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シニア向けPC普及に向けた共同プロジェクト始動
~インテル、マイクロソフトらが参加

9月17日 開催



 9月17日、財団法人ニューメディア開発協会PBJ株式会社インテル株式会社マイクロソフト株式会社などが推進する「スマートデジタルライフ推進プロジェクト」などが共同で、高齢化社会におけるデジタルライフスタイルをより普及させるための啓蒙活動を行なう「シニアユビキタスPCプロジェクト(略称:SUPP)」の概要説明会を開催した。

 SUPPは、高齢者が使いやすいPC、周辺機器、コンテンツを研究し、シニアに特化したPCの操作方法を教える指導員を育成。シニア向けPC、指導員を備えたインターネットカフェ型PC教室を各地域に置いて、PCを活用したシニアコミュニティを創り出し、マーケットに即した実証実験の開催などによって新しい需要を生み出すことを目標としている。

 発起人代表としてPBJの社長である高橋正敏氏は、「アクティブシニアと呼ばれる元気な高齢者層は1,070万世帯、2,216万人存在する。各PCメーカーがシニア向けPCを発売するなど需要を喚起することによって、1,070万世帯中24.1%にあたる258万世帯がPCを購入した場合、およそ2年間で3,870億円の新需要が創出されることになる。さらに、このPCからEC(電子商取引)の利用を行なうようになると、およそ10%の世帯が利用した場合でも3兆3,240億円の需要が生まれる。また、シニア向けのインターネットカフェ型PC教室ができれば、そのための雇用創出、来店売り上げなどの需要も見込める」と経済効果の大きさを力説した。

プロジェクトの発足メンバーであるPBJ株式会社 高橋正敏社長介護を必要としないアクティブシニア層は1,070万世帯あり、総消費支出額は33兆2,400億円存在する
アクティブシニアのPC利用率は現状では25.4% アクティブシニア層向けEC、PC教室が活性化すればさらに大きな市場が創出されると試算

今回のプロジェクトの事業スキーム

 事業スキームとしては、SUPPが核となりPCベンダー、ソフトベンダー、コンテンツベンダーなどと協力し、シニア向け製品やコンテンツを作成。教育やサポートを行なう機関との協力により、シニアに特化した教育、サポートを行なう機関の育成も行なう。

 当初はプロジェクト発足に関わったメンバーが中心となって作業を進めるが、10月5日にプロジェクトに参加を希望する事業者向けに説明会を実施。サービスやコンテンツの作成業者、PC教室の運営団体などの参加を呼びかけていく。

 高橋氏は、「実際に事業を行なうにあたってどの程度コストが必要になるのかは、例えばサポートや教育にどの程度コストがかかるのかは、実証実験を行なってみないと換算できない部分がある。実証実験を行ないながら、プロジェクトの具体的な部分を詰めていきたい」と説明している。

 シニア向けPCに求められる要件としては、次の8つの要件を挙げている。

(1)高い処理能力、低消費電力を兼ね備えたCPU
(2)手書き入力/タッチパネル機能を備えたOS
(3)セキュリティ機能を備えたブラウザ
(4)タッチパネル対応ディスプレイ/ペン操作対応タブレット
(5)9型以上のディスプレイパネル
(6)バッテリ駆動、1.5kg以下の重量
(7)カメラ/マイクロフォン/スピーカーの標準装備
(8)FeliCaポートの内蔵

 シニア向けPCとしては、インテルが「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる東京・巣鴨に期間限定でオープンした「すがもPC茶屋」にも出展した「Slate DT」が会場に展示された。実際に会場に訪れた高齢者の実態を考慮し、以前は用意されていた指紋認証装置がなくなった。高齢者は指先が乾いている場合が多く、認証が出来ないことが多かったためだ。

Slate DTをベースにしたシニア向けPCの試作品。インターフェイスは向かって左型に集約されているのは以前の通りだが、以前は右側下部にあった指紋認証インターフェイスがなくなっている
入力はペン入力にも対応

 シニア向けコンテンツに求められる要件としては、次の6つをあげている。

(1)画面を触っているうちに元に戻れないということを防ぐために、「Caddie area いつでも道標」を表示
(2)上下、左右のスクロールのない画面構成
(3)わからない時に何時でも助けが求められるヘルプボタン
(4)指先で操作することを意識した大きめのボタン
(5)ユニバーサルデザインを考慮した画面構成
(6)ユーザー認証、登録/管理の簡素化

 こうしたコンテンツを生かすためにシニア向けUIも公開された。このUIでは、シニア層の関心が高い健康管理、資産運用、余暇の活用、電子メールなどが前面に表示されるデザインとなっている。今後、コンテンツ事業者などにも呼びかけ、シニア向けコンテンツとUI研究を進めていく計画だ。

 タイムスケジュールとしては、10月5日の説明会を皮切りに、年内にシニア向けインターネットカフェ型PC教室のパイロット店舗をオープンし、βテスト用ハードウェアの配布、コンテンツの募集などを行ない、来年(2008年)3月からはコンテンツの実証実験を実施し、9月頃から本サービスの開始を予定している。

今回公表されたシニア向けUIの概要 シニアが興味を持っているコンテンツを前面に出したUI画面 今後のタイムスケジュール

□財団法人ニューメディア開発協会のホームページ
http://www.nmda.or.jp/
□PBJのホームページ
http://www.pbj-inc.co.jp/
□インテルのホームページ
http://www.intel.co.jp/
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□スマートデジタルライフ推進プロジェクトのホームページ
http://www.sdlp.jp/
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(2007年9月18日)

[Reported by 三浦優子]

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