会期:3月18日~24日(現地時間) Philips、リコーなどが先日、2層記録式のDVDドライブ発表を行なったが、CeBIT会場ではすでにその試作機が展示されている。本レポートでは、それらのDVDドライブを中心に各社のブースでの展示の模様をお伝えする。 ●液体レンズや、NFC機器が展示されたPhilipsブース Philipsは、最大8倍速書き込みの2層記録式DVD±R/RWドライブ「DVDRW885」を展示。DVDRW885は、±R 8倍速/±RW 4倍速書き込みに対応。インターフェイスはUltra ATA。2層式DVD+Rメディアの「DVD+R DL」への書き込み速度は2.4倍速。製品化は4月の予定で、価格は130ユーロ(約17,000円)程度となる見込み。また、DVD+R DLメディアも展示されていた。
このほか同社では、「液体レンズ」や「NFC」など、ユニークな技術展示を行なっていた。液体レンズは、液体の表面張力を利用することで、機械的に動作する部品を使用せずに焦点移動が可能なレンズ。 その仕組みは、小さなチューブの中に伝導性の水溶液と非伝導のオイルを詰め、電気を流すことで、表面張力が変化し、2つの液体間の表面で構成される凹凸レンズの曲率半径が変化し、焦点距離が変化するというもの。 集束範囲は5cmから無限大で、最大範囲までの切替は10msec以下の短時間でリアルタイムに行なえる。レンズ径は10mmから1μmまで小型化が可能という。逆に10mm以上のレンズは技術的に困難とのことで、基本的にはデジタルカメラではなく、携帯電話など小型機器への応用が見込まれている。 液体レンズは、消費電力が実質的にゼロといい、コスト面でも従来の機械式ズームレンズより安くなるという。 現在、液体が凍らないよう水溶液に塩分を加えるなど、製品化に向けた改善を行なっており、製品登場は2年以内を目標にしているという。
NFC(Near Field Communication)は、同社がソニーと協力して規格化した、近距離無線技術で、ソニーの非接触ICカード「FeliCa」でも採用されているもの。同技術の特徴的な点は、NFC機器同士を近づけるだけで、自動的にデータのやりとりが行なわれるという用途を想定している点。 デモコーナーにはNFCに対応したインターネットラジオとPDAとポスターが置いてあり、まずアーティストの広告ポスターにPDAを近づけると、そのアーティストや楽曲の情報が自動的にPDAに転送される。続いて、PDAで聞きたい曲を選択してインターネットラジオに近づけると、楽曲のダウンロードが始まり、ラジオから聞こえて来るというもの。 NFC対応の携帯電話は第4四半期頃に登場する見込みで、欧米だけでなく、日本を含んだアジア地域でも展開されるという。 このほか、2D/3Dを問わず、また、素材に特殊な加工をすることなく、肉眼での立体視を可能とする3D液晶ディスプレイが参考展示された。
●17mm厚7,200rpm 3.5インチHDD、WVGA対応PDAなどを展示したSamsung
Samsungも、ひっそりながらDVD+R DL対応ドライブを展示していた。「SH-W16A」は、+R 16倍速/-R 12倍速/±RW 8倍速書き込みに対応した製品。+R DL書き込み速度、価格、出荷時期など詳細は担当者不在で確認できなかった。 HDDの新製品としては、3.5インチで17mm厚の40GBドライブ3モデルを展示。ディスク枚数を1枚に限定することで価格を抑えつつ、薄型PCなどへの採用を見込んだ製品。最上位となる「SpinPoint PL40S」は、シリアルATA対応の7,200rpmモデル。中位の「同PL40」はUltra ATA/133対応の7,200rpmモデル。最下位の「同VL40P」はUltra ATA/133対応の5,400rpmモデル。 液晶ディスプレイでは、日本でもすでに発売されている「SyncMaster173P」のカラーバリエーションモデルが参考展示されていた。展示されていたのは、ブラック、シルバー、レッド、ブルーの4モデル。いずれも市場の反応を見るための参考展示で、製品化は未定という。 このほか、5型WVGA液晶を搭載し、折りたたみ可能なキーボードを着脱可能なPDAが展示された。 ●BENQはシリアルATA/+R DL 4倍速書き込み対応機など4モデルを展示
BENQは、DVD+R DL対応ドライブを一挙に4モデル展示した。「DW1650」は、インターフェイスにシリアルATAを採用したDVD+R DL対応機。書き込み速度は+Rが16倍速、-R/+RWが8倍速、-RWが4倍速、+R DLが4倍速。他社製品も含め+R DLの4倍速書き込みは本製品だけ。発売は8月で、価格は150ドル(約16,000円)程度を想定しているという。 「DW1600」は、+R 16倍速/-R 8倍速/±RW 4倍速/+R DL 2.4倍速書き込みに対応し、インターフェイスはUltra ATA。発売は6月。「DW830A」は、+R 8倍速/+RW 4倍速/+R DL 2.4倍速書き込みに対応し、インターフェイスはUltra ATA。発売は5月。 「DW822A」は、+R 8倍速/+RW/-R 4倍速/-RW 2倍速書き込みに対応。すでに出荷開始されているが、今後のファームウェアアップデートにより2.4倍速+R DLに対応可能になるという。 このほか同社では、Pentium M 1.40GHz、12.1型WXGA対応液晶を搭載した薄型ノートPC「Joybook 6000」を展示。同製品は、本体サイズ302×218×23mm(幅×奥行き×高さ)、重量1.6kgと、軽量小型ながら8時間のバッテリ駆動を実現してるといい、10時から18時までACアダプタをつながずバッテリだけで動かすというデモを行なっている。
●LGがRAM 5倍速/+R 12倍速のスーパーマルチを展示 このほか+R DL対応機ではないが、LGが+R 12倍速/-R 8倍速/±RW 4倍速/RAM 5倍速対応のスーパーマルチドライブ「GSA-5120D」を展示。RAM 5倍速対応機の展示はこれが初めてと思われる。発売は第2四半期、価格は未定。12倍速対応メディアは、メディアメーカーが16倍速との普及の度合いの差を見計らってから出すため、第3四半期になるという。 リコーの+R 16倍速/-R 8倍速/±RW 4倍速/+R DL 2.4倍速対応機、プレクスターの+R 12倍速/-R 8倍速/±RW 4倍速対応機「PX-712A」なども展示された。リコー製品の発売時期は年末だが、それまでに最大8倍速書き込み対応で、+R DLに対応する製品を企画しているという。また、同社は16倍速対応+Rメディアも展示した。
□CeBIT 2004のホームページ(英文) (2004年3月19日) [Reported by wakasugi@impress.co.jp]
【PC Watchホームページ】
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