西川和久の不定期コラム

「Windows Vista搭載デル Precision 490到着!」




DELL Precision 490

 筆者が2002年に組んだマシンを低予算で細々とVista化しているのを横目に、同じ事務所内に机がある友人は、オンラインでDual Xeon/メモリ4GB搭載のデル Precision 490をためらいもなく発注(笑)。丁度先日届いたのでそのファーストインプレッションをお届けする。

Text by Kazuhisa Nishikawa



●DELL Precisionシリーズ

 このDELL Precisionシリーズは、単にデスクトップPCという位置付けではなく、Workstation的な扱いになるモデルだ。従ってCPUもCore 2 Duoクラスより上位ランクとなるXeonを搭載し、チップセットはIntel 5000X、メモリはクワッドチャネル DDR2 FB-DIMM 最大32GB(4GB×8スロット)となっている。選べるOSは、Windows Vista Business 32/64bit版(日本語版/英語版)、Windows Vista Ultimate 32/64bit版(日本語版/英語版)、Windows XP Professional Service Pack 2(日本語版/英語版)、Windows XP Professional x64 Edition(日本語版/英語版)。ビデオカードもWorkStation用とされているNVIDIA QuadroとAMD(旧ATI) FireGLで構成され計7タイプから選択できる。

 BTOなので製品の詳細はメーカーの製品情報をご覧頂きたいが、届いたマシンのスペックを簡単にまとめると以下の通りだ。

  1. CPU Dual Intel Xeon 5110 (4MB L2キャッシュ、1.6GHz、1,066MHz FSB)
  2. HDD 250GB/S-ATA/7,200rpm
  3. メモリ 4GB(1GB×4) DDR2 667MHz FB-DIMM ECC
  4. ビデオ NVIDIA Quadro FX 550 128MB (PCI Express x16)
  5. OS Windows Vista Business 32bit Edition

 この構成で約26万円(タイミング的に特別割引があったので実際はもう少し安い)。結構な価格であるが、全体のバランスとしてビデオが弱い(性能ではなくメモリ容量)ことが解る。本人曰く「あまり考えずに選んだ」とのこと。Vistaの場合、ハイエンドクラスのBTOにおいてメモリ128MBのビデオカードは外すべきではと個人的には思っている。またこの関係でちょっとしたトラブルも発生した。

ワンタッチでカバーがオープン
ワンタッチでカバーがオープン
レバーを引くと、サイドカバーが外れる仕掛けになっている。スッと引っ張れるので建て付けも良い
メンテナンス性の良い筐体
メンテナンス性の良い筐体
主要パーツの交換はブルーの部分を外せばでき、ドライバは不要だ。内部も結構スッキリしている
HDD用ドライブベイ
HDD用ドライブベイ
現在左側しか使っていないので、もう1ドライブ空きがある。この位置にHDD用のベイがあるのは初めて見た
ビデオカードと空きスロット
ビデオカードと空きスロット
PCI ExpressにQuadro FX 550が、他のスロットは全て空になっている
Dual Xeon
Dual Xeon
巨大なヒートシンクが2つ。空冷式なのでここに関しては音は静かだ
メモリは8スロット
メモリは8スロット
まだ4ストッロ空があるので拡張性も十分だが、32bit OSではこれ以上増設しても意味が無い
リアにUSB×5
リアにUSB×5
今時、シリアルポートやパラレルポートが必要なのか微妙であるものの、USBポートが5つあるのは嬉しい
フロントはUSB×2
フロントはUSB×2
セットアップ中だったので、キーボードとマウスに使用した。左側にサウンド系の端子もある
Dual Xeonなので4CPUとなる
Dual Xeonなので4CPUとなる
CPUが2ソケット構成のため、BTOでVistaに関してはHome系の選択肢は無かった。メモリ2GBを超えるとそれなりに余裕がある

 そのトラブルとは、セットアップ時XGA(1,024×768ドット)ディスプレイで動かした時は、Aero ONの状態になっていたものの、後述する2ディスプレイ構成にした途端、AeroはOFFになってしまったのだ。結局、予めシステムにインストールされたビデオドライバでは無く、NVIDIAのサイトから2007年2月20日付けの最新ドライバをダウンロードし、インストールしたろころAeroはONになった。ただビデオメモリが少ないため、共有システムメモリ約500MBを消費する。

 この辺りの関係を知らない一般ユーザーが多いと思うので、BTOでは解像度や2ディスプレイ構成に関する何らかの説明を表示した方がいいのではないだろうか。

●使い勝手は!?

