東芝 libretto U100レビュー
〜復活したミニノートの“代名詞”



libretto U100

 ミニノートPCと言えば、B5サイズのサブノートPCよりもさらに小型のPCという定義だったが、最近ではなかなかお目にかかることがなくなってきた。世の中のトレンドが大型液晶を搭載したノートPCへ向かっていることを反映して、小型といわれるノートPCでも、やや大型の液晶を搭載した製品が主流になってきていたからだ。

 そうした中、'96年にリリースしたLibrettoで、ミニノートのトレンドを作り出したといってもよい東芝が、librettoを復活させた。しかも、横幅が初代「Libretto 20」(PA1225JT)と同じサイズで、まさにその面影を感じさせる製品だ。

 当時としては画期的なミニノートとして大いに注目されたlibrettoだが、今回の21世紀型librettoは、同じように一世を風靡することができる製品に仕上がっているのだろうか。「libretto U100/190DSW」を使用して詳細をチェックしていきたい。なお、今回は試作機を使用しており、実際の製品とは若干異なる可能性があることをお断りしておく。

●初代Librettoと同じ幅を実現して甦った「libretto U100」

 今回発売されたlibretto U100(以下本製品)のサイズは、210×165×29.8〜33.4mm(幅×奥行き×高さ)となっている。これは、210×115×34mm(同)という初代Libretto(Libretto U20)のサイズと比較すると、奥行きが若干大きくなっている程度の違いで、初代Librettoを知っているユーザーであれば、本製品を見るとすぐに初代Librettoを連想できるのではないだろうか。

 本製品の前の世代の製品と言えば、2002年に発売されたCrusoeを搭載の「Libretto L5」がそれに該当するが、こちらは268×167.2×20.5〜29.3mm(同)というサイズで、ミニノートというよりは薄型サブノートに近いサイズになっていた。それと比較すれば、本製品がいかに先祖返りを果たしているかということを実感できる。

 むろん中身は10年前に比べて大幅に進化している。その代表例は、ディスプレイだろう。大きさこそ初代Librettoの6.1型からすると1型だけアップした7.2型となっているが、解像度は640×480ドットから1,280×768ドットと大幅に向上している。

 ただし、ディスプレイの大きさはあまり変わらないが、解像度が上がっているので、表示される文字の大きさは相対的に小さくなった。

 ドットピッチは、6.1型で640×480ドットの初代Librettoが0.194mm、1世代前のLibretto L5が0.18mmであるのに対して、本製品はさらに小さい0.123mmとなる。ちなみに、15.4型で1,280×768ドットの液晶を搭載しているDynaBook VXの場合、0.262mmと倍以上になるので、それと比べてもらえば、いかに本製品の文字が細かいかということを実感していただけるだろうか。

 しかしながら、本製品では文字の小ささをカバーする機能が搭載されている。SmoothViewとよばれる機能がそれで、対応したアプリケーション(MS-OFFICEやInternet Explorerなど)で「Fn」キーと「1」ないしは「2」を押すことで、表示フォントを動的に切り替えることができる。例えば、Excelでは、セルのサイズも動的に変更される。この機能を利用することで、ある程度はドットピッチの細かさをカバーすることが可能だ。

libretto U100/190DSW。DVDドックがついて、天板はホワイトになっている Fn+1ないしはFn+2を利用してアプリケーションのフォントサイズを動的に変更できるSmoothViewで、ある程度のドットピッチの細かさをカバーしている

●CPUには、1.1GHz動作の超低電圧版Pentium M 733を採用

 むろん進化しているのは、液晶ディスプレイだけではなく、CPUやHDDといったPCの内部コンポーネントも、初代Librettoからはもちろんのこと、Libretto L5と比べても大幅に強化されている。

 CPUは、超低電圧版Pentium M 733(1.1GHz)を採用。超低電圧版Pentium M 733は、90nmプロセスルールで製造されているDothanコアを採用しており、L2キャッシュは2MBとなっている。すでにDothanコアのPentium Mは主流がシステムバス533MHzの製品に移行しているが、超低電圧版に関しては、消費電力の問題からシステムバスは400MHzに据え置かれている。このため、本製品のチップセットには、システムバス533MHzをサポートするIntel 915GMではなく、400MHzサポート止まりのIntel 855GMEが採用されている。

 GPUの処理能力こそIntel 915GMに劣るが、消費電力という観点ではIntel 855GMEの方が優れている(消費電力が低い)ということを考慮されたのかもしれない。

 ただ、それでもこれだけの小さなケースに押し込めたこともあり、熱設計的にはやや厳しくなっているようで、本体の左側面にファンが内蔵されており、本体がフルパワーで動くと回り始め、それなりの騒音を発生させている。正直に言って静かなところでは、やや気になる動作音と言わざるを得ないが、それでも安定動作という観点からは望ましいことは言うまでもなく、これは致し方ないところだろう。

