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Spansion、4bit/セル記録技術「MirrorBit Quad」を開発
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バートランド・カンブー氏 |
10月2日 発表
米Spansionは2日、1セルあたり4bitを記録できるフラッシュメモリ技術「MirrorBit Quad」に関する発表会を都内で開催した。
NOR型フラッシュメモリ最大手の同社は、単一の非導電性窒化膜内の異なる2カ所に2つの異なる電荷量を格納することで、1セルあたり2bitを記録するMirrorBit技術を持っている。今回、これを発展させ、1カ所の記録領域で4つの電圧しきい値を持たせることで、1セルあたり4bitの記録を可能にするMirrorBit Quadを開発した。
MirrorBit(2bit/セル)技術の模式図 | MirrorBit Quadは、記録領域のしきい電圧を4つにすることで、4bit/セルを実現 |
これにより、同じダイサイズで2倍の記憶容量を実現するが、同社社長兼最高経営責任者(CEO)のバートランド・カンブー氏によれば、同社は今後も、これまで通り携帯電話や、車載、家電向けの組み込み製品に事業を集中させる。
MirrorBit製品は、毎年4割近い安定した成長を遂げているが、MirrorBit Quadを投入することで、容量あたりのダイサイズを縮小し、競合他社に対する価格競争力を高める。
MirrorBit Quadのダイサイズは、MirrorBitのほぼ半分 | 同社の売上推移 | MirrorBit Quadを使ったフラッシュメモリで写真を撮影するデモが実施された |
大容量(1~16Gbit)と低ビット単価が求められるNAND型フラッシュメモリと違い、NOR型フラッシュメモリは、小容量(1Mbit~4Gbit)であるものの、信頼性や、速度面で優位性を持っており、用途/市場が分かれている。
その一方で、組み込み向け製品にも一定の大容量化が求められているほか、NOR型フラッシュメモリを使ったリムーバブルストレージ/メディアといった需要もあることから、同社では携帯電話などのワイヤレス事業、家電や車載などの一般カスタマー向け事業に加え、「メディア・ストレージ・ディビジョン」を新設する。
同事業部では、組み込み向けの大容量製品を手がけ、同社自身は組み込み向け製品への専念を維持するが、リムーバブル製品のノウハウを持つ企業へOEM提供することも視野に入れている。
NANDとNORの棲み分け | メディア・ストレージ・ディビジョンを新設 |
同社日本法人であるSpansion Japan株式会社は、9月28日に、会津若松にある半導体工場JV1とJV2を富士通へ約1億5,000万ドルで売却することを発表している。
両工場では主に、0.32~0.2μmプロセスのローエンド製品を製造しているが、売却により、固定費を削減し、同じく会津若松にあるJV3やオースチンのFab 25など、先進プロセスを持つ工場に投資を集中させることで、製品のコスト削減を図る。
また、売却で得た資金は、現在、JV3の隣に建設中のSP1への投資に充てることで、300mm製造施設の完成と、2008年下半期の開始を目処にしている45nm MirrorBitの量産計画を加速させる。
MirrorBit Quad製品は、90nm/512Mbit~2Gbitで2006年後半より製造を開始し、2007年には65nm/16Gbitにまで拡張予定。また、その先には8bit/セル技術への発展も視野に入れている。
Spansion Japan代表取締役約社長の今岡和典氏 | JV1とJV2を売却し、JV3に隣接するSP1へ投資 |
□Spansionのホームページ(英文)
http://www.spansion.com/
□ニュースリリース(英文)
http://investor.spansion.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=212148
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(2006年10月2日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]