今回から2回に分けて、ヘッドフォン・アンプを作ります。
AV機器のライン出力につなぐことで、十分な音量と音質のヘッドフォン用アンプとして機能します。また、iPodやノートPCなどの、すでにヘッドフォン端子を持っているオーディオ機器と組み合わせて、音の変化を楽しむこともできます。
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小さいブレッドボードの上にすべての部品を載せました。コンパクトに仕上がりました |
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操作性の欠点が1つあります。音量の調整は、写真のようにドライバを用いて、左右別々にする必要があります。2連ボリュームを使用して、もっとノーマルな操作性を実現する方法を、次回紹介する予定です |
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回路図です。キーになる部品は、中央の青い部分。LM4881というナショナル・セミコンダクタのICで、200mWのステレオ・パワー・アンプとして機能します。ステレオですので、左右のチャンネルそれぞれに同じ形の回路が必要になります。図の赤い部分と黄色い部分の回路が対称形になっているのがわかるでしょうか |
●部品表
番号 |
品名 |
型番/仕様 |
数量 |
参考単価 |
購入店 |
IC |
オーディオアンプIC |
LM4881 |
1 |
250 |
K |
CON1,2 |
3.5ミリステレオジャック |
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2 |
100 |
S |
VR1,2 |
半固定抵抗器 |
10KΩ |
2 |
52 |
K |
C1,2,5 |
電解コンデンサ |
1μF(10V) |
3 |
10 |
K |
C3,4 |
電解コンデンサ |
220μF(10V) |
2 |
21 |
K |
C6 |
積層セラミックコンデンサ |
0.1μF |
1 |
21 |
K |
R1,2,3,4 |
カーボン抵抗器 |
20KΩ |
4 |
1 |
K |
R5 |
カーボン抵抗器 |
1KΩ |
1 |
1 |
K |
LED |
発光ダイオード |
赤 |
1 |
20 |
K |
BAT |
電池ボックス |
乾電池2本用 |
1 |
89 |
K |
購入店K: 共立電子
購入店S: ストロベリーリナックス
使用する部品は表のとおりです。このほかに、ブレッドボードとアルカリ電池2本が必要です。
注意してほしいのは、半固定抵抗器とステレオ・ジャックはブレッドボードの穴に挿入しにくいものがある点です。
とくに、ジャックはピンの位置が変則的だったり、太かったりして、なかなかブレッドボードで使えるものが見つからないと思います。今回、我々はストロベリー・リナックスが販売している製品を使用しました。
そのままではブレッドボードに挿すことができない部品を使う方法については、次回以降のブレッドボーダーズで検討する予定です。
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半固定抵抗器は写真のように、細いピンがまっすぐ出ているものを選んでください。我々はTOCOS GF063P1シリーズを使用しました。調整時にはドライバが必要です。こうした用途に特化したプラスチック製ドライバを使うのが一番良いのですが(電気系の工具を扱っている専門店で入手できます)、割り箸や竹串をカッターで削っても代用品が作れます。もし、ふつうのドライバで済ませる場合は、小さめのマイナスドライバで優しく回します |
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ストロベリー・リナックスが販売している「基板用3.5mmステレオジャック」。ピンをラジオペンチなどでまっすぐにしてやると、ブレッドボードにしっかり挿入できます。写真右のジャックが購入時の状態で、左が加工してピンを伸ばした状態です。5本あるピンのうち、2本は接続しません。回路図記号との対応に注意してください |
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ジャックの回路図記号がなぜあのような形なのかは、接触部分が剥き出しになっているタイプのジャックを見ると、よくわかると思います。ジャック内部の機構を記号化しているわけです |
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回路図のC6は0.1μFのコンデンサです。電解コンデンサを示す斜線が入っていないコンデンサは、とくに指定がない場合、積層セラミック・コンデンサを選択してください。ただし、撮影用の作例では見た目のわかりやすさを重視して、Ginga Dropsから購入したフィルム・コンデンサを使っています。Ginga Dropsのコンデンサのページにはさまざまな製品があって、見ているだけでも楽しいです |
