Windows Vista時代を快適に過ごす環境
|
ベンチマークソフト | 解像度 | フィルタ/テスト内容等 | 単位 | Windows Vista | Windows XP | Windows XPを100としたときの相対性能 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
3DMark06 Build 1.1.0 | 3DMarks | 1,024×768 | NoAA/NoAniso | Score | 11636 | 11896 | 97.8% |
1,024×768 | 4xAA/8xAniso | 10464 | 10727 | 97.5% | |||
1,280×1,024 | NoAA/NoAniso | 10712 | 11240 | 95.3% | |||
1,280×1,024 | 4xAA/8xAniso | 8972 | 9158 | 98.0% | |||
1,600×1,200 | NoAA/NoAniso | 9667 | 10142 | 95.3% | |||
1,600×1,200 | 4xAA/8xAniso | 7732 | 7840 | 98.6% | |||
1,920×1,200 | NoAA/NoAniso | 9087 | 9465 | 96.0% | |||
1,920×1,200 | 4xAA/8xAniso | 7011 | 7107 | 98.6% | |||
3DMark06 Build 1.1.0 | SM2.0 | 1,024×768 | NoAA/NoAniso | Score | 4734 | 4906 | 96.5% |
1,024×768 | 4xAA/8xAniso | 4418 | 4444 | 99.4% | |||
1,280×1,024 | NoAA/NoAniso | 4556 | 4663 | 97.7% | |||
1,280×1,024 | 4xAA/8xAniso | 3823 | 3828 | 99.9% | |||
1,600×1,200 | NoAA/NoAniso | 3900 | 4202 | 92.8% | |||
1,600×1,200 | 4xAA/8xAniso | 3267 | 3284 | 99.5% | |||
1,920×1,200 | NoAA/NoAniso | 3707 | 3912 | 94.8% | |||
1,920×1,200 | 4xAA/8xAniso | 2943 | 2948 | 99.8% | |||
3DMark06 Build 1.1.0 | HDR/SM3.0 | 1,024×768 | NoAA/NoAniso | Score | 5159 | 5181 | 99.6% |
1,024×768 | 4xAA/8xAniso | 4269 | 4377 | 97.5% | |||
1,280×1,024 | NoAA/NoAniso | 4378 | 4728 | 92.6% | |||
1,280×1,024 | 4xAA/8xAniso | 3398 | 3479 | 97.7% | |||
1,600×1,200 | NoAA/NoAniso | 3994 | 4059 | 98.4% | |||
1,600×1,200 | 4xAA/8xAniso | 2783 | 2847 | 97.8% | |||
1,920×1,200 | NoAA/NoAniso | 3630 | 3691 | 98.3% | |||
1,920×1,200 | 4xAA/8xAniso | 2481 | 2537 | 97.8% | |||
Splinter Cell Chaos Theory Patch 1.05 | 1,024×768 | NoAA/NoAniso | fps | 192.9 | 201.2 | 95.9% | |
1,024×768 | 4xAA/8xAniso | 145.5 | 150.8 | 96.5% | |||
1,280×1,024 | NoAA/NoAniso | 110.8 | 114.2 | 97.0% | |||
1,280×1,024 | 4xAA/8xAniso | 96.7 | 99.6 | 97.2% | |||
1,600×1,200 | NoAA/NoAniso | 160.7 | 167.6 | 95.9% | |||
1,600×1,200 | 4xAA/8xAniso | 115.5 | 121.4 | 95.1% | |||
1,920×1,200 | NoAA/NoAniso | 86.4 | 90.4 | 95.6% | |||
1,920×1,200 | 4xAA/8xAniso | 74.6 | 77.8 | 95.9% | |||
1,024×768 | NoAA/NoAniso/HDR有効 | 176.1 | 180.6 | 97.5% | |||
1,280×1,024 | NoAA/NoAniso/HDR有効 | 129.2 | 131.3 | 98.4% | |||
1,600×1,200 | NoAA/NoAniso/HDR有効 | 97.5 | 98.7 | 98.8% | |||
1,920×1,200 | NoAA/NoAniso/HDR有効 | 84.7 | 85.8 | 98.8% | |||
F.E.A.R. Patch 1.08 | 1,024×768 | NoAA/NoAniso | fps | 154 | 162 | 95.1% | |
1,024×768 | 4xAA/8xAniso | 132 | 140 | 94.3% | |||
1,280×1,024 | NoAA/NoAniso | 146 | 154 | 94.8% | |||
1,280×1,024 | 4xAA/8xAniso | 109 | 114 | 95.6% | |||
