6月13日 受注開始 価格:219,800円~234,800円 ネットワークゲームの登場以来、ゲームプラットフォームとしてのPCは隆盛を極めています。その状況を受けて、国内メーカーからもゲームで遊ぶことを主要な目的としたPCが増えてきました。 この連載では、各メーカーから登場するゲーム向けPCを実際に使用してレビューを行ないます。レビュー項目も3Dゲームベースのベンチマークなどが中心になるでしょう。また、これまで取り上げられることの少なかった特定のネットワークゲームに向けた専用PCなどのレビューも予定しています。ご期待ください。 第1回は、ノートPCながら強力なGPUを搭載した東芝「dynabook Satellite WXW/79CW」を取り上げます。(編集部)
東芝の人気ノートPCシリーズである「dynabook」シリーズに、強力なグラフィックス機能を搭載した「dynabook Satellite WXW/79CW」(以下、Satellite WXW)が登場した。Satellite WXWはグラフィックス機能以外にも、ハイエンドCPU、大型ワイド液晶、ウーファー付きスピーカーなど、ノートPCでゲームを楽しむためのさまざまな工夫が凝らされている個性的なノートPCだ。 メモリを2GB搭載する「PAWW79CLN20W」と、1GB搭載する「PAWW79CLN10W」の2種類のモデルがあり、販売は東芝の直販サイトでのみ行なわれている。直販サイトでの価格は、2GB版が234,800円で1GB版が219,800円。今回は1GB版のPAWW79CLN10Wを紹介する。 ●3Dゲームを動かすための強力なハードウェア まずはスペックを見ていこう。Satellite WXWは、17.1型のワイド液晶を搭載する巨大なノートPCだ。サイズは約399×288×36~52mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約3.9kgとなっている。幅がほぼ400mmで、もっとも厚い部分で52mmあるというのは大迫力で、机の上に置くと、ノートPCとは思えないほどの迫力がある。ノートPCであることに変わりはなく、デスクトップPCに比べれば省スペースで使うことできる。使わないときに場所を移動して片付けられるというのもノートPCならではの利点だ。 画面の解像度は1,680×1,050ドットで、Windows Vistaで行なうさまざまな操作が快適に行なえる。通常、ノートPCで画面の解像度が高い場合には文字などが小さくなり読みづらいことがある。しかし、本製品は液晶のサイズが17.1型なので、1,680×1,050ドットの解像度でも極端に文字が小さいということはない。迫力ある画面の大きさと、精細な描画を行なえる解像度の高さは、本製品の大きな魅力だ。実際、映画とゲームを楽しんでみたが、ノートPCとは思えない迫力を感じられた。液晶の応答速度も問題ないようで、映像の遅延はほとんど気にならないレベルである。 CPUには2GHzで動作するCore 2 Duo T7300を搭載する。Core 2 Duo T7300は、デスクトップ向けのハイエンドCPUと同じ4MBのL2キャッシュを搭載するCPUで、800MHzのFSBクロックで動作する。最近のゲームならこのCPUがボトルネックになることは少ないはずで、不満を感じることはないだろう。 メモリは、PC2-5300 DDR2 SO-DIMM(DDR2-667)を1GB搭載する。空きスロットが1つあるので、メモリの増設が可能だ。本体の購入時はシングルチャンネルでの動作になるが、空きスロットに1枚追加すればデュアルチャンネルで動作するようになる。なお、2GBモデルは最初からデュアルチャンネル構成となっている。搭載可能な最大メモリ容量は4GBだ。ゲームをより快適にプレイしたいなら、最低2GBは搭載しておきたい。とはいえ、1GBのモデルで3Dシューティングゲームの「ロスト プラネット エクストリーム コンディション 無料体験版」(DirectX 9版)を動かしてみた限りでは、メモリ不足は感じず、快適にプレイできた。 メインメモリ以外に、本製品はIntel Turbo Memoryも1GB搭載している。Intel Turbo Memoryは、Windows VistaのReadyBoostとReadyDriveに対応しており、HDDへのアクセスを軽減する。また、よく使用するアプリケーションや、OSの起動ファイルなどを自動でフラッシュメモリに記録することで高速化にも寄与する。ゲームとは直接関係ない機能ではあるが、特徴の1つだ。 【お詫びと訂正】初出時に、HDD用ベイが1つ空いているので増設可能としておりましたが、国内のモデルではHDDコネクタが実装されていないため、増設できません。お詫びして訂正させていただきます。 本製品の最大の特徴でもあるGPUには、NVIDIA GeForce 8700M GTを搭載している。物理的に搭載するビデオメモリは256MB。GeForce 8700M GTはDirectX 10に対応するGPUで、コアクロックとメモリクロックは、それぞれ625MHzと800MHz。メモリインターフェイスは128bit。ノートPC向けのNVIDIA製GPUでは現在最高の性能を誇るGPUである。 デスクトップ向けGPUと比べるとどうかというと、スペックだけで比較すると、GeForce 8600 GTよりも少し上あたりの性能となっている。