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2008 International CESレポート【PCパーツ編】

冷却関連製品の展示が目立つCES会場
~SilverStoneが5インチベイ用SideShowデバイスを展示

システムビルダーであるTycridが展示したデュアルXeon E5335搭載機のサンプル。2個のXeonと6枚のGeForce 8800 GTSを、3台のCooliIT製水冷キットで冷却している。2.1TFLOPSの性能を持つコンピュータになっているが、今後は同様のコンセプトで4TFLOPSを目指すとのこと

会場:Las Vegas Convention Center
    Sands Expo and Convention Center/The Venetian

会期:1月7日~10日


 基本的に家電ショーであるInternational CESにおいて主役の存在ではないPC関連製品。しかし、会場内にはPCに関連した製品も非常に多い。さらには、PCパーツも存在する。PCパーツで目立つのは冷却関連製品が多い点で、コンシューマの重要なPCユーセージであるゲーム用途を意識した部分があるようだ。ここでは、そうした冷却製品を中心としたPCパーツの展示物を紹介する。



●Arctic CoolingがファンレスGeForce 8800 GTのSLI構成をデモ

 Arctic Coolingのブースでは、同社がこの2カ月以内に出荷を予定している新製品が複数展示された。

 GeForce 8800、Radeon HD 2900 XTに対応するGPUクーラー「Accelero Xtreme」は、3連ファンによる見た目のインパクトの大きい製品。実は昨年のCebitに参考出展されたもので、ようやく今月にも出荷が開始される予定となった。参考出展の段階では、単にパフォーマンスをアピールするに留まっていたが、製品化にあたっては静音性も強くアピールされた。

 担当者によると“ファンが3つあるので回転数を下げても冷却性能が維持される”とする。現在のビデオカードはPWMによるファンコントロールを実装しているので、必要のないときは回転数を1,500rpmへダウン。最大でも2,000rpmに留めることで、静音性を維持する方向性にしたとのことだ。同社製品はノイズレベルの表記にSone(ソン)値を用いているが、本製品は0.7sone。GeForce 8800リファレンスクーラーは1.1Sone、Radeon HD 2900 XTは2.2soneになるという。パフォーマンスについてもリファレンスクーラーに対してGPUの温度を20度程度下げるとしている。

 「Arctic RC」は2月の発売が予定されているメモリクーラーで、Corsair MemoryのXMSシリーズで見られるような剣山のようなフィンが印象的な製品だ。このフィンは約45度の角度でひねられている。これは、CPUクーラーから発生した空気は垂直ではなく渦を巻くように流れるので、この形状のほうがフィンの隙間を流れやすいのだという。

80mm角ファンを3個搭載するGPUクーラー「Accelero Xtreme」。回転数を落としても冷却性能が維持できるのを売りとした GeForce 8800用(左)とRadeon HD 2900用(右)をラインナップ。ヒートシンクは2個に分かれており、間を5本のヒートパイプでつなぐ構成にすることで、VRMやメモリへも空気が流れやすくなる 剣山状のフィンを持つメモリクーラー「Arctic RC」。フィンを45度ねじることで、CPUクーラーから発生した空気が流れやすいようになっている

 「Freezer Xtreme」は、8本のヒートパイプと226枚のフィンを組み合わせた大型CPUクーラーである。この製品も昨年のCebitにおいてプロトタイプの展示が行なわれたものだが、3月を予定している製品化にあたって下方向のフィンの一部が短くされた。これは、チップセット用ヒートシンクとの干渉を発生しにくくするためで、マザーボードから45mmの高さを確保したとのこと。また、ヒートシンクによってサンドイッチされた形状になっている120mm角ファンは下部がヒートシンクがはみ出すようになっており、ここから漏れた空気によってVRM部の冷却を行なう仕組みだ。また、LGA775の利用においてはオリジナルのプッシュピンを用いて固定するので取り付けやすいとしている。

 このほか、ケースの新製品として「Silentium T ECO 80シリーズ」の展示が行なわれ、この製品はデモも実施されていた。同製品は共通のシャーシで外観のみ変更したSilentium T1~T5の5製品がラインナップされており、このうちSilentium T2 ECO 80がデモで利用されており、同社のファンレスGPUクーラーへ交換したGeForce 8800 GTを2枚搭載したうえでファンレス駆動させていた。これでもGPU温度は摂氏55度以下にキープされている。ケースに搭載されたファンは、後方上部にある80mm角の排気用ファン2個のみで、あとはCPUクーラーの120mm角ファン、電源の80mm角ファンがあるのみ。シンプルな構成ながら、発熱対策が話題となっているGeForce 8800 GTを、現実的な温度でファンレス駆動させているのは興味深いデモといえる。

