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エプソン R-D1発表会レポート
〜レンジファインダーとMマウントのメリットを紹介

LeicaのSummaron 35mm F3.5を装着したR-D1

3月11日発表



 エプソンは11日、都内で「Epson Rangefinder Digital Camera R-D1」の発表会を開催、R-D1のコンセプトや開発の経緯などを説明した。発表会では、Leica遣いとして知られる写真家のハービー山口氏が司会として登場した。

●フィルムをCCDに置き換えただけ

 セイコーエプソン株式会社 情報画像事業本部の枝常伊佐夫 IJP企画推進部長は「デジタルカメラではじめてのレンジファインダー、Leica L/Mマウント対応、等倍率ファインダー」を「3つの世界初」としてあげ、それぞれの特徴やメリットを説明した。

セイコーエプソン株式会社 情報画像事業本部の枝常伊佐夫 IJP企画推進部長。愛称はエプソンのキムタクならぬ「カメタク」(カメラおたく) 一眼レフ(SLR)とレンジファインダーの機構の違い。赤と緑の線が光の経路 一眼レフと比較したレンジファインダーの特徴

 レンジファインダーは、レンズとは別に独立したファインダーを設け、フレーミングする形式のカメラ。ピント合わせ用に、三角測量の原理で被写体との距離を測る距離計が組み込まれている。上級機で採用されている一眼レフは、レンズを通した光景を、ミラーやプリズムを通して見ることで、フレーミングやピント合わせを行なう。撮影時にはミラーが跳ね上がることで撮像素子やフィルムに光を送り、感光させる。

 枝常部長はレンジファインダーと一眼レフを比較し、レンジファインダーには「ファインダーが明るく視野率が100%以上、撮影の瞬間にもブラックアウトしない、シャッタータイムラグが短かく振動や動作音が少ない、フランジバック(マウントから撮像素子までの距離)が短いためカメラを小型にできる」などのメリットがあるとした。

 等倍ファインダーについては、フレームやファインダーの外を見ることができるため、フレーミングしやすいというメリットをあげた。

 また距離計の精度については「(Leicaを開発した)オスカー・バルナックは手札判までのプリントを考慮していたが、R-D1はA3ノビまでのプリントにも対応できる距離計の精度とファインダーを確保している」とした。

R-D1の等倍レンジファインダー
R-D1のレンジファインダー。下部に出ているステーの先にある“コロ”で、レンズの合焦機構と距離計が連動する R-D1のファインダーを覗いたところ(左)。中央のフレームが、写る範囲を表す。等倍ファインダーにより、両目で見ると違和感なく広い範囲を見ることができる(右)

 ライカマウントについては、「80年前のレンズも使える」とし、Leicaはじめ世界中の会社が開発したレンズを装着できるとした。一方で、フランジバックのサイズから、一部使用できないレンズがあること、沈胴式レンズを沈胴させられないことについても言及した。

Leica Mマウント(左)とLマウントに対応。Lマウント対応レンズを使用するには、アダプタが必要 会場に展示された対応レンズ R-D1のマウント。上部に距離計連動コロが見える

 R-D1全体については、シャッターチャージレバーやジョグダイヤル、アナログメーター、アルミダイキャストフレームとマグネシウム合金外装などを採用し、「フィルムをCCDに置き換えただけの操作感」を実現としたと述べた。

 画像処理については、プリンタで養った3次元ルックアップテーブル技術などにより、白トビなどに対する耐性を上げたとしている。

R-D1のCCD フレームはアルミダイキャスト、外装はマグネシウム合金を採用
シャッターのチャージ機構 アナログメーターは、セイコーの高級クロノグラフ「BRIGHTZ's」のモジュールを使用した
白トビへの耐性などに留意した絵作りがされた 付属するRAW現像ソフト「Photolier」

●60年前の空気が写る

ハービー山口氏は発表会で、自らが愛用するLeicaレンズをR-D1に取り付けて見せた

 普段は銀塩レンジファインダーカメラのLeica M3を多用する司会のハービー山口氏は、自らを「デジタルカメラに熱心なカメラマンではなかった」と“告白”。しかし、R-D1を「一生使ってもいい愛すべきデジタルカメラがやっと世に出た」と賛辞を述べた。

