今回は海外のパーツショップから電子部品を買ってみましょう。
多くの電子部品は、秋葉原や日本橋のショップで買ったり、あるいはネット通販で手に入れたり、国内で購入できます。しかし、おもしろそうな素子、目新しい部品、ありそうで無かったパーツなどを求めると、海外のパーツショップが魅力的です。
例えば本連載第一回で掲載したカラフルなブレッドボードや、青色・2桁の7セグメントLEDは、日本国内ではなかなか手に入りません。
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日本のショップではなかなか手に入らない青色・2桁の7セグメントLEDです。Digi-Key(後述)で購入しました |
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日本ではほとんど売られていない色付きのブレッドボードです。Sparkfun(後述)で購入しました |
日本にはない、珍しい部品や興味深いパーツが多々売られているのが海外パーツショップです。ブレッドボーディングをより楽しいものにするために、ぜひ利用してみてください。以降、我々がよく使う海外パーツショップを見てみましょう。
まずはSparkfunです。2003年に、当時コロラド大学の学生だったNathan Seidleが始めた電子部品通販ショップで、米国コロラド州ボルダー市にあります。特にブレッドボード関連のパーツ、各種マイコンボード、ブレイクアウトボード(拡張や接続のためのボード)の種類が豊富です。
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Sparkfunのトップページは、新製品のニュースや電子工作の話題などで毎日のように更新されています |
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「Breadboard」をキーワードとしてサイト内を検索してみました。ブレッドボード関連のものが多々表示されます。カラーのブレッドボードもこのショップで購入できます |
Sparkfunは気楽に使えるオンラインショップです。多くのパーツ類は、写真をクリックすると拡大表示され、パーツと25セント硬貨を並べた“コインショット”により、品物のおおよその大きさを見ることができます。パーツによってはインチ/センチを示すゲージが写真に写し込まれていることもあります。
それでは、試しにSparkfunで何か購入してみましょう。
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「game」をキーワードに検索したら、「Beginning Embedded Electronics - Simon Game 0E」というキットが見つかりました。光った順番にボタンを押すサイモンゲームです。購入してみましょう |
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iPodをキーワードに検索すると、「iPod Connector Male Style 1」というパーツが見つかりました。iPodのドックコネクタ部に外部回路を接続するためのパーツです。本連載第10回目のヘッドフォンアンプに使ったコネクタパーツに近いものですが、これも買うことにしました |
Sparkfunからパーツを実際に購入する場合は、そのパーツに関するドキュメントや注意点について留意が必要です。
多くの場合、関連ドキュメントや回路図(schematic)へのリンクから資料を入手できます。しかし、そうでないものもあり、その場合は、自力で使い方や接続方法を探す必要が出てきます。
また、上の「Beginning Embedded Electronics - Simon Game 0E」ですが、キットとは言ってもSMD(Surface Mount Device;表面実装部品)をハンダ付けする必要があります(SMDハンダ付け練習のためのキットとなっています)。SMDのハンダ付けは非常に細かい作業なので、ハンダ付け初心者には困難です。
ちなみに、これとは別に「Beginning Embedded Electronics - Simon Game 2E」というキットも売られています。“Simon Game 0E”は、SMDのハンダ付けができれば問題なく作成できますが、“Simon Game 2E”は“プリント基板上に2つのエラーが含まれる”という独特なものです---回路図を見てプリント基板上の間違いを見つけ、これを修正しつつ完成させていくという“技術習得にもなるキット”ですので、これも初心者には向きません。
さておき、Sparkfunでのパーツ購入を進めていきましょう。
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Sparkfunでの買い物は、日本の通販サイトとほぼ同様です。買いたい物をカートに入れたら、カートの中身を見て数量などを確認し、checkoutに進みます |
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購入時にアカウントを作る必要があります。一度作れば、以降はID(メールアドレス)とパスワードを入力するだけで、購入者の住所や氏名が自動的に表示されるようになります |
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次に配送方法を選択します。最も安価な海外向け発送便となるUSPS First Class Mail Internationalは、この時で10.65ドルでした。ただし、この方法だとトラッキングサービスや輸送事故などに対する保証は付きません。配達までの時間ですが、Sparkfunは「2~3週かかる」としています。ちなみに我々の場合、これまで何度もSparkfunで買い物をしていますが、いつも注文から1週間~10日程度で手元に荷物が届いており、配送時のパーツ破損などの事故も経験していません |
