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Lenovoへの売却について、ThinkPadの生みの親が会見
〜大和の技術者はThinkPadは自分自身と思っている

12月17日 開催



 ThinkPad生みの親であるIBMフェローの内藤在正バイスプレジデントと、米IBMパーソナルシステムズグループのピーター・D・ホテンシャス バイスプレジデントが来日、米IBMによる聯想(Lenovo)へのPC事業売却について説明した。

●大和研究所の技術者は、ThinkPadを作りたいと思っている

内藤在正 バイスプレジデント

 内藤氏は、「日本での報道のなかには、ネガティブに受け取るような、誤解を招く表現もあるが、私をはじめ、大和研究所の社員は、今回の出来事を前向きに捉えている」とし、「強調しておきたいのは、ThinkPadはこれまでと何ら変更がなく、これまで作ってきた基盤は変わらないという点。ThinkPadが違ったものになってしまうというのは杞憂だ。ユーザーがThinkPadで得られた経験は、次のThinkPadでも引き続き経験することができる」とした。

 また、「大和研究所の技術者は、IBMのPCを作りたいのではない。ThinkPadを作りたいと思っている。ThinkPadは自分自身だと捉えている」と、内藤氏自身の気持ち、そして大和研究所の社員の気持ちを表した。

 さらに、「大和研究所は、唯一のThinkPadの開発拠点であり、新会社においても貴重な存在であることに変わりはない。大和研究所の維持コストが高いという指摘もあるが、開発にはいろいろなレベルがあり、物理的なインプリメンテーションの工程や、試験、検査などの工程は、今回の件がなくとも、効率的なオペレーションができる適した地域に移転することはやっている。高付加価値を創出し、競争力を維持できる開発体制を大和では引き続き確立したい」と語った。

 今回のPC事業売却を、技術者が前向きに捉えている理由として内藤氏は、「新しい会社では、これまで以上に技術者のパワーが発揮できると考えている。これまでIBMがアドレスしていなかった分野にも展開でき、新たなことにもチャレンジできるというように開発陣は認識している。ここまでがIBMのビジネス範囲と限定していた枠がなくなり、土俵が広がることになる」と語る。


【動画】熱弁をふるう内藤氏
WMV形式、570KB

 今後の具体的な製品ロードマップには触れなかったが、ここ数年、企業向けが中心となっていたThinkPadを、コンシューマ市場に展開する可能性もないとはいえない。

 ただ、内藤氏は、「ビジネスという分野にフォーカスしてきたため、すぐにコンシューマに向けた突拍子のないものや、AV機能を取り入れたようなものが出てくるとは考えにくい。使い手にとって、役に立つものを作り続けるという姿勢は変えない」と語る。

 なお、内藤氏は、今回のPC事業売却に伴い、IBMフェローからは離れることになるが、「Lenovoフェローというような立場に、新会社で就くことになるだろう。Lenovoフェローは、当面は、私だけになる」と話した。

 また、「発表以降、大和研究所の社員は、私がそのまま新会社に行くと思っていたようで、誰からも去就について聞かれることはなかった」などと語った。


●ThinkPadの品質は引き続き維持されると強調

ホテンシャス バイスプレジデント

 一方、ホテンシャスバイスプレジデントは、米IBMの立場から、今回の売却の意味を説明した。

 同氏は、「IBMのPC資産を、Lenovoに売却するわけではない。グローバルなパートナーシップを組むこと、排他的な契約を結んでいることで、今後、ユニークな展開できる点を知ってもらいたい。5年間のロゴ使用の契約を盛り込んだという点は、非常に高いレベルでコミットをしていることの表れだ」と前置きし、「IBMが誇る技術、リーダーシップ、組織、人員と、Lenovoが持つ優秀なプロダクト、ローコストを実現するサプライチェーンなどが組み合わせることで、新しいPCメーカーが誕生する。新会社に移行後も、IBMが誇るプロダクトの優秀性、品質は維持できる」とした。

 デスクトップ、中国国内、低価格戦略、コンシューマをターゲットとするLenovoとの組み合わせは、ノートPC、全世界展開、付加価値戦略、中堅・大手企業を対象とするIBMと補完関係にあることを強調し、「Lenovoと一緒になることで、規模のスケールアップが図れること、Lenovoのコストを意識した戦略を導入できること、経営リソースを広範に投資できること、PC事業に特化したオペレーションが可能なため、企業として最高の効率が追求できることが、メリットになる」とした。

 IBMブランドの製品がローエンドに広がる可能性については、「その可能性はある」としながらも、「単にローエンド製品を増やすことが目的ではない。バリューを追求していくことは、今後も変わらない。これまで以上にコンシューマプロダクトを提供したいと考えているし、小企業を対象としたプロダクトも出していきたい」とした。

 一方、生産拠点に関しては、「ThinkPadは現在も、香港の外側のエリアで生産しており、これを日本に輸入している。IBMのクオリティマネジメントシステムがしっかりと稼働していることから、ハイクオリティな製品が提供できている。一方、デスクトップは、ThinkPad同様、香港のまわりの生産拠点と、日本のパートナー企業の拠点で生産している。新会社においても、同等のクオリティレベルを維持できると自信を持っている」と語った。

 なお、大和研究所の立場についても、「大和研究所は不可欠であり、英語でいえば王冠の中の宝石のような位置であり、かけがえがない存在と認識している」と述べた。

 また、IBMのロゴを使用して生産される期限となる5年後から先の契約については、「その時点で延長するのか、打ち切るのかを判断することになるため、いま、言及するのはあまりにも時期尚早だ。しかし、個人的な意見としては、5年の期間が過ぎたあとも、IBMがLenovoのPCを引き続き販売していると想定している。期間が終わったから離婚するというようなこと考えていない」とした。

 今回の会見では、ThinkPadをはじめとするTHINKブランド製品の品質が、引き続き維持されることを改めて強調するものとなった。

 ThinkPadの生みの親である内藤氏が、新会社でも引き続き、ThinkPadの開発に関わることが明らかになったことは、ThinkPadの品質維持と物づくりについてコミットするには十分なものだといえる。


□日本IBMのホームページ
http://www.ibm.co.jp/
□Lenovoのホームページ(英文)
http://www.lenovogrp.com/
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(2004年12月17日)

[Reported by 大河原克行]

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