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AMDとATI、国内共同記者会見を開催
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左からAMDリチャード氏、AMDユーゼ氏、ATI森下氏、ATIバーグマン氏 |
7月27日 開催
日本AMD株式会社とATIテクノロジーズジャパン株式会社は27日、AMDによるATI買収に関する共同記者会見を都内で開催した。
会見には、日本AMD代表取締役社長のディビッド M. ユーゼ氏、ATIジャパン代表取締役社長の森下正敏氏に加え、米AMD執行副社長兼ワールドワイドセールス/マーケティング最高責任者のヘンリー・リチャード氏と、加ATIワールドワイドセールス上級副社長のリック・ヘグバーグ氏も参席。
今回の買収の立役者であるリチャード氏とヘグバーグ氏はそろって登壇した |
リチャード氏とヘグバーグ氏は、今回の買収の経緯や、目的、効果などについて語るとともに、報道陣からの質問に答えた。
まず、経緯についてだが、AMDでは数年前から技術パートナーを買収することについて協議を行なっていたという。話が具体性を帯び始めてきたのは、リチャード氏とヘグバーグ氏が2005年のCOMPUTEXの時に会食をする機会があり、業界の今後について語ったところ、両社はより密に協力すべきという結論に至ったという。これが1つのきっかけとなり、最終的にはAMDからATIにアプローチした。ちなみに、森下氏はこの件を2~3週間前に聞いていたが、ユーゼ氏が知らされたのは発表がなされた24日のことという。
買収の目的については、「CPU、GPU、ロジック回路、メディアプロセッサなど非常に大きな領域をカバーする業界唯一の企業(が誕生)」(リチャード氏)、「AMDはサーバー、デスクトップなどで、ATIはデジタル家電やハンドヘルド、デジタルTVなどに進出しており、互いを補完することで、さらに力を発揮できる」(ヘグバーグ氏)と語るように、成長、革新、そして(顧客にとっての)選択という3つの優先課題を実戦するためとしている。
ATIが買収されたことで懸案となるのは、ATIの製品ラインナップや開発体制などにどのような影響があるのかということだが、“新AMD”では、ATIの現行製品すべてを存続させるという。「GPU、チップセット、モバイル機器など、全製品のロードマップが、今回の買収によって影響を受けることはなく、これまで通りのビジネスを続けていく」というのが繰り返し発せられたメッセージだ。
これは、ATIのIntel向け製品も含まれる。顧客の要望がある限り、ATI製品をAMDプロセッサに束縛させることはせず、顧客第一主義、公平で開かれた競争という従来の信念に基づき、製品化を続けていくという。ただし、ATIが持つIntelバスライセンスは第4四半期に終了するが、契約の更新については明言されなかった。
ATIの開発体制/拠点も現状が維持される。「AMDの2006年第2四半期の業績は、前年比50%の成長を見せており、ATIの持つ人員もAMDにとって魅力的だった。製造面でもAMDはFabを持つが、ATIはFabレスで、うまく合致する」とリチャード氏が語る通り、買収に伴う大きなリストラやレイオフは行なわれない見通し。また、人材、技術のみならず、ブランドもATIが持つ大きな資産の1つであることから、今後も継続、強化していくという。
今後の製品については、2007年にもモバイルプラットフォームの形で登場する。これは、買収前から両社が協業してきた「コードネーム:Yokohama」プラットフォームのことで、ATIのチップセットとAMDのTurion 64 X2プロセッサを組み合わせたもの。
リチャード氏は「シリコンの設計サイクルは18~36カ月だが、いち早く2008年にも新製品を出したい。ATIの持つ省電力技術やビデオ処理技術は、AMD LIVE!にプラスになるし、新興市場向けでもいろいろやっていきたい」と強い意欲を見せており、CPUとGPUの統合はそう遠くない将来に実現しそうだ。
日本法人の統合については、買収の手続きに今後3~4カ月かかる見込みで、その状況を踏まえて、追って発表される予定。
両社の現在の事業分野 | 2007年に登場予定のプラットフォーム。新興市場(Emerging Market)向けに「統合型CPU-GPU」の文字も |
COMPUTEX TAPIEI 2006で展示された「Yokohama」 | 2008年には複数の形でCPU-GPUの統合製品をリリース予定 |
□日本AMDのホームページ
http://www.amd.co.jp/
□ATIテクノロジーズジャパンのホームページ
http://www.ati.com/jp/
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(2006年7月27日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]