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配送方法を指定したら、次は支払い方法を決めます。今回はクレジットカード決済にしました。なお、CVV Numberとは、カード裏面にプリントされている3桁などのセキュリティ番号です。通常、クレジットカード番号の後にプリントされています |
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決済方法を指定したら、最終確認です。注文者の住所氏名、決済方法、発送方法、注文品とその金額を確認したらsubmitをクリックします |
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この表示が出れば、注文は完了です。間もなく、Sparkfunから注文確認メールが届きます。注文確認メールとは別に、発送が完了したことを知らせるメールも届くでしょう |
以上のように、表記が英語である点以外、使い方は日本の通販サイトと同様です。我々の実感としては、Sparkfunは受注~発送までがわりあい短く、送料も安価です。また、日本ではなかなか手に入らないような部品類を多数揃えているので、常用する海外通販サイトのひとつとなっています。
それから、日本国内のSparkfun正規代理店が増えていますので、海外通販を敬遠する方は日本の代理店で購入するとよいでしょう。国内代理店としてはスイッチサイエンス、メカロボショップ、ストロベリー・リナックスがあります。ただ、Sparkfunの全ての商品を扱っているわけではありません。
さて、Sparkfunで注文した品が、どのように届いたのかも見てみましょう。今回は、日本時間で月曜日の夜に注文し、翌週の水曜日に荷物が届きました。注文から9日後で、いつもより少し遅い気がしますが、だいたい1週間~10日で届くという印象は変わりません。
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Sparkfunからの荷物は、いつもこのような赤い箱で届きます |
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梱包はこのような感じ。パーツ類が緩衝材の間に入れられ、ほかには送り状(invoice)があるだけです。商品に関する説明書類は基本的にはありません(Sparkfunからダウンロードなどして関連資料を入手) |
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注文した「iPod Connector Male Style 1」です。各コネクタの機能は、自分で調べるしかありません |
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注文した「Beginning Embedded Electronics - Simon Game 0E」です。SMDのハンダ付けが難しそうです |
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ついでに注文した「SparkFun Stickers」です。1枚10セントですが、ステッカーというイメージではなく、単なる光沢紙のシールでした。価格相応という印象です |
もう1つ、膨大な電子部品を扱うDigi-Keyというオンラインショップを見てみましょう。発送元は米国ミネソタ州にあるようです。
Digi-Keyは、世界385社以上のメーカーのパーツ類を、100万点以上もストック~販売しているショップです。「ネット上どこで調べても売られていなかったパーツが、Digi-Keyにはあった」というケースも少なくありません。また、日本語でパーツ選び~購入までできるのも大きな利点です。
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Digi-Keyのホームページ。日本語で利用できる点が大きな魅力です |
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パーツの情報を示すページです。このパーツの場合、価格は1個なら207円、100個なら11,031円と読みます。左下のデータシートのリンクをクリックすると、下の画像ようなデータシートを参照できます |
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非常に多くの商品ページで、そのパーツのデータシートを閲覧できるのがDigi-Keyの大きな特徴です。ただ、保有パーツ数が膨大なため、検索機能を巧く使わないと目的のパーツを見つけられないこともあります |
前述のように、Digi-Keyには100万点以上のパーツがあります。極めて品揃えが良いと言えますが、同時にパーツ探しも大変です。Sparkfunのように、商品ページをざっと見て、「これは珍しい」「これはおもしろい」と思えるパーツを物色していく……という使い方はできないでしょう。
ある程度目的のパーツ(名称やジャンル)が決まっていて、さらにタイプ(形状などの仕様)まで決めておかないと、該当するパーツを探すのは困難です。ジャンルなどをキーワードにパーツを探し、ヒットした多数のパーツを眺めていっても楽しめますが、購入したいパーツの型番を知っているユーザー向けのオンラインショップと言えそうです。
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ネット上で知ったUNI-SIPという試作用ボードをDigi-Keyで探したところ、すぐに見つかりました。製品名や型番がわかっている場合は、Digi-Keyはどんなパーツでも揃うショップであることが実感できます |
