHKB Lite2(中央)とHappy Hacking Keyboard Professional JP(下)のサイズ比較 同様にサイドの比較 標準でもかなりの傾斜がついている
小さいスタンド大きいスタンドが組み込まれている 小さいスタンドを使った場合 大きいスタンドを使った場合

 背面のスライド式ドアを開けるとディップスイッチがあり、CtrlとFnキーの入れ替えやBackSpaceをDeleteに変更することなどができる。また、WindowsモードとMacモードを切り替え可能でハイブリッド対応を謳っている。ASDFキーの斜面にボリューム調整、ミュート、ドライブの開閉などの機能が刻印されているが、これらのキーはWindowsでは動作せず、Macに接続しMacモードにした場合に利用できる(ドライバインストールも必要)。

 キートップはさらさらで、特別な加工は施されていないようだ。キーピッチは通常のフルキーボードと同等の19.05mmを確保。ストロークは4.0mmだ。HHKのProfessionalとReafForceはともに静電容量無接点方式を採用していると書いたが、タッチは少し違う。RealForceの方が弾力があり、HHKのほうがソフトで力を入れずに入力できる印象だ。おそらくは荷重が異なるのだろう。

ディップスイッチで一部キーをカスタマイズできる。左はPCとの接続インターフェイスであるUSB キーピッチは19.05mm、ストロークは4.0mm RealForceと同じ静電容量無接点方式

●とりあえず同じサイズに詰め込んでみたような配列

 さて、配列をみてみよう。本機は日本語配列であると書いてきたが、標準的な配列ではなく、いわゆる“変則配列”といわれるカテゴリに入る。変則配列に明確な定義はないが、本機では方向キーがメインキーに詰め込まれているのが当てはまる。その影響で右Shiftキーの幅が半分になり、Z~Mと続く記号の列が4分の1キーほど左にずれている。

 右Shiftキーの幅が半分になっているため、しばしば打ち間違えが起きた。個人的に「?」を入力するときに右Shiftを使うので、その際の押しづらさが気になった。前述のディップスイッチを使うと、方向キーの「↑」をShiftに変更できるので、問題を幾分軽減することができる。

 普通のキーボードと比較すると、おおざっぱに言ってメインキーだけを残し、ファンクションキーとテンキーのほか、Insert/Delete/Home/End/Page Up/Page Downの島とPrint Screen/Scroll Lock/Pauseの島が省かれている。いずれのキーもFnキーとメインキーの同時押しで入力可能だが、一手間かかることになる。

キー配列 メインキーだけを残してそのほかのキーは省略されているのがHHK

 一例として、ファンクションキーの1~12はFnキーと「1~^」の同時押しで対応するほか、DeleteキーはFnキー+「Back Space」で、HomeキーはFnキー+「k」で、EndキーはFnキー+「,」で、Page Up/DownはFnキー+「l/.」で対応する。

 キー刻印のデザインがオリジナルなため少し分かりづらいが、左下のFnキーの隣から、半角/全角キー、Windowsキー、左Altキー、無変換キーと並ぶ。スペースバーを挟んで、変換キー、カタカナ/ひらがなキー、右Altキー、Fnキーとなっている。

 通常の半角/全角キーがEscにとって変わられているのはスペースの都合上と思われるが、実際に使ってみると近くて逆に使いやすい。普通のキーボードで入れ替えを行なうとゲームでうまく動作しないことがあったが、本機では問題なく使用できた。

 しかし、半角/全角キーが左下に移動した余波を受け、左Altが1キー分の幅になりかつ「x」キーの右下に移動していることに注意したい。また、右下に方向キーが組み込まれた影響でスペース右の領域が窮屈になっているが、これらのキーは使用頻度が低いので個人的に影響はほとんどなかった。

 個人的な希望だが、右端にもう1列追加し、方向キーを右にずらした方がよかったと思う。Z~Mの行のずれを戻し、Shiftキーの左端を通常の位置にもってこれる。ついでにDeleteキーをBack Spaceの隣に追加してくれれば良かった。

●実際の使い勝手はどうだ

 以上、ハードウェアの外観とキー配置について見てきた。

 HHKはテンキーとファンクションキーが省略されているため、使い手を選ぶ製品だろう。本機の打鍵感はソフトで非常に快適だ。さらに省スペースなため、机の上で切った貼ったの作業をするユーザーは取り回しが容易なところが魅力になるだろう。

 しかしテンキーを多用する事務作業や、ファンクションキーが不可欠なゲームには向かない製品であることは疑いない。ユーザーの利用形態によるが、コンセプト通りコーディングを行なうユーザーやサーバー管理、モバイルユース、あるいは文筆業がターゲットになるだろう。

Fnキーを小指の付け根で押すテクニック

 そういったユーザーにとって、小型でかつFnキーによる同時押しを多用するスタイルが焦点になる。このスタイルには手を移動させる範囲が狭くなるため、疲労がたまりにくくなるというメリットが確かにある。Fnキーを小指の付け根の手のひらで押すテクニックを使うと、さらに可動範囲を押さえ快適に打鍵することができる。このスタイルを受け入れられるかどうかが判断の分かれ目だろう。打鍵感を求めるならRealForceにも同じ静電容量無接点方式が採用されていて、しかもRealForceには偏荷重タイプがあるからだ。

 キー単体でみるとこれまでのHHK同様にとても良いものの、配置レベルでみると難点がいくつかあり不満が残る。1週間程度使えば打ち間違えは減ったので、慣れで克服できる面はある。Windowsキーの搭載やスペースキー周りのキーで使い勝手が増している側面もある。しかし完成度という点では、最少のキーに抑え洗練された英語版HHKには及んでいない。もう少し日本語配置ならではの作り込みがほしかったところだ。

□PFUのホームページ
http://www.pfu.fujitsu.com/
□ニュースリリース
http://www.pfu.fujitsu.com/news/2008/new081110.html
□関連記事
【11月14日】PFU、HHK最上位機種初の日本語配列モデル
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1110/pfu.htm
【2006年3月16日】PFU、USB 2.0 Hub内蔵の高品位コンパクトキーボード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0316/pfu.htm
【2003年4月24日】PFU、静電容量無接点方式を採用した
「Happy Hacking Keyboard Professional」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0424/pfu.htm

(2008年11月28日)

[Reported by matuyama@impress.co.jp]

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