【COMPUTEX TAIPEI 2008】【SSD編】 MtronとSuper Talentが高性能/高信頼性をアピール
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pqiのコネクタ直挿しSSD |
会期:6月3日~7日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
Taipei International Convention Center
COMPUTEX会場では、DRAMやフラッシュを扱うメーカーの多くがSSDも展示を行なっている。SSDはHDDより、ランダムアクセス性能意外にも、消費電力や騒音の低さ、振動への強さといった理由から、価格はHDDより高いものの、ノートPCの次期主力ストレージとして注目を集めている。
一口にSSDといっても、ブースでは、SATA/PATAインターフェイスでHDDと同じ形状をしたものもあれば、組み込み用としてSATA/PATAコネクタに直付けするものや、フレキシブルケーブルにつなぐもの、親指大で基板むき出しのものなどが十把一絡げに展示されていることが多い。
また、それぞれの製品の性能や仕様などについて明示していない場合が多く、ただ製品ラインナップを紹介し、興味があるなら販売しますよと言う風に見える展示が少なくない。そこには、メーカーとしてもユーザーの興味が増していることは理解しているが、まだ積極的に販売するのには躊躇しているという姿が垣間見える。
実例として、Kingstoneの発表会では、DDR3/2 DIMM、SO-DIMMやUSBメモリの新製品が並べられたが、SSDについては何のアナウンスもなかった。この点について質疑応答で質問が及ぶと「我々もSSDの準備は行なってはいる。しかし、SSDについては業界標準がまだ定められていない点や、信頼性が確保できていないといった点から、まだ市場の様子を見ている段階だ」という答えが返ってきた。
その一方で、製品性能の高さを強くアピールしているのが、秋葉原でも多数の製品が売られるようになったSuper TalentとMtronだ。
Mtronは、大きく分けて「Mobi 1000シリーズ」、「Mobi 3000シリーズ」、「PRO 7000」シリーズの3種類を展示している。PRO 7000シリーズはハイエンドワークステーションやサーバー向け、Mobi 3000シリーズはハイエンドノート/デスクトップ向け、Mobi 1000シリーズはノートPC向けとなっている。
PRO 7000シリーズ、Mobi 3000シリーズは日本でもすでに販売されており(国内での型番はそれぞれMSP 7000、MSD 3000)、Mobi 1000シリーズも5月下旬から出荷が開始されているので、まもなく日本にも登場予定という。
Mtronの2.5/1.8インチ製品 | こちらは3.5インチ製品 |
同社が自分たちだけの機能として優位性を説いているのが、分散書き込みによる耐久性、100MB/secを超えるアクセス性能、そして7bit ECCによる信頼性の高さだ。
フラッシュメモリの素子は、一定回数までしか書き込みができない特性を持っている。そのため一般にSSDはHDDよりも製品寿命が短いという懸念がある。しかし、Mobi 1000シリーズは、50GBの書き込みを毎日行なって28年間以上、Mobi 3000とPRO 7000シリーズは140年以上の寿命を実現しているという。
性能については、Mobi 1000シリーズが読み込み100MB/sec、書き込み40MB/sec(いずれもシーケンシャル)、Mobi 3000シリーズが読み込み100~130MB/sec、書き込み80~120MB/sec(製品によって異なる)、PRO 7000シリーズは読み込み120~130MB/sec、書き込み90~120MB/sec(同)となっており、ハイエンドHDDに勝るとも劣らない。
ECCは全製品で7bitとなっており、2bitや4bitの他社製品に比べ、高い信頼性を確保しているとしている。
価格はMobi 1000シリーズが1.8インチと2.5インチとも、16GBで約150ドル、32GBで240~250ドル、64GBが420ドル前後。現在は128GBまでのラインナップだが、要求に応じて256GBも提供する用意があるという。
Super TalentのMasterDrive MX |
Super Talentは「MasterDrive MX/DX/BX」の3製品を用意。Mtron同様に、動作環境や性能、信頼性などについてきちんとカタログに明記している。いずれのモデルも、書き込み回数は10万回で、平均故障間隔は100万時間以上。
MXはMLCを採用し、価格を抑えたモデル。2.5インチで、容量は8~120GBを用意。インターフェイスはMtronの製品がPATAおよびSATA 1.5Gbpsとなるのに対し、SATA 3Gbpsをサポート。読み込み速度は120MB/secで、書き込み速度は40MB/sec。毎日50GBの書き込みを行なった際の製品寿命は、8GBで4.38年、120GBは65.75年。日本でも発売済みで、120GBで8万円を切る低価格で話題を呼んでいる。レビューもあるので、詳しくはそちらを参照して欲しい。
DXはSLCを採用したハイエンドモデル。2.5インチで、容量は15GB~60GBと最大容量はMXよりも少ないが、読み込み120MB/sec、書き込み速度は70MB/secと、書き込み速度が大幅に向上している。また、毎日50GBの書き込みを行なった際の製品寿命は、15GBで82.19年、60GBで328.7年と、こちらも大幅に伸びている。インターフェイスはSATA 3Gbps。
BXはSLCを採用し、大量かつ頻繁にデータアクセスを行なう用途向けの製品。2.5インチで、容量は8~256GBまで幅広い。読み込み速度は65MB/sec、書き込み速度は50MB/secと他の製品より遅いものの、製品寿命は、同等の条件で8GBが43.8年、256GBはなんと1,402年と桁違いに長いのが特徴。インターフェイスはSATA。
これら高性能な製品に対して、ULCPC(超低価格PC)に特化した製品を出してきたメーカーもある。その1つがSanDiskだ。
同社の「pSSD」はMLCを採用した300ドル前後のULCPC向け製品。基板むき出しで、インターフェイスは40ピンZIF PATA、本体サイズは54×32×3mm(幅×奥行き×高さ)と、完全に組み込み用に設計されている。容量は4/8/16GBの3モデル。読み込み速度は39MB/sec、書き込み速度は17MB/secと、二昔前のHDD程度だが、平均故障間隔は400万時間と長い。
そしてAtomプロセッサでNetbookを強力に推し進めているIntelも、COMPUTEXにあわせてULCPC向けMLC SSD「Z-P230」を発表した。こちらもpSSD同様、40ピンZIFのPATAインターフェイスで、本体サイズは54×38×4mm(同)。容量は4/8GBの2モデルで、第4四半期に16GBも投入される。読み込み速度は35MB/sec、書き込み速度は7MB/sec。
SanDiskの「pSSD」 | こちらはSSDとHDDの中間的存在であるSanDiskの「Vaulter Disk」 | Intelの「Z-P230」 |
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0515/sandisk.htm
(2008年6月9日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]