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【WWDC 2008レポート】基調講演詳報 後編

世界一斉7月11日に発売となるiPhone 3G

会期:6月9日〜13日(現地時間)

会場:米San Francisco「Moscone Center West」



●対象機種を拡大した「Mobile Me」

Mobile Meのデモを担当したPhil Schiller上級副社長

 前編に続いて、WWDC 2008の基調講演の詳細を紹介する。iPhone 2.0ソフトウェアの紹介をひととおり終え、話題は新サービスとなる「Mobile Me」へと移行した。速報版では、基調講演におけるスライドの記載にあわせて「mobile me」と表記していたが、同社のリリースによると、いずれもMが大文字の表記となっているため、本稿より「Mobile Me」で統一した。

 ジョブズCEOは新しいサービスという表現を使ったが、実質的には既存の「.Mac」を機能拡張し、置き換えるものと位置づけられる。.Macが基本的にMac OSで閉じた環境だったことに対して、同期対象をMac、PC、iPhoneまで拡張し、サービス側からのPush機能を全面的に取り入れたと考えればいいだろう。

 Mobile Meの紹介は、基調講演ではお馴染み、プロダクトマーケティングを担当するPhil Schiller上級副社長によって行なわれた。サービス側からのPush式で、メール、コンタクトリスト、カレンダーなどが自動的に更新、同期される。Mac OS XやiPhoneのアプリケーションでは、Mail.app、アドレスブック、iCal。PCではOutlookが対象となる。

 これまで.Macだったサイトはme.comへと置き換わって、AjaxベースのWeb2.0アプリケーションになる。me.comにはSafari 3やFirefox 2、Internet Explorer 7などのブラウザベースでアクセスするが、あたかもMac OS Xのネイティブアプリケーションであるかのような、使い勝手を実現するという。


me.comドメインに設定したメールを自動的にPush配信。もっとも単純な利用方法 PC上で更新されたカレンダー情報は、Mobile Meを介して自動的にMacやiPhoneにも更新が適用される iPhoneではケーブルをつないだ同期ではなく、ネットワーク接続だけで同期、更新が可能
Mac OS Xでは、Mail.app、アドレスブック、iCalのデータ PCではMicrosoft Outlookに対応する Mobile Meのトップ画面。Ajaxベースの2.0アプリケーションになっており、Safari 3、FireFox 2、Internet Explorer 7などのブラウザで利用する
Mail.app似のメール機能のインターフェース。左上のアイコン表示でWebアプリケーションを切り替える .Macでも用意されていたPhoto Galleryのサービスも新しくなった iPhoneでサーチした地図情報を取り込んで、カレンダーに追加し、Mac上のカレンダーも更新してみせるデモ

 Mobile Meは99ドルの年間契約サービスとなる。日本国内での価格は9,800円(税込み)で米国に比べるとややお得感がある。紹介したPush式の同期のほか、Photo GalleryやiDiskを含めた20GB容量の使用権が含まれる。従来の.Macが同価格で10GBだったことを考えると倍増したことになる。ファミリーアカウントも用意されており、15,600円で上記と同等のマスターアカウントに加えて、5GB容量のサブアカウントが4人分付与される。そのほか、20GB、40GBのストレージ容量を追加購入することが可能だ。

 既存の.Macユーザーには、ほぼ同じタイミングで「.Macメンバーへ重要なお知らせ」というメールが届いており、7月に.MacサービスがMobile Meへ自動的に更新されることが伝えられている。年間契約の残り期限などもそのまま引き継がれる。また所有しているmac.comドメインのメールアドレスには自動的にme.comドメインのメールアドレスが付与され、ユーザーはどちらも任意に利用することができると説明されている。

 新しいMacintoshを購入した際などに利用できた.Macの60日間の無料トライアルなどは、Mobile Meとなっても継続されていくようだ。

 iPodの拡販とともにiTunesがPC対応したことと同じように、iPhoneの購入者には数多くのPCユーザーが見込まれることで、Mobile Meは.Macという名称でMac OSで閉じたサービスからの転換と機能拡張を図ったものととらえることができるだろう。