1,600×1,200 | NoAA/NoAniso | 124 | 132 | 93.9% | |||
1,600×1,200 | 4xAA/8xAniso | 80 | 84 | 95.2% | |||
1,920×1,200 | NoAA/NoAniso | 116 | 120 | 96.7% | |||
1,920×1,200 | 4xAA/8xAniso | 68 | 69 | 98.6% | |||
PCMark 05 Build 1.2.0 | Transparent Windows | 1,024×768 | NoAA/NoAniso Aero無効 | Windows/s | 224.4 | 670.1 | 33.5% |
Graphics Memory - 64 lines | fps | 515.3 | 2918.6 | 17.7% | |||
Graphics Memory - 128 lines | fps | 443.0 | 1801.0 | 24.6% | |||
WMV Video Playback | fps | 47.5 | 61.3 | 77.5% | |||
3D - Fill Rate Multi-Texturing | MTexels/s | 16679.6 | 16700.4 | 99.9% | |||
3D - Polygon Throughput Multiple Lights | MTriangles/s | 104.7 | 161.0 | 65.0% | |||
3D - Pixel Shader | fps | 558.1 | 570.2 | 97.9% | |||
3D - Vertex Shader | MVertices/s | 118.5 | 102.4 | 115.7% | |||
Transparent Windows | 1,024×768 | NoAA/NoAniso Aero有効 | Windows/s | 4247.4 | ↑ | 633.8% | |
Graphics Memory - 64 lines | fps | 505.4 | ↑ | 17.3% | |||
Graphics Memory - 128 lines | fps | 441.4 | ↑ | 24.5% | |||
WMV Video Playback | fps | 31.6 | ↑ | 51.5% | |||
3D - Fill Rate Multi-Texturing | MTexels/s | 16828.3 | ↑ | 100.8% | |||
3D - Polygon Throughput Multiple Lights | MTriangles/s | 104.2 | ↑ | 64.7% | |||
3D - Pixel Shader | fps | 558.1 | ↑ | 97.9% | |||
3D - Vertex Shader | MVertices/s | 118.2 | ↑ | 115.4% |
●ゲームを楽しむサウンド環境を助ける「ALchemy」
さて、ここまでは主に3Dゲームのグラフィックスについての話題だったが、ここからはサウンドについて触れてみたい。ここで取り上げたいのは、Creative Technologyが1月23日にリリースした「ALchemy」と名付けられたユーティリティだ(現在はβ版)。
【写真1】クリエイティブメディアの「SoundBlaster X-Fi Elite Pro」。同社によると、Vista対応の正式ドライバは2月中旬ごろにリリースされるようだ |
Creative Technologyが発売しているSoundBlasterシリーズは、「EAX(Environmental Audio eXtensions)」と呼ばれる3Dオーディオ技術にハードウェアで対応している。また、最近のサウンドカードは、DirectSound3Dのハードウェアアクセラレーションが可能である製品が少なくない。実は、Windows Vistaでは、これらが使えなくなる。
こうしたハードウェアアクセラレーションは、DirectSoundが持つHALによって実現されている。このHALは、Windows NT系OSでおなじみの言葉かと思うが、簡単にいえばソフトウェアとハードウェアの仲介役で、ここではソフトウェアがDirectSound、ハードウェアがSoundBlasterなどのサウンドカードということになる。
このHALの存在によって、DirectSoundに関する機能のハードウェアアクセラレーションが利用できていたのだが、Windows Vistaではこれが廃止されてしまった。分かりやすくいえば、DirectSoundとサウンドカードが切り離されてしまったことにより、DirectSound3DやEAXをサポートしていたとしても、3Dオーディオは利用できなくなったのだ。もちろん、ステレオ再生は可能となるが、これにしてもDirectSoundのハードウェアアクセラレーションは利用されずソフトウェア(CPU)によるアクセラレーションとなる。
これを解決するのがALchemyである。Windows Vistaでは別の3Dオーディオ技術であるOpenALが実装されており、SoundBlaster X-FiシリーズのVista対応ドライバはOpenALに対応しているので、アプリケーションから出されるDirectSoundの命令をOpenALに変換することで、DirectSound3DやEAXを利用可能にするものだ。つまり、ソフトウェア側はDirectSound3DやEAX、サウンドカード側はOpenALで処理されることになり、その仲介役となるのがALchemyというわけである。
