日本サムスン、世界最大容量の2.5/1.8インチHDD
4月24日 発表 日本サムスン株式会社は24日、大容量を実現したHDDの新製品3機種を発表した。 ●容量250GBの9.5mm厚2.5インチHDD「Spinpoint M5」 2.5インチHDDの「Spinpoint M5」シリーズは、1プラッタで160GBの記録密度を達成し、最大容量250GBを実現した製品。4月末より量産を開始する。2.5インチ/9.5mm厚のHDDでは世界最大の容量となる。ラインナップは60/80/120/160/250GBの5モデル。 同社では、現行の2.5インチHDDのメイン容量帯である60~160GBを1プラッタでカバーでき、ディスク1枚で済むため消費電力や重量、騒音などの面でメリットがあるとしている。 インターフェイスはシリアルATA 1.5Gbpsのみだが、5月末よりパラレルATA製品も量産を開始する予定。 主な仕様は、ディスク回転数5,400rpm、キャッシュ容量8MB、平均シークタイム12ms、アイドル時の騒音が22dB(250GBモデルは24dB)、消費電力2W。耐衝撃性は動作時325G、非動作時1,000G。
●7,200rpm/容量200GBの「Spinpoint MP100」 同じく2.5インチHDDの「Spinpoint MP100」シリーズは、ディスク回転数7,200rpmで最大容量200GBを実現した製品。1プラッタ容量は100GBとなる。5月中旬よりサンプル出荷、6月より量産開始するスケジュールになっている。7,200rpmで200GBの2.5インチHDDも世界最大の容量を実現している。ラインナップは80/120/160/200GBの4モデル。 MP100シリーズは通常のノートPCだけでなく、ワークステーションやサーバーもターゲットにした製品で、振動や衝撃から保護する機能のオプションも用意している。インターフェイスはハイエンド向けとしてシリアルATA 3Gbpsを採用。 主な仕様は、ディスク回転数7,200rpm、キャッシュ容量8MBまたは16MB、平均シークタイム10.5ms、アイドル時の騒音は80GBモデルが25dB、120GB以上が26dB、消費電力2.3W。耐衝撃性は動作時300G、非動作時1,000G。
●1.8インチで120GBの「Spinpoint N2」 1.8インチHDDの「Spinpoint N2」シリーズは、1.8インチHDDで業界最大となる容量120GBを達成した製品。7月より量産を開始。ラインナップは30/40/60/80/100/120GBの6モデルを用意する。 主な用途は小型ノートPC、ポータブルHDD、iPodを始めとした携帯プレーヤー、ビデオカメラ、カーナビなどを見込む。インターフェイスはパラレルATA/ZIF、CEATAを用意する。 ディスク回転数は4,200rpmだが、用途に応じて3,600rpmも用意。モバイル用途を想定し、システムオンチップ(SoC)などの採用で電力を低減。消費電力はリード時で0.8W、スタンバイ時で0.07Wだという。そのほかの仕様は、キャッシュ容量2MBまたは8MB、平均シークタイム15ms、騒音はアイドル時16dB、シーク時22dB。耐衝撃性は動作時600G、非動作時1,500G。
●HDD事業での技術面をアピール
同日、都内で開催された発表会では、同社ストレージ営業チーム長の鄭昌男(Chung Changnam)氏が、HDD製品に対する意気込みを見せた。 【お詫びと訂正】初出時、鄭氏のお名前を誤って記載しておりました。お詫びして訂正いたします。 Samsung本社は'88年にストレージ事業部を設立し、2007年で20年目を迎える。これまで同社は、Seagateや日立グローバルストレージテクノロジーズ、Western Digitalを始めとしたHDD企業のフォロワーという印象が強かったが、2005年に2.5インチ、翌2006年には1.8インチHDDに参入。さらに、HDD互換のNANDフラッシュを採用したSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリを組み合わせたハイブリッドHDDを展開するなど、急速に事業を拡大してきた。 これらを振り返り、鄭氏は同社の技術面をアピール。また、これらに続く製品も鋭意開発中だという。今回発表された製品はいずれも世界最大容量ということもあり、これまでの立場から考えると他社を抜いた意味は大きい。同社がHDD製品の発表会を行なうのは今回が初めてで、今回の新製品の発表はワールドワイドで実施されており、同社のHDD事業への力の入れようが伺える。
続いて、Samsung Electronics本社のHDD日本担当部長 河永澣(Ha Younghan)氏が、同社の目標、HDD市場の予測を紹介した。 同社のHDD事業は年々シェアを拡大しており、2004年に8.3%、2005年に10%、2006年に14%にまで伸びている。2007年には出荷台数8,000万台、売上高40億ドルで、シェア16%を目指すと目標を掲げた。 HDD市場は、3.5インチが緩やかながら成長を続けており、特に家電へのHDD搭載が伸びていると指摘。2007年第1四半期のボリュームゾーンは80GBだが、2007年末には160GBがメインになっているだろうとの予測を示した。 自作市場では1TBまで登場している3.5インチHDDだが、市場全体では大容量の需要はまだ数%程度で、台数の出る部分を重視していると見られる。だが同氏は、2007年内には3.5インチで容量1TBの製品を出すことを明らかにした。 2.5インチは3.5インチよりも市場の伸び率が高く、今回の新製品でさらに売り上げを拡大したいという。ボリュームゾーンは当分の間80GBだという予測だが、160GBも10%を超えるまで拡大するとの見通しだという。 1.8インチ以下の市場は大きく成長する可能性を持ち、以前はMP3プレーヤーなど音楽のみだった市場が、動画を扱うようになり、この市場でも大容量化に進むと予測。1.3インチでも新たな機会を創出したいという。
質疑応答では、ハイブリッドHDDの状況について質問があり、すでに出荷中だと回答。また近年、容量の伸びが著しいNANDフラッシュメモリを使ったSSDと、1.8インチHDDのクロスオーバーについては、SSDのGB単価が徐々に1.8インチHDDに追いつき、2010年にはかなり接近するが、それ以上にHDDの単価も下がり、共存していくだろうと話した。 □日本サムスンのホームページ (2007年4月25日) [Reported by yamada-k@impress.co.jp]
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