2008 International CESレポート【UMPC/MID編】
MenlowプラットフォームのUMPCやMIDが多数展示
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Menlowプラットフォームを形成する「Slverthorne」と「Poulsbo」の実物もIntelブースで展示された |
会場:Las Vegas Convention Center
Sands Expo and Convention Center/The Venetian
会期:1月7日~10日
今年のInternational CESにおける中心的話題の1つがUMPCである。Intelが基調講演でMenlowプラットフォームをアピールしたほか、同社ブースには数多くのUMPCやMID(Moblie Internet Device)が展示されている。また、Menlow以外のプラットフォームを採用したUMPC/MIDも会場内には多く展示されており、この分野の発展が期待できる状況だ。
●Menlowプラットフォームの製品群
International CESのIntelブースでは、一角にUMPCコーナーが設けられ、数多くのMenlowプラットフォーム製品が展示された。このコーナーでは詳しい仕様を聞けなかった製品が多いが、まずは、これらMenlowプラットフォームを採用した製品をお伝えしたい。
中国aigoのMIDは、Menlowを採用したハードウェアにLinuxベースの独自UIを搭載したMID。5型前後と見られるタッチパネル式液晶を用いたUIを採用している。液晶部分をスライドさせてQWERTYキーボードを利用でき、文字入力も用意だ。UIを見る限り、BluetoothとWi-Fiを搭載し、Webブラウザ、RSSリーダー、メーラー、PDFリーダー、メディアプレーヤー、オフィスアプリケーションなどがプリインストールされている。
このほか、同じハードウェアを用いたGIGABYTE製MIDも展示されている。こちらもOSはLinuxベースの独自UIを採用している。
aigoのMID。Linuxベースの独自UIを採用しており、トップメニュー画面にはiPhone風のアイコンが並ぶ。液晶をスライドさせることでQWERTYキーボードを利用可能なほか、液晶右上部にはカメラも備えている | aigo製品とまったく同じハードウェアを利用している、GIGABYTE製のMID。aigo製品とソフトウェアは異なるものの、やはり独自UIを採用している |
ASUSTeKは同社ブースでUMPC「R50A」を展示。1.3GHzのSilverthorne、1GBメモリを搭載。液晶サイズは5.6型で解像度は1,024×600ドット(WSVGA)。Windows Vista Home Premiumをプリインストールしており、タッチスクリーンによる操作が可能。そのほか、GPSユニット、Webカメラ、指紋リーダー、Bluetooth、802.11g/b無線LANなどを搭載している。
ASUSTeKが展示したUMPC「R50A」。5.6型WSVGA液晶を搭載。Windows Vista Home Basicが動作する | 本体背面にWebカメラ、側面にUSB端子を備える。カバーで覆われているのは電源端子 |
カーナビゲーションなどを発売するClarion製のMID「MiND」も展示された。本製品に関しては、Clarionの自社ブースでも大きく取り上げられており、現在はプロトタイプであるとはしたものの、9月の発売を目指しているという。1.33GHz動作のSilverthorneと256MBのメモリを搭載。液晶サイズは5.2型で800×480ドット(WVGA)の解像度。BluetoothやWi-Fiを搭載する。ただし、ハードウェアスペックは確定ではないそうで、発売までに変更される可能性もある。
Linuxベースの独自UIを採用しており、ブラウザやメディアプレイヤー、PDFリーダー、インスタントメッセンジャー。そして、カーナビメーカーらしくGPSソフトもメインメニューから選択できるようになっている。メインメニューは、タッチスクリーンを左右になぞることで次々に表示アイコンがスクロールしていく仕組み。
ClarionのMenlowベースMID「MiND」。Linuxベースの独自UIを採用している | 5.2型液晶のタッチスクリーンを左右になぞことでメニューがスクロールする |
