三浦優子のIT業界通信

サードウェーブ ドスパラ秋葉原本店
「BTO PCは自由と安さを実現できる」




ドスパラ秋葉原本店 甲斐 元浩店長

 ヨドバシカメラの開店、つくばエクスプレスの開業により、秋葉原を取り上げるテレビや雑誌が急増した。しかし、電気街がある中央通りからは少々場所が離れている。新たに秋葉原を訪れた人は、電気街に足を伸ばすのだろうか?

 そんな疑問に、BTO PCやパーツ類を販売するサードウェーブが運営するドスパラ秋葉原本店の店長・甲斐元浩氏は力強く答える。「秋葉原まで来て、電気街に足を踏み入れないで帰る人はほとんどいないだろう。あとは来てもらったお客さんをどれだけ我々店舗がキャッチできるかだ」。

 同社ではヨドバシカメラオープンにあわせて近隣でチラシを配布するなど、顧客誘導に積極的に乗り出している。店に足を踏み入れる客が増えれば、「当社の強みであるBTO PCを見て、ファンになってもらえる人が増えるだろう」と目論む。実際に最近の客足は確実に増加傾向にある。

●ヨドバシ効果で電気街も客数は増加

ドスパラ秋葉原本店

 ドスパラ秋葉原本店があるのは中央通りの裏。パーツショップが並ぶまっただなかにあり、パーツ目当てに秋葉原を歩いている人ならお馴染みの場所だ。しかし、最近では以前のように男性客だけでなく、カップルでドスパラ本店を訪れるお客さんも増えているのだという。甲斐店長は、秋葉原の街の変化を次のように分析する。

 「つくばエクスプレスの開業や、ヨドバシカメラの開店の影響でカップルのお客さんが増えたのではなく、秋葉原がショッピングの街から、訪れて楽しむ街に変貌してきた証ではないか。新宿や渋谷といった街と同様に、遊びに来てブラブラするのが楽しい街へと、秋葉原が変貌してきている」

 街の変貌にヨドバシカメラ マルチメディアakihabaraの開店は、プラスに作用した。「オープンセール中は、秋葉原の街を訪れるお客さんの数も増えたし、当店の売り上げもプラスになった」という。

 甲斐店長は、「ヨドバシカメラは、秋葉原の駅に直結しているといっても、いわゆる『秋葉原電気街』ではない。ヨドバシカメラ開店をきっかけに、秋葉原を訪れる人もいるだろうが、わざわざやって来た人が、『秋葉原電気街』に全く足を踏み入れず、そのまま帰ってしまうとは考えにくい。ヨドバシカメラ目的でやって来た人も、大半の人が『秋葉原電気街』にやって来てくれるだろう」との見ている。

 つまり、ヨドバシカメラの開店は、秋葉原の電気街にとってはプラス効果が出てくると考えているわけだ。

 だが、電気街までやって来たお客さんをどうやってドスパラに誘導するのかという課題は残る。

 「ドスパラは、電気街をよく知っている人や、PCやパーツをよく購入する人にとっては、お馴染みの店かもしれないが、一般の人にとってはまだまだ知名度が低い。知名度をあげていくために、こちらとしても努力していかなければならない。そのための具体的な施策として、ヨドバシカメラが開店した時には、近隣でチラシをまいた。知名度をあげるためには必要なことだと考えた」

 実際にチラシをもってドスパラ本店を訪れる人の姿も見受けられた。

 「即売り上げを上げることと共に、お店の知名度をもっと上げて、秋葉原に来た時には、ドスパラにも寄っていこうかというお客さんをどんどん増やしていきたい」という。

●初心者でもメリット感じられるBTO PC

 「店舗に来てもらえば、何割かのお客さんは商品を購入してもらえる」と甲斐店長が考えるのは、ここ数年、ドスパラがパーツ類ではなく、オリジナルBTO PC「Prime PC」をメイン商品としてアピールしているからである。これは秋葉原だけでなく、全社方針として各店舗で行なっている施策だ。

