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【特別レポート】
SanDisk「Vaulter Disk」とは何か?

SanDisk「Vaulter Disk」


 1月のCESで展示されたSanDiskの「Vaulter Disk」。SSDでもなければ、IntelのTurbo Memoryとも違うものだという。今回、SanDiskの担当者へのインタビューを交え、Vaulter Diskとはどんな製品なのかを解き明かしていきたい。

●SSDとTurbo Memory

 Vaulter Diskを解説する前にSSDとTurbo Memoryについて確認しておこう。SSD(Solid State Drive)とは、一般に半導体メモリ、多くはフラッシュメモリを使って作られた外部記憶装置である。コンピュータのメインメモリではなく、外部記憶装置であり、多くの製品は、ソフトウェア的な互換性を保つために、既存のPATAやSATAインターフェイスを持つコントローラを使い、見かけ上、従来のHDDと同様に扱えるようにしてある。

 原理的には、ATAなどの既存のHDDインターフェイスを使う必要はないが、その場合には、デバイスドライバを用意したり、オペレーティングシステムのブートコードを改造するなどの必要がある。このため、SSDと呼ばれる製品の大半は、既存のHDDと同じインターフェイスを持つ。また、HDDの代替品として使われるため、ある程度の高速性が要求される。このため、いわゆるUSBメモリなどは、ブート可能であっても、大容量であってもSSDと呼ぶことはない。

 これに対してIntelのTurbo Memoryは、PCI Expressに接続されたコントローラとフラッシュメモリの組み合わせである。Turbo Memoryは、Windows VistaのReady BoostとReady Driveを使う。Intelのチップセットとの組み合わせでのみ動き、しかも、現時点では、Windows Vistaとの組み合わせでしか動作できない。

 Ready Driveは、不揮発性メモリを内蔵したHybrid HDDを制御する機能で、起動や頻度の高いアプリケーションを不揮発性メモリ側にキャッシュするほか、HDDへの書き込みを不揮発性メモリに対して最初に行なうことで、書き込み時間の短縮と、電源切断などの事故への対応を行なうもの。

 Turbo Memoryは、その容量の半分をReady Boost用とし、残り半分をReady Drive用としている。併用できるHDDに制限はなく、Turbo Memory用のドライバが、HDDに対してHybrid HDDのエミュレーションを行なっているのではないかと想像される。Hybrid HDDは、不揮発性メモリへの読み書きのためのコマンドが追加されているので、これをドライバが解釈してTurbo Memoryを内蔵されている不揮発性メモリのように振る舞わせるのだろう。

SSDは、既存の2.5/1.8インチHDDをそのまま置き換えるように作られている Turbo Memoryは、Intelのチップセットと併用することが前提で、Windows VistaのReady DriveとReady Boostに対応している

●Vaulter Diskとは何か?

SanDisk Director Product Marketing Computing Solutions DevisionのDreet Oren氏

 SanDiskのVaulter Diskは、SSDでもTurbo Memoryでもないという。また、対応できるオペレーティングシステムは、Windows Vistaに限られず、Windows XPでも利用が可能で、「オペレーティングシステム側の標準ドライバのままで動作できる」(SanDisk Director Product Marketing Computing Solutions Devision, Dreet Oren氏)のだという。ただし、このVaulter Diskは、OEMが自社のノートPCなどに装着し、設定を行なった上で出荷する製品であり、単体で販売されるものではない。

 Vaulter Diskは、必ずHDDと併用するものであり、SSDのようにHDDを置き換えるデバイスではない。利用頻度の高いオペレーティングシステムなどの小さなプログラムファイルなどはVaulter Diskが記憶し、ユーザーデータや巨大なアプリケーション本体などは、HDDに記録する。システムやアプリケーションの起動時には、「Vaulter Disk側から読み出しを行なうことで、高速化するものだ」(Oren氏)という。また、Vaulter Diskは、ほとんど読み出し動作のみで、システムなどのアップデート以外では書き込みが行なわれないため、フラッシュメモリを使っていてもその「寿命を心配する必要はほとんどない」(Oren氏)ということだ。

 また、こうした構造であるため、Turbo Memoryのように特定のチップセットを前提にはしていないようだ。

 SanDiskは、すでにSSDを商品化しているが、なぜ、別途Vaulter Diskを製品化する必要があるのだろうか?

