生まれ変わったミニノートPC「InterLink XV」
〜DVDマルチドライブ搭載機で世界最小



ビクター「InterLink XV」

 ビクターのInterLinkシリーズは、今では数少なくなったミニノートPCであり、サブノートPCよりも小さなPCが欲しいという人からの支持を得ていた製品だ。

 今回登場したInterLink XVは、InterLinkシリーズ初の2スピンドル機であり、DVDマルチドライブを搭載しながら、重さ1.47kgを実現していることが特徴だ。


●サイズや重量は増したが、使い道は広がった

 ノートPCは、サイズによっていくつかのカテゴリーに分類されるが、その中でも最も小さいサイズとなるのが、ミニノートPCと呼ばれるカテゴリーである。最近は、B5サイズやB5ファイルサイズのサブノートPCの軽量化が進み、ミニノートPCとの差別化が難しくなってきたため、ミニノートPCをリリースするメーカーも減っている。

 多くのPCメーカーがサブノートPCからフルサイズノートPCまで、さまざまなカテゴリーの製品を発売している中にあって、ビクターは、ミニノートPCにこだわり続けている数少ないメーカーである。ビクターのミニノートPC「InterLinkシリーズ」は、サブノートPCよりもフットプリント(底面積)が小さなPCが欲しいという人から、高い支持を得てきた製品だ。

 今回、登場したInterLinkシリーズの最新モデル「InterLink XV」は、InterLinkシリーズで初めて光学ドライブを搭載していることが特徴であり、従来のInterLink XPとは全く別の製品に生まれ変わっている。

 なお、InterLink XVは、搭載CPUや光学ドライブの違いによって、MP-XV831とMP-XV631という2モデルが存在する。ここでは、上位モデルのMP-XV831(6月上旬発売予定)の試作機を試用した。

 InterLink XVのサイズは235×214×43.2mmで、重さは約1.47kgである(ともに標準バッテリパック装着時)。従来のInterLink XP(MP-XP7310)のサイズは225×177×29.5mm、重さは約1.075kg(ともに標準バッテリパック装着時)、サイズは一回り大きくなり、重量も400gほど増加していることになる。しかし、2スピンドル機になったことで、使い道は大きく広がった。ちなみに、MP-XV831は、DVDマルチドライブ搭載ノートPCとして、現時点で世界最小(最軽量ではない)を実現しているという。

 サイズの割には重量があるので、実際に持ってみたところあまり軽いとは感じなかったが、フットプリントが小さいため、小さなカバンにも収まることはメリットであろう。

ボディ上面。奥の黒い部分はバッテリ。バッテリがかなり大きいことがわかる ボディ底面。丸いカバーは、MicroDIMMスロットのカバーである DOS/POWER REPORT誌とのサイズ比較。横幅はかなり短いが、奥行きはほぼ同程度である

●1,024×600ドット表示のワイド液晶を搭載

 まず、PCとしての基本性能から見ていこう。MP-XV831では、CPUとして超低電圧版Pentium M 1GHzを搭載している。CPU自体は、2003年7月に登場したInterLink XP(MP-XP7310)と同じだが、チップセットはIntel 855GMからIntel 855GMEに変更されている。Intel 855GMEでは、メモリサポートがPC2100からPC2700に強化されているため、MP-XP7310より性能的には有利である。どうせなら、先日Intelから発表された超低電圧版Pentium M 1.10GHzを搭載して欲しかったところだが、このクラスのミニノートPCとしては、十分な性能を持っているといえるだろう。

 メモリは標準で256MB実装しているが、MicroDIMMスロットが用意されており、最大768MBまで増設が可能だ。HDD容量は40GBで、こちらも特に不満はない。

 液晶ディスプレイとして、8.9型ワイド液晶パネルが採用されている。解像度は1,024×600ドットで、液晶のサイズや解像度はInterLink XPと同じである。いわゆるツルピカ液晶だが、パネル表面への映り込みは比較的少ない印象だ。

 液晶表示は、輝度やコントラストが高く見栄えがする。DVD-Videoなどの再生にも向くだろう。ただし、縦のドット数がXGAよりも少ないので、Webブラウズの際などはやや狭さを感じる。バックライトの輝度は15段階(オフを入れると16段階)に切り替えが可能だ。

