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CeBIT 2008現地レポート【AMD編】

AMD、45nmプロセスで製造されたPhenomを初公開
〜CATALYST 8.3で3GPU、4GPUをサポートへ

公開された45nmプロセスルールで製造されたPhenomの300mmウェハ

会期: 3月4日〜9日(現地時間)

会場: 独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe)



 ドイツ・ハノーバーで3月4日(現地時間)に開幕したCeBITの会場において、AMDは記者会見を開催し、「AMD 780チップセット」と「Athlon X2 4850e」の2つの新製品を発表した。さらに、AMDは2008年の第2四半期の終わりに出荷を予定している次世代ノートPC向けプラットフォームの“PUMA”に関する詳細や、CrossFire Xの3/4GPU構成に対応した新しいCATALYST 8.3の詳細、さらには2008年後半にAMDが出荷を予定している45nmプロセスルールのPhenomのウェハなどを公開し、実際に動作する様子をデモしてみせるなど、満載の内容となった。

●D3D10対応GPU、低消費電力、UVDが特徴となるAMD 780チップセット

AMD チップセット事業部担当副社長 フィル・アイズラー氏

 AMD チップセット事業部担当副社長のフィル・アイズラー氏は、同日発表した新しいDirect3D 10対応GPUを内蔵したチップセットとなるAMD 780シリーズについての説明を行なった。

 エスター氏はAMD 780の特徴について「AMD 780には3つの特徴がある。1つはチップセットのプロセスルールとしては最新の55nmプロセスルールを利用して製造することで非常に消費電力が低いこと。2つめはUVDを内蔵することで1080pのフルHDのコンテンツを難なく再生できること。そして最後が、内蔵のGPUが強力で、かつHybird Graphicsで柔軟に3D描画性能を向上させることができる」と述べ、さらに同日世界各地で掲載されたメディアによる評価記事で「統合型チップセットでは現時点で最強」という評価をもらったことなどを紹介した。

 AMD 780の特徴については、すでに本誌では別記事(ニュースベンチマーク)で触れた通りなのでここで繰り返すことはしないが、前世代に比べると内蔵GPUの性能が強化されDirect3D 10に対応したこと、PhenomシリーズでサポートされているHyperTransport 3に対応していること、PCI Express Gen2に対応したこと、対応する外部GPUを挿すと内蔵GPUと組み合わせてマルチGPUとして利用できること、TSMCの55nmプロセスルールを採用することで、性能が上がっているのに消費電力は下がっているという特徴がある。

AMD 780シリーズの特徴 AMD 780シリーズのブロック図

●6月1日以降Vista Premiumを取得するのに必須となるD3D 10に対応した唯一の統合型GPU

 続いてエスター氏は、同社が計測したAMD 780の上位SKUであるAMD 780G/780VとIntelの統合型チップセットであるG35/G33との比較データを公開した。それによれば、3DMark06ではAMD 780GがG35の2.5倍、AMD 780VがG33の3.9倍となっていた。さらに、著名な3Dゲームタイトルでは、「Crysis」のDirect3D 10がG35/33では起動もしなかったのに対してAMD 780Gは27fps、「Call of Duty 4」ではG35が20fps台前半に対してAMD 780Gは44fpsなど、圧倒的に差がついていることを強調した。

 また、エスター氏は実際に「Unreal Tournament 3」を利用したライブデモを公開し、IntelのG35が9fps程度しか出ず実際コマ落ちなどが激しかったのに対して、AMD 780Gは31fpsと充分ゲームをプレイすることができる様子などを公開した。

3DMarkによるG33/G35との比較 3DゲームによるIntel G33/35との比較
Unreal Tournament 3による比較、AMD 780Gはちゃんとゲームになっていたが、G35は激しくコマ落ちしていた

 続いてHybird Graphicsを利用して、外付けGPUを挿した時の性能について語った。「IntelのG35をベースにした場合、AMD 780Gの内蔵GPUはそれだけで2.5倍の描画性能を持つが、Radeon HD 3450を挿せばHybrid Graphicsの機能を利用してAMD 780GとRadeon HD 3450の組み合わせは4.4倍の性能を発揮することになる。これに対してG35では内蔵GPUはOFFになり、Radeon HD 3450の性能で2.9倍の描画性能を実現する」(エスター氏)と、Hybird Graphicsのメリットを強調した。さらに、エスター氏はAMD 780GとG35においてBDを再生するデモを行ない。G35がCPUの負荷が高いのに対して、AMD 780Gでは低いCPU負荷で再生できることなどを公開した。