 この点については、「SSDはまだ高価で、コンシューマ向けの価格とはいえず、現時点ではエンタープライズ向けの製品になってしまう。Vaulter Diskは、コンシューマ向けの製品で、安価にシステムを高速化するものだ」(同Oren氏)という。まだ、Vaulter Diskは出荷されていないが、製品計画では、8/12/16GBの容量のものがあり、この程度の容量であれば、USBメモリなどの価格を考えるとそれほど高価なものではないだろう。なお、Vaulter Diskで利用しているフラッシュメモリは、シングルレベルセル(SLC)だという。

 Vaulter Diskは、コンシューマ向け製品でありながら、店頭で販売されず、OEM向けに販売されるという点から、PC本体側になんらかの対応が必要なのだと考えられる。おそらくは、BIOSでの対応が必要なのであろう。この点について聞いてみると「Vaulter Disk対応BIOSに関してはPhoenixと提携している」とのこと。

□SanDiskとの提携に関するPhoenixのプレスリリース
http://investor.phoenix.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=293110

 上記のリリースによれば、Phoenixは、SanDiskのSSDとVaulter Diskに関して同社のCore System firmware(BIOS)の最適化を共同で行なうとのことだ。

●Vaulter Diskの構造

こちら側の左側(コネクタ側)にあるデバイスはJMicronのJMB363のように見える。右側の2つはフラッシュメモリだと思われる 右側の空きパターンは、フラッシュメモリ用で、左側のデバイスはフラッシュメモリのコントローラだと思われる

 写真などをみる限り、基板上には、フラッシュメモリとおぼしきデバイスとコントローラらしきデバイスが2つ搭載されている。うち、1つは、SanDiskのデバイスで、もう1つは、JMicronのJMB363のように見える。これは、PCI Express用のSATA/PATAのホストコントローラである。さて、これからは筆者の推測であり、SanDiskから話を聞いたわけではないので区別して読んでいただきたいし、SanDiskへの問い合わせなどもご遠慮いただきたい。

 もし、JMB363だとすると、Vaulter Diskは、システム側からみると、新たなATAホストコントローラにつながった小容量のHDDのように見えるはずだ。SanDiskのコントローラもあり、すべての機能は不明だが、少なくとも、JMB363経由では、ATAデバイスとしてアクセスできる。だとすると、ボックスドライバで動作し、専用ドライバが不要という話もうなずける。

 もちろん、今回撮影した基板はプロトタイプであり、最終的な製品がどのようになるのかはわからないが、少なくともVaulter Diskは小容量のSSDのように動作することができるはずだ。ただし、通常のSSDと違うのは、ATAホストコントローラが含まれていて、インターフェイスがPCI Expressだという点。

 SSDよりも安価になるというのは、容量が小さく、読み出し中心なので必ずしも高速なフラッシュメモリを使う必要がないのが理由だろう。そのほか、コントローラから先になるディスク側の機能もSSDなどに比べると簡易化されている可能性もある。たとえば、ECCの有無やBad Blockの管理アルゴリズムなどである。

 OEM製品とするのは、おそらくは、マザーボード側のATAホストコントローラとの干渉を避け、BIOSをカスタマイズして、Vaulter Disk側のATAホストコントローラを確実にブートデバイスとして認識させるためだろう。そのほか、Windowsのインストールなども通常とは違ってくるだろう。このために、OEM製品とし、ベンダーが確実に検証して、正しくWindowsをインストールして出荷する必要があるのだと思われる。

●TurboMemory、SSDそしてVaulter Disk

 すでに市場には、SSDやTurbo Memoryを搭載した製品が登場している。SSDのものは16GBで4万円弱とまだ高価。Turbo Memoryは原則、OEMが製品に組み込んで提供するものだが、秋葉原などで単体販売を見かけることもあり、4,000円弱と、それほど高価な製品ではないようだ。こちらは、WindowsのReadyBoost、ReadyDriveの機能を使うため、Windows Vistaのインストール後に装着して動作させることできる。ReadyBoostは、対応したUBSメモリなどを装着したのちに動作するし、Ready Driveにしても、あとからHybrid HDDへ交換するなどの可能性は考慮されているからだ。

 Turbo Memoryは、現在のノートPCが広く使うSanta Rosaプラットフォームで対応可能なのだが、一部、性能を疑問視する評価などもあり、搭載製品はそれほど多くない。

 メモリ容量などから推測するに、Vaulter Diskは、価格的にはSSDとTurbo Memoryの間に位置することになると思われる。Turbo Memoryに比較して有る程度の性能が出るようなら、Turbo Memory非採用メーカーがこれを評価して装着する可能性はある。大容量化と低価格化が進むフラッシュメモリの応用例の1つとして、興味ある存在と言えるだろう。

□SanDiskのホームページ(英文)
http://www.sandisk.com/
□製品情報(英文)
http://www.sandisk.com/OEM/ProductCatalog(1389)-Vaulter_Disk.aspx
□関連記事
【1月10日】12GB microSDHCやAVプレーヤー「Sansa View」を紹介
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0110/ces13.htm

(2008年5月15日)

[Reported by 塩田紳二 / Shinji Shioda]

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