MicroDIMMスロットを1基装備。512MB MicroDIMMを装着することで、合計768MBまでメモリを増設可能 「コンピュータの電源を切る」ダイアログボックスに並ぶアイコンの横の長さは約7mmである

●DVDマルチドライブ搭載でDVD-RAMの読み書きも対応

 MP-XV831では、光学ドライブとしてDVDマルチドライブを搭載していることがウリだ(下位モデルのMP-XV631では(CD-RW/DVD-ROMコンボドライブ)。DVD-RAM(カートリッジなし)、DVD-R、DVD-RWの3種類のDVDメディアに書き込みが可能で、最大記録速度は全て2倍速である。DVD-RAMメディアの読み書きが可能なので、DVD-RAM対応DVDレコーダーのユーザーにはありがたいだろう。

 ただし、CD-Rへの記録速度は最大16倍速、CD-RWへの記録速度は最大8倍速で、あまり高速ではない。また、光学ドライブは固定式で、脱着はできない。

右側面にDVDマルチドライブを搭載。取り外しはできない ドライブには「DVDマルチレコーダー」ロゴと「CD-RW」ロゴが印刷されている

 公称キーピッチは16mm、キーストロークは1.5mmであるが、右側の一部のキーピッチは約11mmとかなり狭くなっているほか、Enterキーが小さめなのが気になる。また、縦ピッチが約14mmで、キートップが長方形になっているため、B5ファイルサイズ以上のノートPCのキーボードに比べると、窮屈な印象を受ける。ポインティングデバイスとしては、スティック式デバイスが採用されている。ポインティングデバイスの操作感は良好である。

配列は標準的だが、キーの縦ピッチが短く、キートップが長方形になっている 「け」や「む」「ろ」など右側の一部のキーのピッチがかなり狭くなっている。また、エンターキーも小さめだ

 インターフェイスも充実しており、USB 2.0×2、IEEE 1394(4ピン)、LAN、モデム、マイク入力、ヘッドホン出力、ドッキングポートを装備している。

 特筆したいのはドッキングポートだ。ドッキングポートには、オプションのポートリプリケータまたは外部ディスプレイ接続ケーブルを接続できる。ポートリプリケータには、USB 2.0×4、外部ディスプレイ出力、LAN、光デジタル出力、DC入力の各端子が用意されているので、USBキーボードやマウス、ディスプレイなどを接続して、デスクトップ代わりに使える。

 ポートリプリケータのDC入力端子にACアダプタを接続すれば、ドッキングポート経由で本体への電源供給が可能であり、机の上ではポートリプリケータを接続してメインPCとして使い、外出時にはポートリプリケータを外して本体のみを持ち出すといった使い方も簡単だ。出先でプレゼンテーションを行なう場合も、外部ディスプレイケーブルを利用すれば、プロジェクタなどへの出力が可能になる。

 カードスロットとしては、PCカードスロット(Type1/2×1)とSDメモリーカードスロットを装備している。ただし、両スロットともフタがダミーカード方式となる。無線LAN機能はIEEE 802.11b/g準拠で、無線LANスイッチや無線LANインジケータも用意されている。

左側面には、無線LANスイッチ、ボリュームコントロール、ドッキングポート/外部ディスプレイ、LAN、モデム、USB 2.0×2、SDメモリーカードスロット、ヘッドホン出力、マイク入力が用意されている 右側面には、DVDマルチドライブとPCカードスロット、IEEE 1394端子が用意されている。なお、バッテリを装着すると、底面に少し隙間ができ、キーボードにわずかに傾斜がつく

●輝度調節キーやDVD/CD操作キーを装備

 InterLinkシリーズは、以前からサウンドフィルター「CCコンバーター」を搭載するなど、AV機能にこだわってきたことが特徴だ。

 今回登場したInterLink XPでは、光学ドライブを搭載したことで、さらにAV色が強化されている。その1つが、キーボード左手前に配置されたDVD/CD操作キーや、キーボード奥に配置された輝度調節キー、サラウンドキーなどのワンタッチコントロールキーである。

