Gatewayと言えば、往年のPCマニアには“牛マーク”のPCとしておなじみのブランドだが、一時日本市場から撤退していたものの、2004年にeMachinesを買収したことで、日本市場へ再進出している。 Gatewayと言えば、安価であるが高性能というコストパフォーマンスに優れた製品を出荷するというイメージだと思うが、今回取り上げる「GT5062j」も、Core 2 Duo E6600、1GBメモリ、GeForce 7600 GS、トータルで640GBのHDDとWindows Vista Home Premiumにも対応可能なハイスペックを採用しながら店頭価格で15万円弱に設定されるなど、やはりコストパフォーマンスに優れた製品に仕上がっている。 ●Core 2 Duo E6600、Viiv対応マザーボードを採用 今回紹介するGateway GT5062j(以下本製品)の特長としては、なんといってもGatewayらしいハイエンド指向なパーツを採用していることが挙げられるだろう。CPUは、Core 2 Duo E6600が採用。Core 2 Duo E6600は、2.4GHzで動作し、Core 2 Duoとしては上から2番目に属するグレード。下位グレードになるE6400はクロックこそ2.13GHzと大差ないが、L2キャッシュの容量が2MBと最上級グレードのE6700の4MBに比べて半分になってしまっているのに対して、E6600は4MBのままでE6700との差はクロック周波数(E6700は2.67GHz)だけとなっており、言ってみればCore 2 Duoシリーズのお買い得グレードなのだ。 Core 2 Duoシリーズは、前世代のPentium Dに比べて高い処理能力を発揮するのに、消費電力は半分以下とワット性能の高さが特徴と言えるが、本製品でもその特徴は遺憾なく発揮されている。具体的には、ファンの動作音だろう。本製品では、電源投入直後はほんの一瞬結構大きめなファンの動作音がするが、すぐ低速モードへ移行し、以降、よほどケース内の温度が熱くならない限りは静かな状態で動作している。実際、筆者宅でも割と静かな部屋に持って行って動作させてみたが、起動時に一瞬だけすごい音がすることをのぞけば全く気にならなかった。
●Viiv Technologyにも対応したIntelのBTXマザーボードを採用 こうした静音を実現しているもう1つの理由は、本製品がマザーボードのフォームファクタとしてはBTXを採用していることだ。BTXではCPUの位置を本体の中央に持ってきて、吸気と排気のケースファン2つでCPUとそのほかの部分を効率よく冷却することが可能になっている。本製品でもそうした設計がされており、電源投入後、必要の無いときにはケースファンを兼ねているCPUファンが低速モードに移行することで静音化を実現しているのだ。 採用されているマザーボードはIntel製のマザーボードで、ボード上にはDP965LVG2というシールが貼られていた。おそらくこの“DP965LVG2”というのがマザーボードの型番だと思われるのだが、IntelのWebサイトにはこれに関する情報は掲載されていないので、OEM向け専用のマザーボードなのだろう。搭載されているチップセットは型番からもわかるようにIntel P965 Expressだ。 サウスブリッジはICH8-DHが採用されており、Viiv Technologyに対応する。本製品は、CPUがCore 2 Duo、OSはWindows XP Media Center Edition 2005が採用されているので、Viivの要件を満たしており、Viivソフトウェアも標準で導入されている。導入されているのは、最新版のバージョン1.5で、DLNAガイドラインに対応したメディアサーバーの機能を使ったり、Viiv向けコンテンツを楽しむことができる。
●HDDはRAID モードに設定されているが、標準では単体ドライブの設定に
Viiv Technologyに対応させるためには、HDDをRAID構成かAHCI構成に設定しておく必要があるのだが、本製品ではBIOSでRAID構成に設定されているが、それぞれシングルドライブとして動作している。 Intelのユーティリティを利用することで、OSを再インストールすることなく、RAID 0(ストライピング、2つのドライブを1ドライブとして扱い高速に利用できるモード)ないしはRAID 1(ミラーリング、2つのドライブの内容を相互にコピーして信頼性を高めるモード)に変更することができる(ちなみに非可逆なので、元には戻せない)。 ユーザーとしては、標準状態の2つのドライブとして使うモード、RAID 0、RAID 1の3つのモードから選ぶことができるので、この点は評価できるだろう。 HDDはSeagateの「ST3320833AS」という320GBのHDDが2台搭載されており、RAID 0として利用すると、最大で640GBとして利用することができる。 メインメモリは512MBのDIMMが2枚で1GBとなっている。Intel P965 Expressでは、DDR2-800が利用可能であるが、本製品ではDDR2-533が採用されている。確かにクロック周波数ではDDR2-800に劣るDDR2-533だが、デュアルチャネル構成で帯域幅は8.5GB/secとなっている。Core 2 Duoのシステムバスのクロック周波数は1,066MHzで、やはり帯域幅は8.5GB/secとなる。Intel P965 ExpressはGPUを内蔵していないため、内蔵GPUのためにメモリ帯域幅をあまり必要としていないことを考えると、DDR2-533でも特に不満を感じることはないだろう。マザーボード上のメモリソケットは4つ。 オーディオチップには、Intel製マザーボードでよく利用しているSigmatelの「STAC9227」が採用されている。ただし、SigmatelのPCオーディオ製品は、現在IDTに売却されたので、正確にはIDTのSTAC9227ということになる。