平澤寿康の周辺機器レビュー

第2回 PhotoFast 「CR-9000」
〜SDHCを最大6枚差せるRAID 0対応SSDユニット


 



PhotoFast「CR-9000」

発売中

購入価格:9,980円



 このところの価格下落で注目を集めているSSD。しかし、HDDと比較するとまだまだ高価で、気軽に購入できる製品ではない。そういう状況のもと、安価に大容量SSDを実現できるということで、注目されている製品がある。それが、PhotoFastの「CR-9000」だ。

 CR-9000はそれ自身にはフラッシュメモリが搭載されておらず、SDHCメモリーカードを利用してSSDを実現する製品だ。内部に6個のSDHCスロットが用意されており、32GBのSDHCを6枚利用すれば、192GBという圧倒的な容量のSSDが実現可能だ。しかも、SDHCはメモリ当たりの価格が安いので、大容量SSDを安価に入手できる可能性が高い。今回、発売が開始されたばかりのCR-9000を入手できたので、製品の仕様とパフォーマンスをチェックしていこう。

●SDHCスロットにはケースを開けてアクセス

 CR-9000は、2.5インチ9.5mm厚のHDDと同じ大きさで、一般的なSSDと同じ感覚で利用できる。外観はカバーで覆われており、鮮やかな赤いカラーリングがかなり目立つ。

 SDHCスロットの挿入口はカバー内部で、外部からは見えない。したがって、見た目には一般的なSSDのように見える。接続インターフェイスはSATAだ。

 SDHCスロットは、ケースで保護されている基板上に用意されている。ケースは3本のネジを外すことで分解でき、ケースを分解して基板を取り出した上で、別途用意したSDHCを取り付けて利用することになる。これは、SDHCを容易には取り外せないようにして、安全に運用するための措置だと思われる。

基板は赤色の金属ケースで覆われている。接続インターフェイスはSATAだ 9.5mm厚の2.5インチHDDと全く同じ大きさ。一般的なSSDと同じ感覚で利用できる SDHCは、ネジ3本を外してケースを開け、基板を取り出して取り付ける必要がある
基板表面。SDHCスロットが3個とコントローラチップが搭載されている 基板裏面。こちらにもSDHCスロットが3個搭載されている SATAコネクタの左にあるジャンパピンに別途用意したジャンパブロックを取り付けると、SATA1モードでの動作となる
SDカードスロットには1から6までの番号が付けられており、1から順にSDHCを取り付けて利用する必要がある このように、順番を飛ばしてSDHCを取り付けても、飛ばした部分以降は認識されない 重量は、SDHCを6枚取り付けた状態で78.5g(実測値)であった

 SDHCスロットは、基板の表に3個、裏に3個の計6個が用意されている。各SDHCスロットには1から6までの番号が付けられており、用意したSDHCカードは数字の小さなスロットから順に取り付けて利用する。番号を飛ばしてSDHCを取り付けると正常に認識しないので要注意だ。実際に、数字を飛ばしてSDHCを取り付けてみたところ、飛ばした部分以降のSDHCは全く認識されなかった。

 ちなみに、取り付けられているSDHCスロットは、表の3個はプッシュオフ(ノック)式だが、裏の3個はプッシュオフになっていない。SDHCを交換しているときには、ちょっと戸惑ってしまう。

 CR-9000では、取り付けた全SDHCを利用してRAID 0(ストライピング)アレイを構築し、1ドライブとして利用するようになっている。対応するRAIDレベルはRAID 0のみで、その他のRAIDレベルには未対応。また、RAID 0アレイを構築せずに、各SDHCを個別のドライブとして利用することもできない。

 RAID 0アレイの構築には、特に設定作業は必要ない。複数のSDHCを取り付けた段階で、自動的に全SDHCを対象としたRAID 0アレイが構築される。使う側はRAIDに関して全く意識することなく、SDHCを取り付けて使うだけでいいため、初心者でも戸惑わずに利用できる。ただし、再構築されるということは、データが消去されてしまうということなので、注意が必要だ。

 データ転送速度は、読み出し/書き込みともに最大130MB/secとされている。これは、MLCタイプNANDフラッシュメモリを採用する高速なSDHCを6枚利用した場合の値だが、やや速度の遅いMLCタイプNANDフラッシュメモリのSDHCを利用した場合でも、RAID 0の恩恵により、十分高速な速度が実現されると思われる。このあたりは後のテストで検証する。