実際に、その動作を紹介しよう。使用したのは「SoundBlaster X-Fi Elite Pro」である(写真1)。ドライバは現在アメリカのCreative Technologyのサイトで公開されている英語版のβドライバ(Version 2.13.0001)を利用した。
さて、この製品をWindows Vistaに装着し、RightMark3DSoundで機能チェックを行なったものが画面1、2だ。ご覧の通り、DirectSoundのハードウェアアクセラレーションやEAXはいずれも非サポートとなるが、OpenAL1.1では逆にいずれも可能であることが分かる。この状態では、F.E.A.R.を利用しても、EAXを利用することはできない(画面3)。これはF.E.A.R.のEAX対応がDirectSoundの拡張として実装されているためだ。
そこでALchemyの登場である。ALchemy自体の使い方は簡単で、インストールされている対応ゲームが左側(DS3D)の欄に表示されるので、それを右側(OpenAL)へ移動するだけだ(画面4、5)。これで、F.E.A.R.でもEAXを有効にできるようになる(画面6)。
ただし、ALchemyが初期状態で対応しているゲームは次のものに限られる。
・Battle for Middle Earth 2
・Call Of Duty
・Call Of Duty 2
・Diablo 2
・Everquest 2
・F.E.A.R
・Full Spectrum Warrior
・Full Spectrum Warrior: Ten Hammers
・Guild Wars
・GTA San Andreas
・Hitman Blood Money
・Max Payne 2
・Medieval II: Total War
・Neverwinter Nights
・Neverwinter Nights 2
・No One Lives Forever 2 A Spy in H.A.R.M's Way
・Rome: Total War
・Serious Sam Second Encounter
・Star Wars Empire at War
・Thief: Deadly Shadows
・Titan Quest
・Tomb Raider: Angel Of Darkness
・TRON 2.0
・Warcraft III
・World of Warcraft
つまり、これ以外のアプリケーションで利用する場合は、設定用のiniファイルを編集しなければならないのだ。例えば、先述のRightMark3DSoundも対応していないので、ALchemyインストール後に起動してもサポート機能の一覧に変化はないのである。
そのiniファイルは、ALchemyのインストールフォルダにある「ALchemy.ini」で、ファイルの冒頭には利用できるパラメータも記載されている(画面7)。この設定ファイルの目的は、利用するアプリケーションのフォルダを指定することだ。実はF.E.A.R.の設定は実はもっともオーソドックスな部類で、F.E.A.R.のインストール先フォルダが記載されたレジストリのキーを指定しているだけなのである(画面8)。
この記述方法はヘルプにも説明があり、RightMark3DSoundも登録してみようとしたのだが、レジストリにはこのアプリケーションのインストール先フォルダを指定したキーが用意されていない。その場合は、「ProgramFilesPath」というパラメータを指定してインストール先フォルダを記述すればいいらしいのだが、これがどうにもうまくいかず、記述してもALchemyのDS3Dの欄にRightMark3DSoundが表示されなかった(画面9)。
そこで、ちょっとリスキーな方法ではあるが、レジストリにインストール先フォルダを記載したキーを登録して、iniファイルでそのキーを参照させてみたところ、見事に表示され、OpenALで動作させることができた(画面10~12)。この状態でRightMark3DSoundの機能チェックを利用すると、DirectSoundでEAX利用する場合は、EAX4.0までの対応となる点が確認できる(画面13)。
なお、アプリケーションによっては、DLLがインストールフォルダより下の階層に保管されている場合はそのディレクトリを指定したり、バッファサイズなどを明示的に行なわないと正常に音が出ない場合もあるようで、Creativeによる今後の情報のアップデートには期待したいが、βである現状では試行錯誤して手動設定と最適なパラメータを探っていくしかないだろう。
【画面14】ALchemy.iniを編集してもうまくいかない場合は、ALchemyをインストールしたフォルダにある「dsound.ini」と「dsound.dll」の2つをファイルを、有効にしたいアプリケーションのフォルダにコピーしても動作させられる |
このほか、公式に発表されている方法ではないが、ALchemy.iniを編集する方法以外に、ALchemyフォルダ内にあるdsound.dllとdsound.iniの2つのファイルを、ALchemyを有効にしたいアプリケーションがインストールされているフォルダにコピーすることでも利用が可能なようだ(画面14)。この場合はALchemyのメイン画面に表示はされないが、アプリケーション上ではEAXなどが利用できるようになる。
コピーする先は、本来ALchemy.iniで指定すべきインストール先フォルダやサブディレクトリにそれぞれコピーすればいいようだ。とくにサブディレクトリの指定がうまくいかないためにALchemy上で設定できない場合でも、手当たり次第にコピーするという手段が取れるので、悩んだら試してみるといいだろう。
さて、このサウンドのパフォーマンスであるが、本当はRightMark3DSoundを利用してマルチサウンド出力時のCPU負荷を見ようと思ったのだが、Windows XP/Vistaともにベンチマークが途中で中断されてしまうトラブルに見舞われたため、ここでは、3DMark03のサウンドテストを利用することにしたい。
