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NVIDIAのWindows SideShow開発キット「Preface」



 本誌の読者であればNVIDIAやGeForceを知らない人はまずいないだろう。しかし、NVIDIAの「Preface」と言われてもピンとくる人は少ないかもしれない。Prefaceは、同社が提供する「Windows SideShow」のデバイス開発キットだ。今回、同社のPrefaceに対する取り組みや今後のロードマップなどについて話を聞く機会を得られたので、紹介したい。

●Prefaceとは

 SideShowについての技術的な詳細は塩田氏のコラムを参照していただきたいが、簡単に説明すると、SideShowガジェットと呼ばれる簡単なプログラムを使って、Windows Vista搭載PCのデータやコンテンツを表示したり再生したりする小型の表示デバイスとなる。

 よくある例えが「携帯電話のサブディスプレイと同等の機能/役目」といったものだ。ただし、SideShowは、PCに内蔵するタイプと外付けの2種類があり、どちらの実装方法を採るかによって、やや用途や機能性が変わってくる。

世界初のSideShow搭載ノート「W5Fe」

 3月に発売されたASUSTeKのノートPC「W5Fe」は、SideShowをノートPCの天板に埋め込んでおり、PCを閉じて電源をOFFにしたままでも、未読メールをチェックしたり、音楽を再生したりでき、携帯電話のサブディスプレイに似た使い方ができる。

 一方の外付けタイプは、PCでフルスクリーンで作業しているときに、新着メールを確認したり、天気予報を見たり、録画予約をしたりするのに便利だ。また、屋外に持ち出して単体でメディアファイルを再生することもできる。

 Prefaceは、この両方のタイプに応用できる開発キットで、2.5/3.5型のQVGA(320×240ドット)/QCIF+(220×176ドット)液晶、NVIDIA PP5024アプリケーションプロセッサ、16〜64MBのSDRAM、8MB〜6GBのNANDフラッシュ、キーパッド/タッチパッド、ファームウェア、ドライバ、SDKなどで構成される。

 同様の開発キットはFreescaleなども手がけているが、NVIDIAによれば現時点で製品化されているのはPrefaceを使用したもののみという。実際、W5FeもPrefaceを採用している。

 ちなみに、PP5024は同社が2007年に買収したPortalPlayerが開発したもので、iPodにも採用されていた。NVIDIAは、従来から携帯機器向けのアプリケーションプロセッサ「GoForce」シリーズを提供しており、国内の携帯電話での採用実績もあるが、この分野でのさらなるポートフォリオ拡大に向け、PortalPlayerを買収した経緯がある。

●PCの電源OFF時も使えるSideShow

 さて、SideShow(Preface)の用途についてもう少し詳しく触れてみたい。内蔵タイプの代表としてW5Feで説明すると、現時点で、Windowsメールの未読メールやOutlook 2007の予定表の内容確認、音楽の再生、画像スライドショーの表示などができる。

 これらのデータは、SideShowガジェットを通じて、Prefaceのメモリ上に読み込まれているため、ノートPCを閉じている/電源をOFFにしている時も参照できる。当然PrefaceはノートPC本体のバッテリを消費するが、PP5024の消費電力は液晶込みで約0.35Wと非常に低く、音楽再生であれば500時間超の連続再生ができる程だという。もちろん、アーティストやジャンル、プレイリストを指定しての再生に対応する。

 フラッシュメモリの容量はHDDに比べかなり少ないので、読み込める曲数はある程度限られるが、移動時にバッテリ残量を気にせず音楽を聴くことができるのは魅力だろう。ちなみに、W5Feには、Microsoft製の音楽再生ガジェットとNVIDIA製ガジェットの2種類が入っているが、前者はメモリからの読み込みに対応しておらず、音楽を再生するには、PCの電源をONにする必要がある。

SideShowのトップ画面。各種ガジェットのアイコンが表示される。Windowsメールガジェットではここで未読メールの件数が分かる 予定表を表示させたところ
音楽の再生画面。音声はノートPCのスピーカーとヘッドフォン端子から出力される 写真のスライドショー表示

 もう1つおもしろいのが、PowerPointのガジェットだ。こちらは、これまでの機能と対比的に、基本的にノートPCを開いて、電源を入れたまま使う。このガジェットを使うと、メインのディスプレイには聴衆向けのプレゼンテーション画面が写り、SideShowのサブディスプレイにはスピーカー向けの画面が写る。つまり、ノートPCとプロジェクターを使う代わりに、ノートPCの画面を相手に見せながら、自分は天板の画面とパッドで操作するわけだ。W5Feのサブディスプレイは、ヒンジ側が上だが、PowerPointガジェット起動時は、自動的に上下逆に表示される配慮もなされている。

 また、ノートPCにプロジェクターをつないで、ノートPCを閉じたままPowerPointガジェットを使うことで、ノートPCのバッテリ消費を抑えることもできる。

 このほか、まだ実装されていないがNVIDIAが提案しているのは、サポート情報の表示だ。PCが故障して起動不能に陥ると、システム情報を得ることができなくなる。こういった際に、SideShowを通じてシステムの情報や、サポートセンターの電話番号を表示できると、マニュアルや保証書を引っ張り出す必要がなくなり便利だろう。