 まず、ファンなどのノイズは、起動時に少し気になるが、すぐに気にならないレベルまで落ちる。Vistaが起動し、触った感じは、筆者のメインマシンより気持ち速い程度だ。爆速という程でもない。エクスペリエンスインデックスの比較でも5.7/5.9/4.7/4.0/5.3 vs 4.5/4.3/4.2/4.6/5.7と、CPUとメモリに関しては圧倒しているものの、グラフィックのパフォーマンスで足を引っ張られているのがわかる。また意外なのが、シリアルATAのドライブより、Ultra ATA/100のHDDの方が速いこと。ドライブ固体の特性だろうか。明らかな速度差があったのは、Virtual PC 2007を動かした時だ。VTの有無(Socket603のXeonには無い)がかなり効いている。

DELL固有のカスタマイズ1
DELL固有のカスタマイズ1
固有のカスタマイズと言うほどでも無いが、壁紙が3種類追加され、一番左のブルーっぽいのが標準となっている
DELL固有のカスタマイズ2
DELL固有のカスタマイズ2
DELL システム カスタマイズ ウィザード。初心者用であり、中級者以上には不要だ。初心者がこのクラスのマシンを購入するのか少し疑問
問題のエクスペリエンスインデックス
問題のエクスペリエンスインデックス
明らかにグラフィックが全体の足を引っ張っている。Quadro FXはWorkstation用と言われているがVistaで普通に使うのにはあまり効果は無いようだ
圧迫する共有システムメモリ
圧迫する共有システムメモリ
オンボードで128MB、共有システムメモリで495MBの計623MBものビデオメモリを使っていることが解る
変則Dualモニタ
変則Dualモニタ
友人は買い換える前のXPからこの状態で使っている。このモニタ構成が必須と言うことらしい
Flip 3D
Flip 3D
デュアルディスプレイ環境でも、Flip 3Dは画面1側のみに表示される。縦長の画面2も同時に並んでいるのが解る

 環境として面白いのは、左側に1,600×1,200ドット(21型)で横置き、右側に1,200×1,920ドット(24型ワイド)で縦置きのデュアルディスプレイ環境になっているところだろう。友人はドキュメントを書く仕事が多く、多くはA4縦、従ってこの環境の方が効率いいらしい。またWebも縦表示すると見易いそうだ。少しの間、筆者もこの環境を使ってみたが、縦24型の大きさで視線が上下に動いてしまうので(慣れの問題もあると思うが)結構眼が疲れる。

 もう1つ特殊なのは、キーボードが親指シフトだということ。PS/2タイプのキーボードコネクタが必要で、今時のUSBしかないPCはNG。Vistaで問題無く動くか不安がっていたものの、今のところOK。特に意識しないで使えている。

 このマシンへ買い換える前は、同じくDELL Precision Workstation 670 (Xeon 3.2GHz/メモリ 1GB/ATI FireGL V3100/S-ATA RAID0)を使っていたが、新しいマシンになって特別速くなった気はしないらしい。確かにPrecision Workstation 670を開発用にWindows XPで再構築し動かしているが、全体的な体感速度はこちらの方がいい程だ。良くなったのは、XPで縦表示した場合、波を打つようにスクロールしていたのが、Vistaになってスムーズにスクロールするようになり見易くなったことと、ケースが小さく(一般的なタワー型と同サイズ)なったこと、この2点。パワーアップした部分は、Vistaの重さにスポイルされた格好となっている。

 初めてVistaを触った感想を聴くと「必要以上にいちいちワーニングが表示され生産効率が落ちる」との意見だ(UACをOFFにできるが、Microsoftは推奨していない)。これに関しては筆者も全く同感で、しかもそのまま「許可」すれば通ってしまうので、多くの場合全く無意味。無駄なアクションが増えるだけである。Mac OS Xのように、システムに関係する部分を変更する時に限りパスワードを尋ねるなど、もっとスマートな解決方法はないのだろうか?


●総論

Dualモニタ環境+親指シフトキーボード
Dualモニタ環境+親指シフトキーボード

 2007年に入って筆者の事務所は、Windows XP×4、Windows Vista×2、Mac OS X×2(ただしサーバー以外)という環境になった。現在ノートPCでのVistaは1台も無いが、紛れ込むのは時間の問題だろう。

 当面、これらのマシンで一番強力なのが、今回紹介したDELL Precision 490となるのは間違いない。しかし、その一番速いマシンで、Microsoft Officeを使ったドキュメント作成とネットが主な用途というのはちょっとオーバースペックのような気がするものの、単なる負け惜しみか。



□デルのホームページ
http://www.dell.com/jp/
□Precision 490の製品情報
http://www1.jp.dell.com/content/products/
productdetails.aspx/ws_490?c=jp&cs=jpdhs1&l=ja&s=dhs

□関連記事
【2月26日】【西川】その3『アプリケーションの互換性や使用感』
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0226/nishikawa.htm
【2月13日】【西川】Windows Vista強化月間その2『パーツの入れ替えとインストール』
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0213/nishikawa.htm
【2月6日】【西川】Windows Vista強化月間その1『メインマシンのVista化プラン』
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0206/nishikawa.htm
□Windows Vista特集サイト
http://www.watch.impress.co.jp/headline/vista/

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(2007年3月7日)

[Text by 西川和久]


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