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VistaのマルチGPU Hotfixを検証【NVIDIA編】



 既報の通り、米Microsoftは18日付け(現地時間)で、Windows Vista DirectX 10環境でマルチGPUが正常に動作しない件に関するHotfixを公開した。

 このHotfixは、DirectX 10利用時にOSが2つ目のGPUを正常に扱わない問題を解消するもの。しかし、このHotfixに対するAMDとNVIDIAの見解は違っており、AMDはこのHotfixを使わずともCrossFireは正常に動作するとし、NVIDIAはHotfixの適用を推奨している。

 そこで、このHotfixの効果について検証してみることにした。まず今回はNVIDIAのGeForce 8800 GTX(768MB)にて調査を行なった。AMD製品については近日中に結果を掲載する予定。

 検証結果にふれる前に、このHotfixの入手方法について解説しておく。Microsoftが公開するアップデートの多くは、正規ユーザーがサイト上から無償でダウンロードできるようになっている。

 しかし、このHotfixはMicrosoftでの完全なテストが終了しておらず、いわゆるβ的な扱いとなっている。そのため、入手に際しては同社のサポートセンターに電話する必要がある。

 手順としては、サポートセンターに電話をし、無償アップデート入手の窓口につないだ後、該当するサポート技術番号(本件では936710)と利用しているOSの種類を伝える。この後、電話口で、このHotfixが完全なテストを終了しておらず、問題の解決ができないことがある、Hotfixがアンインストールできない場合がある、このHotfixについての正式サポートは受けられないといった免責事項を伝えられ、これに同意する必要がある。

 同意して、メールアドレスを伝えると、Hotfixのダウンロード先などが書かれたメールが送られてくるといった感じだ。

 検証に用意した環境は、Core 2 Extreme X6800、メモリDDR2-800 2GB、GeForce 8800 GTX×2、HDD 500GB、nForce 680i SLIチップセット搭載マザーボード、Windows Vista Ultimate。ビデオドライバは、NVIDIAがこのHotfixに対応しているとしているForceWare 158.45と163.11の2つを利用した。

 ベンチマークソフトは、「ロスト プラネット エクストリーム コンディション無料体験版」、「Call of Juarez DirectX 10 Benchmark」、「World in Conflict Open MP Beta」の3つを使用した。

 Hotfix適用前/ForceWare 158.45の結果は次の通りで、どのベンチマークもSLIによる性能向上が見られない。というより、ロストプラネットのDirectX 10版はSLI環境で若干だがスコアが下がっている。このHotfixが修正する問題はDirectX 9には無関係だが、ロスト プラネットのDirectX 9版もSLIが効いていない。

Hotfix未適用/ForceWare 158.45 非SLI SLI
ロスト プラネット(DX9) Snow 35/Cave 49 Snow 35/48
ロスト プラネット(DX10) Snow 34/Cave 47 Snow 32/Cave 44
Call of Juarez Min 10.3/Max 31.3/Avg 18.7 Min 9.1/Max 32.1/Avg 18.9
World in Conflict Min 17/Max 43/Avg 24 Min 18/Max 47/Avg 24

 次に、ForceWare 163.11にアップデートした結果が下の表だ。Hotfixは適用していないが、World in Conflictを除き、SLIの効果が現われているのが分かる。

Hotfix未適用/ForceWare 163.11 非SLI SLI
ロスト プラネット(DX9) Snow 35/Cave 49 Snow 67/Cave 50
ロスト プラネット(DX10) Snow 34/Cave 47 Snow 63/49
Call of Juarez Min 10.5/Max 32.1/Avg 19.1 Min 15.7/Max 37.7/Avg 24.8
World in Conflict Min 18/Max 47/Avg 25 Min 20/Max 47/Avg 27

 今度は、ForceWareを158.45に戻し、Hotfixを適用してみた。すると、ロストプラネットのDirectX 9版はSLIの効果が出ていないが、DirectX 10版そしてCall of JuarezではSLIで性能が向上している。DirectX 9で効果がないのは、このHotfixがDirectX 10の修正だから当然のことだが、Call of Juarezについて、ForceWare 163.11/Hotfix未適用の時よりスコアが上昇している。

Hotfix適用済/ForceWare 158.45 非SLI SLI
ロスト プラネット(DX9) Snow 36/Cave 49 Snow 34/Cave 49
ロスト プラネット(DX10) Snow 34/Cave 47 Snow 63/49
Call of Juarez Min 10.8/Max 34.2/Avg 19.7 Min 17.4/Max 61.1/Avg 33.9
World in Conflict Min 17/Max 45/Avg 24 Min 17/Max 47/Avg 24

 最後に、ForceWare 163.11でHotfixを適用してみた。結果は、ロストプラネットは、Hotfix未適用/ForceWare 163.11と、Call of Juarezは、Hotfix適用/ForceWare 158.45とほぼ同じスコアになった。World in Conflictは、いずれの環境でもSLIの効果がほとんど認められなかった。

Hotfix適用済/ForceWare 163.11 非SLI SLI
ロスト プラネット(DX9) Snow 35/Cave 50 Snow 66/Cave 50
ロスト プラネット(DX10) Snow 34/Cave 48 Snow 63/49
Call of Juarez Min 10.8/Max 34.2/Avg 19.9 Min 18.1/Max 59.7/Avg 34.3
World in Conflict Min 19/Max 47/Avg 25 Min 20/Max 46/Avg 27

 一連の結果をまとめると、Windows Vistaにおいて今回試したベンチマークでは、

・ForceWare 158.45のみではSLIの効果が出ない
・Hotfixを適用することで、DirectX 10ではSLIの効果が出るが、DirectX 9についてはHotfixの対象外のため影響がない
・ForceWare 163.11はHotfixを適用せずとも、DirectX 9/10の両方でSLIの効果が出るが、Hotfixを適用した方が性能が向上することがある。
・アプリケーションによっては、現在の最新ドライバとHotfixの組み合わせでもSLIの効果が得られないことがある

となる。ということで、SLIユーザーは少なくともForceWareを163.11にアップデートし、使用しているアプリケーションに問題があるならHotfixを入手、問題がないなら完全なテストの終了した今後のHotfixなどを待つのが良いだろう。

□Microsoftのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/
□ニュースリリース(英文)
http://support.microsoft.com/default.aspx/kb/936710/en-us
□関連記事
【7月26日】VistaのマルチGPU問題についてAMDとNVIDIAが回答
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0726/ms.htm
【7月24日】Microsoft、VistaでマルチGPUが有効にならないバグ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0724/ms.htm

(2007年8月2日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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