 メインメモリは、標準で256MBとなっているが、スペック上は1GBまで増設できる。ただし、用意されているメモリソケットは1つだけで、標準で256MBのSO-DIMMが挿入されている。増設する場合にはそのメモリモジュールを抜いて交換する必要があるので注意したい。

デバイスマネージャの表示 本体の右側面に用意されているCPUファン。やや音は大きめで、静かなところでは気になる 本体底部に用意されているメモリスロット。200ピンのSO-DIMM(DDR333)が採用されている

●ハイバーネーションからの復帰も高速

標準状態では蓋を閉めるとハイバネーションになっている

 HDDは60GBの「MK6006GAH」が採用されている。MK6006GAHは1.8インチのドライブの中では最大容量の製品で、こうした製品としては十分な容量が確保されていると言えるだろう。なお、本製品はHDDプロテクションの機能が用意されており、PCが稼働中に衝撃を受けた場合には、ヘッドを待避してディスクを保護するようになっている。

 なお、本製品では、液晶を閉じたときの標準動作がサスペンドではなくハイバネーションに設定されている。標準ではメモリが256MBしか搭載されていないこと、また東芝のBIOSが高速にPOSTを終えることなどから、ハイバネーション状態から通常状態への復帰は、5,6秒で済んでいる。言うまでもなく、メモリには電源が入っているサスペンドに比べて、ほぼすべてのパーツの電源が切れているハイバーネーションは、バッテリ駆動時間の点でも有利であり、復帰まで10秒はかからないため、このままでも十分自然な感じで使うことが可能だ。むろん、サスペンドに設定することも可能で、コントロールパネルに用意されている「東芝省電力ユーティリティ」を利用して設定可能になっている。


●キーピッチも14mm弱と初代Librettoに回帰

 本製品を見ていくと、本体サイズとともに原点回帰した点がもう1つあることがわかる。それがキーボードだ。

 キーピッチは筆者の実測値で13.5〜14mm程度で、初代Librettoの13mmに匹敵する狭さになっている。最近のミニノートではワイド液晶が主流になっていたため、こうしたキーピッチの狭いキーボードはなかなか見かけなくなっていたが、本製品では思い切ってこうしたキーボードが採用されている。

 もちろん、通常のキーボードのように軽快に打てるものではないが、平均よりもかなり太いと思われる筆者の指でもなんとか入力することは可能だったし、逆に横幅を小さくできたことにより、本製品の両側を両手で持ち、親指で入力するという使い方ができる。

 本製品の場合、電車の中や、駅などでちょっと出してメールを見たり、インターネットを見たりという使い方が主になると思われるので、そういった使い方に割り切ってもいいのではないだろうか。

 ポインティングデバイスは、スティックタイプのアキュポイントが採用されている。筆者個人としては“スティックタイプ万歳”なので、大歓迎なのだが、スティックの左右にボタンがあるのでやや気になった。この配置だと、ポインタとボタンを同時に操作するのがやや難しく、ドラッグ&ドロップなどの操作が少々やりにくく感じた。ただ、それも慣れの問題で、1日使っているうちに慣れたので、その程度の問題かもしれない。

 ポインティングデバイスの右側には、指紋認証ツールが用意されており、付属のツールを利用すると、指紋認証によるWindowsログオンなどが可能になる。

キーボードのキーピッチは13.5〜14mm。フルサイズキーボードに慣れているユーザーには正直やや打ちにくいかも ポインティングデバイスと指紋認証デバイス。ポインティングデバイスは、スティックの左右にボタンがあるのは慣れが必要

●いち早くBluetooth V2.0+EDRの仕様をサポート

 本製品は、無線周りの仕様も充実している。無線LANは、IEEE 802.11b/gに準拠しており、理論値54Mbpsでの通信が可能になっている。無線LANの電波をオフにするスイッチが、本体左側に用意されており、飛行機の中など、電波を出してはいけないロケーションでは、電波をワンタッチで切ることができる。ネットワークの設定ツールとして「ConfigFree」がプレインストールされており、ロケーションごとに設定を作り切り替えて利用するという使い方も可能になっている。

 Bluetoothも標準で搭載され、従来のBluetooth V1.2だけでなく、次世代仕様であるV2.0+EDRもサポートされる。また、Bluetoothのソフトウェアスタックも、Microsoft純正のスタックではなく、東芝オリジナルのスタックが搭載されている。MicrosoftのBluetoothスタックではサポートされないオーディオプロファイルなどにも対応し、対応ヘッドフォンなどを接続して利用できる。

 なお、このほかにもEthernet、モデムなどが用意されているほか、Type2 PCカードスロット×1やUSB 2.0×2といったスロットやポートも用意されるため、USBケーブルやPCカードタイプの通信カードなどを利用した通信もできる。十分フルモバイルPCとして活用できるだろう。

