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NVIDIA、1スロットのハイエンドビデオカード
「GeForce 8800 GT」

GeForce 8800 GTを手に製品紹介を行なう、NVIDIA GeForce General ManagerのUjesh Desai氏

10月29日(現地時間)発表



 米NVIDIAは10月29日(現地時間)、同社のハイエンドビデオカードの新製品となる「GeForce 8800 GT」を発表した。本製品はGeForce 8800シリーズの最廉価モデルとなる製品で、199ドルから259ドルのセグメントをカバーする。256MB版が199ドル、512MB版が249ドルおよびそのオーバークロック版が259ドルという位置付けで、オーバークロック版については11月以降にパートナーから出荷される見込み。

●スイートスポットを埋める1スロット製品

1スロット仕様のGeForce 8800 GT

 従来のGeForce 8800シリーズのラインナップでは、GeForce 8800 GTS 320MBがもっとも安価な製品となっていたが、この製品は299ドルのセグメントを埋める製品である。一方、その下のクラスになるとGeForce 8600 GTSの199~229ドルとなってしまい、200ドル台半ばをカバーする製品が存在しなかった。

 同社GeForce General ManagerのUjesh Desai氏は、ここへ投入される製品として、「多くのフォーラムでは64シェーダプロセッサで256bitのメモリインターフェイスを持つ8800GSが欲しいといった声があったが、今回それを上回るスペックを用意した」とアピールした。

 ちなみに、GeForce 8800 GTSについては、320MB版はフェードアウトを開始しているほか、640MB版も年末から徐々に出荷が終了していくという見通しになっている。

 GeForce 8800シリーズに位置付けられているが、G92のコード名で開発が進められたGeForce 8800 GTは、従来製品のG80シリーズが90nmプロセスでの製造になるのに対し、65nmプロセスへシュリンクされている。マイクロアーキテクチャの改良は最小限に留まるものの、アイドル時の省電力化を行なうパワーマネージメント機能を付加。

 さらに、G80ではコンパニオンチップによって提供されていたディスプレイ出力関連の機能をワンチップに統合し、PCI Express 2.0への対応も行なっている。また、PureVideo HDもVP2へと進化し、DualLink HDCPへの対応を行なうなどビデオ再生関連の機能も強化されている。

 こうした機能の追加により、トランジスタ数はGeForce 8800 GTXの6億8,100万個から、7億5,400万個へと増加している。

 一方、プロセスシュリンクにより、同社が継続的に焦点を当てているパフォーマンスと消費電力のバランスを向上させており、GeForce 8800シリーズでは初めて、1スロットで収まるリファレンスデザインになっている。電源端子は1ポートを備え、リファレンスボードの消費電力は105Wとなっている。

 スペック面ではブロックダイヤグラムを見ても分かるとおり、GeForce 8800 GTX/Ultraのクラスタ(Streaming Processor(SP)やテクスチャユニットの集合)を1つと、バックエンド部分のユニットを2つ省略した格好になる。これによりSPは112個、テクスチャユニットは56個、ROPは16個へと省略される。また、メモリインターフェイスは256bitとなる。ただし、コアクロックが600MHz、SPクロックは1.5GHz、メモリクロックは1.8GHzとなり、動作クロックは上位モデルと遜色ないレベルといえる。

 パフォーマンスに関しては、最新ゲームを2,560×1,600ドットの解像度でプレイしたときに、30fps以上が出せる点がアピールされている。また、Radeon HD 2900 XTとの比較でも高いパフォーマンスを出すとしている。

 さらに、GeForce 8800 GTに特化した話ではないが、ドライバについても言及されている。1つはSLIのドライバである。ハイエンドのSLIはともかく、GeForce 7600/6600シリーズのSLIを利用しているユーザーは多いとし、Windows Vista上でのパフォーマンスがすでにXPのときと遜色ないレベルに向上している点を強調した。

 GeForce 7以降で導入されたTrasparency Multisampling Anti-Aliasも改善されている。Transparecy Multisampling AAは、フェンスのチェーンや草などのジャギーを解消するための技術であるが、一部のソフトウェアではまったく効果なく、さらにパフォーマンスへのトレードオフが大きい技術だった。そこで、最新ドライバでは、Transparecy Multisampling AAの新しいアルゴリズムを導入。Half-Life2のように従来のアルゴリズムで効果がなかったアプリケーションにも対応できるようになったほか、通常のAAに近いレベルのパフォーマンスを引き出せるようになったとしている。

