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Intelの次世代CPU「Conroe」は2.66GHzで第3四半期に登場




●ConroeはCoreブランドで登場

 Intelの次世代デスクトップCPU「Conroe(コンロー)」は、最高2.66GHzで2006年第3四半期に登場し、Coreブランドで、E6000番台のプロセッサナンバがつけられる。また、Pentium/Coreブランドのデュアルコア転換をスピードアップし、2006年の第4四半期には70%をデュアルコアに持って行く。現行アーキテクチャの65nm版デュアルコアのPentium D(Presler:プレスラ)をConroeの露払い的に普及させる。

 一方、チップセットではIntel 96x系(Broadwater:ブロードウォータ)のリリースを第3四半期に遅らせ、Conroeの投入と同期させる。デジタルホームプラットフォーム「Viiv(East Folk:イーストフォーク)」も、Conroe/Intel 965と同期してバージョン1.5/1.6に引き上げる。Intelの2006年から2007年前半のCPUロードマップが見えてきた。

Intel Mobile CPU Roadmap
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 Conroeは、Pentium 4/D(NetBurst)とは完全に異なる新アーキテクチャのCPU。モバイル向けの次世代CPU「Merom(メロン)」(第4四半期に登場予定)と基本的には同じCPUだ。高クロックを追求したPentium 4とは異なり、クロックを低く抑える代わりに、命令実行の並列性を上げるアプローチを取る。また、シングルコアを前提に設計されたNetBurstとは異なり、初めからデュアルコアに最適化されて設計されている。

 Conroeからは、デスクトップでもCPUブランドが変わる。Intelは、1月に発表したモバイル向けデュアルコアCPU「Yonah(ヨナ)」から「Intel Core」のCPUブランドを採用した。ConroeもCoreブランドになる予定だが、正式なブランドはまだOEMにもアナウンスされていない。おそらく、Coreのあとに何らかのサブブランド名がつくと推測される。

Intel Desktop CPU Roadmap
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●4種類のSKUで登場するConroe

 Conroeの発表予定は第3四半期で、恒例通りならIntelの技術カンファレンス「Intel Developer Forum(IDF)」(9月26日〜28日)後の発売となる。

 登場するSKU(Stock Keeping Unit=商品)は4種類。さらに、2007年第1四半期にはローエンドSKUも追加される。下のラインナップで、現在、Pentium 4/Dブランドが占めているパフォーマンス&メインストリームの価格帯をフルにカバーする。つまり、高価格CPUだけでなく、2万円台の中価格帯もConroeへと移行を始める。2006年第4四半期には、デスクトップのパフォーマンス&メインストリームCPUのうち、約20%がConroeファミリに移行する見込みだ。

E67002.66GHz4MB L21,066MHz FSB$5xx
E66002.40GHz4MB L21,066MHz FSB$3xx
E64002.13GHz2MB L21,066MHz FSB$24x
E63001.86GHz2MB L21,066MHz FSB$20x
E42001.60GHz2MB L2800MHz FSB 

 プロセッサナンバは、新たに“アルファベット+4桁数字”のフォームに移行する。モバイルCPUが1月発表のCoreブランドから4桁になったのと同じだ。

 4桁の数字は、モバイルCPUのパターンを踏襲するなら、最上位の4桁目が製品ファミリを示す。ローエンドに投入されるE4200は、ファミリが異なることになる。3桁目がパフォーマンスレンジで、周波数の1グレードが100刻みとなっているようだ。L2キャッシュ量の違いも100として加算されている。

 数字の前のアルファベットは、熱設計枠を示すパワークラス(Power Class)を表す。プロセッサナンバだけで、CPUのTDPガイドラインが識別できるようになる。パワークラスは以下の規定でつけられている。

クラスTDP
E50W以上
T24〜49W
L15〜24W
U14W以下

 Tは従来の通常電圧版モバイル、LがLV(低電圧)版、UがULV(超低電圧)版の位置付けだ。現状ではT/L/Uは主にモバイル向けでYonahとMerom、Eから上がConroeとなる。実際にはMeromとConroeは同コアなので、両CPUのコードネームの違いは、パワークラスの違いとイコールだ。ちなみに、ConroeとMeromを同列に並べると下のようになる。