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共立エレショップの積層セラミック・コンデンサとセラミック・コンデンサの検索画面です。C6は積層セラミック・コンデンサの0.1μFを購入してください。リード線の間隔が異なる2種類があります。今回のレイアウトでは広いタイプ(5.08ピッチ)のほうが便利ですが、自分でフォーミングすればどちらでも使えます。0.1μFの積セラはよく使いますので、余分に購入しておいてもいいでしょう |
部品が揃ったら、いよいよ組み立てです。ブレッドボードは秋月電子が販売しているもので一番小さい「EIC-301」を使い、その上に電池以外の全部品を載せる方針で、レイアウトを考えました。
ジャックは大きいので場所を取り、ブレッドボードの外側に向けて配置しないと使い勝手が悪くなります。こういう制約の多い部品の位置を最初に決めるといいでしょう。ICの周囲には小さな部品が集まりますので、余白を広く取るようにします。また、可能なら、回路図上の部品の位置関係をなるべく踏襲したほうが分かりやすくなります。
試行錯誤しながら部品の位置決めをすることになるはずです。慣れてくると速くはなるのですが、一発で最適と思えるレイアウトを見つけることはなかなかできません。もちろん、良いレイアウトは複数あるでしょう。何度もやり直せるのがブレッドボードの利点です。最初のアイデアに囚われず、納得できるつなぎ方になるまで、行きつ戻りつしながら作ってください。
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部品を繋いでいく様子をアニメーションにしました。実際には、完成した状態から部品を抜き取りながらコマ撮りし、それを逆回しにして手順を再現しています。そのため、細部の順番は、少し事実と違うかもしれません。全体的な組み立ての流れはこの通りですので、参考にしてください |
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真上からの写真です。部品の参照名を書き込んであります。回路図や部品リストと照らし合わせてください。電解コンデンサは、帯がある側がマイナスです。横から見れば、もっと簡単に判別できます |
部品をすべてつないだら、電源を入れる前にもう一度、次の点を確認してください。
・ICの向き (ドットのある位置が1番ピン)
・電解コンデンサの極性 (帯のある側がマイナス)
・LEDの極性 (リード線が長い方がアノード)
OKでしたら、電池をつなぎます。通電するとLEDが光るはずです。光らないときは、接触不良とショートの2つの可能性があります。すぐに電源を抜いて見直してください。
ここまで大丈夫なら、いよいよ音出しです。胸躍る瞬間です。ただし、いきなり大事なヘッドフォンは繋がないほうがいいかもしれません。何らかのミスが原因で、ヘッドフォンにダメージを与える可能性があります。
我々は一度失敗して、インナー・イヤー・タイプのヘッドフォンが熱くなってしまったことがあります。電源ラインにヘッドフォン・ジャックが接触していて、電池とヘッドフォンが直結していたのでした。ヘッドフォンが発熱し、耳のなかがどんどん暖まっていって、異変に気付きました。いま考えると、熱いというほどの温度ではなかったかもしれませんが、とても驚き焦った記憶があります。
皆さんはそこまでひどい失敗はしないと思います。それでも、まずは痛んでも惜しくないヘッドフォンでテストしてみることをお勧めします。100円ショップで売られているもので十分でしょう。
入力側のジャックは、オーディオ・プレイヤのラインアウトやヘッドフォン出力に接続します。
半固定抵抗器の位置によっては、凄まじい音量で鳴ります。最初の1回はヘッドフォンを耳に付けず、適正な音量レベルに設定してから、試聴に移ってください。
電源のオンオフ時に、「ポンッ」あるいは「カッ」という耳障りな音、いわゆるポップ・ノイズが聞こえるかもしれません。このICの場合、ポップ・ノイズを完全に取り除くことは難しいようですが、電解コンデンサの容量を変えることで、軽減できることがあります。
次回は、回路の構成をもう少し詳しく解説し、今回使ったものとは違う部品を試す方法を検討する予定です。
□バックナンバー
(2008年9月17日)
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船田戦闘機、スタパ齋藤、上杉季明によるユニット。電子工作からバンド演奏までさまざまな活動を行なうが、各活動に共通するテーマは“電気が通ること”としている。電子部品・電子回路の玄人ではなく、それらに対して強い興味を抱いている。ブレッドボーダーズは、そんな立ち位置から電子部品・電子回路に触れていくプロジェクトである。 |
PC Watch編集部
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