 余談になるが、もともとPortalPlayerのスタッフは、BIOSやPCの内部情報に詳しいため、そういった経験を活かした機能の実装にも自信を見せている。

 外付けタイプには有線のものや無線のものなどいくつかの形態がある。同社が「クレジットカード」と呼んでいるのは携帯型音楽プレーヤーサイズのSideShowデバイス。基本的機能は内蔵タイプと同じだが、持ち運んで単体で音楽や写真の再生/表示ができる。むしろ、iPodにSideShow機能をつけたものと表現した方が分かりやすいかもしれない。Bluetooth機能を搭載しており、ガジェットデータのやりとりやガジェットの追加はBluetooth経由で行なえる。ただし、メディアファイルの同期や、充電にはUSBを利用する。

 また、今後製品化が予定されているもので、Media Centerのリモコン機能とSideShow機能を融合させたものなどがある。

 これらの外付けタイプは、PCをフルスクリーンで利用していたり、少しPCから離れていても、メールやメッセージの着信を確認したりできる。ゲーマーであれば、ゲームプレイ時のPC内の温度や、各デバイスのクロックなどを確認するのにも便利だろう。

 このほか、デスクトップPCのフロントパネルに取り付けるタイプや、ノートPCのカードスロットに収納可能なタイプなども検討されている。

SideShow機能付きのメディアセンターリモコン PDAのような外付けタイプも検討されている

●SideShowの課題

 このように、SideShowはユーザー層を問わず、多くの便利な機能を提供できるが、課題も少なくない。その1つはガジェットの少なさだ。現在、サイドバー/SideShowガジェットの数はYahoo!ウィジェットやGoogleガジェットに比べると非常に少ない。これは、SideShowがWindows Vistaでしか動かないことが大きな要因だが、ガジェット(機能)が増えないことで採用を渋るPCメーカーと、デバイスが増えないからガジェットを作らないソフト開発者という悪循環もあるようだ。

 これに対して同社では、PCメーカーにヒアリングを行なった上で、希望する機能を持つYahoo!ウィジェット/Googleガジェットの開発者に、SideShowガジェットへの移植の技術供与を行なっているという。これにより、通常2〜3日かかる移植作業が2〜3時間で済むという。

 また、ガジェットの機能における制約もある。その最たる例が未読メールのチェックだ。SideShowを使うことで、ノートPCをOFFにしていても、未読のメールをチェックできるが、これはPCがオンラインの時に受信したメールに限られる。つまり、WiFiの受信範囲内にいても、ノートPCがOFFの時に自動的にメールを受信して、その結果をSideShowで確認といったことはできない。これは、ガジェットというよりもOSの制約でもあるが、携帯電話と同じ機能を期待していると失望することになるだろう。

 日本のノートPCメーカーは、ハードウェアの作り込みに長けているため、NVIDIAでも、国内メーカーに対して、SideShowを駆使したユニークで高機能な製品の開発を切望しているが、携帯電話が非常に高機能化しているという日本独自の環境ゆえに、SideShowへの関心が薄いというジレンマもある。

●今後の展開

 先の、メーカーとソフト開発者の間の取り持ち以外にも、NVIDIAではPreface訴求のためのプランをいくつか用意している。1つは、SideShowの開発元であるMicrosoftへの機能強化に向けた働きかけだ。

 現在、SideShowデバイスでは、PCとのインターフェイスとして、USBとBluetoothのみに対応している。これが、WiFiにも対応できれば、SideShowデバイス単体でSkype端末などさらに用途が広がる。

 実は、現在のPrefaceでも、WiFiや3G通信機能を付加することは可能で、実際そのようなデバイスを検討しているメーカーもあるという。ただし、NVIDIAではPrefaceをSideShowのためのデバイスとして展開していくというスタンスで、基本的にSideShowの仕様を超えた拡張はしない予定。Microsoftとの協業により、SideShowを拡張していく形で、機能性を広げていきたい考えだ。

 また、将来的にはNVIDIAが持つグラフィックスの技術を盛り込み、3Dグラフィックへ対応させたり、同社チップセットとの連携性を高め、機能を向上させることも視野に入れているという。

□NVIDIAのホームページ
http://www.nvidia.co.jp/
□Prefaceのページ
http://www.nvidia.co.jp/page/pp_preface.html
□Windows SideShowのページ
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/features/foreveryone/sideshow.mspx
□関連記事
【4月6日】【塩田】SideShowデバイス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0406/pda57.htm
【3月9日】ASUSTeK、世界初のSideShowノートを国内販売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0309/asus.htm
【2006年11月7日】NVIDIA、“iPodプロセッサ”を製造するPortalPlayerを買収
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1107/nvidia.htm
【2006年9月14日】【FTFJ】プロセッサの組み込み応用を立て続けに披露
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0914/freescale.htm

(2007年4月13日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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