●対応メディアはSDHCのみ

今回はPanasonic製の32GB SDHC「RP-SDV32G」、東芝製の32GB SDHC「SD-M32G」、Transcendの8GB SDHC「TS8GSDHC6」を使用した

 CR-9000が対応するメディアは、4GB以上のSDHCカードのみとされており、SDメモリーカードはサポートされていない。実際に512MBや1GBのSDメモリーカードを取り付けてみたが、一切認識しなかった。容量が少なく実用性が低いためにSDメモリーカードをサポート対象外にしているだけと思っていたが、実際にはハード的にサポートしていないようだ。余っている古いSDメモリーカードを取り付けて利用できれば活用の幅が拡がったのだが、容量や速度を考えると現実的ではなく、この仕様でも特に問題はないだろう。

 ちなみに、動作確認されているSDHCは、PhotoFast DualCoreSDHC、PATRIOT、NEXS、ChoiceOnly、SanDisk、東芝、A-DATA、GREEN HOUSEと公表されている。もちろん、これ以外のメーカー製SDHCが全く使えないということではないが、SDHC購入時には要注意だ。

 今回筆者は、Panasonic製の32GB SDHC「RP-SDV32G」と東芝製の32GB SDHC「SD-M32G」、Transcendの8GB SDHC「TS8GSDHC6」を用意して試してみたが、どれも正常に利用できた。ただ、Transcend製SDHCは正常動作しないとの注意書きを加えて販売している例もあり、注意が必要だ。筆者としても動作保証はできないので、失敗したくないのであれば、やはり動作確認済みメーカーのSDHCを利用するのが無難だろう。


●差せば差すほど高速化、最速で111.4MB/secを実現

 では、パフォーマンスをチェックしていこう。今回は、Transcendの8GB SDHC「TS8GSDHC6」を6枚用意して試してみた。

テスト環境
CPUCeleron Dual-Core E1200
メモリPC2-6400 DDR2 SDRAM 2GB
マザーボードMSI P35 Platinum
ビデオカードRadeon HD 2400 PRO
OSWindows XP Professional SP3

 TS8GSDHC6は、CLASS 6対応の8GB SDHCだが、販売価格が3,000円前後と非常に安価な製品だ。正確なデータ転送速度は公表されていないものの、CLASS 6対応ということで、読み書きとも6MB/sec以上のデータ転送速度は確保されている。今回は、TS8GSDHC6を1枚ずつ取り付けていき、「CrystalDiskMark 2.1」を利用して速度を検証した。

 まず、1枚だけ取り付けた状態では、シーケンシャルリードが19.9MB/sec、シーケンシャルライトが10.02MB/secであった。1枚のみ取り付けた状態ではRAID 0アレイは構築されないため、この結果がカード本来の速度と考えていいだろう。低価格な製品ながら、まずまずの速度が発揮されていると言える。

 2枚目以降はRAID 0アレイが構築されるため、枚数が増えれば増えるほど速度が向上するはずだが、結果もその通りとなった。多少の誤差はあるが、リード・ライトともに、ほぼ1枚時の速度に搭載枚数を掛けた結果が得られている。6枚搭載時には、シーケンシャルリードで111.4MB/sec、シーケンシャルライトで55.17MB/secと、MLCタイプNANDフラッシュメモリを採用する低価格SSDと比較しても全く遜色のない速度が得られている。当然、より高速なSDHCを利用すれば、さらに速度は伸びるはずだが、TS8GSDHC6を6枚利用した場合の速度も十分高速で、不満を感じることはほぼないと考えていいだろう。

TS8GSDHC6 1枚搭載時:8GB x1 同2枚搭載時:8GB x2=16GB 同3枚搭載時:8GB x3=24GB
同4枚搭載時:8GB x4=32GB 同5枚搭載時:8GB x5=40GB 同6枚搭載時:8GB x6=48GB

【9月11日追記】テスト環境のハードウェアを明記しました。

 ただし、前述したように、取り付けるSDHCを増やすと、PCに接続して電源を入れた段階で全SDHCを対象とした新しいRAID 0アレイが即座に構築されてしまい、それ以前に確保していたデータが全て失われてしまう。そのため、徐々に容量を増やしつつ使おうと考えているなら、新しくSDHCを取り付ける前に、保存しているデータを全て待避させておくことを忘れないでほしい。

