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COMPUTEX TAIPEI 2005レポート
ATI、「CrossFire」発表会レポート
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会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/2/3
Taipei International Convention Center
会期:5月31日~6月4日(現地時間)
加ATI Technologiesは1日、30日付けで発表したデュアルビデオカードプラットフォーム「CrossFire」の発表会を開催した。
発表会では同社社長兼CEO(最高経営責任者)のDave Orton氏が挨拶を行なったほか、Desktop Business Unit担当副社長兼ジェネラルマネージャのRich Heye氏と、Integrated and Mobile Business Unit担当上級副社長兼ジェネラルマネージャのPhil Eisler氏が技術説明を行なった。
Dave Orton氏 | Rich Heye氏 | Phil Eisler氏 |
CrossFireはNVIDIAのSLI同様、2枚のビデオカードを並列動作させることで3D処理能力を向上させる機能で、対応したチップセットとビデオカードが必要となる。
対応GPUは「RADEON X850 CrossFire Edition」と「RADEON X800 CrossFire Edition」の2製品。いずれも、GPUコアは既存のRADEON X850/X800を踏襲しており、2枚のビデオカードがそれぞれ生成した絵の合成を行なう「CrossFire Compositing Engine」を搭載する以外は基本的に従来の製品と同じ仕様。
プライマリのビデオカードはこのCrossFire Editionが必須だが、組み合わせるセカンダリは従来の製品が利用可能。具体的には、RADEON X850 CrossFire Editionであれば、RADEON X850/XT/XT Platinum Editionと、RADEON X800 CrossFire Editionであれば、RADEON X800/Pro/XL/XT/XT Platinum Editionと組み合わせ可能で、同じメーカーの同じ製品を2枚必要とするSLIより柔軟性に富む。
また、既存ユーザーがCrossFire Editionを追加購入するだけで、CrossFire機能が利用できるのもSLIにないメリットで、Rich Heye氏は「およそ100万人のユーザーはすでにCrossFire Readyだ」とした。ただし、2枚のカードのクロックが異なる場合は、遅い方のクロックで動作することになる。
SLIではビデオカード同士の通信用に、ビデオカードを橋渡しするアダプタが利用されるが、CrossFireにはそのようなアダプタはなく、ディスプレイケーブルで接続する。
2枚のカードの描画分担は、SLI同様に1枚の画面を上下に2分割してそれぞれ描画する方法と、偶数/奇数フレームに分けて描画する方法に加え、画面を細かな格子状に分割して、それぞれのカードが異なるマス目を描画する3通りの方法が用意される。
それぞれのメリットとして同社では、上下分割はDirect3DとOpenGLに両対応し、性能のスケーリングとダイナミックな負荷分散が可能、マス目分割はDirect3Dのみに対応し、性能のスケーリングとより優れた負荷分散が可能、フレーム分割はDirect3DとOpenGLに両対応し、ジオメトリ演算のアクセラレーションをフルに活用することで最もパフォーマンスがだせるとしている。
また、描画だけでなく、アンチエイリアスについても2枚のカードで異なるピクセルをサンプリングして負荷を分散できる。
描画分散は3通りの手法が用意 | マス目分割のイメージ | 上下分割のイメージ |
フレーム分割のイメージ | アンチエイリアスも負荷分散できる |
チップセットは、AMD/Intelそれぞれのプラットフォーム用に「RADEON XPRESS 200 CrossFire Edtion」が用意される。こちらも、CrossFire用に2基のPCI Express x16スロットが用意されるのと、新たに7.1ch HDオーディオに対応する点以外は、従来のチップセットとほぼ同機能。PCI Express x16スロットはビデオカードを1枚利用するときはx16モードで、2枚利用するときはx8モードで動作する。
RADEON XPRESS 200 CrossFire Edtion for Intelのブロックダイヤグラム | RADEON XPRESS 200 CrossFire Edtion for AMDのブロックダイヤグラム |
CrossFireによる性能向上について、Heye氏は3DMark05のスコアを引用して、RADEON X850 XTは単体でもGeForce 6800 Ultraを上回るが、CrossFireはSLIを越える性能向上を見せるとの結果を提示。
また、SLIでは性能の向上が全く見られないゲームタイトルが多数ある中、CrossFireはあらゆるゲーム/アプリケーションで高い性能向上が見られるとしたほか、「今月中にみなさんに評価機材をお渡しするので、その結果を自分自身で確かめて欲しい」と述べ、同技術に対する強い自信を見せた。
他方、Phil Eisler氏は、3DMark05の具体的なスコアを紹介。現在、FutureMarkのサイトにおけるスコアランキングではSLIを使ったシステムが14,472というスコアでトップとなっているが、CrossFireのシステムではこれを越える15,498を達成したとした。
具体的な製品はASUSTeK、GIGABYTE Technology、MSI、ECSなどから6月中に出荷開始される予定。価格は、RADEON X850 CrossFire Edition(256MB)は549ドル前後、RADEON X850 CrossFire Editionは256MB版が299ドル前後、同128MB版が249ドル程度となる見込み。マザーボードはCrossFire非対応の製品と大きく変わらない程度の価格となる見込みという。
□ATIのホームページ(英文)
http://www.ati.com/
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(2005年6月2日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]