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人とくるまのテクノロジー展レポート
~デジタルコックピットや前面透過型ディスプレイを展示

5月23日~25日 開催



 5月23日、24日、25日の3日間にわたり、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜・展示ホールにおいて自動車関連の展示会である“人とくるまのテクノロジー展”が開催されている。近年、自動車のIT化も徐々にではあるが進んできており、今回の展示会でも自動車のIT関連の展示がいくつか展示された。その中からいくつかの展示を紹介しよう。

●富士通がFlexRayを利用した次世代のデジタルコックピットをデモ

 車の中のネットワーク、いわゆる自動車内ネットワークに関してはさまざまな規格が登場しているが、今回の展示会でもそうした中のいくつかがデモされた。これまでの自動車では、いわゆるCAN(Contoroller Area Network)などが標準採用されてきた。例えばエンジンの回転数、水温などのデータがCANを通じて車載コンピュータに送られ、さまざまな自動車の制御に利用されている。しかし、CANは十数年前に決められた規格で、伝送速度なども十分ではなく、次の新しい規格が嘱望されていた。

 そこで、今後をにらんでいくつかの新しい規格が登場してきている。例えば、FlexRayはその代表格で、最新規格のv2.1では10Mbpsでの伝送速度が実現可能で、新しい自動車の制御ネットワークとして注目を集めている。今回は、NXP(元Philips Semiconductor)と富士通が対応のLSIを展示していた。

 中でも富士通はFlexRayを利用した次世代コックピットのデモを行なっていた。自動車の鍵はなく、スイッチは最近の乗用車で採用例が増えているPCのスイッチのようなイグニッションスイッチを利用してエンジンをかける。静脈認証のリーダーが用意されており、それに登録したユーザーだけがエンジンをかけられるようになっている。また、アクセルやブレーキ、ギアなどの情報もデジタルデータとしてFlexRayのバス上を流れるようになっており、CANとの接続もゲートウェイを介して可能になっているので、エンジンの情報などをメーターに表示することができるという。まさにフルデジタルでちょっとクールなコックピットだ。なお、リセットスイッチはないそうだ。

 また、富士通はIEEE 1394の自動車向け規格であるIDB-1394を利用したビデオのストリーム再生デモを行なっていた。IDB-1394はIEEE 1394の物理層を改良して、自動車での利用にも耐えるようにノイズ耐性などを向上させたもので、今回の展示では自動車に搭載される複数の機器、例えばカーナビやディスプレイなどを、IDB-1394でデイジーチェーン接続し、3つのビデオストリームと3つのオーディオストリームを同時に流すデモを行なっていた。富士通が独自に開発したビデオCODECを利用することで、遅延を少なくして安定したビデオ再生ができるようになっているという。

富士通が展示したデジタルコックピット。アクセル、ブレーキ、ギアすべてがFlexRayでデジタル制御される。エンジンのスイッチは、トヨタのプリウスなどにも採用されているプッシュ式のスイッチだが、鍵になるのは静脈認証
NXPのFlexRayとCANのゲートウェイ。FlexRayのメーターに、CANで取得した回転数や水温、速度などのデータを渡したりということができる 富士通のIDB-1394のデモ。これらのディスプレイやカーナビはIDB-1394を利用して接続され、ビデオやオーディオのストリーム転送が行なわれている

●エプソンは前面ガラス投影型ディスプレイを展示

 エプソンは、自動車向けのさまざまなディスプレイソリューションを展示した。中でも注目を集めていたのは、低温ポリシリコンTFTパネルを利用した前面ガラス投影型のディスプレイで、従来の前面ガラス投影型ディスプレイに比べて投影できる情報量が格段に増えているという。従来の投影型ディスプレイが、実質的に速度表示ぐらいしかできなかったのに対して、本製品ではTFTパネルを利用することで、速度以外の情報、例えばナビゲーションの方向指示や道路上に設置されたビーコンから受信した障害物情報などを即座に表示できるという。

 このほか、東芝は車載用の14.9型の大型液晶パネルを展示した。半分をメーター表示に利用し、残りはカーナビのような使い方にという利用法が可能であるという。このほか、各社のブースでTFT液晶を組み込んだメーターが展示されており、自動車でもデジタルデータをうまく利用しようという取り組みは徐々にであるが進んでいることを伺わせた。

エプソンの前面ガラス投影型ディスプレイ。低温ポリシリコンTFT液晶パネルを利用することで、表示できる情報が格段に増えている
東芝が展示した車載用14.9型の超ワイド液晶。左側にはカーナビ画面を表示したりと、PinPの使い方もできる こちらはレクサスのLSに採用されたメーター。中央に液晶ディスプレイが搭載されている

●東芝が次世代の車載用Bluetooth LSIを展示

 東芝は車載用Bluetooth LSIの次世代製品をデモした。東芝が展示した、Bluetooth LSIは、HFPとA2DPに対応したBluetooth 1.2(A2DP、AVRCP、HFP、PBAP、MAP、SAP)に対応したもので、A2DPを利用したポータブルオーディオからオーディオを再生している状態で、HFPで接続されている携帯電話に着信があった場合、一時的にオーディオを停止して携帯電話で応答することが可能だという。展示員によれば、これまでの車載用Bluetoothではどちらかの機能(A2DPのみかHFPのみ)しか実現できなかったのに対して、このLSIでは同時に両方の機能が実現できるため、メリットが大きいという。

 このほか、三菱電機と松下電器は、ETCにも利用されているDSRC(Dedicated Short Range Communication)のマルチサービスの参考展示を行なった。ETC車載器とマルチサービスのコンボ製品を利用することで、ETC車載器を渋滞情報の共有、料金の支払いといったさまざまなサービスにも利用する仕組みのことだ。

東芝が展示した次世代Bluetooth LSI。A2DP利用時にも、HFPでの着信を受けることができる
東芝ブースに展示されていたアルパインと東芝が試作した車載用HD DVDプレーヤー 三菱電機に展示されていたDSRCマルチサービスのクライアント端末 松下電器のDSRCマルチサービスのクライアント端末
【お詫びと訂正】初出時に一部社名を誤って表記しておりました。お詫びして訂正させていただきます。

□人とくるまのテクノロジー展のホームページ
http://www.taiseisha.co.jp/aee/
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(2007年5月25日)

[Reported by 笠原一輝]

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