 エスター氏はプロセスルールと消費電力についても語った。「AMD 780ではトランジスタ数がAMD690の7,200万から2億500万に増えているのに、アイドル時の消費電力はAMD 690の1.4Wから逆に0.95Wに減っている。これはAMD 690が80nmプロセスルールだったのに対して、AMD 780では55nmプロセスルールという最新の製造技術を利用しているためだ」と述べ、最新のプロセスルールを採用することで低消費電力を実現していると強調した。

Hybrid Graphicsを利用したベンチマーク チップセットとプロセスルールの関係。AMD 780Gではトランジスタ数は増えているのに、消費電力は下がっている。最新の55nmプロセスルールを利用した効果

 エスター氏は「本日我々はTDPが45WになるAthlon X2 4850eを発表した。これとAMD 780Gを組み合わせることで、ユーザーはUVDの機能を利用してHDコンテンツを再生している時にもCPUの負荷率を下げることができるので、より静かなPCを実現できる」と話し、同社が同日発表したTDP45WのAthlon X2 4850eとの組み合わせで静かで高い処理能力を持つPCが実現できるとアピールした。

 最後にエスター氏は、マイクロソフトがOEMメーカーなどに提供しているWindows Vistaのロゴプログラムについて触れ「今年の6月1日以降、Vista Premiumのロゴを取得したいベンダーは、自社のPCにDirect3D 10の機能を実装する必要がある。現時点でこれを実際に満たしているのは我々のAMD 780だけだ」と、OEMメーカーにとって重要なVista Premiumを取得するのであれば、AMD 780は最適な選択肢になるだろうと強調した。

Intelプラットフォームとの価格比較、Intelに比べて95ドルも安価に作れるとアピール 6月1日以降、Direct3D 10がVista Premiumロゴの要件になる。AMD 780Gは統合型ながらそれを実現することができる

●3月の終わりから4月頭と5月頃の2段階でPhenomの追加SKUを投入

AMD アドバンスマーケティング担当副社長 パトリック・ムーアヘッド氏

 続いて壇上に登場したのはAMD アドバンスマーケティング担当副社長のパトリック・ムーアヘッド氏で、AMDが今年の第2四半期に投入を予定している開発コードネーム“PUMA”(プーマ)で知られる次世代ノートPCプラットフォームについて語った。

 ムーアヘッド氏は最初に、同社が現在、そして今後計画しているPC向けのプラットフォームなどに関して説明を行なった。ムーアヘッド氏はすでにリリースされた“Spider”(スパイダー)に加えて、今後はPUMA、“Perseus”(パーシアス)、“Cartwheel”(カートウィル)という3つのプラットフォームを計画しているという。Perseusは企業向けプラットフォームで、同社が開発コードネーム“Hardcastle”(ハードキャッスル)で開発を続けている企業向けのセキュリティおよび管理機能と組み合わせて、企業向けに提供される。有り体に言えばAMD版vProということになるだろうか。Cartwheelはコンシューマ向けのプラットフォームになりAMD 780G、Radeon HD 3000シリーズなどと組み合わせて、OEMメーカーに提供される

 ムーアヘッド氏は、今後リリースする予定のこれらの製品について具体的に語った。まず今後数週間の間にPerseusとHardcastleをOEMメーカーに提供していく。その後、Phenomの追加周波数モデルを投入し、その後スライドでは4月頃となっている時期にCartwheelをOEMメーカーに提供を開始。さらにスライドでは4月から5月頃となっている時期にPhenomのさらなる追加周波数モデル、第2四半期の終わりにPUMAを投入するという予定であることを明らかにした。

今後AMDがリリースする予定のプラットフォーム 製品投入のスケジュール、気になるのはPhenomの追加SKUだが…詳細は公表されず

 ややわかりにくい表現だが、少なくとも今月の終わり頃から4月の頭にかけてPhenomの追加モデルを、5月頃にさらなる追加モデルを投入するというロードマップであることがわかる。ムーアヘッド氏は具体的な製品計画について言及を避けたため公式な見解は存在しないのだが、筆者がCeBITの会場でOEMメーカー筋などに取材したところによると、AMDは以下のような製品を計画しているという

第1四半期の終わりから第2四半期の頭にかけて計画されている製品(筆者予想)