 「ヨドバシカメラ目当てに秋葉原にやって来たお客さんでも、うちのPCの価格や性能を見て、買ってみようかと思う人が出てくるはず」と甲斐店長は目論む。甲斐店長が考えるBTO PCのメリットは次の3点だ。

(1)新しいCPUなど新技術に対応した商品をすぐにラインナップに加えることが可能
(2)店舗で組み立てているため、工場からの配送といった中間コストの削減が可能となるため、価格が割安に
(3)製造している店舗自身が販売している商品なので、店舗に問い合わせてもらえば、即対応が可能なサポート体制

 「BTO PCをうまく活用しているヘビーユーザーは、きちんと目的を絞り込んで活用している。初めてBTO製品を購入するという場合は、どんな目的でPCを利用するのかを店員にきちんと伝えてもらえば、こちらも提案がしやすくなる。利用目的が明確でなければそう伝えてもらえればいい。BTO PCは、メーカー製品に比べ、自分の好みの仕様にできることがメリット。オンラインゲームをしたいなら、ゲームをするのに最適な仕様を提案する」

店頭の中央にはBTO PC Primeが置かれている

●ユニークなアクセサリー類の売り上げ増加にも期待

 甲斐店長が、新しい試みとして、「取り扱いを強化したい」というのが、バラエティに飛んだアクセサリー類だ。ドスパラ本店のホームページを見ると、最近売り出し中のハードゲイタレントであるレーザーラモンHGの声が出る携帯ストラップが掲載されている。こうした商品に注力したいという理由を甲斐店長は次のように説明する。

 「レーザーラモンのストラップは、本当によく売れた。他のお店では売っていないことも理由となっていたが、店頭に置いておくと、飛ぶように売れていった。それも通常はドスパラの顧客にはならない客層の購入が多かった。当社でパーツ類よりも、BTO PCの販売に注力しているという戦略も一因となっているが、パーツ類の販売だけではビジネスにはならなくなってきている。パワーユーザーにとっても、欲しいものはほぼ揃えてしまっているからではないか」

 2005年になって大きく売り上げを伸ばしたパーツといえば、AMDのAthlon 64 X2 デュアルコア・プロセッサ関連。ドスパラ本店でも他店よりも早くこの製品を店頭に並べたことで売り上げを伸ばしたものの、数年前に比べるとパーツ関連の商品には勢いがないという。

 パーツ類の売り上げをカバーするものとして、USBから電源をとるひげ剃り、扇風機などのアクセサリー類に新たなビジネスチャンスがあるのではないかと甲斐店長は指摘する。

 「こういう商品を店頭に置いて、それをきっかけに店舗に足を踏み入れてもらうというのも1つの顧客獲得の方法となるのではないか」

 BTO PCについても、パワーユーザーだけでなく、法人の購入も増加している。特に今年4月は法人需要が大きく伸びた。

 「10台、20台とまとめ買いをするユーザーも多かった。法人でも利用できる信頼性を当社製品に感じてもらったことに加えて、経費削減を真剣に考える企業が増えたようだ」

 パワーユーザーに加え、女性層や法人ユーザーなど新しい顧客層をどれだけキャッチできるのかが、裏通りに店舗を構えるドスパラ秋葉原本店のようなショップにとっても重要な課題となってきているようだ。

2階フロアにはパーツ類が多数販売されている
店頭には気軽に購入できるアクセサリー類を置いて、顧客にアピール 秋葉原には秋葉原本店の他に、ラオックスの隣にあるドスパラアキバ店(写真)と4丁目にあるドスパラPrime館がある。アキバ店は本店よりも気軽に初心者にも入ってもらうことを狙っている

□ドスパラのホームページ
http://www.dospara.co.jp/
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ヨドバシカメラ秋葉原出店関連リンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/link/yodobashi.htm

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(2005年10月3日)

[Reported by 三浦優子]


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