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CeBIT 2007会場レポート

1,000W超を争う電源分野に2,000W製品が登場
~TDP400W相当を冷却できる強力CPUクーラーも

会期:3月15日~21日(現地時間)

会場:独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe)

●TOPOWERが展示した2,000Wの外付け電源

ENERMAXが同社の1,000W電源を利用して行なったデモ。Opteron 8212を4個、16枚のRegistered DDR2 SDRAM、GeForce 7600 GS、24台のSATA接続HDDを1台の電源ユニットで動作させている

 2006年あたりから1,000W級の電源ユニットが増え始めた。このCeBIT会場でも電源ユニットを展示するメーカーの多くが1,000W電源を展示しているが、マーケティング的なアピール効果の面では1,000Wをどれだけ超えられるかに焦点が移っているようだ。

 そのような状況のなか「2,000Wの外付け電源」というインパクトある製品を展示したのがTOPOWERだ。2,000Wという響きはすごいがフェイク気味の製品で、1,000W電源のユニット2個を外付けケース内に収納し、コンバイン動作させている。そのため、ACケーブルも2系統を入力しなければならず、メイン電源スイッチも2つ用意されているほど。

 ただ、マザーボードやデバイスへ接続するケーブルは集約され、分配ユニットもATXサイズで作られているので、電源ユニット2つをコンバインさせるよりも使い勝手はよさそうだ。なお、本製品はプロトタイプで、製品化のスケジュールは未定。6月のCOMPUTEX TAIPEIではもう少し具体的な話ができるはずとした。

 一般的なATX電源に目を向けると、Thermaltakeが展示を行なった1,500Wの電源ユニットが最大容量。こちらも発売日や価格は未定で、3カ月後の商品化を目指しているという。そのほか、1,000Wを超える電源ユニットをまとめて紹介しておきたい。

TOPOWERが展示した2,000Wの外付け電源。電源ユニットは外付けされ、ケーブルを分配するためのユニットをATX電源のスペースに取り付けられる Thermaltakeの1,500W電源「Toughpower 1500W」。このほか同社は発売済みの1,200W電源も展示していた 2,000Wだけでなく、一般的なATX電源でも1,000W超え電源を展示したTOPOWER。1,300W電源「T1300」などをラインナップしている

SilverStoneは1,200W電源を2種類展示。ケーブル着脱式の「DA1200」(右)とケーブル固定の「OP1200」で、いずれも12Vラインがスプリットされておらず、90Aの1系統に集約されているのが特徴。4月発売予定で価格は200ドル程度の見込み PowerXが展示した1,200W電源「Free Bird」 OCZ Technologyが展示した1,200W電源。1カ月後の発売が予定されており、価格は250ドル前後となる

ViPowERが展示した1,050W電源「VP-01050AE」 FSPが展示した1,010W電源「EPSILON 1010」

●SilverStoneが450Wのファンレス電源を展示

SilverStoneが展示した500W(450W)のファンレス電源「ST50NF」

 SilverStoneが500Wのファンレス電源「ST50NF」を展示した。ファンレスとファン使用時で最大容量を制限する、いわゆる準ファンレス電源ならばファン使用時に500W以上の出力を発揮できるものもあるが、ファンレス動作時において最大出力を出せる完全ファンレス電源としては、おそらく最大容量になると思われる。もっとも、この500Wは200V以上の電圧で利用した場合のみで、日本で一般的な100Vでの使用時は最大450Wの出力になる。それでも、完全ファンレス電源としては国内で最大容量だろう。

 この製品の実現にあたっては、製品の基板やコンデンサを見直し、電源効率の向上を徹底することで発熱を抑制したという。その結果、ヒートパイプなどを利用せずに安定して冷却できるとしている。実際、ファンレス電源には背面部からヒートシンクがはみ出す製品も珍しくないが、本製品ははみ出す部分は一切なく、ATX電源としてもそれほど大きなサイズになっていないのが印象的だ。

 発売は2カ月後が発売されており、日本での発売も予定されているという。価格は現時点で未定。

●ビデオカード用の5インチ電源は450Wが登場

 増加の一途をたどるGPUの消費電力だが、それに対応するために5インチベイに装着できるビデオカード用の補助電源が2006年ごろより発売されている。この手の製品が初めて登場したときは250Wの容量であったが、CrossFireやSLIを構築するにはやや力不足である感は否めない。まして、200W近い消費電力を持つGeForce 8800 GTXを利用するとなれば、1枚を動作させられるかどうかも怪しい。