【表】GeForce 8800 GTの仕様と従来製品との比較
  GeForce 8800 GT GeForce 8800 Ultra GeForce 8800 GTX GeForce 8800 GTS GeForce 8600 GTS
コアクロック 600MHz 612MHz 575MHz 500MHz 675MHz
SPクロック 1,500MHz 1,500MHz 1,350MHz 1,200MHz 1,400MHz
SP数 112基 128基 128基 96基 32基
メモリ容量 512/256MB GDDR3 768MB GDDR3 768MB GDDR3 640/320MB GDDR3 256MB GDDR3
メモリクロック 1,800MHz(900MHz DDR) 2,160MHz(1,080MHz DDR) 1,800MHz(900MHz DDR) 1,600MHz(800MHz DDR) 2,000MHz(1,000MHz DDR)
メモリインターフェイス 256bit 384bit 384bit 320bit 128bit
ROPユニット数 16基 24基 24基 20基 8基
インターフェイス PCI Express 2.0 PCI Express PCI Express PCI Express PCI Express
ビデオプロセッサ VP2 VP1 VP1 VP1 VP2

GeForce 8800 GTの主な仕様 GeForce 8800 GTのブロックダイヤグラム 最新ゲームにおけるパフォーマンス。いずれも30fpsを上回っている点をアピール
Radeon HD 2900 XTとのパフォーマンス比較 Transparency Multisample AAのサンプル。旧バージョンのドライバではHalf-Life2など一部のアプリケーションで正しく適用されないことがあったが、アルゴリズムを改善した新ドライバでは正しく適用されている。またパフォーマンスも改善されている

●PureVideo HDのVideo Processor 2を実装

 GeForce 8800 GTの3Dグラフィックパフォーマンス以外の大きな目玉がPureVideo HDのVideo Processor 2 (VP2)を搭載した点だ。VP2はH.264のビットストリーム処理や逆テレシネ、暗号の復号化処理をハードウェアで処理できるようにした動画再生支援エンジンである。

 このVP2は従来のGeForce 8800シリーズ(G80コア)には実装されておらず、ミドルレンジビデオカードにおいてこそユーザーのニーズがあるとしてGeForce 8600/8500シリーズにのみ提供されていたものである。これがようやくハイエンドビデオカードにも実装された。

 GeForce 8800 GTのVP2は、GeForce 8600/8500シリーズに実装されていたものとまったく同等のものが実装される。つまり、H.264の処理は実施されるが、VC-1に関してはハードウェア支援が行なわれないことになる。この点について、同社Product Marketing Manager Multimedia担当のPatrick Beaulieu氏は、VC-1はH.264に対してデコード負荷が軽く、H.264では100%近いCPU負荷がかかるタイトルが多いが、VC-1は50%程度に留まっている点を指摘。「VC-1再生時のCPU負荷を20~30%へ下げることは考えているものの、そのためにハードウェアを実装するのはさらなるトランジスタの増加につながってしまう」とし、ソフトウェア対応採用の理由を説明した。

 PureVideo対応再生ソフトについても情報のアップデートが行なわれ、従来はPowerDVD、WinDVDの2つの再生ソフトが対応していたが、11月1日に発売されるArcSoftのDigital Theater 2.0にも対応した。

 また、GeForce 8800 GTが持つビデオ出力関連機能として、DualLink HDCPへの対応も挙げられる。1,920×1,200ドットを超える解像度でHDCP信号込みのビデオを再生した場合、Radeon HD 2900 XTではHDCPがSingleLinkにしか対応しないため1,920×1,200ドットへダウンスケールされてしまう。プレゼンでは言及されていないが、これはG80コアのGeForce 8800シリーズも同じはずである。

 今回、HDCPもDualLinkに対応したので、GeForce 8800 GTではそのままのスケールで表示が可能となる。30型クラスの液晶を利用しているユーザーにとっては大きなニュースといえる。

 なお、HDMIへの対応については、従来通りドングルを利用することでDVI→HDMIへの出力が可能で、2008年にはHDMI端子をブラケット部に用意したビデオカードが発売される可能性はあるとのコメントに留まっている。

GeForce 8800 GTではVP2を利用したPureVideo HDがサポートされる H.264に比べてCPU使用率が低いVC-1への対応は現時点で行なわれていない。今後も専用ハードウェアエンジンを使うことなくCPU使用率を抑えるアプローチがとられる GeForce 8800 GTはDualLink HDCPをサポート。2,560×1,600ドットの解像度で保護されたコンテンツを再生できる

□NVIDIAのホームページ(英文)
http://www.nvidia.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.nvidia.com/object/io_1193646673731.html
□製品情報(英文)
http://www.nvidia.com/page/geforce8.html
□関連記事
【4月27日】NVIDIA、第2世代PureVideo HDの詳細を解説
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0427/nvidia.htm
【2006年10月9日】【多和田】Direct X10世代GPU「NVIDIA GeForce 8800」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1109/tawada89.htm
【2006年10月9日】NVIDIA、DirectX 10世代GPU「GeForce 8800」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1109/nvidia1.htm

(2007年10月30日)

[Reported by 多和田新也]

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