 Mobile Meのサービスも、この時点では7月初旬のサービス開始(切り替え)とコメントされていたが、iPhone 3Gの発売開始に合わせる形で、ニュースリリース等では7月11日の販売開始(サービスの切り替え)が明記されている。

●iPhone 3G登場。7月11日には22カ国、年内には70カ国で発売を予定

 みたびスティーブ・ジョブズCEOはステージにもどり「iPhoneについて話したい」と切り出した。昨年の6月29日に米国で発売以来、iPhoneはまもなく最初の誕生日を迎える。TIME誌のベストイノベーション製品に選ばれたことや、携帯の革命と称されたことも誇りだが、ユーザーの満足度が高く、製品自体が愛されたことが嬉しいとコメントした。

 スライドによれば満足度は90%。98%がウェブブラウジングを利用し、94%はメールを利用する。SMSも90%が利用していて、10以上の機能を利用しているユーザーが80%に達するという。携帯電話において10以上の機能が頻繁に使われていることは驚くべきことだとジョブズCEOは分析した。

 グラフによれば、これまで約600万台のiPhoneが出荷されている。そのうえで、iPhoneに必要となる次のステップとして、5つの要素を提示した。最初は3Gへの対応、2番目が企業向けの対応、3番目がサードパーティアプリケーションの導入、そして4番目にもっと多くの国々で入手できるようにすること。そして最後の5番目として、iPhoneを買っていない最大の理由は、56%のユーザーがiPhoneを高いと感じている。もっと買いやすくすることが重要とした。

6月29日をもって、iPhoneは発売から1周年をむかえる ユーザーの満足度は90%。ジョブズCEOは特に10以上の機能を日常的に利用しているユーザー比率が80%に達することに、iPhoneの成功を強く意識しているようだ iPhoneは発売からおよそ1年で約600万台の出荷を達成した。Appleとして極めて早期に成功した製品の1つと位置づけた
次なるiPhoneに必要となる5つの要素 iPhoneを購入しなかった理由の56%が「iPhoneは高すぎる」

 そしてジョブズCEOはこれがその答えとして「iPhone 3G」を発表し、スライドを明らかにした。従来は背面の大部分を金属パーツが占めていたが、iPhone 3Gでは黒の全面プラスチック樹脂に変わった。これは後で分かったことだが、3G化とGPSの搭載にともなって利用する周波数帯が増えており、アンテナの数が本体内に増加していることで電波を阻害しないことに効果を上げているという。またGPSのアンテナをカメラレンズ部分の周囲にある金属環にめぐらすなど、本体内にはさまざまな工夫がほどこされているようだ。

 タッチパネルの液晶サイズは変わらない。本体サイズは仕様上は細かな違いがあるが、ほぼ従来モデルと同等とみていい。フチの部分がMacBook Airと同様により薄くしてあるデザインのせいか、スペック以上に薄いという印象を与えることがあるかも知れない。

 会場が沸いたのは、平坦になったヘッドホンジャック部分の処理。従来モデルでは、奥まった位置に配置され、本体に切り込みがあったせいで純正以外のヘッドホンコネクタを差し込むのに皆が苦心していた。筆者もそのためにコネクタの細いJVC製のヘッドホンを専用に所有しているほどで、歓声をあげたくなる気持ちは十分に理解できる。小さな改良点だが満足度は大きい。

スライドに映し出されたiPhone 3Gの背面。背面はプラスチックに変わり、黒色となった 内蔵カメラの部分。200万画素のカメラ機能は従来モデルと同様 上面。フチの部分がより薄くデザインされているのが分かる。ヘッドホンジャックの平坦化についてジョブズCEOがコメントすると会場から歓声が上がった

 続いてジョブズCEOは、3G化にともなうデータ転送の高速化をデモしてみせた。かなり重めのサイトを表示させて、従来モデルにあたるEDGEでは59秒かかるデータ転送が、3Gでは21秒で済むことを、スライドでの録画デモながらきっちりとリアルタイム分の時間をかけて示した。同様のサイトをWi-Fiで表示する場合は17秒という結果も示し、Wi-Fiに匹敵する高速さであるとアピールした。

 3G化にともなうバッテリ持続時間の変化としては、待ち受けは300時間に延長。3Gモードの通話で5時間利用可能。オーディオやビデオ再生は、従来モデルとほぼ同等のスペックとなっている。

