話は少し前後するが、この発表をはじめて見たとき「エッ!?」と思ったのは筆者だけではないと思う。“使用目的にかかわらず無償”の一言は、Solarisの存在を知っている人にとっては驚きである。同社のサイトに書かれている内容を要約すると、
- Solaris 10 3/05 の使用ライセンスを、システム構成に関わらず、無償で入手し使用できる
- ダウンロード手続きでソフトウェアライセンス契約書に同意すると、メールで権利書が届く
- 入手できるのはx86版とSPARC版の2種類
- 入手方法はダウンロード、もしくはメディアキット購入の2パターンがある
- バイナリ容量が約2.5GBなのでメディアキットの購入を推奨。内訳は
sol-10-GA-x86-v1-iso.zip(約300MB)
sol-10-GA-x86-v2-iso.zip(約400MB)
sol-10-GA-x86-v3-iso.zip(約600MB)
sol-10-GA-x86-v4-iso.zip(約400MB)
sol-10-lang-GA-x86-iso.zip(約460MB)※ここまでが必須
sol-10-ccd-GA-x86-iso.zip(約440MB)※コンパニオン・ディスク
- メディアキットの販売は3月中旬から
といった感じだ。メディアキットがすぐに手に入るのならそれでも良かったが、3月中旬までは待てず、2月に入ってすぐダウンロードを開始した。しかし、世界中からのアクセスが殺到しているらしく、1日1本ダウンロードするのがやっと。約1週間かかって必要なファイル全てを入手した。そろそろ混雑も落ち着いて来ているので、最近のネットワーク環境であればダウンロードにそれほど時間はかからないだろう。
●セットアップ開始!
冒頭に書いたように、今回はVMware上のみで動作をチェックした。ZIPを展開するとCD-ROMのISOイメージファイルができるので、それを仮想マシンのCD-ROMドライブへマウントしている。画面キャプチャを見るとわかると思うが、最近LinuxのセットアップはいきなりGUIが起動するものが多いので、それらと比べるとSolaris 10の初期段階のインストーラ自体は一昔前のLinuxと言った感じだ。
デバイスの自動スキャン環境がVMwareであることをしっかり認識している。ただ色数や解像度、キーボードタイプが違うので設定を変更する |
キーボード変更ここをマークし[F2]キーを押すと、キーボードリストが出てくるので、JP106キーを選択。よくあるパターンなので特に難しくは無い |
解像度変更解像度/色数は1,280×1,024ドット/フルカラーへ変更。仮想ディスプレイなのでリフレッシュレートとは無関係 |
ディスプレイドライバ作動テスト無事、1,280×1,024ドットのチェック画面が表示された。これが出ないと実質使えない環境になってしまう |
言語設定X-Windowが動き出した。言語の選択で日本語を選ぶと、以降のメッセージと設定される環境は全て日本語になる |
ベーシックな設定ネットワークやrootのパスワードなどを設定する。ネットワークは単なるクライアントなのでDHCPにした |
インストール開始Solarisのインストール画面が登場する。右下のコンソール画面を見ているといろいろ動いているのが解る |
インストール形式の選択デフォルトを選択すると、約7GBほどのディスクスペースが必要となる。VMwareの時は10GB以上に設定した方が良い |
コピー開始実際は、CD-ROMを1~4+langの5枚入れ替えなければならない。ディスクイメージをどこかへまとめて、ネットワークから一気に行なった方が楽だろう |
インストールは非常に簡単でCD-ROMを入れ替えるのだけが手間だったが、これはある程度の経験者を対象にしていると思われる。実はこの後、ターボリナックス ホームの記事を書いたときにチェックしたBookPCにも続けてインストールした。しかし、セットアップ自体は問題無かったものの、ディスプレイの解像度/色数が制限され(i810内蔵グラフィック)、ネットワーク(Davicon 9102)が認識されなかった。「今更そんなマシンで動かしてどうするの?」との意見が大半だと思われるが一応ご報告まで。もし、ドライバが存在するのであれば筆者まで連絡頂ければ幸いである。
●Solaris 10起動!
以上で準備は整った。リブートすると待望のSolaris 10が起動する。どんなOSでもワクワクする瞬間だ。以降、デスクトップ環境を中心に画面キャプチャを並べてみた。
何故かVGA画面にVMware固有の現象のようだ。オプションのコンソールからのログインを実行し、kdmconfigで画面の再設定を行なえばOK |
ログイン画面無事ログイン画面が表示された。まだrootしか登録していないので、とりあえずユーザーの追加を行なう |
CDEを使ってユーザーの追加コマンドを使うのが面倒だったので、管理コンソールからユーザーの追加をした。1回目の起動は少し時間がかかる |
Sun Java Desktop System起動一般的なユーザーを追加した後、お待ちかねのSun Java Desktop Systemを動かす。ベースはgnomeなのがわかる |
MozillaとStarSuiteLinuxでもお馴染みの2大アプリケーションを標準装備。Windowsネットワークへの接続も簡単だ |
Ximian EvolutionとPlannerMozillaのメールも使えるが、メニューにあるのは、スケジュール管理と一緒になっているEvolution。Outlookに対抗してのことだろう |
PDFリーダーなどクライアントを意識したアプリケーションも標準で入っている。チェックした原稿も問題なく表示している |
ルックスを好みに変更筆者的にはあまりコテコテしたデザインは好きではないので、あっさりとしたデザインへ変更した。ATOK 12も標準だ |
KDE起動オプションのコンパニオンディスクにはKDEもある。Sun Java Desktop SystemからKDEを起動したところ |
このようにドライバなどの問題さえなければ、結構快適な環境が一発で起動する。キャプションに書いたようにATOK 12はもちろん、リコーのHGフォント(WindowsのMSゴシックなどと同じもの)も一式入っている。道理で画面上の違和感がないはずだ。気になる速度もXeon 2GHz Dual + メモリ1GBでVMware(メモリ割当384MB)を動かしている割にはかなりサクサク動く。これだけのものが用途にかかわらず無償というのは驚きだ。今後Solarisユーザーは間違いなく増えるだろう。StarSuiteのMS Officeとの互換性が更に高まれば一般事務レベルなら十分な環境である。またWindowsほどウィルスの心配をする必要も無い上、隠れて業務以外のアプリケーションをインストールすることもできなくなる。経営者的にみればかなりのメリットだ。
ただ、1つ言えるのは普通にデスクトップで使う限り「Linuxとどこが違うの?」となることだ。もちろん、アーキテクチャやSolaris固有のツール、裏で動いているプロセスなど、Solarisに詳しい人から見れば「何を言っているんだ! だから素人は困る」となるだろうが、表面だけ見る限り、その差はほとんどない。今後、違いをどうやってわかりやすくSolaris以外のユーザーにアピールするかがキーとなるだろう。
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