  • Phenom 9650(2.3GHz、4コア、3,600MHz HT、TDP 95W)
  • Phenom 9550(2.2GHz、4コア、3,600MHz HT、TDP 95W)
  • Phenom 8600(2.3GHz、3コア、3,600MHz HT、TDP 95W)
  • Phenom 8400(2.1GHz、3コア、3,600MHz HT、TDP 95W)

 Phenom 9650のように、3桁目が5になっているモデルは、新しいB3ステップであることを示しており、最初のPhenomに含まれていたエラッタが修正されたモデルになる。従って、3コアの製品に関しては、従来のB2ステップで出荷されることになる。さらに、第2四半期の半ばには以下のような製品が計画されているという。

第2四半期の半ばに投入が計画されている製品(筆者予想)

  • Phenom 9750(2.4GHz、4コア、4,000MHz HT、TDP 125W)
  • Phenom 9750(2.4GHz、4コア、4,000MHz HT、TDP 95W)
  • Phenom 8750(2.4GHz、3コア、3,600MHz HT、TDP 95W)
  • Phenom 8650(2.3GHz、3コア、3,600MHz HT、TDP 95W)
  • Phenom 8450(2.1GHz、3コア、3,600MHz HT、TDP 95W)

 おそらくムーアヘッド氏はこれらの製品のことを指して、製品の投入があることを明らかにしたのだと思われる。なお、これらの製品計画に関しては筆者が独自に取材したものであり、AMDから公式な見解ではないので、今後も変わる可能性があることをお断りしておく。

●スプリットパワープレーンやPowerXpressの採用により低消費電力を実現するPUMA

 同社の製品投入計画に続いて、ムーア氏はPUMAプラットフォームに関して具体的な計画を明らかにした。「AMDはステップバイステップでノートPC向けプラットフォームを充実させていく計画だ。第1段階としてチップセットベンダとの共同開発、第2段階がATIの買収によるプラットフォームの統合。そしてこのPUMAによるノートPCへの最適化の実現が第3段階となる。そして、2009年のシリコンレベルでの統合が第4段階となる」と述べ、2009年以降に計画されているBobcatなどの統合型プロセッサへ至るステップとして、PUMAは重要な製品になると述べた。

 PUMAはCPUとなるTurion X2 Ultraプロセッサ(開発コードネーム、Griffin)、AMD 780GのノートPC版となるRS780M(開発コードネーム)チップセット、Mobility Radeon HD 3000シリーズ、さらにサードパーティから提供される無線LANモジュールなどから構成されるという。CPUのTurion X2 Ultraプロセッサはスプリットパワープレーンと呼ばれるCPUコア毎に電圧を供給する仕組みを採用し、消費電力をさらに引き下げる仕組みを採用している。

AMDはステップバイステップでモバイルプラットフォームを進化させていく PUMAを構成する要素

 また、Mobility Radeon HD 3000シリーズとRS780Mを組み合わせると、内蔵GPUと外付けGPUをリブートなしに動的に切り替えることができるようになる(PowerXpressと呼ばれている)。ちょうどソニーのVAIO type SZで実現されているような機能が、PUMAプラットフォームで実現される(SZでは切替にはリブートが必要だった)。これにより、バッテリで動作している時には内蔵GPU、ACアダプタで動作している時には外付けGPUを利用し、さらに内蔵GPUをHybirdGraphicsで利用してCrossFireによる3D性能の向上などが実現される。「このPowerXpressにより前世代に比べて4〜5倍の3D描画性能を実現し、かつ、より低消費電力を実現できる」(ムーアヘッド氏)と、PUMAによりAMDのノートPC環境が充実することをアピールした。

 PUMAが投入される第2四半期の終わりといえば、IntelもMontevinaことCentrino2プロセッサテクノロジを投入する時期となる。となると、2008年の後半は両社によるノートPC向けプラットフォームによる熱い戦いが展開されることになりそうだ。

Turion X2 Ultra(Griffin)の構造、スプリットパワープレーンでCPUコアがそれぞれ別の電圧を供給できる PowerXpressの機能を利用すると、リブートなしに内蔵GPUと外付けGPUを切り替えることができる
MSIが開発したPUMAを搭載したノートPC

●CrossFire Xに対応したCATALYST 8.3は5日公開予定、クアッドGPUに対応

AMD セールス&マーケティング担当テクニカルディレクター ジュゼッペ・アマト氏

 続いて壇上に立ったAMD セールス&マーケティング担当テクニカルディレクターのジュゼッペ・アマト氏は、同日リリース予定の新しいGPU用ドライバのCATALYST 8.3について説明した。