8本のヒートパイプと226枚のフィンを使った大型CPUクーラー「Freezer Xtreme」。チップセットヒートシンクとの干渉を防ぐようヒートシンクを削っている点や、VRMを冷却するためにファンが下方向にはみ出す点に特徴がある ケース製品である「Silentium T2 ECO 80」の空気の流れを示したデモ。Core 2 Duo E6600とGeForce 8800 GT×2枚の構成が動作している 3D描画を行っていない状態ではあるもののGPU温度は摂氏55度以下を維持している

●クーラーマスターはCOSMOSの新製品を展示

 クーラーマスターのブースでは、同社がすでに発売している高冷却効率ケース「COSMOS」の派生モデルとなる、「COSMOS Type.S」が展示された。発売は2月下旬を予定。

 電源を下部に置いているほか、天井にファンを持つ点などは現行のCOSMOSと共通。しかし、5インチ/3.5インチベイの区画をなくした前面部のシャシー変更や、前面部のカバーをなくしメッシュ状パネルへ変更、電源スイッチのタッチセンサー化、天板部に設けられたフロントアクセスインターフェイスにカバーを設けた点など、変更点は非常に多い。前面部の形状変更についてブーススタッフは、“ケーブルマネージメントを行ないやすくした”と述べており、フロントアクセスインターフェイス用ケーブルもケースの裏を通せる工夫がなされている。

クーラーマスターが展示した「COSMOS Type.S」。内部シャシーは、とくに前面部に大きな変更が加えられ、5インチベイと3.5インチベイの区切りがない構造になった 天板部に用意されたタッチセンサー式の電源スイッチと、カバーが備わったフロントアクセスインターフェイス ケーブルマネージメントを行ないやすくしている点もアピールしている

 このほか、CPUクーラーは製品化が決まった2製品と、プロトタイプ1製品が展示されている。「V10」は3月の発売が予定されているCPUクーラーで2個の120mm角ファンを備える。かなり独特な形状だが、この形状とファンの角度の工夫によりCPU、VRM、メモリ、チップセットのすべてを、これ1個で冷却できるのを売りとしている。発売は3月を予定。

 5月の発売を目指しているという「V8」は、V10に比べると小型に見えるものの、ヒートシンク中央に120mm角を挟んだ大型のCPUクーラー。ヒートシンクは熱伝導の効率を上げるため、1つあたりをそれほど大きくせずに4つのユニットに分離しているのが特徴。

 また、V8に近いフォルムを持つプロトタイプとして、120mm角ファン2個を挟み込んだ、超大型クーラーも展示。両側のヒートシンクは2個に分離して間を離すことで、メモリなどへ空気を送りやすくしているそうだ。こちらの発売日などは未定。

独特の形状をしたCPUクーラー「V10」。写真手前にせり出している部分をメモリの上部に合わせて取り付ける V10の裏面。このクーラー1台で、CPU、メモリ、VRM、チップセットの4つのコンポーネントを冷却できるという
120mm角ファンを内部に挟み込んだ「V8」。ヒートシンクは四つのユニットに分かれている 写真左が120mm角ファン2個を挟んだプロトタイプモデル。右のV8と比べても大きさは際立っている。中央部のフィンだけで8本、計16本のヒートパイプを利用したモンスターCPUクーラーである

●ASUSTeKがnForce 780a SLIやIntel X48マザーを展示

 台湾貿易協会のプレスカンファレンスレポートでASUSTeKのノートPC製品が紹介されたことをお伝えしたが、同社のブースではマザーボードやビデオカードなどのPCパーツ製品も展示されている。いずれの製品も今月の発売が予定されている。

 マザーボードでは、Intel X48を搭載するハイエンド向けマザーボード「Rampage Fomura」を披露。DDR2 SDRAMに対応する製品で、DDR2-1600MHzのオーバークロック動作が可能。電力管理チップのEPUを搭載するほか、PCI Express 2.0 x16を2スロットを利用したCrossFireもサポート。同社のR.O.G.シリーズに属する製品となるので、POSTコードを表示するLEDなども備えられている。

 AMDプラットフォーム向け製品では、1月7日(現地時間)に発表されたばかりのnForce 780a SLIを搭載するマザーボード「M3N-HT Deluxe」がさっそく展示された。Hybrid SLIに対応し、ディスプレイ出力はミニD-Sub15ピンとHDMIを装備。チップセットクーラーはメモリクーラーを一体化したものになっている。

 このほか、“世界初”を謳うGeForce 8800 GTの、ビデオメモリ1GBモデル「EN8800GT/HTDP/1GB」も展示。「Glaciator」と呼ばれるオリジナルクーラーを採用している。

Intel X48を搭載する「Rampage Fomura」。同社のR.O.G.に属する製品で、パワーユーザー向けの機能を豊富に備える nForce 780a SLIを搭載する「M3H-HT Deluxe」。Hybrid SLIに対応。内蔵チップセットからの映像出力はミニD-Sub15ピンとHDMI出力を備える 1GBのメモリを搭載した世界初のGeForce 8800 GTを謳う「EN8800GT/HTDP/1GB」