 次に、異なるメーカー製のSDHCや異なる容量のSDHCを搭載しても正常に動作するかどうかを試してみた。本来、CR-9000は同メーカー/同容量/同型番の製品しか組み合わせを許していないので動作保証範囲外の実験と考えてほしい。

 まず、異なるメーカーの同様量SDHCを利用した場合だが、今回はPanasonic製の32GB SDHC「RP-SDV32G」と東芝製の32GB SDHC「SD-M32G」を1枚ずつ用意して試したところ、とりあえず動作自体は問題なく、きちんと64GBの容量が確保された。ただし、東芝のSD-M32GはCLASS 4対応のSDHCだったこともあり、それに足を引っ張られて、2枚搭載時でもあまり速度が向上していないことがわかる。やはり同じSDHCで固めた方が、素直に速度が向上し、良い結果が得られるようだ。

パナソニックRP-SDV32G 1枚搭載時:Class 6 32GB x1 東芝SD-M32G 1枚搭載時:Class 4 32GB x1 RP-SDV32G+SD-M32G搭載時:mix32GB x2=64GB

 次に、異なる容量のSDHCを搭載しても利用できるか試してみた。今回は、用意した32GBと8GBのSDHCをいろいろな組み合わせで搭載してみたが、どの場合も(8GB×搭載枚数)分の容量が確保され利用できた。つまり、(一番小さい容量×搭載枚数)分の容量が確保されるというわけだ。この点は、一般的なRAIDと同じ仕組みである。容量の異なるSDHCを組み合わせると、搭載したSDHCの全容量を利用できるわけではなく、ムダが発生してしまうため、魅力は薄い。

 今回はメーカーや容量の異なるSDHCを利用しても動作を確認したが、組み合わせによってはトラブルの発生も十分考えられる。メーカーは、複数のSDHCを取り付けて利用する場合には、同じ容量かつ同じ型番のSDHCを利用するように指示しているが、これはCR-9000に限らず、RAID利用時の基本であり、やはり同じ容量かつ同じ型番のSDHCを使用した方が無難だろう。

異なるメーカーのSDHCでも、容量が同じであれば一応、普通に利用できた しっかり32GB 2枚分の容量が確保されている
容量の異なるSDHCを搭載した場合には、(一番小さい容量×搭載枚数)分の容量のみが確保される 32GBのSDHCを2枚と8GBのSDHCを4枚取り付けても、8GB×6枚分の容量しか確保されない

●コストの魅力は薄らいだが、容易に大容量化できる点は魅力

 CR-9000は、低価格なSDHCを利用して、安価に大容量SSDを実現できる製品として期待されていたが、発表から発売までの間にSSDの価格下落が進んでしまったこともあって、少々魅力が薄らいでしまったように思う。

 今回は、8GBのSDHCを6枚用意し、48GBのSSDを実現してみたが、その場合のコストは、CR-9000が1万円前後(今回の購入価格は9,980円)、8GBのSDHCが6枚で約18,000円なので、トータル3万円弱だった。しかし、MLCタイプNANDフラッシュメモリを利用するSSDは、すでに64GBの製品が4万円前後で販売されている例もあり、CR-9000の価格的な魅力はあまり大きなものではない。

 ただ、CR-9000の場合、組み合わせるSDHCによってコストが大きく変わる。例えば、16GBのSDHCを利用した場合には、価格の面でアドバンテージが出てくる。16GBのSDHCは、CLASS 6対応のものでも安価な製品なら7,000円未満で購入できる。CR-9000と合わせても5万円ほどのコストで96GBのSSDが手に入る計算で、これなら十分価格競争力がある。

 また、32GB SDHCを利用することで、最大192GBという大容量化を実現できるのは魅力だ。32GB SDHCはまだ単価が高く192GBを実現するには、かなりのコストが必要にはなるものの、とにかく大容量のSSDが欲しいという人にとっては、十分な魅力となるはずだ。

 そして、ユーザーが自由に容量を増やせられる点も見逃せないポイントだ。当初は小容量で使い、将来SDHCが安くなった段階で大容量SDHCに交換して大容量化できるのは、CR-9000の大きな利点だ。

 SSDの容量を重視したい人、将来の容量強化を視野に入れたいという人なら、CR-9000は十分購入する価値があると言っていいだろう。

□PhotoFast Japanのホームページ
http://www.photofast.co.jp/
□製品情報
http://www.photofast.co.jp/products/9000.html
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(2008年8月11日)

[Reported by 平澤寿康]


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