上部には電源スイッチのほか、microSDカードスロットを装備 | 右側面にはUSB×2とヘッドフォン出力を備えている |
EBのMIDも液晶スライド式。4.8型WSVGA液晶がスライドする |
EBのMIDは、左右の操作ボタンやスピーカー部はそのままに、中央部の液晶のみがスライドし、下からQWERTYキーボードが表れる形状。4.8型WSVGA液晶、IEEE 802.11g/b無線LAN、Bluetoothを搭載。Linuxベースの独自UIとなる。
MTECのUMPCはOSにWindows XP Home Editionを搭載。CPUや液晶サイズなどのスペックは不明だが、形状はEBのMIDに近く、やはり液晶がスライドすることでQWERTYキーボードが姿を表す仕組み。本体右側面にUSB×2のほか、Bluetooth、Wi-Fiのマークがついたスイッチ。本体上部にはCFスロットを備えていた。
MTECのUMPC。液晶は5型弱程度と見られるが、その上でWindows XP Home Editionが動作している。液晶上部には130万画素Webカメラを搭載 | 本体右側面にはUSB 2.0×2を装備。上部にはコンパクトフラッシュスロットも搭載している |
Lenovoは4.8型液晶と独自のLinuxベースUIを搭載したMIDを展示。UIは黒と赤を基調としたもので、他社の独自UIに比べるとフォーマルな印象を受けるデザインが印象的だ。液晶脇にはWebカメラも備えている。キーボードは携帯電話風の10キーボードが採用されている。
独自UIを採用するLenovoのMID。タッチスクリーンで操作可能 | 携帯電話と同じ入力方式の10キーボードを液晶脇に備えている |
LG電子はIntelブースおよび自社ブースでUMPCを展示。1.33GHz動作のSlverthorneを搭載しており、液晶は4.8型WSVGA液晶を搭載。本体サイズ/重量は148.4×92×29.2mm(幅×奥行き×高さ)/590gとなっている。OSはWindows Vista Home Premium。
そのほかのスペックはメモリが1GB、HDDが40GB、Wi-Fi/Bluetoothを搭載するほかHSDPAも搭載可能としている。
LG電子のUMPC。液晶がスライドすることでQWERTYキーボードや、タッチパッドが利用できる。液晶はタッチスクリーン式で、解像度はWSVGAとのことだが、展示機はドライバの問題かXGA解像度に設定されていた | 本体右側面にUSBとヘッドホン出力を装備。ストラップでつながっているのは、アンテナのように伸び縮みしてキャップに収納できるスタイラスペン |
本体左側面にもUSB端子を備えている | 本体上部にはSDカードスロットを備える |
●Menlow以外のプラットフォームを採用したUMPC
VIAのC7や、AMDのGeodeなどを利用した、Menlow以外のプラットフォームを利用したUMPCも、CES会場内では多数展示されている。ここでは、そうした製品の中から気になったものをピックアップして紹介したい。
Hanbit Americaが展示を行った「Hanbit Pad」は、AMDのGeode LX800を使用したUMPC。同社では2年前にLinuxを採用UMPCを発売しているそうで、そのWindows XP版と位置付けている。メモリは1GBで、HDDは1.8インチに対応。容量はディストリビュータに合わせてカスタマイズするとしている。
タッチスクリーン式7型WVGA液晶の両脇に、QWERTYキーボードを分散配置。液晶の右側にはホイールも備えているほか、ステレオスピーカーも内蔵。本体サイズは290×147×23mm(同)、重量は990gと、UMPCとしてはやや重い部類に入る。バッテリ駆動時間は3時間としている。
ワイヤレス機能はIEEE 802.11g/b無線LAN、Bluetoothのほか、TVのリモコンアプリケーションと組み合わせて使う赤外線ポートも装備。30万画素Webカメラも内蔵している。発売は1月末を予定しており、価格は599ドル前後を見込んでいるという。
Hanbit Americaが展示した7型液晶搭載UMPC「Hanbit Pad」。AMD Geodeを使用した製品で、展示機にはWindows XP Home Editionがインストールされていた | 本体左側面にUSB×2、音声入出力を装備。本体上部には赤外線ポートを備え、TVリモコンなどにも利用できる | ピンク、白、黒の3色のラインナップを用意。液晶は縦位置でも利用することができる |
