笠原一輝のユビキタス情報局

Intel、“Presler”後継にデュアルコアCPU“Conroe”投入





 Intelは3月に米国で行なわれたIDF Springにおいて、多数の開発コードネームなどを公開した。この中で、企業向けのクライアントプラットフォームは、2005年が“Lyndon”(リンドン)、2006年が“Averill”(エイヴリル)という開発コードネームであることが明らかにされた。

 Averillプラットフォームには、デュアルコアプロセッサとして、65nmプロセスルールの開発コードネーム“Presler”(プレスラー)というデュアルコアプロセッサが投入されることはすでに明らかになっていたが、IDF Japanの技術トラックで配布された資料には、同じく2006年にもう1つ“Conroe”(コンロー)とよばれるデュアルコアプロセッサも計画されていることが公開されている。


●新しく登場した“Conroe”、“Broadwater-G”の開発コードネーム

IDF Japanの「企業向けクライアントPC」という技術トラックで配布された資料。その中には、Conroeの開発コードネームが掲載されている

 8日行なわれた“企業向けクライアントPC”という技術トラックで配布された資料では、IDF USでは公開されていなかった3つの新しい開発コードネームが追加されている。それには、Intelの2006年の企業向けプラットフォーム“Averill”の詳細が、記述されている。

 IDF USの基調講演では、AverillのCPUは、Pentium DないしはPentium 4とのみ公開されていたが、今回の資料ではもう少し具体的にAverill用のCPUが説明されている。それによれば、Averill向けのCPUはPreslerとConroeというデュアルコアCPUと、シングルコアのCederMill(シダーミル)の3つの製品が計画されているという。すでに、IDF USではPreslerとCederMillに関してはコードネームや詳細などが公開されていたが、Conroeに関して、公式に語られたのは、今回が初となる。

 また、同じ資料ではAverillプラットフォームのチップセットであるBroadwater(ブロードウォーター)の詳細も書かれている。この資料では、“Broadwater-G”とかかれており内蔵グラフィックスが存在していることがわかる。Broadwaterは、今四半期にリリースが予定されているIntel 945G(開発コードネーム:Lakeport)の後継となる製品で、Intel 945Gでサポートされる予定のIntel Active Management Technology(IAMT)がバージョンアップされ、IAMT2となることもかかれている。

 なお、Broadwater-GのサウスブリッジはICH8へとバージョンアップされることになる。

●MeromのデスクトップPC版と言われてきたConroe

 Intelがその名をオフィシャルに公開したのは、今回が初めてだが、Conroeという名前自体が、メディアをにぎわせたのは、今回が初めてではない。Conroeという名前は、以前、後藤氏のコラムでも紹介されている。

 この名前が噂に上るようになったのは、2004年の年頭頃からだ。その頃に、Merom DCやConroeなど、Meromのデスクトップ版をIntelが検討しているという話が、情報筋からもたらされるようになった。

 Meromは、Yonahの後継として開発されている製品で、情報筋によれば2006年の第3四半期への投入が計画されているという。Yonahの投入は06年の第1四半期が予定されているのに、わずか2四半期後にMeromが投入されることになる。あまりに短い期間で、なぜ? と思う向きもあるだろう。

 実はそこには理由がある。それは、x64命令、Intel的な言い方をすればEM64T(Extended Memory 64 Technology)への対応だ。既報の通り、Yonahはx64に対応していない。問題は、この2006年の後半というタイミングだ。2006年の後半に、PCは大きな変革期を迎えることになる。

 言うまでもなくMicrosoftが次世代WindowsであるLonghornをリリースするからだ。情報筋によれば、MicrosoftはLonghorn世代で、かなり熱心に64bit化を推し進めていくプランを描いているという。実際、そうした話は何人もの業界関係者が、Microsoftがそう説明していると証言しており、MicrosoftがLonghornの目玉として64bit化を推し進めていく可能性は高い。そうした時に、モバイルPCだけ64bitではないというのは具合が悪い、というわけだ。

 ただし、64bit命令の実装によるオーバーヘッドや、L2キャッシュ容量を4MBに増やすことなどにより、Meromの熱設計消費電力はYonahで想定されている31Wよりは若干上昇してしまうという。

 実際、Intelが2006年の第1四半期に投入する次世代Centrinoモバイル・テクノロジ(CMT)であるNapa(ナパ)プラットフォームでは、各ノートPCベンダは45Wという熱設計消費電力を想定して設計を行なっている。一般的にノートPCのシャシーは、数年に一度程度でしか変更されない。例えば、Napaのタイミングに合わせて、新しいシャシーを投入するとなれば、その後2年間はそのシャシーを使い回すことになるので、将来登場するプロセッサなどを前提に設計しておかなければならない。このため、Meromの将来バージョンやその後継などで45WになるということがIntelからOEMメーカーに説明されていると当然予想できる。

●Banias系コアのデスクトップPC市場への投入を言及し始めたIntel幹部

 MeromのデスクトップPC版となるConroeだが、基本的なアーキテクチャこそMeromと同じとなる可能性が高いが、実際にはデスクトップPC向けのファインチューニングが行なわれることになるだろう。

 なぜなら、IntelはConroeの熱設計消費電力は90〜100W前後を想定して開発しているという情報があるからだ。ConroeがMeromのデスクトップPC版であるとすれば、同じコアであるのに片方は30〜40W、片方は90Wというのでは説明がつかない。考えられるのは、ConroeはMeromに比べてコア数が多いか、電圧設定が高めでクロック周波数が高いか、あるいはその両方という可能性だ。

 実際、Intel 副社長兼モビリティ事業本部モバイルプラットフォーム事業部ジェネラルマネージャのムーリー・イーデン氏は「YonahをデスクトップPCに使った事例をIntelも展示しているが、将来Banias系のコアをデスクトップPC用途に使う時、より高いクロックで動作させることはあり得るか?」という質問に対して「その可能性はある」と答えている。つまり、少なくとも、ConroeがMeromに比べて高いクロックに設定されていることはほぼ間違いないだろう。

 このほかにも、3月に行なわれたIDF Springで、Intel 副社長兼デジタルホーム事業本部 ジェネラルマネージャのドナルド・マクドナルド氏は「我々がモバイル向けのコアをデスクトップPCに使うというとも十分にあり得る」と述べるなど、Intelの幹部自身も、モバイル向けコアをデスクトップPCに使う可能性に言及していたほか、Yonahを利用したデスクトップPCを展示するなどの動きを見せている。

 こうした動きも、このConroeを見据えた動きであると考えれば、納得がいくのではないだろうか。

Intel副社長兼モビリティ事業本部モバイルプラットフォーム事業部ジェネラルマネージャのムーリー・イーデン氏 IDF Japanでも展示されたYonahを利用したコンセプトPC

□関連記事
【3月3日】【IDF】Pat Gelsinger副社長基調講演レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0303/idf05.htm
【2004年3月24日】【海外】2006年のIntel CPUアーキテクチャは4T+マルチコア
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0324/kaigai077.htm

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(2005年4月8日)

[Reported by 笠原一輝]


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