 しかし、今回のCeBITではThermaltakeとFSPが450Wの5インチベイ搭載型電源を展示。GeForce 8800 GTXのSLIなどはさすが難しそうだが、ほとんどのビデオカードは対応できそうな製品である。

Thermaltakeが展示した「PurePower Express 450W」。12Vラインを2系統持ち、ビデオカードだけでなく、マザーボード上の12V電源端子への供給も可能。今月発売予定 FSPが展示した「BoosterX 5」。こちらも近日発売予定とのこと

●ZalmanがReseratorの新製品を展示

 大型の外付けラジエータを利用した水冷キットとしておなじみの「Reserator」。Zalman Techのブースでは、この新モデルとなる「Reserator XT」が展示された。発売は4月が予定されており、価格は400ドル前後が見込まれている。

 外付けラジエータボックスが210×350×180mmのサイズと、同シリーズとしてはシンプルな作り。また、同シリーズでは初めて、140mm角/25mm厚のファンを搭載したのが大きな特徴だ。ファンは背面に設置されており、両側面部にあるラジエータを冷却する。ラジエータボックス内にはタンクとポンプも収納されており、タンクの容積は1L(リットル)。ポンプの吐水能力は最大で1時間当たり360Lとなっている。

 ラジエータの前面にはオーディオ風デザインの各種メーターを装備。水温やラジエータ温度、ファン回転速度や水量を視認することができる。また、メーターの下には、大型のボリュームつまみを装備。この“ボリューム”とはノイズレベルのことだが、ファン回転数と水流の両方を調節してノイズレベルを調節できるという。また、この調整は自動化することもできる。

 このほか、水の流れが停滞したときや、タンク内の水量が低下したときのアラーム機能も装備。さらに、インジケータ類の誤動作などに備えてリセットスイッチを備えているのも、この手の製品にしては珍しい。

Zalmanがデモを行なったReseratorシリーズの新モデル「Reserator XT」 オーディオ機器風の前面部を持つラジエータボックス。温度や水流などを表示するほか、ノイズレベルの調整つまみなどを備える Reseratorシリーズ初となるファンをラジエータボックス背面に搭載する

●TDP400WのCPUも冷やせるというカーボンナノチューブ採用のCPUクーラー

 OCZ Technologyが展示を行なった「WAYCOOL」は、“TDPが400WのCPUを冷やせる”という極端な例を持ち出すほど、高い冷却性能をアピールする製品だ。特徴はCPUとの接触面にカーボンナノチューブを利用している点。金属素材としては熱伝導率が高いことから一般的には銅が使われる部位だが、カーボンナノチューブはそうした金属素材を上回る熱伝導率を持っている。

 そして放熱させるためのフィンには銅を採用。さらには、ヒートシンクのCPU接触面に近い部分にポンプを内蔵しており、ヒートシンク中央部で水を循環させている。もちろん同社でも価格は相当高価になると想定しているが、今回展示したものは最初のプロトタイプであり、製品化の時期も含めて未定とのこと。

 カーボンナノチューブはともかく、CPUクーラーの内部に水冷の仕組みを盛り込む製品は従来から存在しており、同じアプローチの製品が散見される。日本ではファストから発売されたXIGMATEK製CPUクーラーも展示が行なわれていたが、同社はさらに同様の仕組みを盛り込んだVGAクーラー「PI-UN7」を展示しており、この技術の広がりを感じさせる。

 このほかにもCeBIT会場内には多種多様な冷却関連製品が展示されている。ここで印象的なものを一斉に紹介しておきたい。

OCZ Technologyの「Waycool」。中央に水を循環させるヒートパイプのような仕組みを盛り込み、周辺を銅製のフィンを囲む構造 CPUとの接触面には銅やダイヤモンドなどをはるかに上回る熱伝導を持つカーボンナノチューブを使用している Aurasが展示した水冷キット一体型CPUクーラー「GTO-990」。同社のテストではリテールクーラーと比較してCPU温度を11℃以上下げることができたそうだ