E67002.66GHz4MB L2
E66002.40GHz4MB L2
E64002.13GHz2MB L2
E63001.86GHz2MB L2
T76002.33GHz4MB L2
T74002.16GHz4MB L2
T72002GHz4MB L2

 Conroeの現在のTDP枠は65WでEクラスに収まる。ただし、ConroeではTDP自体はNetBurst系より大幅に下がるものの、Tcase(CPUのパッケージ温度)は引き下げられる。PCの熱設計では、TcaseとTa(筺体内温度)の温度差と、CPUの消費電力、そしてヒートシンクの熱抵抗値が重要な要素となる。具体的には、(Tcase−Ta)÷TDP=ヒートシンク(+サーマルインターフェイス素材)熱抵抗値となる。そのため、TDPが下がっても、Tcaseも下がると、相殺されてしまい、低い熱抵抗値が必要となる。そのため、スペック的には熱設計の難しさはそれほど緩和されない。

 CPUの熱の制約となるのは通常ホットスポットと呼ばれる、熱密度の高いポイントのジャンクション温度だ。そのため、Tcaseが低いことは、Conroeではホットスポットの密度が高いことを意味している可能性が大きい。

●FSBは1,066MHzに引き上げに

 ConroeのCPUソケットは従来のPentium 4/Dと同じLGA775。ただし、FSB(Front Side Bus)は1,066MHzが標準となる。L1キャッシュは命令キャッシュが32KB、データキャッシュが32KBと言われる。命令キャッシュは、おそらく、NetBurstで採用されたトレースキャッシュではない。L2キャッシュは4MB搭載するが、下位のバージョンは2MB(おそらく半量を無効化している)で投入される。

 現在のIntelのデスクトップデュアルコアCPUは、実際にはシングルコアCPUを2個載せた(ダイ結合またはオンパッケージ統合)だけだ。そのため、L2キャッシュはCPUコア毎に分離して備えている。しかし、Conroe系では、L2キャッシュは2つのCPUコアで共有される。共有L2キャッシュでは、L2キャッシュ間のスヌープとデータ転送が不要になり、アプリケーションに応じてL2キャッシュ量を自在に切り替えることができるため、PCでは効率がいい。

 Conroeでは、Intelが「*T(スターT)」と呼ぶ、NetBurstで導入されたさまざまな拡張技術のうち、Hyper-Threading以外の技術がサポートされる。64bit拡張「EM64T(Extended Memory 64 Technology)」、「Enhanced Intel SpeedStep Technology(EIST)」、「VT(Virtualization Technology)」などだ。ただし、E6000番台のConroeはフルにサポートするが、E4000番台のConroeではVTがサポートされない。Intelは、VTをCPU差別化のフィーチャとして使うつもりのようだ。

 Intelは、以前は1シーズン毎にCPUのクロックを1グレード引き上げていた。周波数の向上で、製品の買い換え需要を促すという戦略だった。しかし、過去2年はCPUのTDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)が上限に達してしまったこともあり、クロックの上昇がピタリと止まっていた。Conroeでもクロックは発表時から少なくとも3四半期は上がる気配がない。CPUアーキテクチャを一新しても、以前のクロックを継続して引き上げるパターンへは戻らないことになる。

●Pentium XEもConroeベースが後継に

 IntelはPentium Extreme Edition(XE)が占める最上位ブランドにもConroeアーキテクチャを投入する。CPU価格が約1,000ドルのこの製品ラインは、ゲーマーなどハードコアユーザー向けとIntelは位置づけている。Intelは、第2四半期にPreslerベースの3.73GHzのPentium XE 965を追加するが、第3四半期にはConroe系コアも投入する。このConroe XEのスペックはまだ明らかになっていないが、さらに2007年には同アーキテクチャのクアッドコアCPUも、この製品ラインでリリースする。そのため、このクラスは、中期的には下位のConroeとはTDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)枠が異なると言われる。