結果は表2に示した通りだが、このテストでは無音、24音/60音同時出力中の描画のフレームレートを計測することで、マルチサウンド出力中のCPU負荷をチェックできるもの。数字は大きいほどサウンド出力によるCPU負荷が低く、良い傾向にあることになる。ただこちらも、Windows Vista環境では60音同時出力テストが途中で中断してしまい、残念ながら24音同時出力のみのテストとなってしまった。3DMark03はそもそもWindows Vistaに正式対応したアプリケーションではないので、これは仕方がない。
結果は、Windows XP上で実行した場合に比べ、24音同時出力中のフレームレートの差は1fps程度で、誤差の範囲といってもよいほど。先に示した通り、3D描画性能自体がWindows Vista環境では数%ほど低い傾向にあるので、この結果ではALchemyによる影響はゼロに近いといっても差し支えないだろう。
Windows Vistaの3Dオーディオ環境が事実上OpenALをベースとしたものに移行することで、今後はこちらに対応したアプリケーションが増えてくるとは思うが、現状のアプリケーションで3Dオーディオを楽しむならば、X-Fi+ALchemyという選択肢しかない。ALchemy自体はまだβ版だが、この状態でも、3DオーディオはALchemyが原因でパフォーマンス低下を起こすことなく利用できる完成度の高さは評価されるべきだろう。もっとも、その設定方法には難があるのも事実で、今後はこちらの改善を期待したい。
SoundBlaster X-Fi & Alchemy(Windows Vista) | SoundBlaster X-Fi(Windows XP) | ||
---|---|---|---|
No sounds | fps | 115.8 | 118.1 |
24 sounds | 106.8 | 107.7 | |
80 sounds | n/a | 99.3 |
●ゲームを楽しむ環境は整いつつあるVistaだが……
以上の通り、Windows Vista環境におけるゲームの快適さを検証してきたが、率直な感想として、Windows Vistaだからゲームがこのように楽しめる、という魅力が欲しいというのが実感だ。例えばパフォーマンスが大幅に上がるといった結果が出れば、乗り換える人も出るだろうが、テストした限り、下がることはあっても上がることはなさそうだ。
しかし、Windows Vistaならではの魅力となり得そうなポイントはある。VistaではついにDirectX 10が導入され、グラフィックスの新しい表現が実現されるようになり、Windows XPでは味わえないクオリティのゲームが将来的には登場するだろう。
ただ、先日、日本語版が発表されたVista対応のマイクロソフト「フライトシミュレータX」にしても、現在はDirectX 10対応コードは未実装。実際に試してみたものの、地上のオブジェクトや海の表現、航空機のディテールなど、変化が表われそうな箇所にも描画に違いはないことが分かる(画面15~20)。将来的には対応パッチがリリースされるとはされているものの、現状ではDirectX 10に対応した市販ゲームはない。
パフォーマンス面でも、冒頭で行なったベンチマーク結果と似たような傾向を示し、画面ではWindows Vistaの方が高いフレームレートを出している場面をキャプチャーしてしまったが、同じクオリティ設定ではWindows Vista環境の方が全体的に3~5%程度は遅いフレームレートで推移した。Vista対応と大々的に登場したフライトシミュレータXではあるが、現状では、既存ゲームの枠組みからは外れていないわけである。
そのようなわけで、ゲームユーザーにとっては、Windows Vistaへの乗り換えを行なう前向きな動機がないのは事実だ。それでも、Windows XPと比較しても大きくパフォーマンスが下がることはなく、従来の3Dサウンドのハードウェアアクセラレーションを可能にしようという動きもある。ゲームユーザーであっても、Windows Vistaの機能に興味があるならば、発売から1週間しか経っていない今でもWindows XPと同等レベルの環境を整えることは可能といっていいだろう。
□Windows Vistaの製品情報
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/
□Sound Blaster X-Fi Elite Proの製品情報
http://jp.creative.com/products/product.asp?category=1&subcategory=208&product=14064
□関連記事
【1月31日】AMD、Vista対応ドライバ「Catalyst 7.1」公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0131/amd.htm
【1月31日】AMD、Vista対応ドライバ「Catalyst 7.1」公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0131/amd.htm
【1月29日】Vista時代を快適に過ごすハイエンド環境【第1回:ワイド液晶編】
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0129/vistaenv1.htm
【1月25日】Creative、Vista上でEAXゲームの3Dオーディオを有効にする「ALchemy」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0125/creative.htm
(2007年2月5日)
[Reported by 多和田新也]