●SideShowデバイスやゲーミングマウスなどを展示したSilverStone

 CESにおけるSilverStoneは例年、アルミを使ったスタイリッシュなケースをHTPC向けとして展示するのがメインだった。しかし、今年はかなりPC寄りな展示が目立っている。

 とくに注目したいのが、5インチベイ2段を使って搭載するSideShowデバイス。現時点ではプロトタイプということで、製品化は“早くても2~3カ月はかかる”とのことだが、興味深いアイテムだ。

 3.5型液晶と1GBのNANDフラッシュを搭載し、PCとのインターフェイスはUSB。5インチベイのベースステーションから取り外しも可能。Bluetoothとマイク、スピーカーを内蔵しており、Skypeフォンとしての利用をアピールした。また、ヘッドフォン端子も備えておりメディアプレーヤーとしてのユーセージも提案している。

SilverStoneが展示を行なったデスクトップPC向けSideShowデバイス。5インチベイ2段を用いて設置する 脇のボタンを押すとデバイスが飛び出し、取り外しが可能 液晶サイズは3.5型で、脇の操作ボタンはタッチセンサー式。Bluetoothを内蔵するのも大きな特徴

 また、同社としては珍しいマウス製品も展示されている。「SABERTOOTH」と名付けられおり、基本的にはゲーミングマウスに位置付けられたレーザー方式の製品となる。ただ、NomralモードとGameモードを底面のスイッチで切り替えることができ、Normalモード時は脇のダイヤルによってWindows Vistaのフリップ3Dを利用できる。また、ダイヤル脇のボタンで解像度を切り替えることができ、ボタンを押すたびに、400/800/1,600/3,200dpiへと変化する。

 また、ドライバも工夫されており、NormalモードとGameモードの切り替えを自動認識。Normalモード時はプリセットされた動きしかできないが、Gameモード時はボタンの割り当てや解像度を自由にカスタマイズし、5個の設定を記憶しておくことができる。この場合、ダイヤル脇のボタンは、設定切り替えボタンになる。

 また、X方向とY方向の解像度をそれぞれ切り替えることができるのも特徴。ゲームモード時は、上部のボタンを押したまま脇のダイヤルを操作することで、X/Y方向の解像度を個別に設定可能だ。2~3カ月以内の発売が予定されており、日本への出荷も行なわれる予定とのこと。

カーボン調のデザインを採用するゲーミングマウス「SAVERTOOTH」。左右ボタン、ホイールほか、左脇にダイヤル+ボタン、左右脇に各2個のボタン、上部にも2個のボタンを備える 右側面のボタン配置。左側面はダイヤルの主張が非常に強いが、右側面は一般的な範疇に収まるレイアウトになっている マウス底面部に「Normal」モードと、「Game」モードの切り替えを備える。NormalはWindowsの通常利用に適したモードとなる
ドライバ側では切り替えスイッチを自動識別して、モードに応じた設定画面を自動表示する。これはNormalモードの画面で、あらかじめプリセットされた内容で動作するようになっている こちらはGameモードの設定画面。各ボタンのカスタマイズが可能になるほか、X/Y各方向に独立して解像度を指定できる マウスの上部にはLCDを内蔵。設定されている解像度を表示でき、ダイヤル脇のボタンと、LCD脇の2つのボタンを組み合わせてハードウェア操作で解像度を設定可能

 このほか、奥行きを40mm削減した1,200W電源や、RFIDを利用したセキュリティ機能を備える2.5インチHDD外付けケース、microATXが利用可能な小型ケースなどの新製品が展示されている。2.5インチHDDケースは数週間以内に日本でも発売される見込みだ。

奥行きを180mmにまで短くした1,200W電源「STRIDER Series」(左)。右が現行モデルで220mmの奥行きとなる。6個のPCI Expressビデオカード用電源コネクタを備えており3-way SLIに対応できる RFIDによるセキュリティ機能を備えた2.5インチHDDケース。手前にあるグレーのデバイスを近づけることでロックが解除される。PCとのインターフェイスはUSB2.0でバスパワー駆動に対応。SATA接続HDDを使用可能
microATXに対応した小型ケースの製品シリーズ「Sugo」シリーズの新作「Sugo SG04」。上部にアルミ製の取っ手を備える デモ機はCore 2 E6300+Intel G33に、Radeon X1950 Proを用いたCrossFireを構築。搭載できる電源の奥行きは180mm。つまり、先の1,200W電源も搭載可能

□2008 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□関連記事
【1月10日】【CES】台湾の有名企業各社が新製品を紹介
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0110/ces12.htm
【2007年3月19日】【CeBIT】1,000W超を争う電源分野に2,000W製品が登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0319/cebit11.htm

(2008年1月11日)

[Reported by 多和田新也]

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