 また、Intelはモバイル向けTDPのCPUを使ったデスクトップ製品も「Napa Platform Desktop」として公式に推進する。Napaプラットフォームは、YonahとMeromの両CPUにまたがる。パワークラスTのCPUを搭載したデスクトップが見込まれている。

 Intelは、以前は、モバイルとデスクトップの両事業部の壁のために、モバイル向けCPUをデスクトップに使うことに対して、Intelは積極的ではなかった。しかし、2005年3月以降は、モバイルとデスクトップの両方にまたがるDigital Home GroupがIntel内に作られたため、Merom/Conroe世代では、垣根が低くなりつつある。

 細かく見ていると、さらにさまざまな派生SKUの追加がある。1つはPentium D 805(2.66GHz)。これは、90nm版デュアルコアNetBurst「Smithfield(スミスフィールド)」の廉価チップ。2.66GHz動作だが、デュアルコアだ。805と半端なプロセッサナンバがついているのは、FSBが533MHzに抑えられているため。もう1つはPreslerの廉価版のPentium D 925。Pentium D 930と同じ3GHz動作だが、VTのサポートが欠けている。

 いずれも、機能を無効化することで、差別化を図った廉価バージョンだ。単に価格を下げたバージョンを持ってくると、ユーザーが低価格帯へと流れてしまう。それを止めて、ユーザーが上位のCPUを買う意欲を維持させながら、デュアルコアの普及を図る戦略だ。しかし、そのために、IntelのSKUは、またややこしいものになってしまっている。

●急激に進むデュアルコアCPU化

Intel デスクトップCPUのデュアルコア化予想
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 Conroeの投入と前後して、IntelはCPU製品ラインナップを整理統合していく。現在、Intelの製品ラインは、同価格帯にデュアルコアとシングルコア、90nmと65nmプロセスの製品が混在していて、非常に複雑になっている。これは、デュアルコア、65nm、新アーキテクチャの3つの移行が重なっているためだ。しかし、2006年後半までには、これらは整理され、デュアルコア/新アーキテクチャへと収束してゆくことになる。

 Intelの現在の計画では、2006年中盤頃には65nm版デュアルコアのPentium D(Presler:プレスラ)へと移行を進めることになっている。ただし、Preslerはあくまでも中継ぎで、本命Conroeへの移行が完了するまでの役割となる。2007年になると、Conroe系がボリューム的にも主流になると予想される。

 ConroeとPreslerによって、Intelのデュアルコアシフトは拍車がかかる。Intelのデュアルコア移行ガイドラインに沿うと、2006年第1四半期にはパフォーマンス&メインストリーム&バリューCPU中のデュアルコアの比率は約10%だが、第2四半期には約25%、第3四半期は約60%弱、第4四半期には約70%へと増加する計画となっている。

 Intelは、2004年9月時点では、デスクトップCPUの、パフォーマンス&メインストリーム系は2006年までに40%以上がデュアルコアに移行すると予測していた。しかし、2004年12月には戦略を一転、2006年中に70%以上がデュアルコアに移行すると宣言した。2004年末の時の計画通りに進展しつつあることになる。

 また、Intelは65nmへのシフトも急ぐ。Celeron系ブランドのバリューCPUにも65nm版NetBurst系シングルコアCPU「CedarMill(シーダーミル)」を第2四半期に投入する見込みだ。ただし、Celeron系は当面はConroeベースへは移行しない。これは、2007年前半にはCeleronもMeromへと移行させるモバイルCPUとは異なる。

 Conroeの導入計画の詳細が見えたことで、Intelのデュアルコア傾斜がますます急激であることがわかってきた。

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【2005年12月28日】【海外】ポストMeromとなる「Nehalem」と「Gilo」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1228/kaigai232.htm
【2005年11月25日】【海外】Coreブランド化とクアッドコア投入が見えるIntelデスクトップCPU
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1125/kaigai226.htm

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(2006年2月9日)

[Reported by 後藤 弘茂(Hiroshige Goto)]


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