 新たに搭載したGPSでより正確な位置情報の取得が可能になった。従来モデルの発売から半年を経た今年1月のアップデートでは、携帯基地局やWi-Fiホットスポットの情報からあいまいながらも自分の位置情報を得ていたが、GPSの搭載でより正確な位置情報を取得できる。デモでは、サンフランシスコ市内にある有名なクネクネ道「Lombard St.」を使って、微妙に左右に振れながら自己の位置を示し、その正確さをアピールして見せた。

 企業向けサポートとApp Storeを使ったサードパーティアプリケションの導入については、前編で紹介したiPhone 2.0ソフトウェアでの対応を簡単におさらいした。

実機ではなくスライド上の画面での比較デモ。従来モデルにあたるEDGEでは59秒かかるデータ転送が、3Gでは21秒で済む このサイトを表示する速さは、Wi-Fiにも匹敵すると示した 他社製3G携帯との比較。これは3G化の成果ではなく、搭載するCPUやOS、アプリケーションに依存する速度差
バッテリ駆動時間は従来製品に比べて、待ち受け時間が250時間から300時間へと向上した。オーディオやビデオ再生は、従来モデルとほぼ同等のスペック GPS機能では、サンフランシスコ市内にある有名なクネクネ道「Lombard St.」で、位置情報が微妙に振れているのを見せ、精度の向上を示した

 そして4番目のポイント、より多くの国で入手可能にするという目標については、7月11日の発売日に22カ国で発売。年内に48カ国を加えて、計70カ国となる見通しを示した。この70カ国の紹介にあたっては、「It's a Small World」を盛大に流しながら、計70国を北米から順に赤く塗りつぶしていくという演出が用いられた。この演奏はフルコーラスに間奏部分のアレンジまで追加する長丁場。会場からは自国がスライドに登場したタイミングで、その国から訪れたと思われるデベロッパーがそれぞれ歓声をあげた。

 紹介は北米から東に向かって行なわれたので、わが日本の登場は最後の70番目。極東という言葉の意味を見つめ直すことにもなったわけだが、会場にも多数を占める日本からのデベロッパー陣が負けじと大きな歓声を上げていたのはこうしたイベントならではの盛り上がりだろう。ちなみに、もっとも大きな歓声が沸き上がっていたのはインド。

 「よりお求めやすくなるように」という価格は既報のとおり、8GBモデルで199ドル。16GBは299ドルの価格設定がなされた。背面が白のiPhone 3Gは、16GBモデルでのみ選択することが出来る。ジョブズCEOの言葉によればこれは世界統一価格に等しいもので、各国の経済基準によってそれ以下となることはあるものの、ほとんどの国では為替レートに準じた価格設定がなされるものと思われる。日本国内における販売条件や、本体価格はまだ明らかにはされていないが、米国での価格を日本円に換算した程度と考えてまず間違いないだろう。

「It's a Small World」の演奏にのせて次々と紹介されていく国々。会場からは手拍子も起こり、自国の紹介になるたびに各国のデベロッパーから歓声が次々にあがった iPhone 3Gを販売する各国キャリアの紹介。日本のソフトバンクモバイルは左下に見える 7月11日に世界一斉発売となるのは、スライドに表示されている22カ国
8GBメモリ搭載で、従来モデルの半額となる199ドルを実現。これは世界統一価格に等しく、ほとんどの国で同等かこれ以下の価格で販売される見通しだ 16GBメモリ搭載モデルは、299ドルと発表された 8GBモデルは黒色だけだが、16GBは黒色と白色から好きな色を選択できる

 iPhone 3Gの発表を最後のトピックとして基調講演は締めくくられ、今回は“One more thing”のアナウンスはなかった。ジョブズCEOは最後にあらためて「この一週間で学ぶことをより充実したものに」と来場したデベロッパーにメッセージを送った、

□Appleのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□WWDC 2008のホームページ
http://developer.apple.com/jp/wwdc/
□関連記事
【6月11日】【WWDC】基調講演詳報 前編
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0611/wwdc02.htm
【6月10日】【WWDC】基調講演速報
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0610/wwdc01.htm

(2008年6月11日)

[Reported by 矢作晃]

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