快適に遊べるということの感じ方にもよるが、最近の3Dゲームをプレイする上で基本レベルの性能は持っていると言える。正直なことを言えば、もう少し高性能なモバイル向けGPUがあればなお良いのだが、それにはGPUのさらなる低消費電力化と低発熱化を待たなければならない。現状では、Satellite WXWが搭載するGPUが最高クラスのものだ。 そのほかのスペックを見ると、HDDにはシリアルATA接続の120GBのドライブを搭載している。回転数は5,400rpm。購入時のHDDのパーティションは、システムドライブのCドライブがNTFS形式で約95.5GB、DドライブがFAT32形式で約9.98GBとなっている。IEEE 802.11a/b/gに対応する無線LAN機能や、1000BASE-Tに対応するLAN機能、DVDスーパーマルチドライブ、130万画素のWebカメラなど、一般的ハイエンドノートPCとして十分なスペックを満たしている。 ●ゲームを楽しむ際に便利な部分 ゲームも楽しめるノートPCということで、ゲームをプレイする際に便利な機能もいろいろと搭載している。まず特筆すべき点はスピーカーの性能だ。定評のあるherman/kardon製で、スピーカーはキーボードの上部に4つ、本体底部にサブウーファを1つ搭載し、合計の出力は最大10.5Wとなっている。低音から高音まで聞きやすい音質で、かつ迫力のある音を楽しめる。音楽でも映画でも、もちろんゲームでも、とてもノートPCとは思えない音質だ。正直、音の良さには少々驚いてしまった。また、本製品は各種ドルビーの技術を統合したドルビーホームシアターに対応している。対応コンテンツではサラウンド音響を楽しむことが可能だ。 もう1つユニークなのがキーボードだ。Satellite WXWのキーボードはフルサイズのキーボードだが、テンキーも備えている。テンキーとゲームは関係ないと考える方も多いと思うが、一部のゲームはテンキーで操作するものもあるのだ。その意味で、ゲーム好きにもうれしい仕様である。キーボード自体の使い勝手は、大型のノートPCの割にはキーストロークが浅いと感じたが、慣れれば気にならなくなる程度のものだ。剛性感もまずまずで、ゲームを楽しむ分に問題ない。 ヘッドフォン端子が本体の前面にあるのも便利だ。また、無段階で音量を調整できる回転式のボリュームが本体の前面にあるため、直感的に素早く音量を上げ下げできる。昔ながらの音量調整方法だが、これが大変使いやすい。ゲームをプレイしながら音量を変更したいときなどに、画面から目を放さずに即座に調整できる。 これらの機能は1つ1つの機能を見ると、あまりゲームとは関係ないように思えるが、実際に使ってみるとよく考えられていることが分かる。使えば使うほど、ゲームをストレスなく楽しむことができるノートPCだということを実感できる。 ●写真で見るインターフェイス Satellite WXWはハイエンドノートPCなので、多くのインターフェイスを備えている。インターフェイスは文章で説明しても分かりにくいので、各部の説明と合わせて写真で見ていこう。 ●ベンチマークテストで見るSatellite WXWのパフォーマンス 3Dゲームをプレイする際の快適度合いを見るために、5種類のベンチマークテストを行なった。リファレンスとなる比較環境を用意し、いずれもその結果との比較を行なっている。今後同様のテストをする際には、すべて同じテスト設定でテストを行ない、相互に比較できるようにしていく予定だ。 リファレンス環境のスペックについてはテスト環境の項目を見ていただきたい。また、ロスト プラネット エクストリーム コンディション 無料体験版を除く4種類のテストでは、解像度の変更以外は初期設定のままテストを行なっている。
結論を言ってしまえば、本製品はすべてのテストでかなり良い結果を出している。実際のゲームエンジンを使用したベンチマークテストでは、どのテストも快適にゲームをプレイできるスコアが出ており、さすがはトップクラスのGPUを搭載するハイエンドノートPCである。リファレンス環境との性能差があり過ぎて、ほとんど比較になっていない。 1つだけ残念な結果となったのはDirectX 10版のロスト プラネットで、DirectX 9版と比較してかなり低いスコアとなった。実際にゲームをプレイしても同じ傾向であり、DirectX 10版では快適にゲームをプレイすることは難しい。ただ、DirectX 10版と9版をプレイした感想としては、確かにDirectX 10版の方がエフェクトなどがキレイな気はするが、正直なところハッキリとした違いはよく分からなかった。DirectX 10版に特別なこだわりがなければ、DirectX 9版でプレイすることをお勧めする。 現時点ではDirectX 10に対応するゲームはほとんどないのでこの結果は大した問題ではないが、今後登場する別のDirectX 10対応ゲームで本製品がどの程度のパフォーマンスを出せるのかは気になるところだ。 今回のベンチマークテストの結果により、本製品はDirectX 9のゲームに関しては多くのゲームを快適にプレイできる性能を持っていることが分かった。大きな画面に広い解像度、迫力あるサウンドなど、3Dゲームをも楽しめるハイエンドノートPCとしては大変完成度の高い製品だ。 □東芝のホームページ (2007年8月1日) [Reported by 小林 輪]
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