山田祥平のRe:config.sys

年越しVistaのまあだだよ




 ソフトウェア、ハードウェアベンダーから新製品などが発表されるなど、2007年1月30日の出荷開始を前に、Vistaに向けた準備が着々と進んでいる。ずっとノートPCでVistaの評価を続けてきたが、そろそろデスクトップ環境を整えようと、試行錯誤を始めた。

●デスクトップVista環境に取り組む

 3日連続で秋葉原に通うなんてことをしたのは初めてだ。

 というのも、デスクトップ環境でVistaを評価するために、手元にあったパーツに多少の追加投資をして、前の週末にマシンを一台組み上げたのだが、やっぱりトラブルは起こるものだ。このPCは、しばらく現行のXP環境と並行して稼働させながら、2007年の通常環境として完成させるつもりだ。XP PCには、すでにディスプレイもキーボードもマウスもつながっていない。リモートデスクトップで使うだけだ。

 新環境の構成としては、Core 2 DuoとIntel 975X Expressチップセットに、1GBのDDR2-667メモリを4枚装着して4GBとし、320GBのHDDを起動ドライブに、さらに、500GBのHDDを3台内蔵した。これでストレージは合計約1.8TBで、当面は安心していろいろ試すことができる。

 この環境に、まず、手元にあったATIのRadeon X700搭載のPowerColor製ビデオカードを使ってVistaをインストールした。特に問題はなさそうだったので、普段の環境と同様のマルチディスプレイ環境を試してみることにした。

 ぼくは、通常の環境では、21型相当のUXGA(1,600×1,200ドット)ディスプレイを2台並べてDVI接続し、1台を横位置、もう1台を縦位置で使っている。この環境がきちんと動かなければ納得できない。インストール時にはビデオ用として、WDDM(Windows Display Driver Model>のドライバが自動的に組み込まれるが、このドライバでは画面を回転できないので、AMDのサイトに行ってCatalyst Beta Display Driver for Windows Vista RTM(32 bit)を入手してインストールした。ちょうど、RTM用のドライバが新たに登録されたばかりのタイミングだった。

 望みの向きに画面を回転させ、しばらく使ってみたものの、不規則に画面が瞬間的にブラックアウトしてしまう。そのタイミングの規則を特定できないのだが、これではイライラして使い続けるには苦痛だ。このビデオカードはXPで使おうとして買ったものだが、同様の現象で、一度新品に交換してもらった経緯がある。それでも結果は同じだったので、きっとこのカード固有の持病のようなものなのだろう。仕方がないので、XPの通常環境は、ずっとアナログ時代から愛用してきて信頼感のあるMatrox Parheliaを使ってきたのだが、OSも新しくなったことだし、もう一度試してみようと思ったのだが、やっぱりダメだったようだ。XP上でのParheliaは実に安定して使えていたのだが、残念ながら現時点でAeroには対応していないし、ベンダーからVista用のドライバも提供されていないので引退させるしかない。

 そこで、都心に出たついでに秋葉原を回ってビデオカードを物色した。いろいろな環境を試したいので、今回はGeForceにすることにしたが、選択肢の条件は、512Mのビデオメモリを搭載し、2つのDVI端子を持ち、2万円以下、できればファンレスであることだ。この条件で、秋葉原の主なショップを回って物色したものの、条件に合致するものはみつからなかった。普通にAeroが動いてくれればそれでいいので、グラフィックスチップのランクはさほど気にしないのだが、ビデオメモリは多い方が有利だ。うるさいのはいやなので、ファンレスにはこだわりたい。

 結局、その日はあきらめることにして、最近のビデオカード事情を調べてから出直すことにした。夕方には都内のホテルで記者会見があったので、そこで会った知り合いのライターに聞いてみると、いくらなんでも、その条件では見つからないだろうとのことだった。自宅に戻って使い続けるも、なんだか、ブラウザでリンクをクリックするなど、画面に大きな変化があったときにブラックアウトが発生する。

●ビデオカードで四苦八苦

 翌日、意を決して、もう一度秋葉原にでかけ、GeForce 7900 GS搭載のGALAXY製ビデオカードを買ってきた。ファンレスの条件はあきらめ、もっとも安いものを選んだ。それでも、選んだカードは3万円台の前半だった。

 カードを交換して無事にWDDMでの起動を確認、NVIDIAのサイトからForceWareを入手してドライバを入れ替えた。その時点では10月中旬に公開されたドライバが最新だった。ちょっと古いので、いろいろ探してみると、あるベンダーのサイトで12月版のドライバが見つかったので、そちらを使うことにした。最新のドライバは、公式サイトにきちんと登録してほしいものだ。こういう時期の対応がベンダーの信頼感を左右する。

 GeForce環境は、手元でちゃんと使うのは初めてなのだが印象は悪くない。特に、RadeonではできなかったVideoLAN media playerによるビデオ再生ができ、マルチディスプレイをまたいで再生中のビデオを表示できるのはうれしかった。ビデオファイル、特にmpegファイルの再生に関しては、Vista対応の正式なプレーヤー製品が発売されるまでは、Windows Media Playerでガマンするつもりだったが、やはりスライドバーでしか早送り、巻き戻しができないのはつらいので、VLCが動いてくれるのはうれしい。