 アマト氏によればCATALYST 8.3では、CrossFire Xのブランド名で知られる3GPU、4GPUの機能をサポートするという。「Windows Vista環境において4GPUの機能を実現するのは、Radeon HD 3800シリーズが初めての製品となる」と述べ、ライバルに先駆けて4GPUの機能を実現したことをアピールした。さらに「このCATALYST 8.3により、Radeon HD 3800シリーズのGPUであればどのような組み合わせでも利用できる。こうした柔軟性がCorssFire Xの特徴だ」とのべ、ライバルに比べて柔軟にGPUを増設できる点をアピールした。

Windows Vista環境では初めてのクアッドGPU環境となる Radeon HD 3800シリーズならどのような組み合わせも可である

 また、「ライバルの3GPU構成に比べるとコストパフォーマンスが高いのが1つの特徴と言える。3DMarkでのパフォーマンスあたりの価格で、ライバルの3GPU構成に比べて圧倒的に安価になっている」とも語り、コストパフォーマンスでNVIDIAのSLIを上回っているとアピールした。

 アマト氏によれば、本日(3月5日、おそらく米国時間だと思われる)にCATALYST 8.3がAMDのWebサイトで公開され、CrossFire Xのサポートの他、Hybird CrossFire、Direct3D 10.1、Unreal 3.0エンジンでのアンチエイリアシングサポート、Windows VistaでのHydraVision機能の追加などが追加されるという。Radeon HDシリーズのユーザーであれば、今晩あたりAMDのWebサイトは要注目と言えるだろう。

NVIDIAの3枚構成に比べて高いコストパフォーマンスを実現 CATALYST 8.3の機能を説明するスライド。Direct3D 10.1への対応なども追加される(Windows Vista SP1が必要)

●45nmプロセスルールのPhenomのウェハと実際に動いているデモを公開

AMD テクノロジー&インテグレーションディレクター デビット・グリーンロウ氏

 最後に登壇したAMDのテクノロジー&インテグレーションディレクターのデビット・グリーンロウ氏とプラットフォームマーケティングのレスリー・ソボン氏は、AMDが2008年後半に製品を投入する予定の45nmプロセスルールについて説明を行なった。

 AMDの45nmプロセスルールはIBMと共同開発が進められている技術で、AMDがドイツのドレスデンに持つFab36と、Fab30を改装して作られるFab38で製造される。すでにFab36では45nmプロセスルールのラインが作られており、2008年の後半には製品版のウェハを製造できるようになる見通しだという。

 グリーンロウ氏はIntelが盛んにメリットを訴えるHigh-kについて触れ「確かにHigh-kは特にリーク電流の低減でメリットがある。しかし、我々の45nmはそれを導入しなくても充分低消費電力を実現している。このため、我々は45nmではHigh-kはオプションにしており、必要があれば45nm世代の途中で導入する計画だ」と述べ、High-Kの導入がなくても充分Intelに対抗できるという見通しを明らかにした。なお、32nmプロセスルールではHigh-kを導入する予定だということだ。

AMDの45nmプロセスルールを説明するスライド。20%のパフォーマンスアップが期待できる Fab36とFab38の現状を説明するスライド

 ソボン氏はすでにFab36のテストラインで生産された45nmプロセスルールに基づいて生産された300mmのウェハを公開し「このウェハは45nmプロセスルールのPhenomプロセッサだ。周波数が向上し、HTリンクのスピードが上がり、L3キャッシュは6MBまで増やされている」と話し、実際にそのダイのCPUを利用してWindowsでエンコードする様子などを公開した。

 よくいわれているように、IntelとAMDの間ではマイクロアーキテクチャの設計では互角かそれ以上の戦いを繰り広げているものの、製造技術に関してはIntelが先行しているという現状がある。例えば、65nmプロセスルールに関してはIntelが2005年の末には製品を出荷できていたのに、AMDが出荷できるようになったのは2007年に入ってからだった。このため、製造技術でIntelとの差を縮めることがAMDにとっての急務だった訳だが、今回のCeBITでこれまでよりも早く、製造技術でIntelに追いつきつつあることを示せたことは、AMDにとって大きな意味があると言えるのではないだろうか。

AMD プラットフォームマーケティング レスリー・ソボン氏、手に持つのはPhenomの45nm版ウェハ 実際に動作している45nmプロセスルール版Phenom

□CeBITのホームページ(英文)
http://www.cebit.de/
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0304/ubiq210.htm

(2008年3月5日)

[Reported by 笠原一輝]

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