2006年の冬は、23型以上の大型液晶ディスプレイが買いやすくなったことで、人気を集めている。その中でも特に注目度の高い製品が、前回レビューしたナナオの24.1型ワイド液晶ディスプレイ「FlexScan S2411W」と、今回レビューする三菱電機の「RDT261WH」である。 三菱電機は、PC用ディスプレイで国内No.1のシェア(IDC Japan調べ)を誇るメーカーであり、数多くの製品ラインナップを揃えているが、RDT261WHは、同社の個人向け液晶ディスプレイのフラッグシップに位置付けられる製品だ。 ●ダブルヒンジスタンドの採用により、高さやチルト角を変更可能
RDT261WHは、同社の液晶ディスプレイ「Diamondcrystaシリーズ」の中でも、最大サイズとなる25.5型ワイド液晶パネルを採用した製品である。筐体は、他のDiamondcrystaシリーズと同じく、直線を主体としたシンプルなデザインであり、額縁部分が狭いことも評価できる。 ボディカラーは、今回試用したブラック以外にホワイトも用意されている。スタンドには、ダブルヒンジスタンドが採用されており、チルト角を上40度、下5度の範囲で調整できるほか、高さの調節(約60mm)も可能だ。なお、梱包時など、チルト角を40度以上にすることも可能だが、その状態での使用は禁じられている。 また、スタンドにはスイーベル機構も組み込まれており、340度の範囲で左右に回転させることが可能だ。背面にはケーブルをまとめるためのケーブルホールが用意されており、ケーブルをすっきりとまとめることができる。
●DVI-I端子、DVI-D端子、アナログRGB端子の3系統入力を装備
RDT261WHは、入力端子が充実していることも魅力だ。アナログ/デジタル両対応のDVI-I端子とデジタル対応のDVI-D端子、D-Sub15ピンという3系統の入力端子を装備しており、最大3台のPCを同時に接続して、切り替えて使うことが可能だ。入力端子を2系統装備した液晶ディスプレイは多いが、3系統備えた製品はそれほど多くはない。多くのPCを持っている人には嬉しい仕様だろう。 DVI-I端子とDVI-D端子は、著作権保護技術のHDCPにも対応しており、地上デジタル放送や著作権保護された次世代DVDなどのHDコンテンツをデジタル経由で再生可能だ。 接続ケーブルは、DVI-DケーブルとD-Sub15ピンケーブルの2本が付属する。4ポートのUSB Hub機能も搭載しており、USBケーブルも付属している。ただし、スピーカーは内蔵していない。
●H-IPS液晶採用で広視野角を実現 RDT261WHは、H-IPS(High aperture ratio In-Plane-Switching)方式の液晶パネルを採用していることも特徴である。IPS方式は一般的なTN方式の液晶とは異なり、横方向に電界をかけて液晶分子を回転させる方式であり、視野角が広く、斜めから見ても色調変化が小さいという利点がある。視野角は上下左右とも178度であり、液晶ディスプレイとしてはトップクラスだ。また、NTSC比約92%という広い色度域を実現しており、Adobe RGBの色空間をほぼカバーできる。1,677万色表示対応のいわゆるフルカラーパネルを採用していることに加え、映像信号の内部処理は各色10bit(約10億6,433万色)で行なわれており、ガンマ特性に応じた忠実な色再現が可能だ。 液晶パネル自体のネイティブコントラストは750:1だが、映像に応じてバックライト輝度を制御することで実質的なコントラストを高める「CRオプティマイザー」が搭載されており、CRオプティマイザー有効時には最大1,500:1までコントラストを高めることができる(CRオプティマイザーは動画表示時に効果を発揮する)。最大輝度も480cd/平方mと明るい。
●オーバードライブ回路搭載で、中間階調部での応答速度7.5msを実現 RDT261WHでは、動画表示性能を高めるために、オーバードライブ回路を装備しており、GreyToGreyで7.5msという高速な応答速度を実現している。DVD-Videoやアクションゲームなども、残像が気になりにくく、快適な表示が可能だ。表示解像度は、WUXGA表示(1,920×1,200ドット)で、XGA表示(1,024×768ドット)に比べて、一度に画面に表示できる情報量は約2.9倍にもなる。 ディスプレイ下部にボタンを6つ(電源スイッチも含む)装備しており、OSDを利用して画質調整などが可能だ。ボタンは、左からECOボタン、MENU/EXITボタン、SELECT/INPUTボタン、RESET/DV MODEボタン、コントロールボタン、電源スイッチの順に並んでおり、コントロールボタンは上下左右の4方向入力+中央押し込みが可能になっている。 