パナソニックのモバイルノートPC「Let'snote」シリーズの2008年春モデルが発表され、全モデルともリニューアルとなった。 2008年春モデルでは、本体デザインや基本仕様は2007年冬モデルをベースとして、CPUやHDDなどの一部スペックが強化されている。そして、2007年冬モデルより投入された、Panasonic PC直販サイト「マイレッツ倶楽部」の限定モデル「Let'snote R7 プレミアムエディション」も、同様にスペックを強化。さらに、天板カラーも追加され、より魅力が高まっている。 ●限定100台の「プロミネントレッド」など3色を追加 Let'snote R7 プレミアムエディション(以下プレミアムエディション)は、通常モデルと比較して高スペックになっているだけでなく、外装部に加えキーボードやホイールパッド内部までも「ジェットブラック」と呼ばれるつや消しの黒で塗装されている。シルバーを基調とする一般的なLet'snoteシリーズとは一味違う、高級感のある落ち着いたイメージが印象的だ。そのプレミアムエディションに、2008年春モデルでは新たに3色の新色が追加されることになった。 今回追加されたのは、表面を光沢加工した黒の「スパークリングブラック」、青の「ミッドナイトブルー」、そして赤の「プロミネントレッド」の3色。このうちプロミネントレッドについては、限定100台のみとされており、まさに“超”プレミアムモデルと言っていいだろう。この新色が塗装されるのは天板部分のみとなり、ボディ全体が同じ色で塗装されるわけではない。基本的には、ジェットブラックモデルをベースに天板のみを交換したもので、通常モデルのマイレッツ倶楽部モデルで天板カラーを選択できるのと同じと考えていい。 今回試用したのはプロミネントレッドモデルだったが、表面が光沢加工されていることもあって、ぱっと見ただけでも非常に鮮やかな印象を受ける。とはいえ、キーボード面などは従来のジェットブラックモデル同様の黒となっていることもあってか、派手すぎるということはない。そして、その赤と黒との対比がすばらしく、高級外車のような雰囲気を醸し出している。これなら男性が持ったとしても全く違和感を感じることはない。 ところで、このプロミネントレッドは、プレミアムの名に負けない質感を出すために、塗料から新たに開発したそうだ。しかも、その塗料を複数回塗布するとともに、最終段階では全て手作業で研磨され仕上げられている。そういったこともあって大量生産が行なえず、限定100台しか用意されない。おそらく、このプロミネントレッドモデルは激しい争奪戦が必至と思われるので、手に入れたいと思ったなら、早々に予約を入れるべきだろう。
●スペック面もプロミネントレッドモデルは若干差別化されている 基本スペックは、従来のプレミアムエディションをベースとして、CPUの強化とメモリ搭載量の強化が実現されている。 まず、搭載CPUは超低電圧版Core 2 Duo U7700(1.33GHz動作)を採用し、従来モデルのCore 2 Duo U7600からワンランクアップとなっている。また、メモリ搭載量は標準で1GBをオンボードと、基本的に変更はないが、プロミネントレッドモデルのみ標準で最大限となる2GB(オンボード1GB+1GB増設)が搭載される。プロミネントレッドモデルでは、仕様面でも他のプレミアムエディションと差が付けられているわけだ。 そのほかの仕様は従来モデルとほぼ同じで、チップセットはIntel GM965 Express(ビデオ機能内蔵)、HDDは250GB、Windows VistaモデルではIntel Turbo Memoryも搭載される。他の通常モデルでは選択できない250GBのHDDが搭載される点は魅力が大きいが、残念ながらSSDの採用は見送られている。現在のSSDはまだ容量が少ないものの、重量やバッテリ駆動時間などの面で有利になるのも事実なので、さらなる“プレミアム”を追求するためにSSDの採用も今後実現してもらいたいところだ。 基本スペックだけでなく、その他の仕様も従来モデルをそのまま踏襲している。本体稼働中の76cmの高さからの落下(底面)と、本体非動作時の30cmの高さからの落下(26方向)に対する耐衝撃性、100kgfの圧力振動に対する耐圧性、そして全面防滴仕様のキーボードを採用することによる防滴性などの、“タフさ”と呼ばれている高い堅牢性に変更はない。また、天板部分のボンネット構造や、本体周囲の端子類の配置、冷却用の空冷ファンが搭載される点も従来モデルと全く同じだ。 本体サイズや重量も従来モデルと全く変わらないが、プロミネントレッドモデルのみ10g重い約950gとなっている。これは標準で1GBのメモリモジュールが搭載されているためで、塗装天板が特に重いというわけではない。