 レンジファインダーという形式については、ミュージシャンのポートレートで知られる同氏らしく「人を撮る場合は素通しのレンジファインダーが好ましい」、「暗いところでもピントを合わせられる。Leica M3でさえ約0.9倍で、等倍ファインダーは珍しい。(覗いて)違和感がない」と評価。ブレッソン、サルガドといった世界の有名写真家がレンジファインダーカメラを愛用していることをあげ、「一眼レフにない明快なファインダーが写真家を虜にして離さない」とした。

 レンジファインダーでは一眼レフのようなズームが使えないことについては「被写体に足で近づくことで、被写体をより理解できる。自分の足で被写体に近づき、あるいは遠ざかることでよりよい写真が生まれる」とし、ズームに頼らない撮影スタイルを強調した。

 また、「60年前のLeicaレンズをいとも簡単に最新のデジタルカメラに装着できる。(古いレンズは)最新のコンピュータ設計のレンズに比べて至らぬこともあるが、それがいい味になっている」、「60年前の空気がCCDに写る。60年前、70年前のレンズがよみがえるのはロマン」と、Leicaマウントの搭載を評価した。

●ハイエンドフォトでの認知をアピール

セイコーエプソン株式会社の丹羽憲夫 代表取締役副社長

 セイコーエプソン株式会社の丹羽憲夫 代表取締役副社長は、R-D1の目的を「写真文化に貢献し、エプソンのブランド価値向上を目指す」とした。

 コンシューマ向けプリンタのイメージが強い同社だが、丹羽副社長は「米国ではプロカメラマンがエプソンの機器で出力する機会が多い」とし、「写真を理解しているからこそ、デジタルデータを高品質な写真画像に最適化できる」ことを、カメラを通じて伝えたかった、と述べた。

 また、コシナ株式会社との協業については、同社を高い光学系技術と写真文化へのこだわりを持つと評価、「コシナの光学技術と当社のデジタルイメージングプロセシング技術が融合すれば、まったく新しい写真創造の可能性を提供できる」とした。

●廉価版も検討

 会場では、エプソンでは初めての高級デジタルカメラとあって、サポート体制についての懸念が聞かれた。これについて丹羽副社長は「サービスアビリティについては調整中。発売までにお知らせする」とした。

 プロが使用するにあたって要求される堅牢性については、枝常部長は金属外装や液晶を格納できる機能により確保されているとした。また「メカニカルシャッターのほうが強い、と考える人が多いと思うが、電子シャッターの信頼性も現在では十分確保されている」と、シャッターの耐久性にも言及した。

 予想される実売価格が30万円弱と、APS-Cサイズの撮像素子を積む600万画素機としては高価なため、廉価版の発売を望む声も聞かれた。これについて枝常部長は「検討する可能性はある」とだけ述べているが、同社関係者からは「いずれはより安価な機種に、Voigtlander BESSAのブランド名を冠して発売したい」という展望が聞かれた。

 R-D1のベースとなったVoigtlander BESSA R2では、Voigtlander BESSAブランドの使用権を保有する独の会社とコシナがライセンスを交わすことで、同ブランドを冠している。R-D1でVoigtlander BESSAブランドが使われなかった理由については、ライセンスにおいて条件面で折り合わなかったため」としている。が、R-D1で実績を積めば理解は得られる、との見方もあり、将来“BESSA Digital”という製品が発売される可能性が、潰えたわけではないようだ。

 同社では、R-D1の予定年間生産台数を、全世界で1万台としている。

□エプソンのホームページ
http://www.epson.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.epson.co.jp/osirase/2004/040311.htm
□関連記事
【3月11日】エプソン、世界初のレンジファインダーデジカメ「R-D1」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0311/epson1.htm
【3月11日】写真で見る「エプソン R-D1」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0311/epson2.htm

(2004年3月11日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]


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