画質調整機能も充実しており、輝度や色温度、ゲイン、オフセット(黒レベル)などを自由に変更できる。色温度は、9,300K/6,500K/5,000Kの3種類がプリセットされているが、それをベースにカスタマイズすることも可能だ。また、表示ソースによって、最適な画質モードを選択できるDV MODE機能も搭載している。DV MODE機能では、「スタンダード」、「テキスト」、「sRGB」、「ムービー」、「ゲーム」、「フォト」の6種類の画質モードが用意されており、OSDメニューから選択できるだけでなく、RESET/DV MODEボタンを押すことで、順番に切り替えていくことが可能だ。
●アスペクト比を保ったままの拡大表示やドットバイドット表示も可能 RDT261WHは、WUXGAのワイドフォーマット(16:10)対応の液晶ディスプレイだが、ビデオカードの設定やアプリケーションによっては、アスペクト比4:3の解像度で出力されることもある。液晶ディスプレイによっては、アスペクト比が異なる入力も強制的にフルスクリーン表示されてしまう製品もあるが、RDT261WHなら、アスペクト比を保ったままの拡大表示(アスペクト)やドットバイドット表示(リアル)も可能だ。アスペクトやリアルに設定した場合、周囲に余白ができるが、この余白部分のカラー(サイドカラー)も自由に変更できる。 また、輝度を落として消費電力を下げ、まぶしさを低減させる「ECOモード」も搭載している。ECOモードは、輝度の最大設定値を半分に下げる「ECOモード1」と、最大設定値を半分に下げ、さらに信号に応じて輝度を自動的に調整することでまぶしさをより低減させる「ECOモード2」が用意されている。ECOモードの切替は、ECOボタンを押すだけで可能だ。 DVI端子の入力モードは、PC用の「DVI-PC」とDVDプレーヤーなどの映像機器用の「DVI-HD」の2種類が用意されている。後者に設定すると、1,920×1,080ドット(いわゆるフルHD解像度)も、ドットバイドット表示が可能になる。 また、PCとディスプレイの間で、情報を双方向でやりとりできるDDC/CIにも対応しており、三菱電機のWebサイトで無償公開されている設定ユーティリティ「Visual Controller」を使えば、PC上から画質設定などを行なうこともできる。
●電源LEDの輝度を自由に調整できる RDT261WHで面白いのは、電源LEDの輝度を自由に調整できることだ。電源LEDには青色LEDが採用されているが、デフォルト状態だとかなり明るい。明るい部屋で仕事をしている場合はそれほど気にならないだろうが、部屋を暗めにして、DVD-Videoなどを鑑賞している場合、電源LEDの光がまぶしく、邪魔に感じられることがある。RDT261WHでは、OSDメニューに「LEDブライトネス」という項目が用意されており、電源LEDの輝度を0~100%の間で自由に調整できるので、電源LEDの光が邪魔になることはない。AV機器では、インジケーター類を暗くしたり、消したりする機能を装備しているものも多いが、液晶ディスプレイでは珍しい。
●高品位なディスプレイであり、DTPやフォトレタッチ用途にも最適 RDT261WHは、三菱電機の個人向け液晶ディスプレイの中でも最上位に位置する製品であり、表示色域や輝度、応答速度、視野角などの基本性能は非常に優秀だ。著作権保護技術のHDCPもサポートしているので、次世代DVDのHDコンテンツも問題なく再生できる。価格はオープンプライスだが、店頭での実売価格は158,000円前後だ。ライバル製品であるナナオの24.1型液晶ディスプレイ「FlexScan S2411W」の実売価格は139,800円前後なので、2万円近くの差があることになる。 どちらも優れた液晶ディスプレイであり、買って後悔することは少ないと思われるが、より大きな画面で迫力のある映像を楽しみたいという人や2系統入力では足りないという人には、RDT261WHをお勧めする。表現可能な色域も広いので、色にこだわるDTPやフォトレタッチ用途にも向いているだろう。ただし、横のサイズが594.1mm(S2411Wは566mm)もあるので、PC用デスクなどに置く場合は、購入前に設置スペースがあるか確認するようにしたい。 □三菱電機のホームページ (2006年12月26日) [Reported by 石井英男]
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