 ちなみに、Windows Media Centerでは、早送り、巻き戻しはうまくできないものの、約30秒のスキップボタンが使える。ビデオファイルを見るたびに、Media Centerの10フィートGUIを起動するのもめんどうだし、100個を超えるファイルが置かれたフォルダから見たい番組を探すのはけっこうたいへんなので、MPEGファイルに%SystemRoot%\ehome\にあるehshell.exeを関連づけるなり、ファイルを右クリックしたときのショートカットメニューに表示されるようにしておくと、通常の、フォルダウィンドウでファイルを見つけて、ダイレクトに再生させることができる。

 さて、けっこう気に入ったGeForce環境だったのだが、起動時にエラーが出てWindowマネージャが強制終了し、Aeroがオフになってしまう。いろいろ試してみると、画面を回転させたときだけそうなるようで、2台のディスプレイが双方ともに横位置なら特に問題は起こらない。でも、自分の環境としてはそれでは使えない。ブラックアウトするカードも、このカードも、1台のディスプレイを普通に使う分には何の問題も起こらないのだが、ちょっと特殊な使い方をすると破綻してしまう。

 結局、翌日、また秋葉原にでかけ、今度はRadeon X1650搭載のHIS製カードを買ってきた。これも2万円を超えていた。えらい出費だ。このカードは、心配していたRadeonブラックアウト現象も起こらず、片方縦、片方横のマルチディスプレイで問題はない。ただし、VLCが使えないので、当面は、Media Centerのお世話になることにしよう。

●オフラインフォルダを有効に使う

 こうして基本的なハードウェアの環境が決まったところで、ソフトウェアの環境を整えていく。今回は、各ベンダーの対応などが少し落ち着くであろう2007年の3月頃をめどに、最初から環境作りをやり直すつもりなので、そのときに備えて初回インストール時からの作業内容をメモしておくことにした。

 コントロールパネルの電源オプションでは、デフォルトで1時間でスリープ状態に移行するのでこれをしないように設定、さらに、オフラインフォルダアプレットで、ディスク使用量を最大にしておく。Vistaでは、オフラインフォルダと同期の機能が、かなり使いやすくなったので有効に使うことをおすすめする。

 具体的には、別のPCで共有されているリソースをネットワーク経由で同期できるのだ。自宅内のLANでなぜ同期するのかというと、それが結果的にストレージの二重化バックアップとなり、障害が発生しても、データはすべてのPCにあるので安心だからだ。

 スタートメニューからコンピュータを開き、原稿などを置く共有、取材メモを置く共有、お気に入りを置いた共有の3フォルダを「ネットワークの場所」として登録、右クリックでのショートカットメニューでオフラインで利用するように設定すると、その場で同期が始まる。さらに、同期センターでは、同期スケジュールとして、アイドル時間が15分経過したときに同期をするように設定しておく。Vistaのサーチ機能は、ネットワーク共有をインデックス作成対象にはできなくなってしまい、MSNデスクトップサーチよりも退化してしまったが、オフラインフォルダはインデックスの作成対象になるので一石二鳥だ。

 また、お気に入りに関しては、お気に入りフォルダのプロパティを開き、場所をネットワーク共有の別の場所にリダイレクトしておく。こうしておけば、すべてのPCのお気に入りが同期され、どのPCで登録削除しても、全環境に反映される。これらの環境はすべてあわせても10GBに満たないので、ノートPCでも同様の設定をしている。

 キーボードに関しては、CtrlキーとCaps Lockキーの入れ替えにXPのリソースキット付属のremapkeyを使う。管理者として実行すればレジストリが書き換えられる。これはノートPCで試して問題がないことがわかっていた。ぼくの使っているキーボードは東プレのRealForceで、スタートキー、すなわちWindowsキーがないので、フリップ3Dのために、無変換キーにスタートキーを割り当てた。普段は無変換キーを使うことはないので不自由はしないだろう。

 IE7の起動を確認し、検索の既定プロバイダをGoogleに設定、フォントは既定でMS P ゴシックになっているが、メイリオに変更する。Flashを使ったサイトを開き、Flash Playerをインストール、iTunesをインストールして同時にQuickTimeを入れてしまう。また、Office 2007や、リリースされたばかりのAdobe Reader 8を入れ、ジャストシステムが公開したATOK 2007試用β版を入れ、愛用の秀丸エディタを入れて……と、順次環境を整えていく。

 マウスやプリンタなどの周辺機器に関しても、正式なドライバが出てくるのは1月になってからだ。ちなみに、マイクロソフトはマウス用のドライバ IntelliPoint 6.1 for Vistaを公開したようだ。ダイレクトリンクがおかしいようだが、このページから検索すれば入手できる。なお、日本法人のサイトからでは探し出せない。

 5年間使ってきた環境を、そっくりそのまま新しいOS環境で再現しようとするのだから、いろいろな問題が起こり続けるだろう。落ち着くまでは数カ月を要するのは仕方があるまい。その中で自分の作業スタイルにも多少の変化はあるかもしれない。

□関連記事
【11月24日】【山田】Vistaコードコンプリート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1124/config134.htm

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(2006年12月22日)

[Reported by 山田祥平]


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