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「CPU市場にオープンな競争を」
~AMD、テクノロジ戦略記者発表会を開催

フィル・へスターCTO

6月8日 実施



 日本AMD株式会社は8日、都内でテクノロジ戦略に関する記者発表会を開催した。発表会では米国本社 最高技術責任者(CTO)フィル・へスター(Phil Hester)氏が出席し、6月1日に米国で行なわれた「Technology Analyst Day」で発表されたいくつかキートピックを紹介した。

独ドレスデンにあるFab 30と36

 冒頭ではまず、同社が実施した25億ドルの投資および独ドレスデンにあるFab 30をFab 38に改築する計画を紹介し、「2008年には200mmウェハがフェードアウトし、300mmウェハに移行する。そのため2009年には2005年の4倍に当たる製造キャパシティを提供でき、x86市場の3分の1の数を出荷できるようになる」と説明し、改めてシェア拡大の意向を強調した。

 また、プロセス技術についても順調に開発が進んでいるとしており、「2006年第4四半期には65nmプロセスで製造された製品、2008年前半には45nmの製品を提供できるようになる」と述べた。

 今後のCPU開発の方向性としては、「性能」、「低消費電力」、「ニーズの多様化への対応」、および「付加価値の提供」の4つに重視させるとしており、特にコンシューマ向けではワットあたりの性能に引き続き注力して行く方針を明らかにした。

 今後提供する製品には、「ビルディングブロック」と呼ばれるモジュール構想を採用し、市場の要求にあわせて柔軟にカスタマイズできるようにするという。ビルディングブロックには、CPUコア、HyperTransport、L1/L2/L3キャッシュなどが含まれており、これらをニーズに組み合わせてCPUを構築する。

 一例として、サーバー/ハイエンド向けCPUにはコア×4、HyperTransport×4に加えて、クロスバー、L3キャッシュなどといった構成とし、デスクトップ向けCPUにはコア×2、HyperTransport×3などの構成とする、といったことが可能になる。一方、いずれのCPUにも共通したフィーチャーとして、最適化されたワットあたりの性能、スケーラブルな性能、プラットフォームの互換性、負荷に応じた電力消費の調整機能などを提供する。

「ビルディングブロック」と呼ばれるモジュール構想 サーバー/ハイエンド向けとデスクトップ向けCPUに共通するフィーチャー クアッドコアのブロックダイヤグラム
クアッドコアCPUでは負荷に応じてクロック周波数などを動的に調節し、消費電力を抑えられる ワットあたりの性能は2007年で160%に、2008年には250%になるという プログラムの性能も大幅に向上する

 サーバーやハイエンド向けのクアッドコアCPUについて同氏は、「真のクアッドコア」と表現。新たに各々のコアにかかる負荷に応じて動作周波数をコントロールする機能を追加し、消費電力を抑えることが可能。加えて、65nmプロセスだけでなく、45nmプロセスやそれ以降の製造プロセスにおいても、クアッドコアの設計を最適化していくとした。

 一方モバイル向けの新CPUは、HyperTransport 3の採用により、片方のコアがアイドルとなった場合に、HyperTransportのバンド幅を減らして消費電力を抑えられるとしており、CPUパワーがそれほど必要とされないモバイル環境においては「約2倍のパワー効率を達成できる」とした。

 ゲーマー向けのPCについても引き続き強力にサポートしていくと表明し、「4×4」(フォー バイ フォー)環境を提案した。4×4とは、デュアルコアのCPUを2つ、2GPU搭載ビデオカードを2枚搭載することを意味するとしており、「将来的にハイエンドゲーミングプラットフォームは4×4が標準になるだろう」と説明。その一因として、Xbox 360やPLAYSTATION 3の登場により、ゲーム開発のトレンドがマルチコアへの対応に移り変わりつつあることを取り上げた。

モバイルデバイスに搭載される次世代デュアルコアCPU コアがアイドル状態になると、HyperTransportもOFFになる 4×4環境のシステムブロック図

 また、今後JavaやXML、浮動小数点演算、デジタルメディアプロセッシングなどの特殊要件にも対応していくために、特別な「アクセラレータ」をプラグインとして追加する構想を紹介。具体的には一例として、HyperTransport接続のHTXスロットにJavaアクセラレータをとして追加することで、特定用途での性能向上が図れるとしている。

 なお、特殊用途向けアクセラレータに関しては現在、主にサードパーティが開発しているが、技術的にはCPUに封入することも可能だとしており、AMDもこの構想を認めている。しかし、内蔵した場合はより良い性能が得られる一方で、実装コストおよび需要量の問題があるため、現時点では妥当かどうか判断できないと説明した。

アプリケーションが要求するさまざまな特殊な要件 HTXコネクタによりCPUとHyperTransportで直結 アクセラレータを搭載する箇所によって性能が変わってくる

 ソフトウェアベンダーやOSベンダーとのパートナーシップについても紹介をし、「我々のプラットフォームは多くのベンダーから支持をいただいて、成功した。今後は仮想化技術やセキュリティ、Linuxに関するパートナーシップを強化していく必要があると認識しており、我々のプラットフォーム技術を活用した製品の登場に期待したい。また、今後も顧客のニーズにあった“スマートチョイス”を提案し、要望に応えた製品を市場に投入していきたい」と語った。

AMDプラットフォームが提供する基本的な技術 プラットフォーム上の環境はサードパーティが提供しなければいけないため、AMDは強力な開発ツールを提供する

 最後に同氏は、「今回の発表では、新技術に対する発表があまりない。これは現在AMDがテクノロジ開発よりも、製造能力およびシェアの拡大に注力していることを意味し、CPU市場にオープンな競争ができる環境をもたらしたい」と語り、再度今後の戦略について強調した。

 質疑応答では、COMPUTEXでIntelがCore 2 DuoのベンチマークでAMD製品を上回るデモの展示を行なったことに対する同社の意見について問われると、「まだ市場に出ていない製品(Core 2 Duo)と出ている製品(Athlon 64 X2)を比較しても意味がないと考えている。また、この業界においては性能を証明できる標準的なベンチマークがないため判断できない」とコメントした。

□AMDのホームページ
http://www.amd.com/jp-ja/
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(2006年6月8日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]

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