同じくAurasが展示した「CTC-868」。3個のユニットからなるヒートシンクで、うち2つのヒートシンクは角度を変えられる仕組み。ケース内のエアフローに応じて、メモリやVRMなども効率よく冷やせることができることをアピールしている XIGMATEKの水冷キット一体型VGAクーラー「PI-UN7」。上部にある黒い部分がポンプで、1時間当たり7Lの吐水能力を持つ。これは外部の化粧パネルを外した状態だが、OEM先によって異なるパネルで出荷される予定とのこと CPU接触面は銅を採用。両脇に延びるアルミ部分がラジエータとなる。ノイズレベルはファンが28dBA、ポンプが19dBAとされている

Thermaltakeが展示した「LCS Monitoring System」。同社では5インチベイに水温などを表示するAquaBayというユニットを発売しているが、その仕組みをソフトウェアに転用したもの LCS Monitoring Systemの表示サンプル。水冷キットから取得した情報だけなく、CPU温度や使用率などシステムモニターとしても兼用できる Thermaltakeは空冷のCPUクーラーも数多く展示。「V1」は全銅製のユニバーサル対応CPUクーラー。4本のヒートパイプを利用している。Zalman製品などと形状は違うものの、これも“扇型”という言葉がはハマる形状だ

Thermaltakeの「Max Orb」。Orbシリーズの新モデルで、6本のヒートパイプを採用したのが特徴。120mmファンを利用する大型製品 クーラーマスターが展示した「AQUAGATE 2」。同社の従来製品「AQUAGATE Mini R120」に近い製品だが、従来CPUヘッド側にあったポンプをラジエータ側に移動したことで使い勝手を向上させたほか、静音性も向上しているという 王冠型と称されるクーラーマスターの「Mars」の後継製品「Mars 2」。ヒートパイプの配し方を変更してフィンを貫通させたほか、中央のファンをブロアタイプに変更することでフィンの表面積を増やし、冷却能力の向上を図っている。発売は2カ月後ぐらいになるとのこと

3R SYSTEMが展示した「Ice Age」は、最近注目されているヒートパイプを、CPUにダイレクトに接触させるタイプの製品。120mm角ファンの装着も可能。CeBIT終了後に発売が開始され、韓国では38ドル程度の価格帯となる Arctic Coolingが展示した「Freezer Xtreme」。8本のヒートパイプと227枚のフィンを用い、120mm角ファンをサンドイッチした形状。今回の展示はプロトタイプで、発売は6月が予定されている 同じくArctic Coolingが展示したVGAクーラー「Accelero Xtreme」。3個のファンと5本のヒートパイプを使った大型のVGAクーラーで、GeForce 8800やR600の冷却も可能としている。騒音は凄いと思われるが、「このクラスの製品を使う環境はケースやCPUクーラーのファンが大きいから、この製品のノイズは気にならないはずだ」としている

GIGABYTEが製品化を検討している、同社のビデオカード用ファンレス冷却ソリューションの最新版「Silent Pipe 3」。ヒートシンクを大型化し、ヒートパイプの距離を延長。またヒートシンクのフィンに凹凸や穴を設け、流れる空気を乱すことで放熱の効率を上げている 同じくGIGABYTEが製品化を検討している、ノートPC用クーラー「Roll Pad」。ファンなどは装備せず、棒状のアルミを隙間を開けて組むことで熱を籠らせない仕組み。また丸めることができるので持ち運びも容易だとしている。よしずのような雰囲気が涼しげな印象だ

Thermaltakeが展示したノートPCの冷却パッド「iXoft」。一見すると単なる布なのだが、内部に熱伝導のよい化学素材(硫酸ナトリウム十水和物)が詰め込まれており、PCの熱をシート全体に拡散することができる。こちらも持ち運びしやすそうな製品だ クーラーマスターが展示した「Wind Rider」。PWM制御付きの4ピンのファン電源コネクタを分配できる、ありそうでなかった製品。計6個の出力コネクタを備えている。マザーボード側のPWM制御をケースファンにも適用できるほか、出力電圧の制御を行なう手動ファンコン機能も備えている。発売は4月が予定されているが価格はコメントできないとした

□CeBIT 2007のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/
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【2006年3月15日】【CeBIT】SLI用水冷キットが今年の旬か?
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0315/cebit11.htm

(2007年3月19日)

[Reported by 多和田新也]

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