●液晶もXGA表示対応の10.4型液晶と従来同様 液晶パネルも従来同様1,024×768ドット(XGA)表示対応の10.4型となる。ところでLet'snoteシリーズでは、頑なにアスペクト比4:3の液晶パネルを採用し続けているが、ワイド液晶の採用もそろそろ視野に入れていいのではないかと思う。 確かにLet'snoteシリーズはビジネスシーンでの利用がメインターゲットではあるが、ビジネスシーンでもワイド液晶は便利に活用できるし、ホビー用途へもより柔軟に対応できるようになる。もちろん、全モデルをワイド液晶に移行させる必要はないと思うが、プレミアムエディションなどの一部モデルのみでワイド液晶を採用するというのは、ユーザー層を拡げるという点でも十分アリだと思う。 Let'snoteシリーズは、仕様面がほぼ完成されていることもあり、新モデルの登場時にはスペック面がどれだけ強化されたか、という部分にのみ注目されることが多いように思う。もちろん、現在の仕様が多くのユーザーに支持されているからこその対応ということもよくわかる。とはいえ、従来とは違う新しさがなかなか感じられないのも事実。Let'snoteシリーズに新しい風を吹き込むという意味でも、今後のワイド液晶モデルの投入を筆者は期待したい。
●バッテリ駆動時間は約7~7.5時間 バッテリ駆動時間は、従来モデルが約7時間であったのに対し、約7.5時間へと若干ながら延長されている。これは、搭載されるパーツの省電力性能が向上したためと思われるが、スペックが向上しているにも関わらず若干バッテリ駆動時間が延長されたことは歓迎したい。ただし、プロミネントレッドモデルでは従来同様約7時間となる。これは標準で1GBのメモリモジュールが搭載されているからだろう。また、Windows XPモデルも約7時間だが、これはOSレベルでの省電力機能の違いによるものだ。それでも、CPUがパワーアップされていることを考えると十分満足できると言える。 ACアダプタも従来モデルと同じで、非常に小型のものが採用されている。筆者が利用している「Let's note T4」に付属しているACアダプタよりも若干小型で、携帯性は申し分ない。
●他人とは違うR7が欲しい人におすすめ では、いつものようにベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したソフトは、Futuremarkの「PCMark05 (Build 1.2.0)」と「3DMark05(Bulid 1.3.0)」、「3DMark06(Build 1.1.0)」の3種類。Windows Vistaに用意されているパフォーマンス評価の結果も加えてある。
【表】ベンチマーク結果
結果を見ると、CPU強化分に見合ったパフォーマンス向上が確認できる。2007年冬モデルのLet'snote T7と比較すると、PCMark05のHDD Scoreが大幅にアップしているが、これはR7プロミネントレッドモデルにIntel Turbo Memoryが搭載されているからだ。もちろん、HDDアクセス時には体感的な差も感じられるとは思うが、この点は数字ほどのパフォーマンス差はないと考えていい。そういった意味では、Windows Vistaパフォーマンス評価の結果の違いが、実際のパフォーマンス差に近いと考えていいだろう。 2008年春モデルのLet'snoteは、今回取り上げたR7 プレミアムエディションだけでなく、市販モデル、マイレッツ倶楽部通常モデルとも、全シリーズでCPUの強化が行なわれているものの、基本的な仕様は従来と全く変わらず、マイナーバージョンアップにとどまっている。そのため、新モデルとはいってもあまり新鮮なイメージは伝わってこない。 そういった中で、プレミアムエディションに新色が追加されているという点は、数少ないトピックの1つだ。特に100台限定のプロミネントレッドモデルは、見た目に鮮やかかつ高級感があり、従来のR7シリーズにはない存在感があり、かなり物欲を刺激させられる。常に持ち歩くマシンを探している人はもちろん、他人に自慢できるモバイルノートを探している人にもおすすめしたい。100台限定なので入手はかなり困難だと思われるが、その苦労に見合う満足感が得られることは間違いないだろう。
□パナソニックのホームページ (2008年1月29日) [Reported by 平澤寿康]
【PC Watchホームページ】
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