 DVD/CD操作キーでは、WinDVD5やWindows Media Playerの操作が行なえる。ただし、Windowsを起動していない状態で、DVDやCDを再生することはできない。また、キーボード奥のキーロックキーによって、DVD/CD操作キーのロックが可能だ。輝度調節キーが独立しているのも便利だ。

 キーボードの奥に、ステレオスピーカーを搭載。音質・音量ともにこのクラスの製品としては良好だ。サラウンドキーを押すごとに、サラウンドオフ/ドルビーバーチャルスピーカー/ドルビーヘッドホンを切り替えられる。ヘッドホン利用時も、広がりのあるサウンドが楽しめる。サラウンドの設定や無線LANの状態は、画面左上にOSD表示されるので分かりやすい。

 また、ボリュームスイッチも左側面に用意されている。このスイッチは、上下に操作することで音量のアップ/ダウンが可能なほか、押し込むことでミュートもできる。音を出したくないときなども、素早く操作できるので便利だ。

キーボード左手前には、4つのDVD/CD操作キーが用意されており、ダイレクトに操作が可能 キーボードの奥に輝度調節キーとサラウンドキー、キーロックキーを装備 無線LANスイッチとボリュームコントロールのアップ。ボリュームコントロールは上下に操作して音量を調整できるほか、押し込むことでミュートが可能

 オリジナルソフトとしては、音質を向上させるサウンドフィルター「CCコンバータ」のほか、ビクターのデジタルハイビジョンビデオカメラ「GR-HD1」で撮影したハイビジョン映像をWindows Media Playerで再生する「HD-TSデコーダー」などがプリインストールされている。HD-TSデコーダーはデコードエンジンが改良され、前バージョンに比べて大幅にパフォーマンスが向上しているが、GR-HD1を所有しているユーザー以外はあまり使う場面はないだろう。

●ACアダプタも大幅に小型化された

 InterLink XPでは、内蔵バッテリとアウターバッテリの併用が可能なデュアルパワーシステムを採用していることが特徴であったが、InterLink XVでは、デュアルパワーシステムではなく、バッテリを本体の奥に装着して利用するようになっている。標準で付属しているバッテリで公称最大約6.7時間(JEITA測定法1.0では約5.5時間)の駆動が可能である。

 また、オプションで、標準バッテリよりも重量が軽くて、奥行き小さいバッテリパック(S)が用意されている。バッテリパック(S)では、最大約3.1時間(JEITA測定法1.0では約2.6時間)の駆動が可能だ。また、従来に比べて、ACアダプタが大幅に小型化(容積で従来比73%)されたことも評価できる。

 なお、冷却用にファンを装備しているが、連続で動作させていると、本体の裏側がやや熱くなる。

付属の標準バッテリパック。左はVHSビデオテープ。オプションのバッテリパック(S)は、奥行きが標準バッテリのほぼ半分である ACアダプタも小さく軽くなり、携帯性がさらに向上した。左はVHSビデオテープ

●コンパクトな2スピンドル機が欲しい人にはお勧め

 InterLink XVは、光学ドライブを搭載したことで、ポータブルDVDプレーヤー代わりに使うなど、より使い道が広がった。DVDマルチドライブを搭載したMP-XV831なら、旅行先で撮った動画を編集して、その場でDVD-Videoを作成するといったことも可能になる。その分、サイズと重さがやや犠牲になってしまったが、付属の標準バッテリを装着した状態で1.5kg以下なので、気軽に携帯できる範囲に収まっている。

 輝度調節やボリュームなど、各種のダイレクトキーが用意されているなど、使い勝手もよい。店頭予想価格は24万円前後とのことなので、DVDマルチドライブを搭載していることを考えれば、コストパフォーマンスも悪くない。軽量2スピンドル機としては、松下のLet'snote W2などがあるが、重量よりもフットプリントの小ささを重視するなら、InterLink XVは有力な選択肢となるだろう。

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【4月26日】ビクター、世界最小DVDマルチ内蔵ノート「InterLink XV」
〜8.9型WSVGA液晶搭載で1.47kg
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0426/victor.htm

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(2004年5月7日)

[Reported by 石井英男]


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