本製品で採用されているオーディオソフトウェアの「Intel Audio Studio」を利用すると、ドルビーデジタルライブに対応するなどの特徴を備えており、AC3に対応した外部アンプを接続すると、WMVやそのほかの形式の5.1chオーディオをAC3(ドルビーデジタル)の5.1chにリアルタイム変換できる。 ●ビデオカードにGeForce 7600 GSを採用 本製品で採用されているビデオカードは、NVIDIAのGeForce 7600 GSで、ビデオメモリは256MBとなっている。GeForce 7600 GSは、NVIDIAのGPUの中でも、もっとも売れ筋の製品だ。GeForce 7600 GSは、DirectX 9.0cでサポートされるシェーダモデル3.0に対応し、8パイプのピクセルシェーダエンジンを内蔵するなど、重ための3Dゲームをやるには十分な仕様となっている。Windows Vistaの特徴の1つであるWindows Aero(Aero Glass)にも標準で対応しており、Flip 3Dなども利用することが可能だ。 ただし、本製品に採用されているビデオカードは、一般的なGeForce 7600 GS搭載ビデオカードとは異なり、ファンレスではない。GeForce 7600 GSの特徴の1つは、上位グレードのGTに比べて動作周波数がやや低いため、ファンレスの設計が可能なのだが、本製品に搭載されているものはファン付きのものとなっている。とはいえ、実際にはファンはGPUに高い負荷がかかった時だけ高速で回転するので、通常のWindowsで使っている時などは騒音は気にならない程度だし、逆にPCに負荷がかかってケース内の温度がかなり熱くなったとしても安定して動作させることが可能であるとも言える。 出力はDVI-Iが2つ用意されており、DVI→D-Sub15ピン変換コネクタが1基添付されている。DVI×2はもちろん、DVIとD-Sub15ピンでのデュアルディスプレイ対応も可能だ。 【訂正】初出時に、「DVI-Iの片方がHDCPに対応している」としていましたが、ゲートウェイによればHDCPに完全対応していないとのことなので、該当の記述を削除しました。なお、オプションとして用意されている19型ワイドディスプレイのFPD1975WJも、2つある入力(DVI-DとアナログRGB)のうちDVI入力がHDCPに対応している。解像度は1,440×900ドットと(WXGA+)19型ワイドとしては標準的な解像度で、応答速度8ms、輝度300cd/平方mと動画の再生などにも十分利用可能なスペックとなっている。
●無償でWindows Vista Home Premiumへのアップグレードが可能に 本製品のケースはBTXのミニタワーを採用している。ベイスロットは3.5インチベイが、前部アクセス可能が1、内部が3となっており、うち前部アクセス可能なベイのうち1つが空いている。5インチベイは2つ用意されているが、標準でDVDスーパーマルチドライブ(日立LGのGSA-H10N、DVD+R DLが6倍、DVD-R DLが4倍、DVD±Rが16倍、DVD+RWが8倍、DVD-RWが6倍、DVD-RAMが5倍、CD-Rが48倍、CD-RWが32倍)とDVD-ROMドライブ(PhilipsのDROM6216)が搭載されている。このほか、前面には、SDカード/MMC/メモリースティック(PRO)/CF/スマートメディア/xD-Picture Card対応スロットが用意されている。 拡張スロットはPCI Express x16×1、PCI Express x1×1、PCI×2が用意されているが、PCI Express x16とPCIスロットのうち1つがすでに利用済みになっている。なお、前述のように、OSはWindows XP Media Center Edition(MCE)になっているのだが、TVチューナは特に搭載されていない。このため、標準状態ではTV機能を利用することができない。
また、Windows XP MCEを採用したメリットとして、2007年の1月にリリースを予定しているWindows Vista Home Premiumへ安価にアップグレードできるという点が挙げられる。実際、本製品を販売している販売店の1つである九十九電機では、Windows Vista Home Premiumへ無償でアップグレードできるキャンペーンを展開している。パッケージ版を購入すると2万円を超えるWindows Vista Home Premiumへのアップグレード版がはタダでついてくるのだから、2万円分はお得だと考えることができるだろう。 以下にベンチマークの結果を掲載しておくので、参考にしていただきたい。パフォーマンスはCore 2 Duo E6600+GeForce 7600 GSを搭載した製品としては一般的なもので、十分満足できるものだろう。
【表】ベンチマーク結果
●Windows Vistaへの移行を見据えてCore 2 Duo搭載マシンを購入したい人にお奨め 以上のように本製品は、Core 2 Duo E6600を搭載し、メモリは1GB、ビデオカードはGeForce 7600 GS、320GBのHDDが2台で合計で640GB、Viiv Technologyに対応という豪華な仕様になっているのに、価格は実売価格で15万円を切り、お買い得な設定になっている。 また、OSにWindows XP MCEを採用したことで、Windows Vista Home Premiumへ安価にアップグレードできる点も大きな特徴の1つといえ、販売店によってはアップグレードキットが無償という例もある。 そうした意味で、今話題のCore 2 Duoを搭載したPCを購入しようと思っていて、かつWindows Vistaが出たら、ぜひAero Glassが使えるHome Premium以上へアップグレードしたいと考えているユーザーであれば、検討してみる価値がある製品と言えるのではないだろうか。 □Gatewayのホームページ (2006年11月20日) [Reported by 笠原一輝]
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