 なお、その他のポートとしては、ヘッドフォン端子、マイク入力、SDカードスロット、IEEE 1394(4ピン)などが用意されているほか、ミニRGBコネクタが用意されており、付属の外部ディスプレイケーブルを利用して、外付けディスプレイにアナログRGB接続することも可能。このため、自宅では、外付けディスプレイとキーボード、マウスをつないでデスクトップPC風に、外出先ではミニノートとして、という使い方も可能だ。

本体右側面、左からボリューム、ヘッドフォン、マイク、USB 2.0×2、モデム、Ethernet 本体前面。左からSDカードスロット、PCカードスロットのレバー、IEEE 1394(4ピン) 本体左側面。PCカードスロット、無線スイッチ、ミニRGB端子
付属のケーブルを利用して外部ディスプレイに接続可能 付属の外部RGBケーブル

●DVDドックをつけてDVDやCDを再生可能

 本製品には以下の3つのモデルが用意されている。

・U100/190DSB ブルー天板+DVDドック
・U100/190DSW ホワイト天板+DVDドック
・U100/190NLB ブルー天板

 基本的には、上位2つのモデルの違いは天板の色で、190NLBは“リブレットDVDドック”が付属しないモデルとなっている。

 上位2モデルに付属するDVDドックは、ホットドック/アンドックが可能になっており、ユーザーはシステムが動いている状態でも自由に取り外すことが可能。これは、ドライブが内部的にUSB接続されているためで、ドックに用意されているボタンでアンドック処理を行ない、切り離すことが可能だ。採用ドライブは松下電器の「UJ-822S」で、DVD-RAM(殻なし)、DVD+R/+RW、DVD-R/RWといったメディアの読み書きが可能な、いわゆる“DVDスーパーマルチドライブ”となっている。

 OSが起動していなくても、DVDビデオやオーディオCDの再生が可能になる“クイックプレイ”機能も用意されている。これは、DVDドック側に用意されているクイックプレイのボタンを押すことで起動する、いわゆるインスタント機能で、OSを起動するよりも素早く起動できるため、すぐにDVDだけみたいという時などに重宝する。ただし、クイックプレイでは外部ディスプレイへの出力はできないので、その場合にはOSを起動する必要がある。

190DSWの天板。ホワイトとシルバーのツートンカラー 付属のDVDドックを取り付けたところ クイックプレイの操作ボタン。OSを起動しなくてもDVDやCDの再生が可能

●4セル36.72Whのバッテリで5時間強のバッテリ駆動が可能

 気になるバッテリだが、10.8V/3,400mAhで36.72Whとなっており、4セルバッテリの容量としては標準的なものとなっている。バッテリ駆動時間だが、メーカー公称のJEITA測定法1.0によれば、5.4時間の駆動が可能であるという。実際、筆者も無線LANを利用せずに使ってみたが、5時間を超えて入力などが可能であったことを確認した。

 個人的に惜しいと思ったのは、オプションで大容量バッテリが用意されていない点だ。4セルバッテリで5.4時間駆動は十分立派だが、例えば、オプションで6セルとか、8セルとかの大容量バッテリがあれば、もっと駆動時間を延ばすことができる。

 確かに、セル数を増やすと、重量へのインパクトは小さくなく、すでに標準バッテリでも1kg弱の999gとなっていることを考えると、ミニノートとしては重くなってしまうので、バランスとしては標準バッテリでよいとは思うが、多少重くなってもいいので、大容量バッテリが欲しいというユーザーもいるはずだ。ぜひ、今後オプションとして用意することを検討していただきたいものだ。

付属のバッテリ、10.8V/3,400mAh 付属のACアダプター、本体にあわせて小型になっている

●“いつでもどこでも”のためなら多少の犠牲はいとわないヘビーモバイラーにお奨め

 以上のように、本製品は初代Librettoを彷彿とさせるような製品バランスを実現したことで、これぞ“ミニノート”と言えるような製品に仕上がっている。とにかく、小さいノート、特に初代Librettoのように気軽に持ち運びできるノートPCが欲しいと思い続けてきたユーザーには魅力的な製品だ。

 それだけに、誰にでも奨められる製品であるかと言えば、そうではないのも事実。特に、14mm弱というキーピッチのキーボードや、独特なポインティングデバイスなども、これまでのノートPCに慣れてきたユーザーにすれば敷居が高いと言わざるを得ないだろう。

 従って、そうした多少の犠牲はいとわず、とにかくいつでもどこでもさっと出して使えることを優先するような、ヘビーモバイルユーザーこそ、本製品を購入するにふさわしいユーザーと言えるのではないだろうか。

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【4月20日】東芝、3年ぶりに「libretto」シリーズ復活
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0420/toshiba1.htm

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(2005年5月16日)

[Reported by 笠原一輝]


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