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冒頭に書いた青色・2桁の7セグメントLEDです。以前にDigi-Keyにて購入したので、このパーツのDigi-Key品番(160-1520-5-ND)がわかっていました。この品番で検索したらすぐに見つかりました |
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一応、上のLEDのデータシートを参照し、正しいものかを確認します。多くのパーツで、このようなデータシートを参照できるのはDigi-Keyの良さの1つです |
前述のように、Digi-Keyは米国ミネソタ州にあり、品物の発送もミネソタからですので、それなりの送料がかかります(一律2,000円)。
ところが、現在、7,500円以上注文すると送料が無料になるようです。消費税に関しては、1万円以上注文すると5%かかりますが、1万円未満なら無料です。つまり、注文の合計金額を7,500円以上~1万円未満とすれば、送料・消費税とも無料になります。
上記のUNI-SIP(8,525円)と7セグメントLED(868円)の合計金額は9,393円ですので、これなら送料・消費税とも無料となるはずです。このまま注文してみることにしましょう。
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注文時は、購入するパーツを[発注書]へ記入していきます。[発注書]はショッピングカートと同様です。[発注書]を確認し、必要なパーツが揃ったら、次に進みます |
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順次、住所氏名や決済方法を入力していきます。納品先住所は全て英語で記入する必要があります |
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支払い方法はカード決済を選んでみました。カード上の名前はもちろん、請求先住所も英語で記入する必要があります |
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注文した部品などを、どこで何の目的に使うかを記入する必要もあります。このとき、部品輸出について懸念される内容だと、注文が取り消しになったり、注文後にDigi-Keyから確認のメールなどが(日本語で)届くことがあります |
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都度、必要な情報を入力すれば、注文は完了です。合計金額が9,393円(7,500円以上~1万円未満)となったので、運送料や消費税の項目は0円と表示されています |
Digi-Keyは、膨大な品揃えのほか、配送の早さでも話題にのぼります。今回の注文は、日本時間で月曜日の夜に注文し、翌週の月曜日に荷物が届きました。1週間かかっていますが、実は注文時に記入する“どこで何の目的に使うか”といった項目のチェックをミスしてしまったため、途中でDigi-Key担当者とのメールのやり取りが起きたためです。通常では1週間未満で届くことが多いようです。
さて、どのように品物が届いたのかを見てみましょう。
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このような箱で送られてきました。箱の外側のビニール袋にはinvoiceが封入されていました |
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非常に安心感のある梱包材でしっかりと梱包されています。これなら部品が破損する可能性が低いでしょう。パッキングリストも入っていました |
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購入したUNI-SIPです。基板から2.54mmピッチの足が延び、基板上に作り込んだ回路をそのままブレッドボードに接続できるという試作用ボートです |
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青色・2桁の7セグメントLEDです。光らせてみるのが楽しみです |
海外オンラインショップでの部品購入は、日本にない興味深いパーツを手に入れられること、時には安価で入手できることなど、いろいろな魅力があります。現在は円高ドル安ということもあり、海外オンラインショップを使うメリットがさらに大きい状況です。
しかし、何かトラブルが起きた場合、多くのケースでは英文メールでのやりとりが必要になります。時にはクレジットカード詐欺などの危険もあります。
そういったことを含め、次回は我々ブレッドボーダーズメンバーが遭遇した小さなトラブルや、その時の英文メールのやり取り、それから安全な支払い方法についてお伝えしたいと思います。
□関連記事
【9月17日】【武蔵野】ヘッドフォン・アンプを作ろう(前編)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0918/musashino010.htm
【7月10日】【武蔵野】ブレッドボードで始めよう!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0710/musashino001.htm
□バックナンバー
(2008年10月9日)
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船田戦闘機、スタパ齋藤、上杉季明によるユニット。電子工作からバンド演奏までさまざまな活動を行なうが、各活動に共通するテーマは“電気が通ること”としている。電子部品・電子回路の玄人ではなく、それらに対して強い興味を抱いている。ブレッドボーダーズは、そんな立ち位置から電子部品・電子回路に触れていくプロジェクトである。 |
PC Watch編集部
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