韓国KAONMEDIAが展示した「KAON MOBILE」は、Windows CEを使用したもの。UMPCと呼ぶには、やや家電的な色合いが強い製品であるが、SDIOの無線LANを装着してインターネット接続ができるほか、Windows CE向けアプリケーションを内蔵HDD(30GBまたは60GB)にインストールできるなど、PCのように利用することができるデバイスだ。DMB-Tに対応したTVチューナを内蔵しており、単体でTV視聴が可能な点も売りの1つ。
Texas InstrumentsのARM9プロセッサを搭載しており、OSはWindows Vista風のスキンへ変更したWindows CE 4.0を採用。4.8型WVGA液晶を搭載する。液晶をスライドさせることでQWERTYキーが利用できる。バッテリ駆動時間は5時間としている。価格は1,000個ロットで300ドル程度。今月中にも韓国で発売するほか、米国、欧州でも早い時期に出荷するとしているが、残念ながら日本への出荷は予定されていない。
韓国KAONMEDIAが展示した、ARM9+Windows CEベースのUMPC「KAON MOBILE」。液晶はスライドしたうえ、傾けて利用することもできる | 右側面にSDカードスロットを備えており、SDIOの無線LANカードを組み合わせてインターネット接続も可能 |
韓国M.S.C. technologyが開発した「MiPC」は、RMIのAlchemy Au1200を搭載するUMPC。480×272ドットの4.8型液晶を中心とした機器。画面解像度は展示機のもので、製品化に際してはWVGAへ変更する予定とのこと。
128MBのDDR SDRAMと30GB HDDを内蔵するほか、130万画素Webカメラを背面に装備。無線LANは実装しておらずSDIOでのサポートとなるが、次期モデルでの搭載は検討しているとのこと。Bluetoothを内蔵し、キーボードやヘッドセット接続などに利用できる。また、この手の製品にしては珍しく有線LAN機能が内蔵されており、側面の独自コネクタに接続するとポートが提供される仕組みになっている。この独自コネクタは本来はTV出力用で、やはり変換ケーブルを介して出力が可能となる。
本体サイズは145×83×30mm(同)、重量は245g。バッテリ駆動時間はビデオ再生のみに利用した場合で6時間を超えるとする。
OSはWindows CE 5.0を採用。オフィス系アプリケーション、オープンソースのファイル管理ソフトやメディアプレーヤーなど、“Windows標準機能よりも機能の豊富なソフトウェア”(ブーススタッフ)をあらかじめ提供しているのが特徴。各種アイコンもWindows Vista風にアレンジしている。また、GAPIドライバを利用したメディアプレーヤーの再生アクセラレーションや、FPSゲーム「Quake 2」の動作デモなども実施していた。
現在は韓国と米国での発売が決定しており、米国における価格は699ドル。日本への出荷に対しても意欲的で、現在代理店を探しているところだという。その意欲の表れか、ブースには日本で利用可能なUSB接続のワンセグチューナも展示されている。
韓国M.S.C. technologyが開発した「MiPC」。Windows CE機であるがアイコンをWindows Vista風にしているそうで、Windows Vistaの壁紙を表示して遊んでいた | 右側面にSDカードスロットを装備。SDIOにも対応しており、無線LANはこちらでサポートされる | 本体右側面には有線LANポートまたはTV出力に利用する拡張端子と、USB端子を備える |
本体上部にもUSB端子を装備。また、内蔵のWebカメラと合わせて利用する内蔵マイクも上部に備えている。液晶はタッチスクリーン対応で、収納可能なスタイラスも付属する | キーボードはBluetoothまたはUSB接続による外付け。キーボード右上にあるのは、日本対応のUSB接続ワンセグチューナ | 手書き文字認識にも対応しており、Word系ソフトウェアに手書きで文字を入力するデモを実施していた |
□2008 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
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(2008年1月11日)
[Reported by 多和田新也]